遷延性意識障害の後遺障害等級と解決事例集|交通事故SOS

目次

この記事を読んでわかること

この記事では、交通事故による「遷延性意識障害」で後遺症が残った場合の後遺障害等級認定や慰謝料等の損害賠償金などについて解説していきます。

具体的には、この記事を読むことで次の内容がわかります。

☑慰謝料が大幅に増額して解決した実際の事例
☑遷延性意識障害の後遺障害等級
☑後遺障害等級認定の仕組み
☑後遺障害等級の認定基準
☑交通事故の示談交渉における素人と弁護士の違い
☑交通事故の示談金が増額する理由
☑遷延性意識障害で弁護士に依頼すると、どの程度増額するのか?
☑弁護士の正しい探し方

ぜひ、最後まで読んでください。

これから交通事故の遷延性意識障害について解説していきますが、その前に、交通事故解決の全プロセスを解説した無料小冊子をダウンロードしておきましょう


 

遷延性意識障害とは?

交通事故で頭部に被害を受けた場合、重大な後遺障害が残ってしまうことがあります。
そのひとつに、遷延性意識障害があります。

遷延(せんえん)とは、長引くという意味で、医療用語として使われることが多い言葉です。

そうしたことから、遷延性意識障害とは、被害者の方の意識が回復しないまま、長期間にわたって昏睡状態が続くものをいいます。

被害者ご自身が自発的に活動できないために、植物状態と表現されることも多いので、この言葉でご存知の方もいらっしゃるでしょう。

遷延性意識障害では、つねに介護をする必要がありますし、同時に加害者側の任意保険会社との示談交渉を進めていかなければいけません。

重い後遺障害の場合、慰謝料などの損害賠償金が高額になるため、示談交渉は難航することが多くあります。

そのため、最終的には裁判に発展する可能性が高く、ご家族は二重の苦しみを背負わなければいけないこともあるのです。

では、ご家族の負担を少しでも軽減できる方法はないのでしょうか?

また、ご家族には次のようなさまざまな疑問や不安があると思います。

☑後遺障害等級は何のためにあるのか?
☑後遺障害等級は、どのように認定されるのか?
☑正しい後遺障害等級は、どうやって確認すればいい?
☑慰謝料などの損害賠償金は、いくら受け取ることができるのか?
☑保険会社が提示してきた金額は本当に正しいのだろうか?
☑示談交渉は、どのように進めていけばいいのか?
☑弁護士に相談・依頼すると、どのようなメリットがあるのか?

そこで今回は、交通事故の被害で遷延性意識障害を負った場合、ご家族が知っておくべきこと、また慰謝料等の損害賠償請求などで必要な手続きと、その注意ポイントなどについて解説していきたいと思います。

 

交通事故発生から損害賠償金の受け取りまでの流れと手続き

交通事故が発生してから示談交渉を経て、損害賠償金を受け取るまで、通常は次のような流れで進み、各種の手続きがあります。

後遺障害等級認定や示談交渉など、今後ご家族が行なわなければいけないことはたくさんありますが、まずは全体の流れを把握しておくことが大切です。

 

 

このように、かなりたくさんの手続があり、その都度法律に基づいて適切に行動することが必要です。一度弁護士に相談してみましょう

知っていれば損をしない!後遺障害等級の6つの注意ポイント

交通事故で傷害(ケガ)を負い、後遺症が残った場合、被害者の方は後遺障害等級認定を受ける必要があります。

なぜなら、ご自身の後遺障害等級が決まらなければ、慰謝料などの損害賠償金額が決まりませんし、加害者側の保険会社との示談交渉を進めることもできないからです。

遷延性意識障害では被害者の方が手続きをしていくことはできないので、ご家族がさまざまな手続きを進めていかなければいけませんが、その際に知らないと損をしてしまう注意するべきポイントがあるので解説します。
 

(1)症状固定の診断は主治医が行なうもの

治療を続けていると、主治医から「症状固定」の診断を受けると思います。

残念ながらこれ以上は回復しない、完治しないという段階が症状固定となるので、この時点で治療は終了し、被害者の方には後遺症が残ってしまうことになります。

注意するべきポイントは、主治医からの診断の前に加害者側の保険会社が、「これ以上の治療費は支払えませんので、このあたりで症状固定にしてください」などと言ってくる場合があることです。

保険会社としては、少しでも支払いを減らしたくてこんなことを言ってくるのですから、こういった言葉を真に受けてはいけません。

主治医から症状固定の診断がないなら、まだ治療効果が出ているということですから安心して治療を受けてください。

症状固定は医学的な問題なので、あくまでも医師が行なうものだということを知っておくことが大切です。

なお、治療費などの領収書は、あとで示談交渉を行なう時にまとめて保険会社に請求することができるので必ず保管しておくことも大切です。

ただし、その治療費が払われるかどうかは、医学上、治療の必要性があったかどうかで決まることに注意が必要です。
 

(2)後遺症と後遺障害は何が違うのか?

後遺症というのは、医学的には被害者の方に残った機能障害や運動障害、神経症状などということになります。

それに対し、後遺障害というのは、後遺症に次の要件が認められることで損害賠償請求の対象になるものです。

①交通事故が原因であると医学的に証明されること
②労働能力の低下や喪失が認められること
③その程度が自動車損害賠償保障法(自賠法)で定める後遺障害等級に該当すること

(3)なぜ後遺障害等級は必要なのか?

後遺障害の程度や症状は被害者の方によって違いがあります。

そのため、次のような問題が発生してしまいます。

・一人ひとり個別に計算するには多くの時間と労力が必要となってしまう
・慰謝料を計算する際、一人ひとりが抱えている精神的、肉体的苦痛を正確に数値化するのは不可能

こうした問題を解消し、被害者の方の損害賠償金額を迅速かつ公平に算出するために設定されたのが「後遺障害等級」で、後遺障害がどの等級に該当するかを判断、認定する手続きを正式には自賠責後遺障害等級認定といいます。

後遺障害等級は、もっとも重度の1級から順に14級までが設定されています。

さらに各等級には号数が細かく設定されていますが、これは後遺障害が残った体の部位によって決められます。

 
慰謝料などの損害賠償金額の提示を受けるには後遺障害等級が認定されることが必要ですから、間違った等級が認定されないように十分注意することが大切です。

 

(4)後遺障害等級認定の申請は2つの方法から選ぶ

後遺障害等級認定を申請するには、「被害者請求」「事前認定」という2つの方法があります。

どちらの方法を選択するべきか、という疑問があると思いますが、それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため、どちらがいいとは一概には言えないところがあります。

①被害者請求
被害者ご自身が自賠責保険取り扱い会社に対し、後遺障害等級認定を行なう方法。

示談を行なう前に、まとまったお金を受け取ることができるなどのメリットがあります。

②事前認定
任意保険会社を通して後遺障害等級認定を行なう方法。

提出書類を自分で用意しなくていいので、被害者の方の負担が少ないなどのメリットがあります。

ご家族としては、後遺症の程度や状態、経済状況などを考えながら、選択することになります。

 

(5)後遺障害等級認定の申請で必要な提出書類の注意点

後遺障害等級認定の申請で必要な提出書類には、次のようなものがあります。

「後遺障害等級認定の際に必要な提出書類等」
・支払請求書兼支払指図書
・交通事故発生状況報告書
・交通事故証明書
・診療報酬明細書
・通院交通費明細書
・医師の診断書(死亡の場合は死亡診断書)
・委任状(被害者自身が請求できない場合)
・休業損害証明書
・後遺障害診断書
・レントゲン・MRI等の画像 など

遷延性意識障害のような重度の後遺障害では、等級が1級違っただけでも数百万円から数千万円も損害賠償金が違ってくる場合があります。

ですから、提出書類の記載内容に間違いや不備、不足などがないようにしなければいけません。

しかし、これらの資料を確実に用意し、内容を漏れなくチェックするのは交通事故や後遺障害等級の知識のない被害者の方やご家族には難しい作業でしょう。

また、被害者の方やご家族の問題ではなく、医師の経験不足などために提出書類の不備や不足が起きる場合もあります。

やはり重要なのは、交通事故の後遺障害等級に詳しく、実務経験のある医師に書類作成をお願いしたうえで、交通事故に強い弁護士に書類のチェックを依頼することだと思います。
 

(6)等級に不満がある場合は異議申立をすることができる

じつは、被害者の方が後遺症の症状を感じていても、そのすべてが後遺障害と認められるわけではありませんし、場合によっては本来よりも低い後遺障害等級が認定されてしまうケースもあります。

このような時は「異議申立」をすること検討しましょう。

後遺障害等級認定は、自賠責保険取り扱い会社や任意保険会社から「損害保険料率算出機構」(損保料率機構)に書類などを送付し、この機関が手続きを行なっていますが、異議申立も損保料率機構に対して申請します。

その際、重要なのは法的、医学的な根拠です。

正しい後遺障害等級の認定を受けるには、たとえば次のような書類等を再提出する必要があります。

・医師によって自覚症状欄や他覚所見、運動障害などが漏れなく記載された「後遺障害診断書」
・レントゲン画像では確認できなかった箇所が詳しくわかるようなCT画像やMRI画像

ただ単に、クレームのように「認定された等級に納得できない」、「等級を上げてほしい」と言っても認めてはもらえません。

やはり異議申立においても、交通事故に強い弁護士や医師に依頼することを検討するべきだと思います。

 

遷延性意識障害が認められるための7つの要件

遷延性意識障害が認められるには、日本脳神経外科学会の定義により、医学的に次のすべての要件を満たす必要があります。

①自力での移動が不可能
②自力での摂食(食事や飲物の摂取)が不可能
③糞尿が失禁状態である
④眼球で物の動きを追うことはあっても、それが何であるか確認できない
⑤「手を握って」、「口を開けて」などの簡単な指示には応じることはあっても、それ以上の意思疎通が不可能
⑥声を出すことはできても、意味のある発言が不可能
⑦以上の状態が3ヵ月以上継続している

遷延性意識障害を負った被害者の方はこうした症状であるため、つねにご家族などからの介護が必要になります。

遷延性意識障害の慰謝料は高額になり少し間違うと大変なことになってしまいます。必ず弁護士に相談するようにしましょう


遷延性意識障害と脳死は違う

遷延性意識障害を発症するのは、交通事故で頭部に外傷を受け、脳挫傷(脳組織の挫滅)や、びまん性軸索損傷(回転性の外力による神経線維の断裂)により脳が広範囲にわたって損傷を受けることが原因です。

ところで、脳死状態と遷延性意識障害が混同されることがありますが、これらは同じではありません。

たとえば、遷延性意識障害では自発呼吸や睡眠・覚醒サイクルはありますが、脳死の場合はありません。

また、遷延性意識障害の場合は脳死とは違い、回復や改善する可能性があります。

こうした事実は、今後の損害賠償請求や示談交渉では大きなポイントになってくるので、しっかり認識しておく必要があります。
 

遷延性意識障害の後遺障害等級

遷延性意識障害では、次の自賠責後遺障害等級が認定されます。

【自賠法別表第1】 後遺障害等級第1級

介護を要する後遺障害 保険金
(共済金)
1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、
  常に介護を要するもの
2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、
  常に介護を要するもの
4000万円

 

後遺障害等級1級1号は、遷延性意識障害の他にも高次脳機能障害や脊髄損傷など脳や神経に深刻なダメージを受けたことで、生命を維持するにはつねに介護が必要な状態の場合に認定されます。

自賠責保険金額は最大で4000万円、労働能力喪失率は100%になります。

 

遷延性意識障害の認定で必要な資料等について

遷延性意識障害の認定は、次の資料などに基づいて判断されます。

「高次CT画像」
「MRI画像」
「医師作成の後遺障害診断書」
「頭部外傷後の意識障害についての所見」
「脳外傷による精神症状等についての具体的な所見」

など

被害者の方のご家族は、これらの資料を用意していくことになります。

 

みらい総合法律事務所の慰謝料増額解決事例集

交通事故の示談交渉や裁判は、どのように行なわれるのでしょうか。

その一端を被害者の方やご家族にも知っていただくために、ここでは遷延性意識障害の後遺障害で、みらい総合法律事務所が増額解決した事例についてご紹介します。

ぜひ、ご自身の状況と照らし合わせながら参考にしていただければと思います。
 

みらい総合法律事務所の増額事例①:70歳男性の慰謝料等が約2450万円増額

70歳の男性が横断歩道を歩行中、自動車にはねられて脳挫傷などの傷害(ケガ)を負った交通事故です。

治療をしましたが、そのかいなく被害者男性には遷延性意識障害の後遺症が残ってしまい、寝たきり状態で生涯にわたる介護が必要となってしまいました。

加害者側の保険会社は、慰謝料などの損害賠償金として約4500万円を提示。

この金額に疑問を感じた被害者の親族の方が弁護士の見解を聞くため、みらい総合法律事務所の無料相談を利用したところ、「まだ増額可能」との意見を得たことで、示談交渉のすべてを依頼しました。

保険会社との交渉では折り合いがつかなかったため、弁護士が提訴。

裁判では、弁護士が将来介護費用を立証したことで、最終的には6950万円で解決することができました。

当初提示額から約2450万円増額したことになります。
 

みらい総合法律事務所の増額事例②:74歳女性が裁判で約3500万円の増額を獲得

交通事故の被害で脳挫傷などを負った74歳女性の事例です。

ケガの状態が重く、遷延性意識障害のために被害者女性には自賠責後遺障害等級1級1号が認定され、加害者側の保険会社は慰謝料などの損害賠償金として約5560万円を提示してきました。

そこで、被害者女性のご家族は弁護士に相談したほうがよいと考え、みらい総合法律事務所の無料相談を利用。

今後の示談交渉の進め方と、まだ増額可能である旨のアドバイスを得たことで、すべてを依頼することを決意されました。

弁護士が保険会社との交渉にあたりましたが、後遺障害慰謝料や逸失利益の基礎収入、将来介護費用などで合意に至らなかったため、解決の場は裁判に持ち込まれました。

裁判でも同様の項目が争点となりましたが、最終的には弁護士の主張が認められ、約3500万円増額の9000万円での解決となりました。

 

遷延性意識障害の介護に関わる損害賠償項目とは?

遷延性意識障害のために介護が必要になった場合には、慰謝料などの損害賠償金額は1億円、2億円を超えることもあります。

被害者の方とご家族が損害賠償請求することができる項目には次のものがあります。
 

①将来介護費

重度の後遺障害が残り、他人の介護を受けなければ生活できない場合に認められる費用。

将来介護費は次の計算式で算出します。

「将来介護費 = 基準となる額 × 生存可能期間に対するライプニッツ係数」

基準となる額については、職業付添人の場合は実費全額、近親者付添人の場合は1日につき8000円が目安とされています。

しかし、この金額はあくまでも目安であるため、具体的な症状や介護状況によって金額が増減する場合があることは覚えておいてください。

なお、適正な損害賠償額は最終的には弁護士による立証で決まってきます。

生存可能期間は、原則として平均余命年数にしたがいます。

ライプニッツ係数は、現時点のお金の価値と将来のお金の価値が違うことから、その差を調整するための数値です。
 

②将来雑費

重度後遺障害者の介護のために消費される物品の費用。

手袋や紙おむつ、タオル、防水シート、カテーテルなどが該当します。

将来雑費の算出は、次の計算式を用います。

「将来雑費 = 雑費の年額 × 生存可能期間に対するライプニッツ係数」

なお、仮に裁判になった場合、立証のためには領収書が必要になってきます。

ご家族は領収書などを確実に保存しておくことが大切です。
 

③装具・器具等購入費

後遺障害者が日常生活を送るために必要となる物品の費用。

介護支援ベッドなどが該当します。
 

④成年後見開始の審判手続き費用

被害者ご本人が正常な判断ができなくなってしまった場合は、本人に代わって裁判追行等の手続きを行なわなければいけません。

その際、法定代理人を選任する必要がありますが、成年後見人を選任するためにかかる費用も損害賠償請求することができます。

なお、審判手続きにかかる費用は、必要かつ相当な範囲で損害として認められています。
 

⑤その他の項目

上記の費用以外にも、次の項目などを損害賠償請求できます。

・治療費
・入院付添費(被害者が入院している間に付き添うことに対する費用)
・入院雑費(入院することによって発生する日用品や軽食などの費用)
・損害賠償請求関係費用(診断書、成年後見開始の審判手続き費用など)
・傷害慰謝料
・後遺障害慰謝料
・逸失利益(後遺障害がなければ得られたはずの収入など)
 

成年後見制度とは?

判断能力が低下してしまった場合、不動産や預貯金の管理、遺産相続、裁判などでは自分で判断するのが難しくなってしまいます。

そうした人を保護し、支援するのが「成年後見制度」です。

交通事故で頭部に重傷を負い、遷延性意識障害(植物状態)になってしまった場合、被害者の方は物事を判断したり、話をしたりして意思表示をすることができなくなってしまうので、民法第7条の「精神上の障害により、事理を弁識する能力を欠く常況にある者」にあたると考えられます。

「民法」
第7条(後見開始の審判)
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。

この場合、被害者ご自身では加害者に対する損害賠償請求ができないため、被害者の配偶者や4親等内の親族等が家庭裁判所に後見開始の審判を申し立て、成年後見人に選任してもらうことが必要です。

成年後見人に選任された場合、成年後見人は被害者に代理して法律行為を行なうことができるので、成年後見人や、成年後見人から依頼された弁護士等が加害者に対して損害賠償請求をすることになります。

ただし、実際には被害者の方が遷延性意識障害(植物状態)になってしまっても、配偶者や親族が後見開始の審判の申立てをしないまま、本人の代わりに加害者側と交渉する場合も多くあります。

交渉によって示談が成立し、加害者が問題なく賠償金を支払ってくれれば、事実上解決となるので、後見開始の申立てを行なっていなくても問題ありません。

しかし、加害者との交渉がうまくいかず、調停や裁判を行ないたい場合には、事前に後見開始の審判を申し立てておかないと、調停や裁判を起こすことができないので注意が必要です。
 

成年後見開始の審判の手続きについて

①後見開始の審判の申立は誰ができるのか?
被害者の方の配偶者や4親等内の親族(被害者の両親、祖父母、子供、孫、兄弟姉妹、甥姪、従妹等)であれば申立てができます。

②どこに必要書類と費用を提出するのか?
被害者ご本人の住所地(住民登録をしている場所)を管轄する家庭裁判所に必要書類と費用を提出して申立を行ないます。

③審判までの期間は?
申立後、概ね1~2ヵ月くらいで審判となります。

④申立費用は?
収入印紙800円と3000円程度の郵便切手が必要です。

さらに、家庭裁判所から精神科医に医学的な鑑定を求めることが必要で、この鑑定費用が10万円から50万円程度と高額になります。

なお、成年後見の申立費用と鑑定費用は、損害賠償の請求をするために必要な費用なので、後で加害者に請求することができます。

遷延性意識障害の損害賠償請求で注意するべき3つのポイント

①裁判に発展することが多いことを知っておくべき

成年後見人が選任されたら、成年後見人が示談交渉を行なうことになりますが、遷延性意識障害(植物状態)の場合、逸失利益や将来介護費用の請求など、示談金額はかなりの高額になります。

そのような場合、加害者側の任意保険会社は適正な金額より低い金額を提示してくることが多いので、交渉による示談では解決がつかず、裁判に持ち込まれることが多く見られます。

なお、裁判になった場合は弁護士に依頼すると慰謝料などが増額して適正な金額になる可能性が高いのですが、その理由については後ほど詳しくお話します 。

遷延性意識障害では、双方の金額に大きな隔たりが生じることが多く、裁判になることが多いです。そうであれば、早いうちに弁護士に相談し、備えておきましょう


②成年後見の申立はすぐに行なうべき

遷延性意識障害の患者は感染症にかかりやすいという事情から、平均余命までの生存が困難な場合があります。

もし、被害者の方が亡くなってしまったなら、死亡した後の将来介護費や将来雑費を加害者側の保険会社に請求できなくなってしまいます。

そのため、被害者のご家族は早急に成年後見申立の手続きを行なうとともに、裁判の提起を前提に速やかに証拠収集を進める必要があります。
 

③保険会社に生存可能期間を制限させてはいけない

遷延性意識障害の示談交渉で裁判にまで発展する理由のひとつに、加害者側の保険会社が被害者の方の生存可能期間を短く主張してくるという問題があります。

前述のように、確かに遷延性意識障害の患者の場合、感染症にかかって死亡してしまう、というケースもあります。

しかしながら、現代では医療の進歩により延命が可能になったことや、平均余命が短くなるといった統計データや資料等に明らかな根拠が認められていないこと、感染症にかかるかどうか不明であるのに賠償金を減額するのは不当なこと、などの理由から、裁判になった場合、現在では通常の平均余命までの生存可能期間が用いられることが一般的になっています。

ですから、加害者側の保険会社が生存可能期間を短くしようとしてきた場合は、しっかり反論材料を用意して、断固として保険会社の言い分を認めてはいけないのです。
 

遷延性意識障害(植物状態)の介護と裁判での立証について

遷延性意識障害(植物状態)の被害者の方は意識がないため、生命活動を維持するための行為については介護が必要になります。

介護の内容としては、数時間ごとの痰の吸引、床ずれ防止のための体位変換、定期的なおむつの交換、食事、入浴、更衣などがあります。

痰の吸引は、昼も夜もなく365日24時間体制で行なわなければいけません。

体位変換や入浴は、1人の介護者が行なうには困難なほど体力が必要なものです。

また、さまざまな感染症の予防にも配慮しなければいけません。

植物状態の被害者の方を自宅介護している近親者は、毎晩熟睡できないなど大変な日々を送っているのが現実です。

損害賠償で裁判になった場合は、介護の状況を立証するために、医師や介護に携わっている人の意見書や報告書なども裁判で提出します。

また、現在ではビデオ機器の性能が向上して誰でも動画を撮影することができるので、被害者の方の様子をビデオ撮影して、その動画を提出することもあります。
 

保険会社が生存可能期間を制限してきた場合の対応

植物状態の被害者の生存可能期間が損害賠償請求で大きな問題になることがあります。

通常の後遺障害の場合、平均余命にしたがって、将来介護費や将来雑費を算出しますが、植物状態などの重い後遺障害を負った被害者の方の場合は、感染症にかかりやすいなどの理由から通常よりも生存可能期間が短いとされ、保険会社が平均余命年数未満の生存可能期間を主張してくる可能性があります。

しかし、平均余命が短いとした統計資料は未だに貧弱であること、また現代医療の進歩により延命が可能になったことなどから、現在の損害賠償の実務では平均余命までの生存可能期間を用いることが一般的です。

示談交渉では、加害者側の保険会社は生存可能期間を限定した過去の判例を引用しながら将来介護費や逸失利益などの減額を迫ってくることがありますが、これに屈してはいけません。

被害者側としては、平均余命いっぱいの生存可能期間をしっかりと主張することが大切です。

このような場合、被害者側の請求金額と加害者側の保険会社が提示してくる金額には著しい差があることが一般的ですが、この金額の差は交渉を重ねても埋まることはほとんどありません。

ですから、仮にこのような状況になってしまった場合は、すぐに成年後見人を選任して、証拠資料を収集し収取し、法的手続きを取る必要があります。

ただし、こうした手続きは専門家でなければ難しいものですから、将来介護費について問題になった場合は弁護士に相談することをおすすめします。

このような法律紛争になると、素人では交渉が難しくなってきます。弁護士に相談するようにしましょう



 

交通事故に関わる3つの慰謝料の存在

被害者の方が加害者側に請求できる慰謝料には「傷害慰謝料」、「後遺障害慰謝料」、「死亡慰謝料」の3つがあります。

慰謝料には過去の裁判例などから決まっている基準と大体の相場があります。

たとえば、後遺障害慰謝料の相場金額は次のようになっています。

「裁判基準による後遺障害慰謝料の相場金額」

後遺障害等級 慰謝料
1級 2800万円
2級 2370万円
3級 1990万円
4級 1670万円
5級 1400万円
6級 1180万円
7級 1000万円
8級 830万円
9級 690万円
10級 550万円
11級 420万円
12級 290万円
13級 180万円
14級 110万円

 

すでに加害者側の保険会社から示談金の提示を受けている場合は、内訳に記載されている後遺障害慰謝料の金額を見てください。

遺障害等級1級の後遺障害慰謝料の相場金額は2800万円ですから、これより低い金額が記載されているなら、「低すぎる」と考えていいと思います。

それは、加害者側の保険会社の理屈と都合で提示されたものだということです。

 

弁護士が示談交渉に入ると慰謝料等が増額するのはなぜなのか?

みらい総合法律事務所の慰謝料増額事例集からもおわかりいただけるように、弁護士が示談交渉に入ると慰謝料などの損害賠償金額が増額する可能性が高くなります。

もちろん、それには理由があります。
 

(1)慰謝料などの算出には3つの基準が使われる

被害者の方やご家族はご存知ないかもしれませんが、じつは慰謝料などの損害賠償金の計算には次の3つの基準が使われています。

①自賠責基準
自賠責保険に基づく基準で、3つの基準の中ではもっとも低い金額になります。

②任意保険基準
各任意保険会社が、それぞれ独自に設定している内部基準です。

③弁護士(裁判)基準
これまでの実際の交通事故の裁判例から導き出された損害賠償金の基準で、裁判をした場合に認められうる基準です。

3つの基準の中では、もっとも高額になります。

当然、これらのどの基準を用いるかで保険会社からの提示額が変わってきます。
 

(2)民間の保険会社は利益を追求する営利法人

自賠責保険は対人保険制度であり、すべての運転者が加入する義務がある強制保険ですが任意保険は民間の保険会社が運営するものです。

自動車の所有者やドライバーは、自賠責保険金だけでは被害者への損害賠償金がすべて賄えない事態に備えて任意保険に加入します。

ここで理解していただきたいのは、民間の保険会社は営利法人であり、その経営目的は利益の追求だということです。

利益を上げるためには収入を増やし、支出を減らす必要があります。

被害者の方へ支払う保険金(損害賠償金)は支出ですから、これを少しでも減らすために保険会社は自賠責基準か任意保険基準で計算した低い金額の損害賠償金を提示してくるのです。
 

(3)弁護士はもっとも高額な弁護士(裁判)基準を主張する

被害者の方とご家族に知っていただきたい大切なこと、それは本来、手にするべきなのは弁護士(裁判)基準で計算した損害賠償金額だということ。

そして、弁護士が加害者側の保険会社と示談交渉する際は、この基準で計算した金額を主張していくということです。

仮に示談が決裂した場合、弁護士は提訴して裁判に持ち込みますが、この弁護士(裁判)基準には法的根拠があるので、裁判で認められる可能性が高くなるのです。

以上が、弁護士が示談交渉に入ると慰謝料などの損害賠償金が増額する可能性が高くなる主な理由です。

 

【関連動画】
交通事故の慰謝料は弁護士に依頼をすると、なぜ増額することが多いか?

 

弁護士に相談・依頼すると3つのメリットがある

遷延性意識障害のような重大な後遺障害を負った被害者の方とご家族が避けなければいけないこと、それは慰謝料などの損害賠償金でさらに損害を被ってしまうことです。

そのための有効な手段として、弁護士に相談・依頼することを検討していただきたいと思います。

示談金額が妥当かどうかを判断するのは素人では難しいので、少なくともその点は弁護士に相談すべきです。

そして、弁護士に依頼すると、
煩わしい示談交渉から解放される
自分で交渉するより、大幅に増額して解決することが期待できる
法律的に正しい解決ができる
などのメリットがあります。

ぜひ検討していただきたいと思います。

 

もっとも頼りになるのは交通事故に強い弁護士

ところで、弁護士を選ぶ際に気をつけていただきたいことがあります。

それは、弁護士であれば誰でもいいわけではないということです。

では、弁護士を選ぶ時に一番大切なことは何でしょうか?

それは、交通事故に強い、後遺障害等級認定や示談交渉に強い弁護士に相談・依頼することです。

弁護士の仕事にはさまざまな業務があり、医師などと同じようにそれぞれ専門分野や得意分野があります。

ですから、交通事故が専門外の弁護士に頼んでしまうと、被害者の方とご家族が望む結果が得られないどころか、逆にマイナスになってしまう場合もあることを知っておく必要があります。

通常、交通事故に強い、頼りになる弁護士には次のような特徴があります。

・交通事故に関する法律知識は当然持っている
・後遺障害等級認定システムや損害保険の詳しい知識を持っている
・傷害(ケガ)や後遺障害などに関する医学的知見も兼ね備えている
・交通事故の法的な実務経験が豊富である

法律事務所のサイトを見るだけで判断せず、実際に会って、面談で遠慮なく質問などをして、ご自身で確認してみることも大切でしょう。

 

弁護士に相談するタイミングはいつがいいのか?

損害賠償金について、ご家族がその金額を計算することができればよいのですが、通常はそうした経験や知識がないため難しいと思います。

そのため、加害者側の任意保険会社から提示された金額について示談交渉を進めていくことになります。

しかし、前述したように保険会社は本来の金額よりも低い金額を提示してくる場合がほとんどです。

ですから、遷延性意識障害のように介護が必要な場合は症状固定の後すぐにご相談いただくか、遅くとも示談金額の提示があった時点で弁護士に相談することをおすすめしています。

交通事故に強い弁護士であれば、慰謝料や逸失利益、過失割合などの正確な金額を算出することができます。

 

弁護士費用は本当に高額なのか?

被害者の方とご家族の中には、「弁護士に依頼すると費用が高いのではないか」、「弁護士とのつき合いもなかったし、依頼となると気が引ける」という方もいらっしゃると思います。

では、弁護士費用は多くの方が思っているように高額なのでしょうか?

実際の弁護士費用の仕組みや相場をご存知でしょうか?

詳しくは、こちらのページを参考にしてください。

今までの「常識」が「思い込み」だったことに気づかされることでしょう。

 

自動計算機で自分の慰謝料等を計算してみましょう!

みらい総合法律事務所では、簡単に慰謝料などの損害賠償金額を計算することができる自動計算機をWEB上にご用意しています。

もちろん、どなたでもすぐにお使いになれますので、ぜひご活用ください。

 

みらい総合法律事務所では、交通事故問題の専門家集団として、さまざまな後遺症と死亡事故の事案に特化して専門性を高めています。

それは、交通事故に強い弁護士でなければ執筆できない次のような重傷事案に関する専門書も出版していることからも、おわかりいただけると思います。

「交通事故訴訟における脊髄損傷と損害賠償実務」(ぎょうせい)
「交通事故訴訟における高次脳機能障害と損害賠償実務」(ぎょうせい)

なお、みらい総合法律事務所では無料相談を随時受け付けています。

交通事故に強い、経験豊富な弁護士たちがお話を伺い、適切なアドバイスを致しますので、まずは無料で相談をしてみて、納得のいく回答が得られたり、信用できる弁護士だと感じられたら正式に依頼されるとよいと思います。

交通事故の後遺障害等級認定や示談交渉などでお困りの方は、ぜひ一度、みらい総合法律事務所にご相談ください。