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後遺障害等級の認定が遅れる理由と知っておきたい対処法

最終更新日 2021年 08月30日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

後遺障害等級認定の認定が遅れる理由と知っておきたい対処法


【動画解説】交通事故で正しい後遺障害等級を得られる人、得られない人の違い

交通事故で後遺症が残ってしまった被害者の方は、慰謝料などの損害賠償金(示談金)を受けとるために、ご自身の後遺障害等級認定を受ける必要があります。

申請から1か月が経ち、2か月が経過して…まだ認定の通知が届かない…
こんな時、被害者の方としては、やきもきしたり、不安になってくるでしょう。

では、そもそも…
☑後遺障害等級認定までにはどのくらいの期間がかかるものなのでしょうか?
☑何か月が過ぎたら「遅い!」といえるのでしょうか?
☑その場合、どのように対処すればいいのでしょうか?

本記事では、被害者の方の後遺障害等級認定について、申請から認定までの期間、認定が遅すぎるときの対処法、正しい後遺障害等級を受けるために大切なことなどについてお話します。

これから、交通事故の後遺障害等級認定について解説していきますが、その前に、交通事故解決までの全プロセスを説明した無料小冊子をダウンロードしておきましょう。

後遺障害等級が認定されるまでにかかる期間は?

ご自身の後遺障害等級はいつ認定されるのか……気になるところでしょう。

じつは、後遺症が残った場合、約90%の事案が2か月(60日)以内で等級認定の調査が終了しています。

<損害調査の所要日数>

損保料率機構が公表している「自動車保険の概況 2020年度(2019年度統計)」から、後遺障害等級の調査日数のデータを見てみます。

「後遺障害」
・30日以内:75.9%
・31日~60日:12.4%
・61日~90日:6.1%
・90日以上:5.6%

「傷害(ケガ)」
・30日以内:98.6%
・31日~60日:1.0%
・61日~90日:0.3%
・90日以上:0.1%

「死亡」
・30日以内:79.8%
・31日~60日:11.2%
・61日~90日:3.8%
・90日以上:5.3%

参考:
(自賠責損害調査事務所における損害調査所要日<2019年度> P.37から抜粋)

※上記の数字は、後遺障害等級が何級に該当するかの調査日数です。
たとえば、調査日数が1か月なら、実際に等級が決定して認定結果の通知が書面で届くまでに1か月で、計2か月と考えておくといいでしょう。

※重度の後遺症の場合(高次脳機能障害、脊髄損傷など)は、調査に時間がかかる傾向があり、半年(6か月)以上かかる場合もあります。

むち打ち症などでは等級認定の目安は申請から約2か月

このことから考えると、たとえば、むち打ち症や骨折などによる痛みやしびれといった、神経症状が比較的軽度な後遺症の場合は、後遺障害等級の申請から約2か月が認定の目安と考えられます。

つまり、第1段階の判断として、後遺障害等級を申請してから2か月経っても認定通知が届かないなら、それは「遅い」と判断していいでしょう。

後遺障害等級について知っておくべき4つのポイント


ここでは、後遺障害等級について被害者の方が知っておきたい知識やポイントについてまとめてみました。

Q1:そもそも後遺障害等級とは何?なぜ必要?

A1:交通事故で負ったケガの治療を続けていると、ある時点で医師から「症状固定」の診断を受けることがあります。

症状固定というのは、これ以上治療を続けても完治しないという状態ですから、被害者の方には後遺症が残ってしまうことになります。

後遺症が残った場合、被害者の方は、ご自身の後遺症と一生つき合っていかなければいけないのですから、その損害に対して加害者から補償を受け取る必要がありますし、その権利があります。

そこで、慰謝料などの損害賠償金(示談金とも保険金ともいいます)を請求できるのですが、加害者が任意保険に加入している場合、請求相手はその保険会社となります。

保険会社は、被害者の方の慰謝料や逸失利益などの損害項目の金額を算出する際、後遺障害等級をもとに計算していきます。

そこで、後遺障害等級が必要になってくるのです。

Q2:後遺症と後遺障害等級は何が違う?

A2:後遺症というのは、被害者の方に次のような症状が残ったものをいいます。

☑機能障害

高次脳機能障害による認知や行動の障害、視力や聴力、言語能力の低下や喪失など、本来の機能に障害が残ったもの。

☑運動障害

手・足・指・上肢・下肢などの麻痺や関節の可動域制限など運動機能に障害が残ったもの。

☑神経症状

しびれや痛みなどのつらい症状があるもの。

そして、これらの後遺症に次にあげる要件が認められることで損害賠償請求の対象になるものが後遺障害になります。

☑交通事故が原因であると医学的に証明されること
☑労働能力の低下や喪失が認められること
☑その程度が自動車損害賠償保障法(自賠法)で定める後遺障害等級に該当すること

Q3:後遺障害等級にはどんな種類がある?

A3:後遺障害等級は、もっとも重度の1級から順に14級までが設定されています。

また、後遺障害のある体の部位別に、それぞれ号数が決められています。

【参考情報】
国土交通省「自賠責後遺障害等級表」

たとえば、交通事故による後遺症でもっとも多いもののひとつである「むち打ち症」(頸椎捻挫や腰椎捻挫)の場合は、症状の違いによって、12級13号か14級9号が認定されるのですが、その違いは、

・局部に頑固な神経症状を残すもの(12級13号)
・局部に神経症状を残すもの(14級9号)

というように、「頑固な」症状かどうかがポイントになります。
これは、専門家でないと判断は難しいですね。

このように、後遺障害等級の認定は法的な知識だけでなく、医学的な知識も必要なため簡単ではないのです。

【参考記事】
後遺障害等級認定の申請方法と慰謝料を弁護士が解説

Q4:後遺障害等級が認定されるメリットは?

A4:後遺障害慰謝料や逸失利益などを受け取ることができ、損害賠償金額が大きく増額します。

被害者の方がケガの治療のために一定期間、入通院した場合には、次のような項目について損害賠償金を受け取ることができます。

■入通院した場合に受け取ることができる損害賠償項目例
①治療費
②付添看護費
③入院雑費
④交通費
⑤装具・器具等購入費
⑥入通院慰謝料
⑦休業損害 など

また、後遺障害等級が認定された場合は、さらに次の項目についても損害賠償金を受け取ることができます。

■後遺障害等級が認定された場合に受け取ることができる損害賠償項目
①将来介護費
②家屋・自動車等の改造費
③逸失利益
④後遺障害慰謝料 など

じつは慰謝料は1つではなく、4つの種類があります。
①入通院慰謝料(傷害慰謝料)
②後遺障害慰謝料
③死亡慰謝料
④近親者慰謝料

ケガの治療のために入通院した場合、被害者の方は入通院慰謝料や休業損害(仕事を休まざるを得なくなったことによる損害)を受け取ることができます

ところが、後遺障害等級が認定されると入通院慰謝料や休業損害を受け取ることができなくなりますが、代わりに後遺障害慰謝料や逸失利益(後遺障害を負ったことで働くことができなくなり失った利益・収入)を受け取ることができます。

そして、後遺障害慰謝料は入通院慰謝料より、逸失利益は休業損害より金額が大きくアップするのです。

【参考記事】
後遺障害等級認定の申請方法と慰謝料を弁護士が解説

後遺障害等級の申請方法は?

後遺障害等級認定を受けるには申請をする必要があり、次の2つの方法があります。

それぞれにメリットとデメリットがあるので、ご自身の置かれている立場や状況などによって選択されるのがいいでしょう。

「被害者請求」

被害者ご自身が直接、加害者が加入している自賠責保険会社に後遺障害等級申請し、同時に損害賠償請求する方法です。

「事前認定」

加害者が加入している任意保険会社を通して請求する方法です。

任意保険会社が、被害者の方との示談の前に、事前に、後遺障害等級認定を確認しておく手続のため、事前認定といいます。

なお、事前認定は、任意保険会社の「一括払制度」を前提としています。

これは、自賠責保険分と任意保険分の保険金(損害賠償金)を、任意保険会社が一括して、まとめて被害者の方に支払い、あとから自賠責保険に対して自賠責保険分を請求して回収することができる制度です。

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後遺障害等級認定が遅れる理由と対処法


では、後遺障害等級の認定が遅れる、時間がかかっているのには、どのような原因が考えられるでしょうか。

①加害者側の任意保険会社の手続きが遅い
②損害保険料率算出機構での調査が遅れている
③申請書類や資料に不備・不足がある

☑事前認定で後遺障害等級の認定申請をした場合、加害者側の保険会社では担当者が必要書類を用意し、それを損害保険料率算出機構(損保料率機構)に提出するという手続きを取ります。

担当者が多くの仕事を抱えている、力量不足などさまざまな理由によって手続きが遅れている場合が考えられます。

そのような場合、保険会社のお客様相談センターに問い合わせてみる、あるいは後遺障害等級認定について依頼した弁護士から働きかけてもらうなどするといいでしょう。

☑また、そうした事態を根本的に解決するには、前述した「被害者請求」で申請するのもひとつの方法です。

なぜなら、加害者側の任意保険会社を通す必要がなくなりますし、提出種類やデータを被害者ご自身が把握、管理することができるからです

☑なお、提出書類に不備・不足があった場合、再提出などの手続きで時間がかかってしまうことがありますし、何よりも正しい後遺障害等級が認定されない、等級自体が認定されないということが起きる場合があります。

☑ですから、法的な問題も含めて、後遺障害等級に詳しい、交通事故に強い弁護士に相談・依頼してしまうのも懸命な判断だといえます。

☑弁護士に依頼すると、被害者の方は次のようなメリットを受け取ることができます。

・後遺障害等級認定の申請を代行してもらえる
・認定された後遺障害等級が正しいかどうかの判断ができる
・等級に不服があれば異議申立の手続きを行なってもらえる

☑さらに、その後の示談交渉でも次のようなメリットがあります。

・慰謝料などの損害賠償金額(示談金)が正しいかどうかの判断ができる
・難しい保険会社との示談交渉を代行してもらえる
・煩わしい保険会社との示談交渉から解放される
・最終的に受け取る損害賠償金が適切に増額する可能性が高い

一度、弁護士に相談・依頼することを検討してみるのもいいでしょう。

等級に納得いかないなら異議申立することもできる


後遺障害等級が認定されたものの、「この等級は低いのではないか?」「等級が低すぎて納得がいかない!」「等級自体が認定されなかった…なぜ?」ということがあります。

そうした時には、「異議申立」をすることを検討しましょう。

通常、異議申立の結果が出るまでには2~4か月かかると考えておくといいでしょう。

ただし、異議申立では、損保料率機構に対して、新たな認定結果がでるような医学的所見や、画像などの医学的データ等を提出する必要があります。

これらの書類やデータを用意するのは難しい判断も必要なため、一度、弁護士に相談してみることをおすすめします。

なお、異議申立は何度でもできます。

あきらめる前に、こちらの記事を参考にしていただければと思います。

【参考記事】
後遺障害等級認定とは?認定の仕組みと異議申立のポイント