高次脳機能障害とは?後遺障害等級と慰謝料増額の解決事例を解説
慰謝料獲得法
この記事を読むとわかること
この記事では、交通事故による「高次脳機能障害」で後遺症が残った場合の後遺障害等級認定や慰謝料等の損害賠償金などについて弁護士が専門的見地から、包括的かつ網羅的に解説していきます。
みらい総合法律事務所が実際に解決したオリジナルの増額事例も紹介します。
みらい総合法律事務所では、「交通事故訴訟における高次脳機能障害と損害賠償実務」(ぎょうせい)という専門書籍を出版しており、これまで多くの高次脳機能障害事案を解決してきました。
そうした経験を踏まえて、お話していきます。
きっと、お役に立つ知識があるはずです。
具体的には、この記事を読むことで次のことがわかります。
- 慰謝料が大幅に増額して解決した実際の事例
- 高次脳機能障害の後遺障害等級
- 後遺障害等級認定の仕組み
- 後遺障害等級の認定基準
- 後遺障害等級が間違っていた時の対処法
- 交通事故の示談交渉における素人と弁護士の違い
- 交通事故の示談金が増額する理由
- 高次脳機能障害で弁護士に依頼すると、どの程度増額するのか?
- 弁護士の正しい探し方
ぜひ、最後まで読んでください。
目次
- 1 この記事を読むとわかること
- 2 みらい総合法律事務所の実際の解決事例
- 3 交通事故発生から損害賠償金受け取りまでの流れと手続き
- 4 交通事故で被害者が知らないと損をする7つのポイント
- 5 高次脳機能障害とは?
- 6 高次脳機能障害の症状について
- 7 高次脳機能障害の判断ポイント
- 8 高次脳機能障害には6段階の後遺障害等級がある
- 9 みらい総合法律事務所の慰謝料増額解決事例集
- 10 介護にかかわる5つの損害賠償項目とは?
- 11 交通事故に関わる3つの慰謝料とは?
- 12 示談や裁判で必要な成年後見制度とは?
- 13 成年後見の申立における注意点
- 14 裁判では介護の実態を立証する必要がある
- 15 なぜ保険会社は低い金額の慰謝料を提示してくるのか?
- 16 弁護士が示談交渉に入ると損害賠償金が増額する理由
- 17 交通事故で弁護士に相談・依頼するメリットとは?
- 18 高次脳機能障害における弁護士の選び方とは?
- 19 慰謝料等を計算できる「自動計算機」を活用してください!
交通事故で被害者の方が頭部に重大なケガをした場合、高次脳機能障害という後遺障害を負ってしまうことがあります。
高次脳機能とは、高レベルの脳の働きのことです。
人間は、過去の物事を記憶し、その記憶をもとに判断を下し、物事に注意を向けます。
また、人によってさまざまな人格がありますが、こうした行動や人格などを高いレベルで作り出しているのが本来、人間が持っている脳の機能です。
こうした機能が失われた状態を高次脳機能障害といいます。
高次脳機能障害を負ってしまうと、記憶力や集中力が著しく低下したり、感情のコントロールができなくなってしまうために、以前とは別人のように人格そのものが大きく変わってしまうことがあります。
また、後遺障害が重篤な場合は、介護なしでは食事や入浴などの日常の生活ができなくなってしまいます。
高次脳機能障害を負ってしまった場合、その前後では生活も人生も大きく変わってしまうのです。
被害者の方とご家族にとっては、精神的な苦痛や肉体的な損害だけでなく、健康な頃のように働くことができなくなるために収入の問題が起きてきますし、今後、将来にわたって介護が必要になった場合は、その介護費用をどうするのかという問題も起きてきます。
さらに今後、被害者の方とご家族は後遺障害等級の認定や慰謝料等の損害賠償金の示談交渉など、さまざまな手続きを行なっていかなければいけません。
これらの結果によっては、受け取ることができる示談金(損害賠償金)の金額に大きな違いが出てくるため、とても重要な手続きになってきます。
これから、交通事故の高次脳機能障害について解説していきますが、その前に、交通事故解決までの全プロセスを説明した無料小冊子をダウンロードしておきましょう。
みらい総合法律事務所の実際の解決事例
まずは、私たちが依頼を受けて実際に解決したオリジナルの解決事例をご紹介します。
「解決事例①:21歳女性の慰謝料など損害賠償金が約2200万円増額!」
21歳の女子学生が青信号の丁字路交差点を自転車で走行中、信号無視のトラックに衝突された交通事故。
被害者女性は脳挫傷などの傷害(ケガ)を負い、後遺症が残ってしまったため自賠責後遺障害等級認定を申請したところ、高次脳機能障害で7級4号、味覚障害で14級相当、併合で7級が認められました。
加害者側の保険会社は慰謝料などの損害賠償金として約3870万円を提示。
この金額が適切なものか判断できなかった被害者の方が、みらい総合法律事務所の無料相談を利用したところ、弁護士から「この金額では低すぎる」との意見があったことから、示談交渉のすべてを依頼されました。
弁護士と保険会社の交渉では逸失利益が争点となりましたが、最終的には約2200万円増額の約6070万円で解決できた事例です。
交通事故の慰謝料は弁護士に依頼をすると、なぜ増額することが多いか?
このように、弁護士に依頼すると、大幅に増額するケースがあります。
増額可能かどうか判定しますので、ぜひ一度ご相談ください。
高次脳機能障害の場合、示談金額の提示前でも結構です。
弁護士が示談交渉に入ると慰謝料などの損害賠償金が増額する確率が高くなるのですが、それはなぜなのでしょうか?
また、被害者の方とご家族にとっては次のようなさまざまな疑問や不安があると思います。
- 後遺障害等級とは何なのか?
- 後遺障害等級は、どのように認定されるのか?
- 自分の後遺障害等級は正しく認定されているのか? 確認方法は?
- 自分の慰謝料などの損害賠償金は、いくらくらいになるのか?
- 保険会社が提示してきた金額は本当に正しいのだろうか?
- 弁護士に相談・依頼すると、どのようなメリットがあるのか?
今回は、私たちが実際に増額解決した事例を交えながら、高次脳機能障害の後遺障害等級の種類から、介護が必要な場合に請求できる損害賠償項目、損害賠償請求での注意ポイントなどについてお答えしていきたいと思います。
交通事故発生から損害賠償金受け取りまでの流れと手続き
通常、交通事故発生から損害賠償金の受け取りまでの流れと手続きは次のようになります。
交通事故で被害者が知らないと損をする7つのポイント
交通事故で傷害(ケガ)を負った場合、被害者の方とご家族が知らないと損をしてしまうことがあります。
その際の注意ポイントなどについてお話していきます。
(1)交通事故の発生直後にやるべきこと
交通事故の発生直後、被害者の方は加害者の身元の確認や警察の実況見分調書の作成に協力するなど、やるべきことがあります。
警察への通報をしない、病院に行かないという被害者の方もいますが、後になってから体調が悪化することもありますし、警察に通報しないと交通事故として処理されないので、交通事故証明書などが作成されず、事故を特定するのも難しくなるなど不都合なことが起きてきますので、十分注意してください。
(2)症状固定の診断で治療が終了する
病院への入通院で治療を続けていると、主治医からこんなことを言われる場合があります。
「そろそろ症状固定としましょう」
症状固定とは、残念ながらこれ以上は回復しない、完治しないという状態ですから治療は終了し、これ以降、被害者の方には後遺症が残ってしまうことになります。
ここで注意が必要なのは、主治医からの診断の前に加害者側の保険会社が、「これ以上の治療費は支払えないので、このあたりで症状固定にしてください」などと言ってくる場合です。
こうした言葉を、うかつに信じないようにしてください。
被害者の方への治療費の支払いは保険会社にとってはマイナスの支出ですから、少しでも支払いを減らしたくてこんなことを言ってくるのです。
あくまでも症状固定は医学的な問題なので、医師が行なうものです。
主治医から症状固定の診断がないのであれば、まだ治療効果が出ているということですから安心して治療を継続してください。
もう1点、大切なことですが、治療費などの領収書があれば必ず保管しておいてください。
あとで示談交渉を行なう時に、まとめて保険会社に請求することができるからです。
ただし、その治療費が払われるかどうかは、医学上、治療の必要性があったかどうかで決まります。
(3)後遺症と後遺障害の違いについて
医学的に、被害者の方に残った機能障害や運動障害、神経症状などを「後遺症」といいます。
たとえば、視力や聴力が低下したり、失ったりした場合は機能障害、手足に麻痺が残ったり、関節の可動域が制限されるような場合は運動障害、障害を負った場所に痛みやしびれなどが残った場合は神経症状の後遺症となります。
そして「後遺障害」というのは、これらの後遺症に次の要件が認められることで損害賠償請求の対象になるものです。
①交通事故が原因であると医学的に証明(等級によっては推定)されること
②労働能力の低下や喪失が類型的に認められること
③その程度が自動車損害賠償保障法(自賠法)で定める後遺障害等級に該当すること
(4)後遺障害等級は何のためにあるのか?
後遺障害の程度や症状は被害者の方によって違いがあります。
しかし、一人ひとり個別に計算するには多くの時間と労力が必要となってしまいます。
また、慰謝料とは被害者の方が抱える苦痛を慰謝するためのものですが、この金額を計算して決定する際、一人ひとりが抱えている精神的、肉体的苦痛を正確に数値化することは不可能でしょう。
そこで、被害者の方への損害賠償金額を迅速かつ公平に算出するために設定されたのが後遺障害等級です。
なお、被害者の方一人ひとりの後遺障害がどの等級に該当するかを判断、認定する手続きを自賠責後遺障害等級認定といいます。
後遺障害等級は、もっとも障害の重い1級から順に14級までが設定されており、さらに後遺障害の残った体の部位によって細かく号数が設定されています。
後遺障害等級が認定されることで慰謝料などの損害賠償金額が計算され、決定するため、被害者の方にとっては非常に大切なものです。
間違った等級が認定されないように十分注意する必要があります。
「後遺障害等級認定で交通事故の被害者がやってはいけない7つのこと」
(5)後遺障害等級認定の申請方法は2種類ある
後遺障害等級認定には、「被害者請求」と「事前認定」という2種類の申請方法があります。
「被害者請求」
被害者自身が自賠責保険取り扱い会社に対し、後遺障害等級認定を行なう方法。
示談を行なう前に、自賠責保険からまとまった金額を受け取ることができるなどのメリットがある。
「事前認定」
加害者側の任意保険会社を通して後遺障害等級認定を行なう方法。
提出書類は保険会社が用意してくれるので、被害者自身が集めるという負担がなくなるなどのメリットがある。
害者の方としては、どちらの方法を選択するべきか悩むところかもしれませんが、それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため、どちらがいいとは一概には言えません。
ご自身の経済状況や後遺症の程度、状態などを考え合わせながら、選択するのがよいでしょう。
後遺障害が認定されるケースでは慰謝料も高額になるので、弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。
(6)後遺障害等級認定の申請では提出書類の不備に注意
後遺障害等級認定の申請の際には、次のような書類や資料を提出する必要があります。
「後遺障害等級認定の際に必要な提出書類等」
・支払請求書兼支払指図書
・交通事故発生状況報告書
・交通事故証明書
・診療報酬明細書
・通院交通費明細書
・医師の診断書(死亡の場合は死亡診断書)
・委任状(被害者自身が請求できない場合)
・休業損害証明書
・後遺障害診断書
・レントゲン・MRI等の画像 など
書類の記載内容に間違いや不備、不足があった場合、正しい後遺障害等級が認定されなくなり、被害者の方が本来であれば受け取ることができるはずの慰謝料などで損をしてしまう可能性があります。
特に、高次脳機能障害のような重度の後遺障害が残る場合は、等級が1級違っただけでも数百万円から数千万円も損害賠償金が違ってくる場合があるので注意が必要です。
ただ、これらの資料を確実に用意し、チェックしていくのは、交通事故や後遺障害等級の知識のない被害者の方には難しい作業ですから、交通事故に強い弁護士に書類のチェックを依頼することも検討するといいでしょう。
また、交通事故の後遺障害等級認定システムに詳しくない医師の場合、書類の内容に不備ができてしまう可能性がありますので、実務経験のある医師にお願いすることも大切です。
(7)等級に不満がある場合は異議申立をするべき!
被害者の方が後遺症の症状を感じていても、そのすべてが後遺障害と認められるわけではありません。
また、本来よりも低い後遺障害等級が認定されてしまうケースがありますが、こうした場合は「異議申立」をすることができます。
後遺障害等級認定は、自賠責保険取り扱い会社や任意保険会社から「損害保険料率算出機構」(損保料率機構)に書類などを送付し、この機関が手続きを行なっています。
異議申立も損保料率機構に対して申請するのですが、その際に必要なのは法的、医学的な根拠です。
正しい後遺障害等級の認定を受けるには、医師によって自覚症状欄や他覚所見、運動障害などが漏れなく記載された「後遺障害診断書」や、レントゲン画像では確認できなかった箇所が詳しくわかるようなCT画像やMRI画像など、さまざまな書類や資料を提出し直す必要がありますが、これらに法的、医学的に適切な根拠がなければなりません。
そのために必要なのは、やはり交通事故に強い弁護士や医師に依頼することだと思います。
異議申立は、後遺障害等級認定システムを熟知し、かつ、医学的知識が必要です。交通事故に精通した弁護士に相談しながら進めましょう。
高次脳機能障害とは?
人間らしい思考や言動は、人間の脳が複雑で高度な知能を持っているためにできることです。
ところが、交通事故などによって外部からの衝撃により脳に損傷を受けてしまうと、通常の生活や仕事ができない状態になってしまうことがあります。
こうした後遺障害が高次脳機能障害です。
じつは、高次脳機能障害が認められるようになったのは比較的近年のことです。
以前は、脳の障害というのは交通事故による頭部外傷によって脳の損傷がMRI画像などで確認できるもの、とされてきました。
しかし、交通事故で意識障害を起こした後、回復した被害者の方にMRI画像などで明確な脳の損傷が確認できないにもかかわらず、記憶力や集中力の低下、性格が暴力的になったり無気力になるなどの症状がみられ、仕事に復帰できなくなる、日常生活でも支障をきたす、というケースが多く見られるようになってきたのです。
そして、こうした症状は脳の表面ではなく、内部の深い部分に損傷を受けてしまったためだとわかってきたのです。
たとえば、「びまん性軸索損傷」というのは交通事故で脳全体が強く揺さぶられることで脳の内部にある神経軸索が広範囲にわたって切れてしまうことによって生じます。
MRI画像では神経軸索に損傷があるかどうかは直接写らないため、医師でも見落としたり、被害者本人や家族も気づかなかったりすることがあるのですが、後になって、記憶力や認知力の障害や人格の変化などの高次脳機能障害特有の後遺症が現れてくる場合があるのです。
なお、高次脳機能障害は、びまん性軸索損傷だけではなく脳挫傷や頭蓋内血腫などでも起きるものです。
高次脳機能障害の症状について
高次脳機能障害の症状には、主に次のような「認知障害」と「人格変化」があります。
「認知障害」
・記憶力の低下(すぐに物を忘れてしまうようになった)
・集中力の低下(同じ作業を継続することができなくなった)
・判断力の低下(自分で判断できず人の指図が必要になった)
・頼まれたことができなくなった
・簡単な計算ができなくなった
・文章などを理解することができなくなった
・会話で適切な言葉が出てこなくなった
・繰り返し同じことばかり言うようになった
・相手の言葉が理解できずコミュニケーションがとれなくなった
「人格変化」
・攻撃的になり、怒りっぽく、すぐにキレるようになった
・暴言を吐いたり、暴力をふるうようになった
・感情がころころ変わるようになった
・よくしゃべるようになった
・嫉妬や被害妄想が激しくなった
・言動が子供っぽくなった
・無気力で、やる気がなくなった
症状は被害者の方によってさまざまですが、以前の仕事を辞めなければいけない、対人関係が悪化する、介護や付き添えが必要になる、ということが起きてくる場合もあります。
高次脳機能障害の判断ポイント
後遺障害等級認定において、被害者の方に高次脳機能障害の疑いがある場合、調査事務所は「頭部外傷後の意識障害についての所見」や「脳外傷による精神症状等についての具体的な所見」という書類を医療機関に送付し、被害者の関係者には「日常生活状況報告表」を送付します。
これらの書類が返送され、審査の結果、被害者の方に高次脳機能障害の疑いが生じた場合、損保料率機構本部審査会、または地区本部審査会の「高次脳機能障害専門部会」が審査を担当することになります。
高次脳機能障害が後遺障害として認められ、後遺障害等級が認定されるための判断ポイントは次の4つです。
(1)頭部外傷による意識障害の有無とその程度
意識障害とは、意識を失っていたり、意識が朦朧としている状態のことをいいます。
交通事故後に意識障害があったかどうか、意識障害の程度はどのくらいかによって、高次脳機能障害である可能性を判断します。
意識障害について検査するのは、臨床上、脳外傷による高次脳機能障害は頭部外傷による意識障害の後に出現しやすい、ということに基づいているからです。
交通事故で頭部に打撲などがなくても、回転性の力が加わることで脳が激しく揺れて、神経細胞の繊維が広範囲に断裂して機能を失ってしまう場合があります。
これを、びまん性脳損傷(びまん性軸索損傷)といいます。
一次性びまん性脳損傷の場合は、交通事故直後に意識障害が発生しますが、二次性びまん性脳損傷の場合は、交通事故後しばらくしてから意識障害が発生します。
なお、意識障害については次の2つの判定があります。
・「昏睡~半昏睡で、刺激による開眼をしない程度の意識障害」か、「健忘症~軽症意識障害」かの判定
・意識障害が何時間、あるいは何日間続いたのかという期間の判定
(2)急性期の脳内出血が画像で確認できるか
高次脳機能障害ではMRIなどの画像で脳の損傷を確認しにくいのですが、たとえば、びまん性軸索損傷の場合は、軸索が損傷した部分に点状の出血が起きる、脳室内出血やくも膜下出血が起きる、ということがあるため、そうした出血の有無はMRI画像で確認できる場合があります。
急性期において脳内出血が確認される場合は、次の2点が判定基準となります。
・相当程度の軸索損傷が発生していると推定されること
・くも膜下血腫が認められる場合は、びまん性軸索損傷が推定されること
(3)脳室拡大、脳萎縮が画像で確認できるか
高次脳機能障害では、傷害を負ってから3ヵ月ほどで脳室拡大・脳萎縮が固定し、その後はあまり変化しないと考えられています。
そのため、この3ヵ月のうちで脳室拡大や脳萎縮がCTやMRI画像で確認できるかどうかもポイントになります。
また、時間の経過にともなう画像の比較が必要になるので、一定期間ごとに画像を撮影しておくことも大切です。
なお、治療の過程で被害者の方にこれらの事情があった場合には高次脳機能障害を疑い、高次脳機能検査を受けておく必要があります。
(4)その後の症状の経過はどうか
高次脳機能障害では、急性期の症状は急速に回復し、その後は時間の経過とともにゆるやかに回復する傾向にあります。
そのため、事故後1年程度は経過観察をしますが、1年以上が経過した時点で認知障害や人格変化などの症状が出ているのであれば、症状固定として後遺障害等級認定の申請をするのが望ましいでしょう。
高次脳機能障害は外からはわかりにくく、MRI画像などでも判断しにくいため、「隠れた障害」ともいわれます。
非常に専門的な知識や判断が必要になるので、早い段階で専門医の診断、検査を受けたほうがいいでしょう。
また、ご家族は、被害者の方を日常的に観察し、記録をつけておくなどの対応も必要になってきます。
【参考記事】東京都医師会 「高次脳機能障害について」
高次脳機能障害には6段階の後遺障害等級がある
「自動車損害賠償保障法施行令」により、高次脳機能障害はその程度に応じて、次のように6段階の後遺障害等級が認められています。
後遺障害等級1級1号(別表第1)
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの。
もっとも重い後遺障害等級である1級1号に認定されるのは、次の2つの場合があります。
① 重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要するもの
② 高次脳機能障害による高度の痴呆や情意の荒廃があるために、常時監視を要するもの
後遺障害等級2級1号(別表第1)
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの。
2級1号に認定されるのは、次の3つの場合があります。
① 重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に随時介護を要するもの
② 高次脳機能障害による痴呆、情意の障害、幻覚、妄想、頻回の発作性意識障害等のため、随時監視を必要とするもの
③ 重篤な高次脳機能障害のため、自宅内の日常生活動作は一応できるが、1人で外出することなどが困難であり、外出の際には他人の介護を必要とするため、随時他人の介護を必要とするもの
後遺障害等級3級3号(別表第2)
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの。
日常生活での動作を行なうことができ、自宅周辺を1人で外出できるものの、次のうちひとつ以上に該当し、一般就労できない場合です。
① 職場で他の人と意思疎通を図ることがまったくできない
② 課題を与えられても手順通りに仕事を進めることができず、働くことができない
③ 作業に取り組んでも、その作業への集中を持続することができず、すぐにその作業を投げ出してしまい、働くことができない
④ たいした理由もなく突然、感情を爆発させ、職場で働くことができない
後遺障害等級5級2号(別表第2)
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの。
次のうち、ひとつ以上の能力の大部分が失われているか、ひとつ以上の能力の半分程度が失われていることにより、単純繰り返し作業などの軽易な労働しかできず、頻繁な助言等が必要となる場合です。
① 職場で他の人と意思疎通を図る能力
② 課題を与えられて、手順通りに仕事を進める能力
③ 作業に集中する能力
④ 感情をコントロールする能力
後遺障害等級7級4号(別表第2)
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの。
一般就労は維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどの理由から、一般人とは同等の作業ができず、時々、助言などが必要となる状態です。
後遺障害等級9級10号(別表第2)
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの。
一般就労は維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業維持力などに問題があるため、たまに助言などが必要となる状態です。
【参考記事】損害保険料率算出機構 「脳外傷による高次脳機能障害の後遺障害認定」
みらい総合法律事務所の慰謝料増額解決事例集
ここでは、高次脳機能障害で、私たちが依頼を受けて実際に増額解決したオリジナルの事例についてご紹介します。
交通事故の被害者の方から依頼を受け、示談交渉や裁判を経て、実際に慰謝料などの損害賠償金で増額を勝ち取ったものばかりです。
交通事故の示談交渉や裁判がどのように行なわれるのか、経験したことがなければわからない世界だと思います。
ぜひ、ご自身の状況と照らし合わせながら参考にしてください。
慰謝料増額事例①:19歳男性の慰謝料等が1億3500万円で解決
19歳の男性が、友人が運転するバイクの後部座席に乗車中、向かい側から右折してきた自動車と衝突した交通事故。
被害者男性は脳挫傷などの傷害(ケガ)を負い、高次脳機能障害の後遺症が残ったため、自賠責後遺障害等級3級3号が認定されました。
重傷でもあり、加害者の刑事事件に被害者参加することを希望していたことから、被害者男性は自分一人での示談解決は困難だと感じ、みらい総合法律事務所の無料相談を利用し、そのまますべてを依頼しました。
刑事事件への被害者参加の後、弁護士と加害者側の保険会社との示談交渉が開始。
将来介護費などが争点となりましたが、最終的には裁判に進まず合意に達し、1億3500万円で示談解決したものです。
慰謝料増額事例②:後遺障害等級7級の28歳男性が慰謝料など4400万円獲得
トラック運転手の28歳男性の交通事故です。
自動車を運転して交差点に進入したところ右折車に衝突され、被害者男性は脳挫傷などのために高次脳機能障害を負い、自賠責後遺障害等級7級4号が認定されました。
加害者側の保険会社は慰謝料などの損害賠償金として約2130万円を提示。
この金額が適切なものか判断がつかなかったため、みらい総合法律事務所の無料相談を利用したところ、弁護士の回答は「増額可能」というものだったので、被害者男性は示談交渉のすべてを依頼されました。
弁護士と保険会社の交渉の結果、示談金は当初提示額から約2300万円増額し、4400万円で解決した事例です。
慰謝料増額事例③:5歳男児が7級で約1540万円の増額
5歳男児が道路を横断していたところに直進車が衝突してきた交通事故です。
被害者男児は外傷性くも膜下出血、重傷頭部外傷、頭蓋骨骨折などの傷害を負い、治療のかいなく高次脳機能障害の後遺症が残ったことで、自賠責後遺障害7級4号が認定されました。
加害者側の保険会社は、慰謝料などの損害賠償金として約2120万円を提示しましたが、被害者男児のご両親がみらい総合法律事務所の無料相談を利用したところ、「増額可能」とのアドバイスを弁護士から受けたことで示談交渉のすべてを依頼することを決意されました。
弁護士が示談交渉したところ、最終的に保険会社が約3660万円を提示したことで合意。
当初提示額から約1540万円増額することができたものです。
慰謝料増額事例④:21歳女性が7級で約1650万円の増額!
21歳の女子大学生が友人のバイクに同乗中、自動車に衝突されて転倒し、脳挫傷などの傷害を負った交通事故。
治療をしましたが、残念ながら被害者女性には後遺症が残り、自賠責後遺障害等級は高次脳機能障害で7級4号、嗅覚障害で14級相当の併合7級が認定されました。
加害者側の保険会社は慰謝料などの損害賠償金として約2800万円を提示。
この金額に疑問を感じた被害者女性が、みらい総合法律事務所の無料相談を利用したところ、弁護士の見解は「まだ増額可能」というものだったことから、示談交渉を依頼することにしました。
弁護士と保険会社の示談交渉の結果、最終的に約1650万円増額の約4450万円で解決した事例です。
このように、示談交渉を弁護士に依頼することで、慰謝料などが大きく増額することがあります。
高次脳機能障害で後遺障害等級認定を受けた場合には、ぜひ一度ご相談ください。
介護にかかわる5つの損害賠償項目とは?
交通事故の被害者の方が加害者側の保険会社に損害賠償請求できる項目には、治療費や入通院費、慰謝料や逸失利益など、さまざまなものがありますが、高次脳機能障害のように重度の後遺症が残った場合は将来の介護が必要になる可能性があります。
ここでは、介護が必要になった場合、被害者の方とご家族が損害賠償請求することができる項目について解説します。
(1)将来介護費
重度の後遺障害が残り、他人の介護を受けなければ生活できない場合に認められる費用です。
将来介護費は、次の計算式で算出します。
将来介護費 = 基準となる額 × 生存可能期間に対するライプニッツ係数
基準となる額は、職業付添人の場合は実費全額、近親者付添人の場合は1日につき8000円が目安とされています。
なお、この額は目安であるため、具体的な事情によっては増減することがあります。
生存可能期間は、原則として平均余命年数に従います。
ライプニッツ係数とは、現時点のお金の価値と将来のお金の価値が違うことから、その差を調整するための数値です。
一般的に、植物状態などの重い後遺障害を負った被害者の方は感染症にかかりやすいなどの理由から、通常よりも生存可能期間が短いとされます。
そのため、平均余命年数未満の生存可能期間を用いた判例もありますが、実務では平均余命までの生存期間を用いることのほうが多数です。
示談交渉で、加害者側の任意保険会社が短い期間を主張してきた場合、被害者側は平均余命いっぱいの生存可能期間をしっかりと主張するべきです。
ただし、これらは専門家でなければ難しい部分なので、弁護士に相談することをおすすめします。
(2)将来雑費
紙おむつやタオル、手袋、カテーテル、防水シートなど重度後遺障害者の介護のために消費される物品の費用です。
将来雑費は、次の計算式で算出します。
将来雑費 = 雑費の年額 × 生存可能期間に対するライプニッツ係数
なお、訴訟になった場合、立証のために領収書が必要になるので、しっかり保存しておくことが大切です。
(3)装具・器具等購入費
義手、義足、歩行補助器具、車椅子、メガネ、盲導犬費用、介護支援ベッド、介護用浴槽など後遺障害者が日常生活を送るために必要となる物品の費用です。
(4)家屋・自動車等改造費
浴室やトイレ、出入口など自宅の改造費や自動車改造費など、後遺障害者が日常生活を送るために必要となる費用です。
(5)補助・保佐・成年後見開始の審判手続き費用
被害者本人が正常な判断ができなくなってしまった場合は、本人に代わって訴訟追行等の手続きを行なうため、法定代理人を選任する必要があります。
その際に成年後見人や保佐人、または補助人を選任するためにかかる費用も損害賠償請求することができます。
これらの審判手続きにかかる費用は、必要かつ相当な範囲で損害として認められています。
交通事故に関わる3つの慰謝料とは?
交通事故の被害にあった場合、加害者側に請求できる慰謝料には「傷害慰謝料」、「後遺障害慰謝料」、「死亡慰謝料」の3つがあります。
慰謝料には過去の裁判例などから決まっている基準と大体の相場があり、たとえば後遺障害慰謝料の相場金額は次のようになっています。
「裁判基準による後遺障害慰謝料の相場金額」
後遺障害等級 | 慰謝料 |
---|---|
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
加害者側の保険会社から示談金の提示をすでに受けているなら、内訳に記載されている後遺障害慰謝料の金額を見てみてください。
たとえば、後遺障害等級2級の後遺障害慰謝料の相場金額は2370万円です。
これより低い金額が記載されているなら、それは加害者側の保険会社の理屈と都合で提示されたものですから「低すぎる」と考えていいでしょう。
示談や裁判で必要な成年後見制度とは?
後遺障害等級が認定されると、被害者の方は加害者側の保険会社と示談交渉をしていくことになります。
しかし、高次脳機能障害で後遺障害等級1~3級が認定された時は、被害者の方に示談を締結する判断能力が欠けている場合があります。
そうなると、被害者ご自身が示談や裁判の当事者になることができなくなってしまいます。
こうした場合、原則として家庭裁判所に成年後見開始の審判手続きを行なう必要があります。
その結果、選任された成年後見人が本人に代わって示談や訴訟を行なうことになります。
成年後見制度は、被害者本人の判断能力の程度によって次のように区分されます。
・後見(本人の判断能力がまったくない場合)
・保佐(本人の判断能力が特に不十分な場合)
・補助(本人の判断能力が不十分な場合)
「成年後見」
成年後見とは、1人で日常生活を送ることができないなど、本人の判断能力がまったくない場合になされるものです。
後見開始の審判とともに、本人(成年被後見人)を援助する人として成年後見人が選任されます。
成年後見人は、本人を代理して示談や訴訟を行ないます。
「保佐」
保佐とは、本人の判断能力は失われていないものの、特に不十分な場合になされるものです。
保佐開始の審判とともに、本人(被保佐人)を援助する人として保佐人が選任されます。
保佐開始の審判を受けた本人は、一定の重要な行為、たとえば金銭の賃借、不動産および自動車などの売買、自宅の増改築などを保佐人の同意なしに単独で行なうことができなくなります。
交通事故の損害賠償については、保佐人に代理権が与えられる場合もありますが、本人の同意が必要です。
「補助」
補助とは、本人の判断能力が不十分な場合になされるものです。
補助開始の審判とともに、本人(被補助人)を援助する人として補助人が選任されます。
補助人は、本人が望む一定の事項について同意、取消、代理をすることで本人を援助していきます。
交通事故の損害賠償では、補助人に代理権が付与されることがありますが、本人の同意が必要です。
成年後見の申立における注意点
高次脳機能障害では、「後見」、「保佐」、「補助」のうちどの申立をすればいいのかわからない場合があります。
その際は、主治医の意見を参考にして、とりあえず近い類型の申立をすることになります。
裁判所から、「類型が異なる」という指摘を受ける場合がありますが、その際は申立をやり直す必要はなく、「申立の趣旨」の変更手続きを取ることになります。
これらの手続きには主治医の鑑定書が必要になるので、事前に主治医に協力を依頼しておくとスムーズに進みます。
その際の費用は別途、「交通事故による損害金」として請求することが認められています。
なお自賠責保険では、「問題が生じた場合には一切の責任を負う」という内容の念書を提出したうえで、成年後見人ではない者、通常は親族が保険金を受け取ることができる場合があります。
それは、つねに成年後見手続きが必要とすると、手続きに長い期間がかかるため、それでは被害者保護に欠ける場合があるからです。
成年後見制度については、次の裁判所ホームページの解説も参考にしてください。
【参考記事】裁判所 「成年後見制度」
裁判では介護の実態を立証する必要がある
高次脳機能障害を負った被害者の方には、損傷した脳の部位によってさまざまな症状が現れます。
体を自由に動かすことはできても、話す、聞く、読む、書くといったことができなくなる人がいます。
一方、話はできても、ボタンをかけたり手袋をはめたりすることができなくなる、人の顔を認識できなくなる、同じ話を何度もする、自宅でトイレに行くのに迷ってしまう、つねにボーっとしている、突然怒りだす、お金をあるだけ使ってしまう、といった症状が出る人もいるため幅広い介護が必要になります。
常時介護は必要なくても、つねに監視をしていなければいけない場合もあります。
高次脳機能障害のそれぞれの症状に応じて介護の内容も変わってくるため、損害賠償で裁判になった場合は具体的な介護の実態を立証しなければいけません。
立証する場合、医師や介護に携わっている人の意見書や報告書なども裁判で提出しますが、さらに具体的な介護状況を立証する必要がある場合には、現在ではビデオ機器の性能が向上して誰でも動画を撮影することができるので、被害者の様子をビデオ撮影して、その動画を提出したり、写真にするなどして提出する場合もあります。
なぜ保険会社は低い金額の慰謝料を提示してくるのか?
後遺障害等級の申請で、被害者請求をする場合で考えてみます。
この場合、まずは加害者が加入している自賠責保険から保険金が支払われます。
「自賠責保険金額表」
<自賠責法別表第1>
1級 | 4000万円 |
---|---|
2級 | 3000万円 |
<自賠責法別表第2>
1級 | 3000万円 |
---|---|
2級 | 2590万円 |
3級 | 2219万円 |
4級 | 1889万円 |
5級 | 1574万円 |
6級 | 1296万円 |
7級 | 1051万円 |
8級 | 819万円 |
9級 | 616万円 |
10級 | 461万円 |
11級 | 331万円 |
12級 | 224万円 |
13級 | 139万円 |
14級 | 75万円 |
【参考情報】国土交通省 「自賠責保険(共済)の限度額と保障内容」
高次脳機能障害の場合、もっとも重い後遺障害等級は別表第1の第1級です。
自賠責保険金は、最大で4000万円を受け取ることができます。
自賠責保険は人身事故の被害者を救済する目的で設立されたものです。
そのため、最低限の補償となるので、これ以上の金額は支払われません。
しかし、高次脳機能障害の後遺症では治療費や後遺障害慰謝料、将来介護費など、合計の損害賠償金額は億単位になることも珍しくはないため、自賠責保険金だけでは足りない状況が起きてしまいます。
そうした場合、被害者の方は加害者が加入している任意保険会社に損害賠償請求することができます。
通常の場合、高次脳機能障害で後遺障害等級が認定された後、加害者側の任意保険会社は示談金(損害賠償金)を提示してきます。
ここから示談交渉が始まるわけですが、被害者の方がこの金額に納得するなら示談成立となります。
しかし、納得がいかない、不服であるという場合、示談交渉は成立せず、破談すれば解決の場は裁判に移行していくことになります。
ここでは大きな2つの問題が発生します。
(1)なぜ保険会社の提示金額は低いのか?
じつは、保険会社が提示してくる示談金(損害賠償金)は本来、被害者の方が受け取ることができる金額よりも低いのをご存知でしょうか?
なぜかというと、民間の保険会社は営利法人だからです。
営利法人が運営される目的は利益を上げることです。
利益を上げるためには、収入を増やすか、支出となる被害者の方に支払う保険金額を少なくすることが必要です。
そのために保険会社の示談金の提示額は本来よりも低い金額なのです。
(2)低い金額のまま示談してしまう被害者たち
そして、もうひとつの問題は、こうした事実を知らない被害者の方が保険会社の提示額のまま示談を成立させてしまっているケースが多いことです。
被害者の方は後遺症が残ってしまい、精神的にも肉体的にもつらい思いをされているでしょう。
それなのに、本来より低い金額の損害賠償金しか受け取ることができないとすれば、さらなる損害を被ってしまうことになります。
被害者の方としては、こうした事態は避けるべきではないでしょうか。
弁護士が示談交渉に入ると損害賠償金が増額する理由
では、弁護士が示談交渉に入ると慰謝料などの損害賠償金額が増額する可能性が高くなるのは、なぜなのでしょうか?
(1)慰謝料などの算出には3つの基準がある
慰謝料などの損害賠償金の計算には次の3つの基準が使われています。
この事実を知ることが、まずは大切です。
①自賠責基準
自賠責保険に基づく基準。3つの基準の中ではもっとも低い金額になる。
②任意保険基準
各任意保険会社が、それぞれ独自に設定している内部基準。
③弁護士(裁判)基準
これまでの実際の交通事故の裁判例から導き出された損害賠償金の基準。
裁判をした場合に認められうる基準で、3つの基準の中ではもっとも高額になる。
(2)弁護士はもっとも高額な弁護士(裁判)基準で主張する
前述したように、民間の保険会社は営利法人ですから、利益を追求することがその目的です。
そのため、被害者の方に提示してくるのは、自賠責基準か任意保険基準で計算した金額です。
しかし本来、被害者の方が手にするべきなのは弁護士(裁判)基準で計算した金額です。
弁護士が加害者側の保険会社と示談交渉する際は、この基準で計算した金額を主張していきます。
示談が決裂すれば弁護士は提訴して裁判に持ち込みますが、この弁護士(裁判)基準には法的根拠があるので、裁判で認められる可能性が高くなります。
弁護士が示談交渉に入ると慰謝料などの損害賠償金が増額する可能性が高くなるのは、主に以上の理由からです。
このように、弁護士に依頼することによって増額する、というケースは多いので、一度ご相談いただくことをおすすめします。
交通事故で弁護士に相談・依頼するメリットとは?
交通事故で弁護士に相談・依頼すると、被害者の方とご家族には次のようなメリットがあります。
①認定された後遺障害等級が正しいものかどうかの判断できる
②後遺障害等級に不満がある場合は異議申立を正しく行なうことができる
③保険会社との難しく、煩わしい示談交渉から解放される
④慰謝料などの損害賠償金で損をせず、さらには増額する可能性が高まる
これ以上の苦しみを手放すためにも、ぜひ弁護士に相談・依頼することを検討していただきたいと思います。
高次脳機能障害における弁護士の選び方とは?
ただし、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
交通事故と高次脳機能障害に強い弁護士を探しましょう。
じつは、弁護士には医師などと同様に専門分野や得意分野があります。
そのため、交通事故や高次脳機能障害の知識がない弁護士に依頼してしまうと、知識の欠如から十分な立証活動ができず、慰謝料などの損害賠償金で損をしてしまうことがありえます。
特に、高次脳機能障害の慰謝料額は高額になりがちで、重い後遺障害になると、億単位での高額の請求になることもあります。
少しのミスで、大きく損をしてしまうことがあるのです。
弁護士が、すべての法律問題に詳しいわけではありません。
司法試験に高次脳機能障害など医学的知識は不要です。
したがって、弁護士を選ぶ際には、交通事故に精通し、かつ、高次脳機能障害に関する高度の知識を持っている弁護士を探すことをおすすめします。
ここでは、そのような弁護士を探す際のヒントを説明します。
ポイントは、次の2点です。
☑交通事故に強い
☑高次脳機能障害に詳しい
まず、【交通事故に強い】という点では、以下のポイントに注意してみましょう。
- 交通事故に関する専門書を出版しているか
- 報道番組から「交通事故の専門家」として取材を受けているか
- 解決実績は豊富か
- 代表弁護士の経験年数が豊富か
- 交通事故問題に専門特化しているか
交通事故を扱っている法律事務所のページを見る際は、上記の点を確認しましょう。
ちなみに、みらい総合法律事務所には次のような特徴があります。
- 交通事故の専門書を何冊も出版しています。
- ニュース番組などから「交通事故の専門家」として取材を受けています。
- 代表弁護士は25年以上の豊富な経験があります。
- 交通事故の相談を年間1000件以上受けています。
- 死亡事故と後遺障害に特化して、さらに専門性を高めています。
「高次脳機能障害に詳しいか」という点では、なんといっても法律の専門書を出版しているかがポイントになるでしょう。
私たちみらい総合法律事務所は、
「交通事故訴訟における高次脳機能障害と損害賠償実務」(ぎょうせい)
という法律専門書を出版していますが、このような書籍を出版していれば、高次脳機能障害について研究している、ということがわかります。
以上の点に注意して、弁護士を探すようにしましょう。
慰謝料等を計算できる「自動計算機」を活用してください!
みらい総合法律事務所では、どなたでもすぐに使うことができて、簡単に慰謝料などの損害賠償金額を計算することができる「自動計算機」をWEB上にご用意していますので、ぜひ活用してください。
すでに慰謝料などの損害賠償金の提示を受けている方は比較してみてください。
そして、自動計算機で出た金額より低いようであれば、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。
みらい総合法律事務所は、交通事故問題の専門家集団として、つねに専門性を高め、さまざまな後遺症と死亡事故の事案に特化して被害者の方の救済に力を注いでいます。
それは、交通事故に強い弁護士でなければ執筆できない次のような重傷事案に関する専門書も出版していることからも、おわかりいただけると思います。
「交通事故訴訟における脊髄損傷と損害賠償実務」(ぎょうせい)
「交通事故訴訟における高次脳機能障害と損害賠償実務」(ぎょうせい)
みらい総合法律事務所では随時、無料相談を受け付けています。
交通事故に強い、経験豊富な弁護士たちがお話を伺い、適切なアドバイスを致しますので、まずは無料相談を利用してみて、納得のいく回答が得られたり、信用できる弁護士だと感じられたら正式に依頼されるとよいと思います。
交通事故の後遺障害等級認定や示談交渉などでお困りの方は、ぜひ一度、みらい総合法律事務所にご相談ください。