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交通事故でご家族が死亡したときの慰謝料を解説!

最終更新日 2020年 04月30日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

交通事故により大切な家族を亡くした場合、残されたご家族が知っておくべきことについて、慰謝料と保険の関係や請求方法、注意するべきポイントなどを中心に、わかりやすくまとめてみました。

ぜひ参考にしていただきたいと思います。

交通死亡事故の被害にあった時にまずやるべきこととは?

交通事故の被害で家族が死亡した場合、残されたご家族がまずやらなければいけないことは、警察からの「聞き取り調査」への協力です。

警察や検察は、刑事手続きのために「実況見分書」を作成します。その際、現場検証や加害者への取り調べなどを行ない、被害者のご家族にも聞き取り調査を行なうのです。

聞き取り調査では、ご家族として生前の被害者の様子やご家族の無念さ、加害者に対する処罰感情などについての思いを率直にお話しするのがいいでしょう。

捜査が終了すると、検察官が加害者を起訴するかどうかを決定します。起訴された場合は、刑事裁判が行なわれ、加害者の量刑が確定します。

交通死亡事故の加害者には3つの責任が発生します。
「刑事責任」、「民事責任」、「行政責任」です。

「刑事責任」とは、自動車運転死傷行為処罰法や道路交通法などの法律により加害者が罰金刑、懲役刑、禁錮刑などの刑罰に処せられることです。

「民事責任」とは、被害者に与えた損害を賠償する責任です。今後、慰謝料などの示談交渉に関わってきます。

「行政責任」とは、加害者が免許の取り消しや免許停止などの行政処分を受けることです。

交通死亡事故に関わる慰謝料とは?

慰謝料とは、「精神的な苦痛を被ったことに対する損害賠償金」です。ちなみに交通事故の慰謝料には、「傷害慰謝料」、「後遺症慰謝料」、「死亡慰謝料」の3つがあります。

「死亡慰謝料」は、被害者が死亡したことにより被った精神的損害を慰謝するためのもので、被害者の立場や置かれている状況などによって金額が異なってきます。

・一家の支柱の場合  2800万円
・母親・配偶者の場合 2500万円
・その他の方の場合  2000万~2500万円

慰謝料と損害賠償金は同じものだと思っている方もいますが、じつは慰謝料というのはご家族が受け取ることができる損害賠償金の一部です。

つまり、受け取ることができる金額のトータルを損害賠償金といいます。

交通死亡事故の場合に被害者のご家族が保険会社に請求して受け取ることができる損害賠償金の項目には、大きく分けると次のものがあります。

①葬儀関係費
②死亡逸失利益(生きていれば得られたはずの収入など)
③慰謝料(被害者の慰謝料、近親者の慰謝料など)
④弁護士費用(裁判をした場合)

自賠責保険と任意保険の関係とは?

自動車に関係する保険には、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)と任意保険があります。

自動車やバイクを使用する際、すべての運転者は強制的に自賠責保険に加入しなければいけません。加入が義務付けられているため「強制保険」と呼ばれることもあります。

自賠責保険は、交通事故のうち、人身事故の被害者を救済するために作られた保険であるため、自損事故による自身のケガや物損事故には適用されません。

人身事故の被害を受けて、ケガや死亡をした場合にのみ保険金などが支払われます。

任意保険は、ドライバーや自動車の所有者などが任意で加入する保険です。各損害保険会社が、さまざまな内容の保険を扱っています。

自賠責保険で補償される損害賠償金額は法律によって定められており、被害者が死亡した場合は上限3000万円です。

自賠責保険から支払われる金額は被害者に対する最低限の補償であるため、ご家族としては自賠責保険からの保険金では足りない部分の損害賠償金がある場合に加害者側の任意保険会社に請求することになります。

加害者側の任意保険会社から提示された金額で合意に至らない場合、ご家族は示談交渉を進めていくことになります。

慰謝料の請求方法と注意点とは?

交通死亡事故の損害賠償金を被害者のご家族が受け取る方法には次の2種類があります。

①被害者請求:まず先に自賠責保険に請求して一部を受領し、その後に任意保険会社と示談交渉する。
②事前認定:自賠責保険金額を含めた全額を任意保険会社と示談交渉する。

ここで被害者のご家族が注意しなければいけないのは、刑事裁判で量刑が確定する前に自賠責保険へ申請をして慰謝料などの保険金を受け取ってしまうと、加害者の量刑が軽くなってしまうことです。

これは加害者側の任意保険会社との示談交渉の時も同様です。通常、四十九日が終わった頃に任意保険会社から保険金の提示が行なわれますが、すぐに示談を成立させてしまうと、加害者の弁護人は「被害弁償が行なわれて、ご遺族の精神的損害が回復した」と主張してきます。

その結果、加害者の量刑が軽くなってしまうのです。

そのため、加害者の刑事事件が進行している間、死亡事故被害者のご家族は自賠責保険に被害者請求したり、任意保険会社と示談交渉を始めるのを控える場合が多いのです。

被害者のご家族は、刑事裁判の進行具合を考えながら示談交渉を進めることが大切になってきます。

刑事裁判には「被害者参加制度」があります。これは被害者のご家族が裁判に立ち会い、意見を述べるなどができるものです。希望する場合は検察官に申し出ておきます。

それでも、次のような場合は先に自賠責保険会社に被害者請求したほうがいいでしょう。

①高齢者などで損害賠償金を計算しても自賠責保険の範囲内に収まる場合
②被害者の過失が大きく自賠責保険の方が高額となる場合(過失減額の関係)
③加害者側との交渉の前に一定金額を確保したい場合

損害賠償請求には時効があります。

加害者に対する損害賠償請求の時効は、「損害及び加害者を知った時」(民法724条)から物損については3年、人身損害部分については5年です。

なお、加害者が判明しない場合、事故から20年が経過すると時効となり、損害賠償請求する権利が消滅してしまいます。

交通死亡事故の場合の争点とは?

交通事故で、被害者側に過失がある場合、過失割合に基づいて損害賠償額を減額(過失相殺)されてしまうので注意が必要です。

そのため交通死亡事故の場合、加害者側の任意保険会社との間で過失割合が大きな争点になることが多くあります。

過失割合が10%違っただけで、数百万円から1000万円以上も賠償額が違ってくることがあるため、過失割合が大きい場合、任意保険会社との示談交渉はなかなか成立しない傾向があります。

なお、示談交渉が成立せずに裁判の判決までいく場合には、損害賠償金には事故時から遅延損害金が付加されます。

その割合は、2020年4月1日より前の交通事故の場合は、事故時から年5%の遅延損害金が付加されることになります。

ただし、この遅延損害金は、民法改正により、2020年4月1日以降に発生した交通事故については、年3%の割合で計算し、その後3年毎に率が見直されることとなっています。

つまり、裁判にまで進んだほうが受け取る金額が増える場合があるということです。

一方、自賠責保険では過失割合がある程度高くても(厳密には7割未満の過失までは)、損害賠償金や保険金の減額はなく、満額が支払われます。

ただし、自賠責保険では被害者の過失割合が7割を超えたときは、賠償金や保険額から次の割合が減額されてしまいます。これを「過失減額」といいます。

・被害者の過失が7割以上8割未満 → 2割の減額
・被害者の過失が8割以上9割未満 → 3割の減額
・被害者の過失が9割以上10割未満 → 5割の減額

被害者の過失割合が大きい場合は、任意保険会社から支払われる損害賠償金額が自賠責保険会社から支払われる賠償金額におさまってしまうこともあります。

そうしたケースでは、先に自賠責保険に被害者請求をしたほうがよいという場合もあります。

弁護士に相談したほうがいい理由

交通事故の被害者が死亡した場合の慰謝料には3つの基準があります。

①自賠責基準
②任意保険基準
③裁判基準

「自賠責基準」は、自賠責保険から支払いを受けられる最低基準の金額のため、もっとも低い金額になります。

「任意保険基準」は、任意保険会社がそれぞれに設けている基準ですが、被害者のご家族が本来受け取ることができる金額よりも低く設定されています。

「裁判基準」は、裁判をした場合に見込まれる金額の支払基準で、もっとも高い金額です。これが被害者のご家族が本来受け取ることができる金額になります。

そのため、任意保険会社が提示してきた慰謝料額に納得がいかない場合は、訴訟を提起して裁判を起こすことも検討するべきです。

被害者のご家族が裁判を起こした場合、損害賠償額の10%の弁護士費用が認められるケースが多くあります。

おわりに

以上、交通死亡事故の被害者のご家族がやるべきこと、知っておくべきポイントなどについて解説しました。

しかし、どうでしょう……難しい用語や手続きばかりだと感じられたのではないでしょうか?

精神的苦痛や悲しみを抱えている時に、慰謝料請求や裁判などの手続きや準備を行なうのも大変なことだと思います。

また、示談交渉では相手は保険のプロですから、なかなか被害者側の請求通りには進まないものです。

そんな時は一度、弁護士に相談することを検討していただきたいと思います。

みらい総合法律事務所では無料相談を実施しています。

まずは、弁護士に相談してから、具体的に依頼するかどうかを決めても遅くはありません。

交通事故に詳しい、実績のある弁護士たちが全力でサポートをしていきますので、安心してご相談ください。

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