失ったものを取り戻す!交通事故被害者のための示談のポイント

交通事故の被害にあってしまうと、残念なことですが被害者はさまざまなものを失ってしまいます。

失ってしまったものの中には、もう取り戻せないものがありますが、じつは被害者が取り戻すことができるものもあります。

今回は、交通事故で被害者が失うものと同時に、示談交渉の中で取り戻すことができるものについて解説します。

示談金提示の際に注意するべきポイントとは?

交通事故で後遺症を負ったり、死亡した場合、被害者やそのご遺族は示談交渉をしなければいけません。

相手は、加害者が加入している任意保険会社です。

ここではまず、後遺障害の事案についてお話ししていきます。

後遺症が残った場合、まずはご自身の自賠責後遺障害等級認定の申請をする必要があります。

ここで、ご自身の後遺障害等級が決定したら、示談交渉がスタートします。

示談交渉の詳しい解説はこちら⇒
交通事故の示談の流れを徹底解説

示談金の提示は、加害者側の保険会社から書面で届きます。

 

注意ポイント①

もし、保険会社の担当者から口頭で

賠償金は、○○円です

と言われたならば、必ず

賠償金の内訳を書面に書いて送ってください

と伝えてください。

口頭でのやり取りでは証拠として残らないため、書面として残しておくべきだからです。

次に、示談金の提示書面は

「傷害部分」と「後遺障害部分」

に分けられていると思いますが、後遺障害部分を確認してください。

 

注意ポイント②

「後遺障害部分」の「後遺障害」の欄が1つになっていて、「○○円」と記載されているなら、それは「自賠責保険」の金額が記載されている可能性が高いです。

この場合、注意しなければいけないのは、ご自身の後遺障害等級によっては損害賠償金が自賠責保険の範囲を超えて、さらに高額である可能性があることです。

つまり、本来は手にすることができる金額よりも低い金額が提示されている場合があるので、慎重に確認していく必要があります。

詳しい解説はこちら⇒
自賠責保険と任意保険の関係はどのようになっていますか?

 

注意ポイント③

「後遺障害部分」の「後遺障害」の欄が、「逸失利益」と「慰謝料」の2つに分けられているか確認してください。

それぞれに金額が記載されている場合は次のステップとして、その金額が問題になってきます。

 

逸失利益とは?

交通事故の被害によって後遺障害を負ったために、事故前のようには働くことができなくなってしまうと、被害者は将来的に収入が減少してしまいます。

このように、交通事故により被害者が失ってしまう利益を「逸失利益」といいます。

後遺障害を負ったことで肉体的な機能を失ったうえに、将来にわたる収入まで失ってしまうわけにはいきません。

被害者は、示談交渉で逸失利益を取り戻すべきです。

逸失利益は、被害者の職業や年齢、性別などによってその金額が変わってきますが、次の計算式によって金額を計算します。

逸失利益の計算式
(基礎収入)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数)

基礎収入
被害者が後遺障害を負わなければ、将来的な労働により得られたはずの収入です。

労働能力喪失率
交通事故前の労働能力を100とした場合に、事故により後遺障害を負ってしまったことで労働能力が何%減少したかを表すものです。

 
労働能力喪失率は、1級から14級まである後遺障害等級によって決められた基準があります。

障害等級 労働能力喪失率
第1級 100/100
第2級 100/100
第3級 100/100
第4級 92/100
第5級 79/100
第6級 67/100
第7級 56/100
第8級 45/100
第9級 35/100
第10級 27/100
第11級 20/100
第12級 14/100
第13級 9/100
第14級 5/100

 
自賠責後遺障害等級と労働能力喪失率の詳しい解説はこちら⇒
自賠責後遺障害等級とはどのようなものですか?

しかし、それですべてが決定するわけではなく、具体的な後遺障害の程度や被害者の職業、年齢などの事情を考慮して個別の事案ごとに決められます。

ただし、裁判所は被害者が認定された後遺障害等級をある程度尊重して労働能力喪失率を認定する傾向があるので注意が必要です。

職業・年齢別の後遺障害逸失利益の詳しい解説はこちら⇒ 解説

労働能力喪失期間
交通事故の被害者が労働能力を喪失した期間です。

言い方を変えるなら、交通事故被害者が働くことができなくなってから、実際に働くことができたはずの年齢までの期間(就労可能年数)を表すもの、となります。

労働能力喪失期間は、原則として67歳までとされています。

ただし、被害者の職種や能力等によって、67歳を超えても就労が可能であると認められる場合には、それを超えた分も算定されることがあります。

 

注意ポイント④

保険会社からの書面に、就労可能期間が67歳までで計算されているか確認してください。

仮に、10年間や15年間になっているなら間違っている可能性が高いので修正する必要があります。

なお、ご高齢でも働いていた方は別の計算式となります。

ライプニッツ係数
交通事故による後遺障害のため、被害者は将来受け取るはずであった収入を前倒しで受け取ることになります。

そのため、将来の収入が続く時までの期間、年5%の利息を複利で差し引くことになるのですが、その際の係数をライプニッツ係数といいます。

なお、専門的には「中間利息を控除する」という言い方をします。

逸失利益に関する詳しい解説はこちら⇒
交通事故における逸失利益で被害者が損をしないための知識

 

交通事故における慰謝料とは?

慰謝料という言葉を耳にしたことがある人は多いと思います。

では、慰謝料とは何かを簡単に説明すると、精神的な苦痛を被ったことに対する損害賠償金ということになります。

慰謝料は、被害者が交通事故の被害にあわず、後遺障害が残らなければ受け取ることはなかったお金です。

しかし、後遺障害を背負ってしまったことで、被害者はもとの健康な生活や、将来の収入などさまざまなものを失ってしまったのです。

慰謝料を受け取ることは被害者の権利なのですから、加害者には金銭的に償ってもらわなければいけません。

交通事故にあった時に支払われる慰謝料には次の3つがあります。

①「傷害慰謝料」
②「死亡慰謝料」
③「後遺障害慰謝料」

傷害慰謝料とは、交通事故により被害者が傷害(ケガ)をしたことに対する肉体的、精神的苦痛を慰謝するために支払われる損害賠償金です。

死亡慰謝料とは、交通事故により被害者が死亡したことで被った精神的損害に対して支払われるものです。

ここでは後遺障害慰謝料について説明していきます。

 

後遺障害慰謝料とは?

交通事故で後遺障害が残った場合、被害者が精神的に被った苦痛に対して償われるものが後遺障害慰謝料です。

 
裁判基準による後遺障害慰謝料の相場金額

後遺障害等級 慰謝料
1級 2800万円
2級 2370万円
3級 1990万円
4級 1670万円
5級 1400万円
6級 1180万円
7級 1000万円
8級 830万円
9級 690万円
10級 550万円
11級 420万円
12級 290万円
13級 180万円
14級 110万円

 
精神的な苦痛のレベルは、事故によって、また被害者によって異なるものですから、一律に判断できるものではありません。

そのため、大体の相場金額が定められているわけです。

 

注意ポイント⑤

ご自身に提示された金額と見比べてみてください。

いかがでしょうか、上記の表の金額より低いのではないでしょうか?

それには、さまざまな理由がありますので必ず確認してください!

詳しい解説はこちら⇒
交通事故の慰謝料の相場と慰謝料を増額させる秘訣

高額慰謝料が認められた3つの交通事故裁判例

また、上記の表の金額は、あくまで相場ですから、この金額よりさらにアップする可能性は十分にあります。

ですから、被害者の方はあきらめずに加害者側の任意保険会社と示談交渉をしていかなければいけません。

 

休業損害(休業補償)とは?

休業損害(休業補償)とは、交通事故によるケガのために会社や仕事を休んだことで得ることができなくなってしまった利益(収入)です。

読んで字のごとく、仕事を休業したことで受けた損害ということになります。

基本的な計算式は次のようになります。

(直近3ヵ月の給与の合計額)÷(90日)×(休業日数)

休業損害は、事故前の収入額や、さらにはサラリーマンや個人事業者、主婦などの就労形態の違いによって計算式などが変わってきます。

詳しい解説はこちら⇒
交通事故における休業損害(休業補償)まとめ

 

判断に困った時は弁護士に相談を!

ここまで、交通事故でさまざまなものを失ってしまった被害者が、取り戻すことができるものについて解説しましたが、どのように感じられたでしょうか?

逸失利益、慰謝料、休業損害…どれも大切なものだとわかっていただけたと思いますが、だからこそ慎重に確認し、手続きを進めていかなければいけないものです。

しかし、実際に正確な金額を算出するには、交通事故に関する法律や損害保険の詳しい知識がないと、どれも難しいものだと感じられたのではないでしょうか。

こうした時は、ぜひ交通事故問題に詳しい弁護士に相談してみてください。

交通事故に精通した弁護士であれば、被害者の方の逸失利益や慰謝料などに関して的確なアドバイスができますし、示談交渉の代行もできます。

また、弁護士に依頼することで被害者の方は煩わしい交渉から解放され、最終的には増額を実現し、適切な額の損害賠償金を勝ち取ることができます。

2倍、3倍はもちろん、極端な場合には10倍から数十倍に賠償金がアップしたという解決実績も多数あります。

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死亡事故と後遺症事案に絞って専門性を高めていますので、該当する方は一度ご相談いただければと思います。