【物損】 新車を買った直後に交通事故に遭って、新車が全損してしまった場合、新たに新車に買い替えるための費用を支払ってもらうことはできますか?<弁護士解説>

最終更新日 2015年 09月26日
執筆:みらい総合法律事務所 弁護士 谷原誠

新車直後の交通事故における問題について、弁護士が解説します。

新車に限らず、車両が交通事故により全損してしまったからと言って、当然に買い替えが認められるわけではありません。買い替えが認められるためには、原則として修理が不能であることが必要です。修理が不能である場合とは、裁判例では、車両が物理的又は経済的に修理不能と認められる状態になったとき、あるいは買い替えすることが社会通念上相当と認められるとき、とされています。

物理的に修理不能とは、文字通り物理的に修理が不能な場合を言います。経済的に修理不能とは、物理的には修理をすることが可能でも、修理にかかる費用の見積が、車両時価額及び買い替えた場合の登録手続費用等よりも高額になってしまうような場合です。買い替えをすることが社会通念上相当と認められるときとは、フレーム等車体の本質的構造部分に重大な損傷の生じたことが客観的に認められる場合を言います。

上記の要件に当てはまり、被害車両の修理が不能であると判断された場合には、買い替えが認められ、買替費用として車両時価額が認められます。被害車両が中古車であった場合は、同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離等の自動車を、中古車市場において取得するための費用を車両時価額とします。したがって、この場合は新車への買替は認められません。

これに対し、被害車両が新車である場合は、新車への買替費用が認められるのかが問題となります。

納車して間もないという新車であっても、一度ナンバープレートがついてしまうと、購入前の状態と比べ車両価格が何割か減少するという、いわゆる登録落ち(ナンバー落ち)の状態となります。この登録落ちを考慮する場合には、新車への買い替えは認めれず、登録落ちを考慮しない場合には、新車への買替費用が認められることになります。

この点については、新車の引き渡し直後事故に遭った事案で、新車といえども一般の車両と同様に公道で通常の運転利用を行っていたこと等から、登録落ちの分を考慮し、新車の買替費用を認めることはできない、とした裁判例があります。

したがって、被害車両の買い替えが認められたとしても、登録落ちが考慮され、新車購入時の車両価格が認められる可能性は低く、もし新車に買い替える場合には、その差額分は被害者が負担することになると思われます。

なお、車両を買い替える場合、登録手続関係費などの諸費用が損害として認められるかについては、検査・登録費用、車庫証明費用、自動車取得税、消費税は損害として認められています。これに対し、自動車税や自賠責保険料は、廃車となった場合には還付を受けることができる性質のものであるため、損害として認められません。

以上、新車直後の交通事故の問題について、弁護士が解説しました。

新車直後の交通事故で問題になった時は、弁護士にご相談ください。