【逸失利益】会社員が交通事故で死亡した場合、逸失利益はどのように算定されますか?<弁護士解説>

最終更新日 2016年 05月01日
執筆:みらい総合法律事務所 弁護士 谷原誠

会社員の交通死亡事故における逸失利益について、弁護士が解説します。

死亡逸失利益とは、交通事故による死亡のため労働ができなくなって収入を得ることができなくなったために失われる利益のことです。

死亡逸失利益の計算式は下記のようになります。

基礎収入 × (1-生活費控除率) × 就労可能年数に対するライプニッツ係数

基礎収入

基礎収入とは、交通事故に遭い死亡しなければ労働により将来得られたであろう収入です。
会社員は給与所得者ですので、基礎収入は事故前の給与額をもとにします。源泉徴収票で証明するのが一般的です。あるいは、課税証明書や納税証明書を提出する場合もあります。

現実の収入額が賃金センサスの全年齢平均賃金を下回る場合でも、平均賃金程度の収入を得られる蓋然性があれば、全年齢平均賃金を基礎とすることもできます。また、30歳未満の若年労働者の場合は、原則として学歴別の全年齢平均賃金を基礎とします。

将来昇給することが確実であるような事情がある場合には、昇給を考慮した金額を基礎収入とすることもできます。

退職金については、退職金が支給されることが確実である会社等の場合には、定年まで就労していれば得られたであろう退職金から中間利息を控除した金額と、死亡時に支給された死亡退職金との差額分について認められます。

生活費控除

生活費控除とは、生きていればかかったはずの生活費分を、基礎収入から差し引くことです。裁判所も使用する民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(赤い本)に記載の生活費の控除率は下記の通りです。

  • 一家の支柱(被扶養者1人)の場合…40%
  • 一家の支柱(被扶養者2人以上)の場合…30%
  • 女性(主婦、独身、幼児等含む)の場合…30%
  • 男性(独身、幼児等含む)の場合…50%

就労可能年数

就労可能年数は、原則として67歳までとします。
ただし、職種等によって、67歳を過ぎても就労することが可能であったと考えられる事情がある場合には、67歳を超えた分についても認められることがあります。

60歳で定年が定められているような会社に勤務していた場合は、定年後も勤務時と同程度の収入を得ることは通常困難な場合が多いため、定年後67歳までの期間は、賃金センサスの平均賃金を基礎としたり、あるいは死亡時の実収入から一定の割合で減額した金額を基礎とすることになります。

ライプニッツ係数

ライプニッツ係数とは、将来受け取るはずであった収入を前倒しで受け取るため、将来の収入時までの年5%の利息を複利で差し引く係数のことをいいます。専門的には、中間利息を控除する、という言い方をします。

このあたりは理解が難しいので、専門の弁護士に相談することをおすすめします。