【逸失利益】幼児が交通事故により死亡した場合、死亡逸失利益はどのように算定されますか?<弁護士解説>

最終更新日 2016年 05月01日
執筆:みらい総合法律事務所 弁護士 谷原誠

幼児の交通死亡事故における逸失利益について、弁護士が解説します。

死亡逸失利益とは、交通事故による死亡のため労働ができなくなって収入を得ることができなくなったために失われる利益のことです。

基礎収入とは、交通事故に遭い死亡しなければ労働により将来得られたであろう収入ですが、被害者が幼児や学生の場合、将来の収入額を算定するには困難が生じます。

そこで、東京・大阪・名古屋の各地方裁判所交通部裁判官が、平成11年11月22日に「交通事故による逸失利益の算定方式についての共同提言」(三庁共同提言、判例時報1692号162頁、判例タイムズ1014号62頁)を出し、幼児や学生の場合の逸失利益算定の指針となりました。共同提言の内容は以下の通りです。

(共同提言の骨子)

A 交通事故による逸失利益の算定において、原則として、幼児、生徒、学生の場合、専業主婦の場合、及び、比較的若年の被害者で生涯を通じて全年齢平均賃金又は学歴平均賃金程度の収入を得られる蓋然性が認められる場合については、基礎収入を全年齢平均賃金又は学歴別平均賃金によることとし、それ以外の者の場合については、事故前の実収入額によることとする。
B 交通事故による逸失利益の算定における中間利息の控除方法については、特段の事情のない限り、年5分の割合によるライプニッツ方式を採用する。
C 上記のA及びBによる運用は、特段の事情のない限り、交通事故の発生時点や提訴時点の前後を問わず、平成12年1月1日以降に口頭弁論を終結した事件ついて、同日から実施する。

幼児の場合の死亡逸失利益の計算式は下記の通りです。

学歴計の男女別あるいは全労働者平均賃金 × (1-生活費控除率) × (67歳までのライプニッツ係数-18歳までのライプニッツ係数)

生活費控除とは、生きていればかかったはずの生活費分を、基礎収入から差し引くことです。民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(赤い本)に記載の生活費の控除率、女性(主婦、独身、幼児等含む)の場合30%、男性(独身、幼児等含む)の場合50%です。

就労可能年数は、原則として、就労開始年齢の18歳から67歳までとします。

ライプニッツ係数とは、将来受け取るはずであった収入を前倒しで受け取るため、将来の収入時までの年5%の利息を複利で差し引く係数のことをいいます。専門的には、中間利息を控除する、という言い方をします。

たとえば、被害者が3歳の男児である場合、死亡逸失利益の計算は次のようになります。

5,267,600円×(1-0.5)×8.7394=23,017,832円

※5,267,600円・・平成23年男性学歴計全年齢平均賃金
※0.5・・・・・・・・・男性の場合の生活費控除率
※8.7394・・・・・・67歳までに対するライプニッツ係数(19.1191)から18歳までに対応するライプニッツ係数(10.3797)を引いたライプニッツ係数

なお、被害者が女児の場合は、男女別の平均賃金ではなく、男女計の平均賃金を基礎とし、生活費控除率は45%とする傾向にあります。

以上、少し難しので、具体的な計算は、弁護士にご相談ください。