【逸失利益】交通事故で自賠責後遺障害等級が認定された場合、逸失利益はどのように算定されますか?<弁護士解説>
交通事故における逸失利益について、弁護士が解説します。
後遺症逸失利益とは、交通事故により後遺障害を負ったため、事故前の労働ができなくなって収入が減少するために失われる利益のことです。
後遺障害逸失利益の算定式は下記の通りです。
基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
基礎収入
基礎収入とは、事故に遭い後遺障害を負わなければ将来労働により得られたはずの収入です。
労働能力喪失率
労働能力喪失率とは、事故前の労働能力を100とした場合に、事故により後遺障害を負ってしまったことにより、労働能力が何%減少したかを表すものです。
この労働能力は、自賠責後遺障害等級認定によって自動的に決まるものではありません。具体的な傷害の程度、被害者の職業、年齢等の事情を考慮して個別の事案ごとに決められます。しかし、裁判所は、認定された後遺障害等級をある程度尊重して労働能力喪失率を認定する傾向にあります。
そして、自賠責後遺障害等級では、その等級によって、労働能力喪失率が決まっています。(後遺障害別等級表参照)
労働能力喪失期間
労働能力喪失期間とは、労働能力を喪失した期間が何年か、すなわち働くことができる年齢までの期間(就労可能年数)を表すものです。労働能力喪失期間は原則として67歳までとされています。ただし、職種や能力等によって、67歳を超えても就労が可能であると認められる場合には、それを超えた分も算定されることがあります。
反対に、むち打ちなどの神経症状の場合には、後遺障害等級12級で10年程度、後遺障害等級14級で5年程度に制限されます。
ライプニッツ係数
ライプニッツ係数とは、将来受け取るはずであった収入を前倒しで受け取るため、将来の収入時までの年5%の利息を複利で差し引く係数のことをいいます。専門的には、中間利息を控除する、という言い方をします。
なお、2020年4月1日以降の事故では、民法改正により、ライプニッツ係数の率は3%となり、以降3年毎に率が見直されます。
専門的な知識が必要となりますので、計算については弁護士に相談してください。