交通事故の慰謝料の正しい計算方法|2022年最新版
目次
交通事故の被害者の方にとって、「慰謝料」はとても大切なものの1つです。
傷害(ケガ)を負ったことによる苦痛、損害は、精神的なこと、肉体的なことだけでなく、金銭的な部分にも及ぶからです。
加害者が任意保険に加入していれば、慰謝料はその保険会社が被害者の方に支払います。
そこでまず、被害者の方には示談金(状況によって損害賠償金とも保険金ともいいます)が提示されます。
この示談金の中でも金額が大きくなる項目の1つが慰謝料です。
しかし、ここで問題があります。
それは、保険会社が提示してくる慰謝料は低すぎるという現実です。
☑なぜ、低い慰謝料が提示されるのか?
☑適切な慰謝料額はいくらになるのか?
☑正しい慰謝料の計算方法は?
☑慰謝料額の増額を勝ち取るには、どうすればいいのか?
本記事では、これらの疑問にお答えします。
これから、交通事故の慰謝料の正しい計算方法について解説していきますが、その前に交通事故解決までの全プロセスを説明した無料小冊子をダウンロードしておきましょう。
交通事故の慰謝料とは?
交通事故の損害項目はさまざまある
交通事故の被害者の方が受け取ることができる損害項目には、さまざまなものがあります。
治療費や交通費、休業損害、逸失利益……などです。
そうした項目の中に「慰謝料」があります。
法的には、慰謝料というのは、被害者の方の精神的な苦痛や損害に対して支払われるものになります。
慰謝料は4種類ある
慰謝料というのは単純に1つ、と思っている方も多いかもしれませんが、じつは4種類あることを覚えておいてください。
2.後遺障害慰謝料⇒後遺障害が残ったとき
3.死亡慰謝料⇒亡くなってしまったとき
4.近親者慰謝料⇒ご家族のため
☑入通院慰謝料というのは、ケガの治療のために入院・通院した場合に受け取ることができるものです。
☑治療を続けたものの、これ以上の改善は見込めない、完治は難しいとなると医師から「症状固定」の診断を受けることになります。
☑その後、被害者の方には後遺症が残ってしまうことになりますが、後遺症が後遺障害と認められ、後遺障害等級が認定されると、後遺障害慰謝料を受け取ることができます。
・交通事故の症状固定が被害者にとって重要な理由と注意ポイント
・【交通事故慰謝料】被害者がやってはいけない6つのポイント
☑被害者の方が亡くなった場合は、死亡慰謝料が支払われます。
ただし、ご本人は亡くなっているため、受取人はご家族になりますが、どなたでも受け取れるわけではないことに注意が必要です。
☑近親者慰謝料というのは、被害者の近親者(家族など)が被った精神的苦痛・損害に対して支払われるものです。
計算基準によって慰謝料額は大きく変わる
慰謝料を算定する際には、次の3つの基準が使われます。
ここで重要なのは、どの基準で算定するかによって金額が大きく変わってくるということです。
2.任意保険基準⇒金額が低い
3.弁護士(裁判)基準⇒もっとも金額が高い
☑自賠責基準とは、自賠責保険で定められているもので、慰謝料はもっとも低くなります。
それは、自賠責保険が加害者を介することなく、被害者の方が最低限の損害賠償金を直接受け取ることができるために設立されたものだからです。
☑任意保険基準とは、各損保会社が独自に設定しているもので、非公表となっていますが、自賠責基準より少しだけ高い金額になるように設定されています。
☑弁護士(裁判)基準とは、過去の膨大な裁判例から導き出されているもので、金額がもっとも高くなります。
弁護士が被害者の方から依頼されて加害者側の任意保険会社と示談交渉をする際にも用いるもので、被害者の方が受け取るべき正しい金額になります。
みらい総合法律事務所が解決!慰謝料増額の最新事例
交通事故の被害者の方が慰謝料などを受け取る場合、加害者が任意保険に加入しているなら、その保険会社から支払われます。
しかし、前述したように保険会社からの提示金額は、被害者の方やご家族が受け取るべき金額よりもかなり低いのが現実です。
なぜかというと、保険会社は営利法人だからです。
ビジネスで利益を上げるには、次の3つの方法しかありません。
・売上を増加させる
・支出を減少させる
・その両方を実現する
保険会社は利益をあげるために、支出となる被害者の方への保険金を少しでも低く抑えようとします。
そこで、金額が低くなる自賠責基準や任意保険基準で計算した慰謝料などを提示してくるのです。
ここでは、みらい総合法律事務所が実際に解決した、最新の慰謝料増額事例をご紹介します。
後遺症の種類、後遺障害等級によって、加害者側の任意保険会社は、いくらくらいの示談金を提示してくるのか?
そして、示談交渉に弁護士が入るとどのくらい慰謝料などが増額するのか、参考にしてください。
最新解決事例①:50歳男性の慰謝料などが約4.3倍に増額
50歳の会社役員の男性が、横断歩道を歩行中、右折車に衝突された交通事故。
右足指欠損、右足指機能障害、右足底部知覚鈍麻などの後遺症が残り、後遺障害等級は併合9級が認定されました。
加害者側の任意保険会社と示談交渉をして、慰謝料などの損害賠償金が約609万円になりましたが、被害者の方はこの金額に疑問を感じ、みらい総合法律事務所の無料相談を利用。
弁護士の見解は、「そもそも後遺障害等級が間違っている可能性あり」とのことで、被害者の方は異議申立から示談交渉までのすべてを依頼されました。
異議申立で、後遺障害等級は併合8級に上りましたが、示談交渉では弁護士の主張を保険会社が受け入れなかったため、提訴して裁判に突入しました。
裁判では最終的に2600万円が認められ、解決。
当初提示額から約4.3倍に増額した事例です。
最新解決事例②:7歳女児の慰謝料等が1億2000万円に増額
7歳の女児が交通事故で高次脳機能障害の後遺症を負った事案です。
後遺障害等級は2級1号が認定され、加害者側の任意保険会社からは、約9742万円の示談金が提示されました。
そこで、ご両親が、みらい総合法律事務所に相談され、そのまま依頼されました。
弁護士が保険会社と交渉し、1億2000万円まで増額されたところで、ご両親が裁判までは望まれなかったため、示談成立となりました。
当初提示額から、約2300万円増額したことになります。
最新解決事例③:21歳男性の死亡事故で慰謝料等が約3300万円増額
路上にいた21歳の男性が直進車に衝突された死亡事故。
加害者側の任意保険会社は、ご遺族に対し示談金として約6171万円を提示。
この金額の妥当性を確認するため、みらい総合法律事務所の無料相談を利用し、ご遺族はそのまま示談交渉のすべてを依頼されました。
示談交渉では、保険会社が被害者の方が路上にいたことの過失割合を主張し紛糾したため、弁護士が提訴して舞台は法廷へと移りました。
裁判では弁護士が、加害者の速度超過を主張立証し、最終的には約3300万円増額の9500万円で解決しました。
最新解決事例④:67歳男性の慰謝料などが約3.7倍に増額
67歳の男性が運転する自動車が、交差点で赤信号無視の直進車に衝突された交通事故。
被害者男性は、脊柱圧迫骨折などの傷害(ケガ)を負い、後遺障害等級は11級7号と12級13号が認定され、併合10級となり、加害者側の任意保険会社と示談交渉を開始しました。
保険会社が提示してきた金額は約534万円。
この金額に納得がいかなかった被害者の方が、みらい総合法律事務所に示談交渉を依頼されました。
弁護士が保険会社と交渉しましたが決裂したため、提訴して裁判に突入。
裁判では約3.7倍に増額の2000万円で解決となった事案です。
最新解決事例⑤:79歳女性の死亡事故で慰謝料等が約2000万円増額
自転車で走行していた79歳女性に、後方から来た自動車が追突した死亡事故です。
加害者側の任意保険会社は、示談金として約2017万円を提示。
ご遺族が、この金額が妥当なものかどうか確認するために、みらい総合法律事務所の無料相談を利用。
弁護士の見解は、「低すぎる。まだ増額は可能」というものだったので、その後の示談交渉を依頼されました。
弁護士が保険会社と交渉を重ね、弁護士(裁判)基準に準じる金額まで増額に応じたため、4000万円で示談解決。
当初提示額から約2000万円増額したことになります。
入通院慰謝料(傷害慰謝料)を計算してみます
入通院慰謝料の計算(自賠責基準の場合)
☑自賠責基準では、入通院慰謝料は1日あたりの金額が「4,300円」と定められています。
☑入通院慰謝料の算定式は次のとおりです。
4,300円(1日あたりの金額)×対象日数=入通院慰謝料
☑ここで注意が必要なのは、治療の対象日数です。
治療の対象日数は、次のどちらか短いほうが採用されます。
A)「実際の治療期間」
B)「実際に治療した日数×2」
たとえば、入院期間が1か月、治療期間が5か月で、実際に治療した日数が平均で週に2回の場合で考えてみます。
A)4,300円×180日=774,000円
B)4,300円×(30日+20日×2)=301,000円
この場合は、B)の301,000円が入通院慰謝料になります。
☑入通院慰謝料は、1日でも治療を受けていれば受け取ることができます。
弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料
入通院慰謝料を弁護士(裁判)基準で算定するには、『損害賠償額算定基準』に記載されている算定表を用います。
これは、日弁連交通事故相談センター東京支部が発行しているもので、弁護士や裁判所も使用するものです。
ケガの程度によって、「軽傷用」と「重傷用」の2種類があります。
たとえば、重傷で入院期間が1か月、治療期間が5か月の場合、上の「重傷用算定表」のそれぞれが交わった部分を見ます。
「141」となっているので、この場合の入通院慰謝料は、141万円になります。
後遺障害慰謝料を計算してみます
後遺障害とは?
前述したように、症状固定の診断により後遺症が残ってしまった場合、その後遺症が後遺障害と認められることが必要です。
・交通事故が原因であると医学的に証明されること
・労働能力の低下や喪失が認められること
・その程度が自動車損害賠償保障法(自賠法)で定める後遺障害等級に該当すること
後遺障害等級とは?
後遺障害等級は、全部で14等級あり、もっとも重度の等級が1級になります。
そして、後遺障害が残った部位などによって号数が設定されています。
たとえば、高次脳機能障害の場合、1級1号、7級4号というように認定されます。
【参考情報】
「自賠責後遺障害等級表」(国土交通省)
後遺障害等級に納得できない場合は異議申立できる!
じつは、認定された後遺障害等級は正しいとは限りません。
申請時に書類や申請書に不備・不足があった場合、間違った等級が認定されてしまうことがあるのです。
そこで等級に不満がある場合は、「異議申立」をすることができます。
後遺障害慰謝料の計算方法
後遺障害慰謝料は、被害者ご自身が認定された後遺障害等級によって相場金額が定められています。
ここで注目していただきたいのは、算定基準の違いによる金額の大きな違いです。
たとえば、介護を必要としない後遺障害等級で1級の場合、自賠責基準と弁護士(裁判)基準では、1,650万円もの差が生じてしまうのです。
ですから、後遺障害慰謝料は弁護士(裁判)基準で認められることが非常に大切になってくるのです。
死亡慰謝料を計算してみます
死亡慰謝料も算定基準の違いによって金額が大きく変わってきます。
自賠責基準による死亡慰謝料
自賠責基準による死亡慰謝料は、「被害者本人の死亡慰謝料」と、「ご家族などの近親者慰謝料」を合計した金額で支払われることに注意が必要です。
「被害者本人の死亡慰謝料」
一律で、400万円です。
「近親者慰謝料」
配偶者・父母(養父母も含む)・子(養子・認知した子・胎児も含む)の人数によって、次のように金額が変わります。
・1人の場合/550万円
・2人の場合/650万円
・3人以上の場合/750万円
※被扶養者の場合は上記の金額に200万円が上乗せされる。
弁護士(裁判)基準による死亡慰謝料
弁護士(裁判)基準による死亡慰謝料は、被害者の方の家庭での立場や状況の違いなどによって、次のように相場金額が設定されています。
被害者が一家の支柱の場合 | 2800万円 |
---|---|
被害者が母親・配偶者の場合 | 2500万円 |
被害者がその他(独身者・幼児・高齢者など)の場合 | 2000万~2500万円 |
被害者が一家の支柱の場合 - 2800万円
被害者が母親・配偶者の場合 - 2500万円
被害者がその他
(独身者・幼児・高齢者など)の場合- 2000万~2500万円
ただし、これはあくまでも相場の金額です。
事故の状況、たとえば加害者の危険運転(ひき逃げ、信号無視、飲酒運転等)、その悪質性、事故後の態度の悪さ、などの要因によっては慰謝料額が増額する可能性があります。
これは、後遺障害慰謝料の場合も同様です。
被害者参加制度とは?
交通事故の慰謝料などについて法廷で争われるものは民事事件となりますが、それ以外にも、交通事故の加害者が法的に裁かれる刑事事件があります。
刑事事件は国が加害者を裁くものであるため、被害者の方やご遺族の思いとは関係なく進んでいきます。
しかし、被害者の方やご遺族が刑事事件に関与できるシステムがあります。
これを、「被害者参加制度」といいます。
被害者参加制度の利用を希望される場合は、一度、交通事故に強い弁護士に相談されることをおすすめします。
なぜ弁護士が示談交渉に入ると慰謝料が増額するのか?
実際の慰謝料増額事例などからもおわかりいただけるように、交通事故の慰謝料などの損害賠償金の示談交渉に弁護士が入ると、増額する可能性がかなり高くなります。
それも2倍、3倍はよくあることで、中には10倍以上になる場合もあるのです。
それはなぜなのか? まとめてみました。
弁護士は正しい後遺障害等級を判断できる
前述したように、認定された後遺障害等級は必ずしも正しいわけではありません。
弁護士に依頼して異議申立を行なってもらい、等級がアップすることで慰謝料等も増額します。
弁護士は弁護士(裁判)基準で解決することができる
交通事故の慰謝料など損害賠償金は、弁護士(裁判)基準で算定することで大きく増額します。
加害者側の任意保険会社が提示してくるのは、自賠責基準や任意保険基準で計算した金額ですから、被害者の方が何の疑問も持たずに示談を成立させてしまうと、大きな損害を被ってしまうことになります。
被害者の方が精神的、肉体的な損害を被ったうえに、さらに金銭的な損害を被るようなことは避けなければいけません。
弁護士が提訴すると裁判で増額が認められる
加害者側の任意保険会社は、たとえば被害者の方が過去の判例などを示して、いくら慰謝料増額を主張しても首を縦に振ることは、まずありません。
それは示談交渉に弁護士が入って、最終的に裁判を起こされない限りは増額する必要はないと考えているからです。
裁判にまで進まなくても、弁護士が示談交渉に入り、決裂した場合は裁判を起こされることはわかっているので、裁判に進む前に増額に応じて示談を成立させてしまおう……ということになるわけです。
ですから、交通事故の被害者の方やご家族が慰謝料などの増額を望むのであれば、やはり交通事故に精通した弁護士に依頼するのが、もっとも確実で早い解決法ということになります。
交通事故の慰謝料でお困りの場合は、ご相談下さい!
みらい総合法律事務所では随時、無料相談を受け付けています。
年間1,000件以上のご相談が寄せられており、相談者の方が多い場合は、すぐにお受けできない場合もありますが、面談では交通事故に精通した弁護士が内容を精査して、
・後遺障害等級が正しいかどうかの確認
・慰謝料など損害賠償金の正しい金額
・今後の示談交渉の段取りとスケジュール
などについてご説明します。
ますは無料相談をしてみて、弁護士の説明に納得がいけば、正式に依頼されるという流れでよろしいかと思います。
交通事故の被害に遭われた場合は、まずはお早めにご相談下さい。
死亡事故と後遺症事案について、ご相談をお受けしております。
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・交通事故を弁護士に依頼した後の流れと手続き
・【交通事故】弁護士に相談・依頼するベストのタイミング
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