後遺障害と死亡事故に特化。交通事故賠償に詳しい弁護士が解説。

交通事故の後遺症での慰謝料を増額させる方法

最終更新日 2019年 11月08日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

交通事故の後遺症での慰謝料を増額させる方法交通事故の後遺症での慰謝料を増額させる方法

交通事故の後遺症とは?

交通事故でケガをした場合、たとえば、失明や手足の切断、機能障害や変形障害、痛みなどの神経障害、傷痕など、精神的・肉体的にさまざまな後遺症が残ってしまう可能性があります。

後遺症とは、一般的には、病気やケガが治ったあとになお残っている障害をいいます。

治った、といっても、それは完治ではなく、できる治療はすべてしたけれど、なんらかの障害は残っており、もうそれ以上はよくはならない、ということです。

交通事故で後遺症が残ってしまった場合は、被害者としては、せめて慰謝料などの損害賠償金をきちんと支払ってもらいたいと考えるのが当然だと思います。
しかし、後遺症が残ったからといって、それがすべて損害賠償の対象となるわけではありませんので、注意が必要です。

交通事故の損害賠償の対象となる後遺症とは、その後遺症が交通事故を原因とするものであること、その症状が医学的に証明あるいは推定できるものであること、労働能力の喪失あるいは低下を伴うものであることが必要です。

そして、後で詳しくご説明しますが、その症状が自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」といいます)施行令に基づく自賠責後遺障害等級に該当するものであるかどうかがとても重要となってきます。

このように、交通事故による後遺症があっても、後遺障害として認められなければ、交通事故の損害賠償の対象となりにくいということを覚えておいてください。

交通事故で後遺症かどうかは「症状固定」で決まる

では、どのような後遺症が交通事故による後遺障害として損害賠償の対象になるのでしょうか?

まず、後遺症かどうかを考えるにあたっては、「症状固定」となったかどうかを判断することになります。

症状固定とは、医学上一般に承認された治療方法で治療をしても、その効果が上がらなくなった状態をいいます。治療をしてもその症状が改善しない、つまり症状が固定した、と考えるわけです。

症状固定かどうかの判断は、治療をしている主治医と、治療を受けている被害者との間で治療方法や治療経過、治療効果がでているかどうかなどを話し合って決めるものです。

しかし、医師からではなく、加害者の加入している任意保険会社の担当者から、「そろそろ症状固定としませんか?」とか、「今月で治療費の支払いを打ち切るので症状固定としてください」という話を切り出された、というケースもよくあります。

なぜかというと、保険会社は被害者の治療費や休業損害を、最終的な示談の前にサービスの一環として支払っていますが、保険会社側としては治療が長引けば長引くほど治療費もかかるし、入通院慰謝料、通院交通費、休業損害などの損害賠償額が増加していき、保険会社の支払い分が増えてしまうので、長期間の治療は望ましくないわけです。

そこで、被害者の医療照会の同意書を取り付けて、病院に対し医療照会や診断書等の資料の開示をしてもらい、それらの資料を保険会社の顧問の医師等に見てもらって独自に判断しているのです。

できるだけ早く治療を打ち切ってほしいという観点から判断をしているので、本当はまだ治療が必要な被害者に対しても、症状固定をすすめてくることがあるのです。

ここで覚えておいてほしいのは、交通事故の損害賠償を考えるにあたって、症状固定というのはとても重要な意味をもつ、ということです。

症状固定としてしまうと、原則として症状固定日以降に治療を行ったとしても、その治療費や交通費、休業損害等を加害者側に請求することはできなくなってしまいます。

入通院慰謝料などの計算についても症状固定日までを治療期間としますので、症状固定日以降に通院していても、もはや賠償の対象にはなりません。

つまり、症状固定とした時点で、その交通事故によって被った損害が確定する、ということなのです。

ですので、保険会社に言われたからといって、あまり深く考えずに症状固定とすることだけはやめてください。

治療費の支払いを打ち切られたとしても、主治医と話して、まだ治療の必要性があり、治療効果がでているのであれば、治療費は健康保険に切り替えるなどして自分で立て替えて支払い、納得のいくまで治療をしてから症状固定とすべきです。

立て替えて支払った治療費については、治療の必要性を証明できれば後で保険会社に請求することができます。

症状固定をするかどうかは、本当にもう治療を継続する必要性はないのか、改善の見込みはないのかなどをよく主治医と相談し、慎重に決めるようにしましょう。

交通事故の後遺症が残ったら、「自賠責後遺障害等級認定」を申請する

自賠責後遺障害等級とは?

さて、主治医とよく相談をして、これ以上治療を続けても治療効果が上がらない、と判断した場合には症状固定とします。

症状固定となった場合でも自分の後遺症が交通事故による後遺障害として損害賠償の対象となるかどうかは、被害者本人では判断ができません。

その判断は、損害保険料率算出機構(以下「損保料率機構」とします)という機関が行います。
具体的には、被害者の後遺症が自賠責後遺障害等級に該当するのかどうかを判断してもらうのです。

自賠責後遺障害等級とは、自賠法施行令という法律に別表第1及び第2として定められています。

後遺障害等級は、症状の程度によって1級から14級に分けられ、もっとも重い後遺障害等級が1級で、もっとも軽いものが14級です。

各等級の中でも、症状の部位や種類によってさらに細かく分類されています。1級1号、14級9号というように認定されます。後遺障害等級に該当しない場合には、「非該当」となります。

後遺障害等級が認定されるポイントは?

症状固定とした場合、主治医に自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書(以下「後遺障害診断書」とします)を作成してもらい、後遺障害等級の申請をしていくことになります。

では、具体的には、どうすれば後遺障害等級が認定されるのでしょうか?

後遺障害等級の認定は、損保料率機構が行うといいましたが、この審査は原則として、書面による審査です。

書面というのは、前述した後遺障害診断書や、治療開始から症状固定までのすべての診断書、診療報酬明細書、検査結果、CTやMRIなどの画像などの医学的な資料です。

これらの資料を損保料率機構に送付します。

しかし、ただ資料を全部提出すれば等級が認定される、という簡単なものではありません。

後遺障害等級が認定されるためには、自分のどの部位のどのような症状が、自賠責後遺障害等級表の何級何号に当てはまる可能性があるのかを把握し、その等級が認定されるために必要な要件を満たす医学的な資料を集めることが必要です。

そして、自分で感じる症状のことを「自覚症状」、医師の診断や検査結果や画像など医学的な資料のことを「他覚所見」といいますが、後遺障害等級が認定されるためには、この自覚症状と、その自覚症状を裏付ける他覚所見が必要になります。

たとえば、足を骨折して、足関節が動かしづらくなったという後遺症が残った場合には、まずは足を動かしづらいという自覚症状があることになります。

この自覚症状に当てはまる可能性のある後遺障害等級は、12級7号の「1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」、あるいは10級11号の「1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」の2つあるということを調べます。

また、この程度に至っていない場合には、14級9号や12級13号なども検討することになります。

さて、足関節が動かしづらい、という場合ですが、12級と10級では、10級の方が重い後遺障害ということになります。

後遺障害等級の表の記載上は、「著しい」という文言が入っているかどうかの違いだけです。

しかし、実際に後遺障害等級が認定されるための要件は、12級7号の場合は、「骨折した側が健康な側の4分の3に可動域が制限されていること」、10級11号の場合は、「骨折した側が健康な側の2分の1に可動域が制限されていること」となっています。

後遺障害診断書に、ただ「足関節骨折」と記載してあるだけでは上記の後遺障害等級は認定されません。

医師に、足関節の可動域に関する屈曲・伸展、外転・内転、外旋・内旋等の検査をしてもらって、それぞれ何度になるかを記載してもらい、その可動域が4分の3に制限されているのか、2分の1に制限されているのかがわかること、レントゲン画像などで骨折が確認できること、が必要です。

このような検査や画像の診断を、何も言わなくても医師が率先してやってくれるわけではありません。

当たり前のことですが、医師は治療を行うのが仕事ですので、交通事故の後遺障害等級のことをよく知らないというのが普通です。

ですので、医師が必要な検査をしてくれていないのであれば、被害者が自分で検査の依頼をして、後遺障害診断書に結果を記載してもらう必要があります。

交通事故で多いむち打ちの場合は、目に見えにくい症状であることもあって、さらに認定が難しくなっています。

むち打ちで痛みやしびれなどの後遺症が残った場合に該当する可能性のある後遺障害等級は14級9号か12級13号ですが、後遺障害診断書に、「頚椎捻挫、肩の痛みあり」などとしか書かれていない場合は、14級すら認定される可能性が低いです。

むち打ちで12級13号が認定されるためには、MRI画像で神経根の圧迫等が確認でき、神経学的検査で画像と整合性のある個所に陽性の結果がでていることが必要ですので、これらの所見や検査結果が後遺障害診断書に記載されている必要があります。

14級9号に認定されるためには、画像や神経学的検査では証明できないけれども、ケガをしたときの状態や治療の経過、自覚症状の経過等から症状の継続性、一貫性があり、症状が事故によるケガが原因であることが医学的に推定できることが必要ですので、それらが確認できるような後遺障害診断書や診断書等を提出しなければならないのです。

被害者がこのようなことを知らずに、自覚症状や他覚所見の記載が不十分なまま資料を提出して後遺障害等級の申請をしてしまうと、適正な後遺障害等級が認定されない可能性がありますので注意してください。

「被害者請求」と「事前認定」の違いとは?

損保料率機構に後遺障害等級認定を申請する方法には、「被害者請求」と「事前認定」という2つの方法があります。

なお、損保料率機構は、後遺障害等級認定の具体的な調査を自賠責調査事務所に依頼しているため、申請先は加害者の加入している自賠責保険会社になります。

被害者請求とは、被害者が、直接加害者の加入している自賠責保険会社に申請する方法です。

事前認定とは、加害者の任意保険会社を通して、自賠責保険に申請する方法です。

任意保険は、自賠責保険では足りない部分を補うものですので、自賠責保険金がいくら支払われるのか、すなわち後遺障害等級は何級なのかというのは任意保険会社にとっても気になるところです。

なので、最終的な示談の前に自賠責保険の判断を事前に確認しておくという意味で、事前認定というのです。

被害者請求の場合は、被害者が自分で資料を集めなければなりませんので、手間はかかりますが、手続の流れや、提出する書面を自分で把握できるというメリットがあります。

また、後遺障害等級が認定された場合には、後遺障害等級に基づいた自賠責保険金が被害者に支払われますので、最終的な示談の前にまとまった金額を手にすることができ、余裕をもって示談交渉を行うことができます。

反対に、事前認定の場合には、加害者の任意保険会社が手続をやってくれますので、手間がかかりません。

しかし、どのような書類が提出されているのか被害者にはわかりませんので、提出書類に不足がないかどうかを確認することができません。

また、後遺障害等級が認定された場合の自賠責保険金もいったん保険会社に入りますので、最終的な示談まで被害者には支払われません。

どちらの手続を選ぶかは被害者の自由ですが、上記のメリットやデメリットを考えて手続を選択することになります。

既にご説明したように、後遺障害等級が認定されるためには、自分のどの症状がどの後遺障害等等級に該当するのか、その等級が認定されるために必要な要件は何かを把握して、それに必要な自覚症状と他覚所見という医学的な資料を提出しなければなりません。

不足があると適正な後遺障害等級が認定されませんので、不足がないかどうかよく確認し、不足がある場合には医師に新たな検査をお願いするなど、被害者が積極的に資料を集める必要があるのです。

そのためには、被害者請求で被害者側が主導権を握っている方が望ましいといえるでしょう。

また、保険会社は後遺障害等級が認定されやすいようにというアドバイスや配慮はしてくれません。

後遺障害等級が認定されると、後遺障害についての慰謝料や逸失利益などが発生するため保険会社が支払う損害賠償金が増えてしまうので、なるべく支払う金額を低く抑えたいと思っている保険会社としては、後遺障害等級が認定されない方が会社の利益になります。

したがって、事前認定で後遺障害等級を受けた場合は、交通事故を得意とする弁護士に等級が適正かどうかを相談することをおすすめします。

なお、被害者請求は、被害者から委任を受けた者も請求することができますので、被害者請求を弁護士等に依頼して行うこともできます。

後遺症に詳しい弁護士に被害者請求を依頼することで、手間もかかりませんし、必要な検査や医師の所見など、不足している資料のアドバイスもできるため、後遺障害等級が認定される確率が上がると思います。

後遺障害等級が間違っていた場合にできる異議申立とは?

後遺障害等級が間違っている、というのは後遺症が正しく評価されていない、ということです。

既に述べたように、自分の目指す後遺障害等級の要件を満たす資料を漏れなく提出していれば、後遺症が正しく評価されて目指した後遺障害等級が認定されると思いますが、事前認定で任意保険会社に任せきりで、どのような書類を提出しているのかまったく知らなかったり、被害者請求を自分で行ったけれども、要件を満たす資料に漏れがあったりした場合には、後遺障害等級が認定されなかったり、実際の症状の程度よりも軽い等級になってしまったりすることがあります。

そうすると、適正な後遺障害等級が認定されれば支払われるはずの後遺症慰謝料や逸失利益等が支払われません。

そこで、そのような場合には、もう一度審査してもらうために、損保料率機構に異議申立をすることができます。

異議申立は、何度でもでき、決まった書式があるわけではありません。

しかし、この認定には納得できないという不満や、いかに自覚症状がつらいかなどについて書いた書面をいくら提出しても、結果が変わることはありません。

異議申立をして望む結果を手に入れるためには、「なぜ後遺障害等級が認定されなかったか」、あるいは認定されているとしても、「より軽い等級になってしまっているのはなぜか」、という回答の理由をよく検討し、その理由を覆すような新たな医学的な証拠を提出しなければなりません。

たとえば、後遺障害等級が認定されなかった理由が、「他覚的所見に乏しい」ということであれば、新たな検査結果や画像、医師の診断書、意見書等の書面を提出して他覚的所見を補う必要があるということになります。

交通事故で後遺症が残った場合の損害賠償の内訳は?

交通事故でケガをした場合の損害賠償の内訳は、治療費、入通院付添費、通院交通費、休業損害、入通院慰謝料等があります。後遺症が残って、自賠責後遺障害等級が認定された場合には、さきほどのケガをした場合の損害賠償に加え、さらに後遺症逸失利益と後遺症慰謝料を請求することができるようになります。

後遺症逸失利益とは、後遺障害を負ったことによって、事故前と同じ労働ができなくなったことにより失われる利益のことです。労働能力の低下の程度、収入の変化、将来の昇進や転職、失業などの不利益の可能性、日常生活上の不便などを考慮して算定されます。

後遺症慰謝料とは、後遺障害を負ったことによって被った精神的、肉体的苦痛を慰謝するためのものです。

交通事故で後遺症が残った場合の自賠責金額について

自賠責保険とは、自動車を運転する者が法律で加入を義務付けられている強制保険です。後遺症が残った場合の自賠責金額については、自動車損害賠償保障法施行令という法律により、後遺障害等級に応じて以下のように定められています。

①自動車損害賠償保障法施行令別表第1の場合

後遺障害等級 保険金額
1級 4000万円
2級 3000万円

②自動車損害賠償保障法施行令別表第2の場合

後遺障害等級 保険金額
1級 3000万円
2級 2590万円
3級 2219万円
4級 1889万円
5級 1574万円
6級 1296万円
7級 1051万円
8級 819万円
9級 616万円
10級 461万円
11級 331万円
12級 224万円
13級 139万円
14級 75万円

交通事故における3つの基準とは?

交通事故による損害賠償額を計算する際には、3つの基準があります。
それは、①自賠責基準、②任意保険会社基準、③裁判基準といわれるものです。

①自賠責基準とは、自賠責保険に基づく基準のことです。
上述したように、自賠責保険とは、自動車を運転する者が法律で加入を義務付けられている強制保険で、支払われる金額については、自動車損害賠償保障法施行令という法律で定められています。
自賠責保険は、いわば必要最低限の保険であり、その自賠責保険ではカバーしきれない部分を補うものとして任意保険があります。

②任意保険会社基準とは、任意保険会社が損害賠償額を算定するときに使う保険会社内部の基準のことです。
内部的な基準なので、明確な基準が公表されているわけではありませんが、自賠責基準と裁判基準の間で設定されています。

③裁判基準とは、実際の交通事故の裁判の事例から導き出された、裁判をした場合に認められうる基準のことです。

裁判基準は3つの基準の中ではもっとも高額となります。
内容については、日弁連交通事故相談センター東京支部が毎年発行している「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(表紙が赤いため、通称「赤い本」と呼ばれています)という書籍に記載されています。裁判所や弁護士は、この赤い本を参考に損害賠償額を算定しています。

交通事故で後遺症が残った場合の慰謝料の基準一覧

交通事故で後遺症が残った場合、上記の基準の中でもっとも高額となる裁判基準による慰謝料額は以下のようになっています。

後遺障害等級 慰謝料
1級 2800万円
2級 2370万円
3級 1990万円
4級 1670万円
5級 1400万円
6級 1180万円
7級 1000万円
8級 830万円
9級 690万円
10級 550万円
11級 420万円
12級 290万円
13級 180万円
14級 110万円

上記は目安の金額であって、実際には事故態様、加害者の態度、後遺症の程度等の個別の事情に応じて慰謝料額が決められます。

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交通事故で後遺症が残ったら、必ず弁護士に相談

後遺症では、医学的知識が不可欠

後遺症の程度や、後遺障害等級に該当するかどうかを判断するには、症状の程度、診断内容、治療内容などを、後遺障害診断書、診療報酬明細書、画像などの資料から把握する必要があります。

そのためには、診断書等に書かれていることが何を意味するのかわからなければなりませんので、当然ながら医学的な知識が必要とされます。

特に、頭部外傷を原因として、認知障害、行動障害、人格変化等の後遺症が起きる高次脳機能障害などは、高度な医学的知識がないと後遺症の証明が困難であるといえます。

後遺症では、自賠責後遺障害等級認定の知識が不可欠

後遺障害等級が認定されるためには、被害者のどの部位のどのような症状が、後遺障害等級表の何級何号に当てはまる可能性があるのかを把握し、その等級が認定されるために必要な要件を満たす医学的な資料を集めることが必要であるとご説明しました。

後遺障害等級の種類は多岐にわたっており、ケガや後遺症の内容も人によってさまざまですので、自分の症状がどの等級に当てはまるのか、というのを見つけることすら、普通の被害者の方には難しいと思います。

ましてや、その等級が認定されるために必要な要件はなにか、ということは、自賠責後遺障害等級認定の知識がなければすぐにわかるものではありません。

交通事故の後遺症では、裁判になった時に認められる金額の予測が不可欠

後遺障害等級が認定されるためには、被害者のどの部位のどのような症状が、後遺障害等級表の何級何号に当てはまる可能性があるのかを把握し、その等級が認定されるために必要な要件を満たす医学的な資料を集めることが必要であるとご説明しました。

裁判になったときに認められる金額というのは、上記でご説明した裁判基準のことですが、自分の場合の裁判基準による損害賠償額がいくらくらいになるのか、という予測をたてることが必要になってきます。

予測をたてられないと、保険会社との示談交渉の際、保険会社が提示をしてきた損害賠償金額が適正な金額なのかどうかという判断ができないからです。

しかし、実際に、一般の被害者の方が金額の予測をするというのはとても難しいと思います。

たとえば、むち打ちで後遺障害等級12級13号に認定された被害者(40歳既婚男性、年収500万円とします)が、保険会社から、「今回の事故による後遺症に関する慰謝料は240万円、逸失利益は300万円なので、後遺障害部分の損害賠償額は540万円です」と言われた場合に、この金額が適正な金額なのかどうかすぐに判断できるでしょうか?

判断できないのが普通だと思います。

裁判基準によれば、この被害者の例では、後遺症慰謝料12級では290万円です。

逸失利益は、被害者の基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数という計算式で求められ、収入500万円、労働能力喪失率14%、就労可能年数10年だとすると、

500万円×0.14×7.7217=5,405,190円

となり、慰謝料を併せた後遺障害部分の損害賠償額は8,306,190円となります。

保険会社の提示額が540万円なのに対し、裁判基準によると約830万円なので、300万円近く差があることになります。もし保険会社の提示額のまま示談をしてしまったら、300万円も損をしてしまうのです。

ですから、この場合は、「保険会社の提示額では示談できない、裁判基準によると830万円になるからこの金額を請求する」と保険会社に主張しなければなりません。

また、後遺症の程度が重く等級が高い場合、損害賠償額も高額になってきますので、保険会社の提示額と裁判基準との差もさらに大きくなってきて、何千万円もの差がでることもあります。

ですので、保険会社の提示額が適正かどうかを判断するためには、裁判基準による金額がいくらになるのか、という予測が不可欠になるのです。

以上のように、後遺症が残ってしまった場合に、被害者が適正な損害賠償を受けるためには、医学的知識や、自賠責後遺障害等級認定のための要件などの知識、損害賠償金の算定に関する知識などが必要になります。

通常の被害者の方でこのような知識を持っている方はほとんどいないと思いますので、損をしないためにも、後遺症が残ってしまった方、後遺障害等級の申請をしたい方、異議申立をしたい方、保険会社の提示額が適正な金額かどうかわからない方などは、一度は交通事故に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。

交通事故被害で裁判して得する人、損する人

交通事故で後遺症が残った場合に相談すべき弁護士の選び方

交通事故により後遺症が残った場合には必ず弁護士に相談した方がよいと言いましたが、弁護士ならば誰でもいいというわけではなく、交通事故に詳しい弁護士である、というのがポイントです。

これまでご説明してきたように、交通事故で後遺症が残った場合には、解決までに、医学的な知識や自賠責後遺障害等級に関する知識、後遺症に関する裁判基準、保険の知識など、かなり専門的な知識が必要になってくるので、交通事故の案件に慣れていない弁護士では、正しい判断ができなかったり、間違った判断をしてしまったりする可能性があるからです。

交通事故に詳しい弁護士の探し方ですが、やはり最初はインターネットで検索される方が多いと思います。「交通事故 後遺症 弁護士」などのワードを入力して、表示されたホームページなどを見ることになりますが、その際、注意してみるポイントがいくつかあります。

交通事故の後遺症に関しては経験と知識がものをいいますので、まずは、交通事故に関する相談件数や、実際にその法律事務所で解決した後遺症の事例などが掲載されているか、解決事例がたくさんあるかどうかを確認します。

他には、依頼者の具体的な感想などが掲載されていれば、参考になるでしょう。

また、一部の弁護士にしか当てはまらないので必ずというわけではありませんが、交通事故の専門家としてテレビや新聞、雑誌などのメディアから取材を受けた実績がある弁護士であれば、より安心して相談できると思います。

さらに、もし交通事故の後遺症に関する専門書などの出版実績があれば、後遺症に関して高度な知識がある弁護士であるといえると思います。

もう一つ重要な点は、依頼したときの弁護士費用がわかりやすいものかどうかということです。

せっかく弁護士に依頼したのに、弁護士費用の方が高くついて損をしたなどということにならないようにしてください。

現在では、相談料が無料の法律事務所もたくさんありますので、何人かに相談してみて、よく質問をし、その中で自分が一番信頼できると思った弁護士に依頼するという方法をとってもいいと思います。

みらい総合法律事務所では、死亡事故と重度の後遺障害の事案のみを受任し、専門性を高めておりますので、該当する場合は、ぜひ相談してください。

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