交通事故で後悔しないための弁護士を選ぶ前の5つの注意点

最終更新日 2023年 07月24日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

交通事故で弁護士に頼む前に確認すべき5つのポイント

この記事を読むとわかること

交通事故の被害に遭った場合には、加害者の刑事事件への関与や病院での治療、民事の示談交渉など、やらなければならないことがたくさんあります。

また、はじめの経験が多いでしょうから、わからないことも多いでしょう。

そんな中で、法律のプロである弁護士への相談は必須と言えます。

しかし、実際に依頼するとなったら、話は別です。

交通事故を弁護士に依頼する前に確認しておきたい点が5つありますので、解説します。

この記事を読むと、次のことがわかります。

☑交通事故を弁護士に相談すべき理由
☑弁護士への相談と依頼の区別
☑後遺障害等級認定について
☑弁護士に相談するメリット
☑弁護士に依頼してはいけないケース
☑相談すべき弁護士の選び方

ぜひ、最後まで読んでください。
【動画解説】交通事故で弁護士に依頼して後悔する場合とは?

交通事故解決までのプロセス解説

交通事故の被害に遭った時には、刑事事件、葬儀、治療、民事の示談交渉など、様々な手続が必要となります。

交通事故解決までのプロセスは、おおむね、次のように進んでいきます。

このように、交通事故の処理は、タイミングにより、適切に対応していくことが必要となってきます。

刑事事件での対応


交通事故では、被害者が怪我をしたり、死亡したり、というような被害が発生します。

これは、加害者の不注意、つまり過失により発生したものなので、過失運転致死傷罪などの要件に該当する可能性があります。

そこで、まず加害者に対する刑事事件の捜査が行われることになります。

被害者も事故の状況を説明する実況見分調書の作成や供述調書の作成などで協力をすることになります。

死亡事故など重大な事故の場合には、加害者の刑事裁判に参加する「被害者参加制度」を利用して、刑事裁判に参加することもできます。

この場合、どのように参加し、どう行動すれば良いのかわからないと思いますので、必ず弁護士に相談しながら進めていくようにしましょう。

また、刑事事件中に民事の示談が成立すると、「示談により被害者感情がおさまった」として刑罰が軽くなることがありますので、刑事事件と民事事件のタイミングも注意が必要です。

この点も弁護士と相談しながら進めていくのが良いでしょう。

示談交渉は治療が終了してから

怪我の場合には、刑事事件と並行して治療を行います。

治療を行いながら、治療費や休業補償を保険会社から受けていくことになります。

健康保険は使って治療費を抑えた方がいいでしょう。

示談交渉のタイミングですが、治療が全て終了してから開始することになります。

示談というのは、交通事故による損害について、損害賠償を全て終わりにする、ということです。

損害賠償の中には、治療費も含まれるわけですから、治療が全て終わらないと、損害額が確定しないためです。

したがって、治療の途中で示談交渉を始めようとしても無駄なので、やめて治療に専念するようにしましょう。

【参考記事】
交通事故の被害者参加制度とは

示談交渉は後遺障害等級が確定してから


怪我の治療が終了しても、後遺症が残ってしまう場合があります。

その場合には、治療が終了してすぐに示談交渉を開始することはできません。

なぜなら、損害賠償の中には、後遺症が残ったことによる慰謝料や逸失利益など、後遺症の程度によって計算方法が異なる損害があるためです。

そこで、後遺症がどの程度重いのか、を判定する手続が必要となります。

それが、自賠責の後遺障害等級認定の手続です。

後遺障害等級は、1級から14級までに区分されていて、損害保険料率算出機構という第三者機関が判定するのですが、被害者が自分で手続をする「被害者請求」の手続と、保険会社に手続を代行してもらう「事前認定」の手続があります。

後遺症の内容やそれぞれのメリットデメリットによって手続を選択していくことになります。

これも弁護士に相談しながら進めていきましょう。

そして、この後遺障害等級認定は、間違っていることがあります。

そうすると、後遺症に関する損害の計算も間違ったものになり、被害者が損をすることになってしまいます。

そこで、後遺障害等級認定が間違っている場合には、「異議申立」の手続により、是正を図っていくことになります。

異議申立については、自賠責後遺障害等級認定システムについて熟知し、かつ、医学的知識も必要になるので、弁護士に代行してもらうことをおすすめします。

【参考記事】
正しい後遺障害等級認定がされる人、されない人の違いとは

弁護士に頼むとどの程度増額するか


ここで、みらい総合法律事務所が実際に解決した増額事例をご紹介します。

まずは、【死亡事故】です。

19歳の女性が、交通事故により、死亡しました。

保険会社がご遺族に提示した示談金は、5351万0802円。

ご遺族が交渉しても増額しないため、みらい総合法律事務所に示談交渉を依頼しました。

弁護士が保険会社と交渉した結果、慰謝料と逸失利益を増額し、最終的に、7924万2647円で解決しました。

保険会社がご遺族に提示した金額から、約2600万円も増額したことになります。

次に、【後遺障害】です。

72歳男性が、交通事故により傷害を負い、高次脳機能障害の後遺症を残して症状固定しました。

自賠責後遺障害等級は、2級1号に認定されました。

保険会社は、被害者に対し、示談金として、29,898,878円を提示しました。

そこで、被害者がみらい総合法律事務所に示談交渉を依頼しました。

最終的には、裁判になりましたが、8100万円で解決しました。

保険会社が提示した示談金額から約5100万円も増額したことになります。

このように、弁護士に依頼することで大幅に示談金が増額することが実際にあることを憶えておきましょう。

弁護士が示談交渉すると示談金が増額する理由について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

【参考記事】
交通事故で弁護士が示談交渉すると慰謝料が増額する理由

弁護士に頼む前に確認する5つのポイント


以上のように、刑事事件での助言、後遺障害等級認定や異議申立の代行、示談代行など、弁護士に依頼するメリットは、とても大きいものがあります。

しかし、なんでもかんでも弁護士に依頼した方がよい、というわけではありません。

ここでは、交通事故を弁護士に頼む前に確認しておくべき5つのポイントについて説明していきたいと思います。

正式依頼の前に相談だけする

弁護士に依頼するメリットは大きいのですが、だからといって、すぐに依頼する必要はありません。

弁護士に依頼した方がいいケースと依頼の必要がないケースがあります。

また、弁護士といっても得意不得意があり、交通事故が苦手な弁護士や交通事故を扱ったことのない弁護士もいます。

さらには、弁護士も人間ですので、弁護士との相性の問題もあります。

そこで、正式に依頼する前に、まずは法律相談をすることをおすすめします。

つまり、「相談」と「依頼」を分けて考えて、ツーステップで検討する、ということです。

実際に会って相談すれば、自分と相性が良さそうさかどうか、交通事故の知識が豊富か、自分のケースがどう決着しそうか、などがわかりますので、それを踏まえて依頼するかどうかを決めるのです。

依頼をする目的を明確にする

弁護士に相談をし、実際に依頼する前には、依頼をする目的を明確にするようにしましょう。

後遺障害等級認定が難しいので代行してもらい、その後も全て代行して欲しい、というのか、煩わしい示談交渉から解放されたいのか、あるいは、とにかく金額を増額して欲しいのか、依頼の目的を明確にしましょう。

全てをかなえて欲しい、と言っても、ケースバイケースなので、期待はずれに終わることがあります。

たとえば、とにかく金額を増額して欲しい、と思っているのに、ある程度いい示談金がでてていて、あと少し増額しそうな場合、弁護士費用を差し引くとマイナスになってしまうケースもあるでしょう。

そのような場合には、希望と異なる結果になってしまいます。

そこで、事前相談でそのあたりをよく相談するようにして、依頼する目的を明確にするようにしましょう。

増額するかどうか判断してもらう

示談金額を増額して欲しい、ということであれば、依頼の前に、増額するかどうかを判定してもらう必要があります。

その段階で依頼する、ということになれば、すでに示談金額が提示されている段階なので、なるべく充実した資料を弁護士に提出して、判定してもらうことになります。

また、増額するかどうか判断してもらうには、自賠責後遺障害等級が正しいことが前提です。

したがって、等級認定のために提出された資料や等級認定の結果通知なども持参することになります。

その結果、後遺障害等級認定が間違っている、ということであれば、示談交渉の前に、「異議申立」から依頼をしていくことになるためです。

弁護士費用を必ず確認する

次に確認すべきは、弁護士費用です。

弁護士に交通事故の示談交渉を依頼して、増額しても、弁護士費用を差し引いたらマイナスだった、というのでは、頼んだ意味がない、という場合もあるでしょう。

また、終わった後に思ってもみない高額の弁護士費用を請求されて驚く、というような事態も避けたいところです。

そこで、弁護士に正式に依頼する際には、必ず弁護士費用の計算方法を確認し、納得の上依頼するようにしましょう。

また、口約束ではなく、必ず契約書という書類の形式にして、契約書の中に計算方法を書いてもらうようにしましょう。

報酬の定め方を「甲乙協議の上、決定する」など、曖昧な形にしないことが大切です。

【参考記事】
交通事故の弁護士費用の相場と加害者に負担させる方法

交通事故に強い弁護士かどうか確認する


最後に、とても重要な点ですが、交通事故を依頼する際には、交通事故に強い弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士にも得意不得意がありますので、交通事故が得意でない、という人もいます。

交通事故を扱ったことが少ない弁護士もいるでしょう。

しかし、交通事故は、法律判例の知識が重要な他に、自賠責後遺障害等級認定のシステムを熟知し、医学的知識があり、裁判所の運用等の知識も重要です。

これらは、日々大量に交通事故を扱っていないと獲得できない知識といってよいでしょう。

そこで、交通事故に強い弁護士を探すことになりますが、主に次のような点に着目してみましょう。

☑交通事故のホームページを持っている
☑交通事故の法律専門書を執筆している
☑弁護士としての経験年数がある程度長い
☑報道番組等から「交通事故の専門家」として取材を受けている

交通事故のホームページを持っていれば、そこから多数の相談を受けていることを推測できます。

そこで、ある程度知識が蓄積されていることが推測できます。

次に、交通事故の法律専門書は、法律出版社から、「交通事故の専門家」と認定されなければ執筆できません。

なぜなら、法律専門書は、裁判官や弁護士が参考にする書籍ですから、同業者が「交通事故の専門家」と思われていなければ、売れないため、出版社が書かせてくれないためです。

ここで、法律専門書というのは、たとえば、みらい総合法律事務所が執筆している

「高次脳機能障害と損害賠償実務」(ぎょうせい)

「脊髄損傷と損害賠償実務」(ぎょうせい)

というような書籍のことです。

次に、交通事故を適切に解決するには、やはりある程度弁護士としての経験年数が必要になっています。

これは担当弁護士でなくても、監督している上司の弁護士の経験年数も結構だと思います。

最後に、報道番組は、本当の専門家に取材をしないと、誤った報道をしてしまいますので、慎重に専門家の認定をします。

そこで、報道番組から「交通事故の専門家」として取材を受けていれば、交通事故に強いのではないか、という推定が働きます。

以上のような観点で、交通事故に強い弁護士を探すようにしましょう。

最後に、交通事故で弁護士に頼む前に確認すべき5つのポイントをまとめておきます。

(1)正式依頼の前に相談だけする
(2)依頼をする目的を明確にする
(3)増額するかどうか判断してもらう
(4)弁護士費用を必ず確認する
(5)交通事故に強い弁護士かどうか確認する

【参考記事】
交通死亡事故に強い弁護士選びでやってはいけない6つのこと

弁護士 谷原誠
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠(東京弁護士会所属)

平成3年 明治大学法学部卒業
平成3年 司法試験合格
平成6年 弁護士登録
平成13年度 東京弁護士会常議員・代議員

共著 「交通事故訴訟における高次脳機能障害と損害賠償実務」(ぎょうせい)
共著 「交通事故訴訟における脊髄損傷と損害賠償実務」(ぎょうせい)
共著 「交通事故訴訟における典型後遺障害と損害賠償実務」(ぎょうせい)
共著 「弁護士がきちんと教える交通事故示談と慰謝料増額」(あさ出版)
共著 「交通事故被害者のための損害賠償交渉術」(同文館出版)

~交通事故案件に対する私の思い~

このページを訪問していただき、誠にありがとうございます。

弁護士の谷原誠です。私は、1996年に弁護士登録をしており、すでに25年以上、弁護士として多数の事件を解決してきました。

私が最初に交通事故に関わったのは、まだ弁護士として駆け出しの頃です。

被害者の方は、後遺障害が残ってしまい、保険会社から示談金額が提示されたので、その金額が妥当かどうか、見て欲しい、ということでした。
私はまだ当時駆け出しだったので、「大手保険会社だから、まずまず適切な金額が提示されているだろう」と思いました。
しかし、内容を検討してみると、適切な賠償金の何分の1しか満たない、とても低い金額が提示されていました。
私は驚きました。

そこで、私はそのことを被害者に告げ、示談交渉の依頼を受けて、保険会社と交渉しました。
弁護士が出ていって、裁判例等を根拠に交渉すれば、さすがに保険会社も適切な金額を認めざるを得ないだろう、と思いました。 ところが、結果は違いました。保険会社は全く譲歩しませんでした。

そこで、私たちは、裁判を起こし、私たちの主張の正当性を立証しました。
その結果は、賠償金は何倍にも増額しました。

私は思いました。 「世の中の多くの被害者は、保険会社が提示する金額を正しいものだと誤解して示談している例がたくさんあるのでないか。そんなことが許されていいはずがない!」

そこで、私は交通事故に真剣に取り組むようになりました。
その結果、色々なことがわかってきました。

・自賠責後遺障害等級は間違っていることがあり、そのままで示談すると、大変な損をする
・保険会社はたいてい適切な金額より低い金額を提示してくる
・弁護士が示談交渉すると、保険会社が譲歩し、いきなり増額されることが多い

被害者は、何も悪くないのに、交通事故の被害に遭い、痛い思いをし、あるいは愛するご家族をなくし、怒りや悲しみの渦中にいます。
そんな中で、示談交渉のプロである保険会社の担当者と対等に交渉するのは大変だと思います。

私たちは、そんな被害者の皆様のお役に少しでも立ちたいと願っています。
ぜひ、ご相談ください。そして、被害者の方は、決して損をしないようにしてください。


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