突然の飛び出し交通事故の責任は?

最終更新日 2015年 11月10日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

Q.夜間道路を運転中に、いきなり男性が道路に飛び出してきたため、ブレーキを踏みましたが、避けきれず男性に衝突してケガをさせてしまいました。後で事情を聞いたところ、男性は事故当時かなり酔っぱらってふらふら歩いていたそうです。私は法定速度を守って運転しており、酔っぱらって突然飛び出してきたのは男性の方なので、私に非はないと思うのですが、私が責任をとらなければならないのでしょうか?

飛び出し交通事故に関し、弁護士が解説します。


法律に関する理論で、「信頼の原則」という理論があります。これは、交通関与者(運転手や歩行者など)は、他の交通関与者が交通法規に従って適切な行動をとるだろうと信頼するのが相当な場合には、たとえ他の交通関与者が交通法規に違反した不適切な行動をとって、それにより交通事故などの結果が発生したとしても、それについて責任を負わないという原則です。

たとえば、歩行者が自殺することを目的として、突然交通量の多い道路に飛び出してきて交通事故を起こしてしまった場合、歩行者を轢いてしまった運転手には、この信頼の原則が適用され、過失責任なしと判断される可能性が高いことになります。

しかし、ただ歩行者が突然飛び出してきただけという理由だけで、簡単に運転手に責任なしとは判断されません。

自動車と歩行者は、強者と弱者の関係にあり、弱者保護、つまり被害者保護という観点からも、交通事故では、自動車運転手へ課される注意義務は大きく、その分、簡単に免責されない仕組みとなっているからです。

交通事故で、運転手にまったく責任がないとすれば、被害者には一切保険金が支払われないことになりますので、被害者にあまりに酷なため、実際には、運転手にも過失ありとして、過失割合の問題として解決するのが現状です。

今回の質問の場合でも、たとえば、交通事故現場周辺が飲み屋街であり、酔っぱらった人が周り他にもいたような状況の場合には、そのような人たちが道路に飛び出してくる可能性はまったくないとも言えず、法定速度よりも遅い速度でゆっくりと注意しながら走行すべきであったと判断される可能性があるでしょう。その場合は、運転手にも過失ありとされ、損害賠償責任が発生します。

なお、運転手の責任なしとした裁判例としては、信号機のない交差点で、渋滞している車両の間から5歳の男児が飛び出し、対向車線の自動車に衝突されて死亡した事案で、男児の飛び出しは突然で予期できぬ状況であり、運転手に対し、自車の進路直前に突如飛び出してくるものを予見しこれに対処することまで要求することは困難であるとして、自動車運転手に自賠法3条但書の免責を認めたものがあります(最高裁 昭和45年1月22日判決)。

 

「交通事故の被害者が弁護士に相談すべき7つの理由と2つの注意点」は、こちらです。
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