交通事故の自賠責保険手続について弁護士が回答します

最終更新日 2016年 02月05日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

質問

交通事故の被害者で、自賠責保険を請求したいのですが、具体的な手続きを教えてください。

弁護士の回答

被害者請求について

交通事故の被害者が、加害者の自賠責保険会社に自賠責保険を請求することを、被害者請求といいます。

これに対し、交通事故の加害者が被害者に損害賠償金を支払った後に、保険会社に保険金を請求することを、加害者請求といいます。

被害者請求は、被害者救済の観点から、当面の治療費や生活を確保するために、治療費や休業損害を治療中の場合でも請求することができますが、加害者は、示談が成立して被害者に損害賠償金を支払った後や、治療費や休業損害を支払った後など、実際に被害者に支払をした後でなければ請求できません。

被害者請求に必要な書類

被害者請求に必要な主な書類には以下のものがあります。

  1. 保険金(共済金)・損害賠償額・仮渡金支払請求書
  2. 交通事故証明書(人身事故)
  3. 事故発生状況報告書
  4. 医師の診断書または死体検案書(死亡診断書)
  5. 診療報酬明細書
  6. 通院交通費明細書
  7. 付添看護自認書または看護料領収書
  8. 休業損害証明書または確定申告書(控)など
  9. 請求者の印鑑証明
  10. 委任状および委任者の印鑑証明(第三者に委任する場合)
  11. 戸籍謄本
  12. 後遺障害診断書
  13. レントゲン写真等

各書類について、説明します。

保険金(共済金)・損害賠償額・仮渡金支払請求書

保険金支払請求書は、加害者の自賠責保険会社から書式をもらって、事故年月日、被害者名、加害者名、連絡先、保険金の振込口座など必要事項を記入します。

加害者の自賠責保険会社は、交通事故証明書に記載があります。

交通事故証明書には、自賠責保険会社名のみで、保険会社の連絡先などの記載はありませんが、インターネットで保険会社のホームページをみて電話をかけ、交通事故の被害者で、被害者請求をしたいと言えば、担当を教えてくれたり、必要書類を郵送してくれたりと対応してくれます。

交通事故証明書(人身事故)

交通事故証明書は、各都道府県にある自動車運転安全センターに申請します。

警察署やセンターに備え付けてある交付申請書に必要事項を記入して提出するか、センターのホームページからインターネットで申請することもできます。

交付手数料は1通につき540円です。

交通事故証明書は、事故を警察に届けていないと発行できません。

あるいは、被害者が自分で申請しなくても、既に加害者の任意保険会社が入手している場合もありますので、その場合には保険会社にコピーを送ってもらうように頼めば大丈夫です。

なお、自賠責保険は、人身事故の場合のみ請求できますので、物損事故の場合は適用されません。

事故が比較的軽微で、当初物損事故の扱いをされたが、後に痛みなどがでてきて通院した場合は、人身事故に訂正してもらうように警察に届け出るか、「人身事故証明書入手不能理由書」という書面を記入して提出し、事故が原因で治療したことがわかる診断書も一緒に提出していれば、通常は問題にはなりません。

事故発生状況報告書

事故発生状況報告書は、事故の原因、状況、現場の見取り図などを記載したものです。

自賠責保険会社から送られてくる書式に手書きで記入したものでもいいですし、自分でパソコンなどで作成したものでもかまいません。

そこまで正確なものでなくても、通常は大丈夫です。

医師の診断書または死体検案書(死亡診断書)

交通事故が原因で治療を行ったことがわかる診断書を、治療を受けた病院で出してもらいます。

死亡事故の場合には、死体検案書になります。

診療報酬明細書

診断書と同様、治療を受けた病院で出してもらうものです。

レセプトともいいます。

傷病名、治療内容、通院日、入院日、診療単価、支払者などが記載されています。

通院交通費明細書

通院に交通費がかかった場合に提出します。

電車、自動車、タクシーなどを使った場合です。

なお、タクシーを利用する場合は、医師からタクシー通院をすすめられた、ケガの状態や病院と自宅との位置関係から電車などの移動は難しい場合など、やむを得ない事情が必要です。

領収書も提出する必要があります。
付添看護自認書または看護料領収書

幼児や高齢者の場合や、傷害が重傷である場合など、通院や入院の際の付添や看護の必要があった場合です。

休業損害証明書または確定申告書(控)など

治療のため休業した場合は、給与所得者は雇い主に休業損害証明書を書いてもらいます。

自営業者の場合は、税務署や市区町村が発行する納税証明書、課税証明書、あるいは事故前に提出した確定申告書控えが必用です。

請求者の印鑑証明

自賠責保険の受領者が本人であることを証明するために必要です。

印鑑登録している市区町村から取り寄せます。

委任状および委任者の印鑑証明(第三者に委任する場合)

自賠責保険の請求を第三者に委任する場合には、被害者から委任者に保険金の請求及び受領を委任する旨の委任状と、委任者の印鑑証明が必要です。

戸籍謄本

死亡事故の場合、被害者と保険金の請求権者との関係を確認するために必要です。

本籍のある市区町村から取り寄せます。

後遺障害診断書

後遺障害が残った場合、病院で後遺障害診断書を作成してもらいます。

後遺障害診断書や診断書に、傷病名や自覚症状、後遺障害の程度、レントゲンやMRIの画像の診断結果、検査結果などの他覚所見がきちんと書かれていないと、後遺障害等級が認められず後遺障害に関する保険金がでない場合がありますので、注意が必要です。

レントゲン写真等

レントゲンやMRIなどを撮影した場合には必要です。

特に、後遺障害の請求をする場合、傷害の程度を証明するためには重要です。

以上のうち、病院で作成してもらうものや、戸籍や印鑑証明など自分で取り寄せる書類を除けば、書類の書式は保険会社からもらうことができます。

加害者の自賠責保険会社に、被害者請求の書類一式をくださいと伝えれば大丈夫です。

また、もし書類が不完全だったとしても、保険会社から連絡がきて、言われた書類を後から提出すれば問題ありません。

自賠責保険金(被害者請求の場合は、「損害賠償額」と言います)が振り込まれるまでの期間

申請後保険金が支払われるまでの期間は、保険会社や、個別の事故の事情などによって変わります。

1週間以内に振り込まれることもあれば、後遺障害の事案など保険会社の方で調査が必要であったり、書類が足りずに追加が必要である場合などは、1ヵ月~3ヵ月くらいかかる場合もあります。

さらに、高次脳機能障害など認定が難しい場合には、半年もかかることもあります。

1ヵ月を過ぎてもなにも連絡がない場合には、保険会社に電話をして進捗状況を確認してみてもいいでしょう。

以上、弁護士が解説しました。

自賠責保険の手続についてわからない場合には、弁護士に相談しましょう。

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