正しい後遺障害等級が認定される人、されない人の違い

最終更新日 2021年 08月01日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

目次

この記事を読むと次のことがわかります

まず、あなたに知っておいていただきたいことは、後遺障害等級が間違っていると、被害者の方は、事故により怪我などの損害を被った上、適正な賠償額を得られずさらに損害を被る、ということです。

現実に、後遺障害等級が間違って認定されることが起こっています

私たち、みらい総合法律事務所では、年間1000件以上の被害者の方々から相談を受け、多くの交通事故の損害賠償事件を解決してきました。

そこで、この記事では、正しい後遺障害等級が認定される人、されない人の違いについて、まずは実際に私たちが依頼を受け、解決したオリジナルの事例などを紹介しながら、

・自賠責後遺障害等級が正しく認定されることの重要性
・後遺障害等級が正しく認定されるための方法

などについて解説していきたいと思います。

この記事を読むと次のことがわかります。

交通事故における後遺症と後遺障害等級の意味
後遺障害等級が間違っていると、どのくらい損をするのか
自分の後遺障害等級は何級か?
後遺障害等級認定の手続
後遺障害等級認定で重要なこと
後遺障害等級が間違っていた場合の対処法
後遺障害で高い慰謝料を受け取る方法
後遺障害等級認定を弁護士に相談したほうがいい本当の理由

交通事故で後遺症が残ってしまった方には、きっと役立つ情報です。

ぜひ、最後まで読んでください。

まずは、動画で確認してみましょう。

交通事故における後遺障害等級認定とは?

交通事故でケガをした場合、まずは保険会社から治療費等を払ってもらいながら治療をすることになります。

そして、治療をしつつも、その間に警察の事情聴取等に対応しなければなりません。

しかし、ケガが完全に治らず「症状固定」となり、「後遺症」が残ってしまうことがあります。

その場合には、これからの人生で苦痛が続くわけですから、その分の慰謝料などを支払ってもらう必要がありますが、そのためには「どの程度重い」後遺症なのかを判定しなければなりません。

それが、「後遺障害等級認定」です。

後遺障害等級は、交通事故でケガをした被害者に残った後遺症を、ケガをした部位や程度により類型化した表に基づいて評価し、〇級〇号というように認定されます。

後遺障害等級は1級~14級までに区分されていて、1級がもっとも重い後遺障害で、慰謝料などの賠償金額も高額になります。

たとえば、後遺障害等級1級は四肢麻痺や遷延性意識障害などで寝たきりになったような場合や両眼失明など、重篤な後遺症が残った場合に認定されます。

交通事故によって両足を膝関節以上で切断するというケガをしてしまった場合、治療を行なっても切断してしまった足は元に戻ることはありませんので、足の切断という後遺症が残った、ということになり1級5号が認定されます。

なお、片足を膝関節以上で切断した場合は、後遺障害等級4級5号です。

交通事故のケガでもっとも多いのは頸椎捻挫や腰椎捻挫です。

この場合、後遺症としては神経症状が残ってしまい、後遺障害等級は、12級13号か14級9号、ということになります。

認定された後遺障害等級に応じて、慰謝料や逸失利益などが計算され、損害賠償金トータルの金額が算出されることになるので、後遺障害等級認定の手続はとても大切です。

すでに後遺障害等級が認定されている人は、以下の慰謝料自動計算機で計算してみましょう。

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なぜ、正しい後遺障害等級の認定を受けることが重要なのか


なぜ、正しい後遺障害等級の認定を受けることが重要なのでしょうか。

それは、交通事故の損害賠償では、後遺障害等級によって、慰謝料の計算が行われるからです。

ここで、みらい総合法律事務所が実際の解決した事例をご紹介します。

解決事例:正しい後遺障害等級が認定されたことで慰謝料などが約4300万円も増額

31歳の女性が、交通事故で負ったケガのため外貌醜状と上肢機能障害の後遺症が残ってしまい、自賠責後遺障害等級でそれぞれ7級と12級が認定されたという事案です。

保険会社は、「被害者の過失が大きい」として、「すでに治療中に支払った治療費や休業損害を合計すると、これ以上払うものはない」と主張して示談金(損害賠償金)の支払いを拒否してきました。

被害者の方から相談を受け、みらい総合法律事務所で検討した結果、「後遺障害等級が間違っているのではないか」との結論になり、被害者の方は異議申立から示談交渉までのすべてを依頼されました。

異議申立の結果、後遺障害等級は上肢機能障害が12級から10級にアップしました。

その後、弁護士が保険会社と交渉しましたが決裂したため提訴。

最終的には裁判で当事務所の主張が認められ、約4300万円で解決した事例です。

こうした事例を見ると、いかに後遺障害等級が大切なのかご理解いただけると思います。

そして、被害者の方だけで判断、交渉していくのがいかに難しいかもおわかりいただけるかと思います。

【参考記事】
みらい総合法律事務所の解決実績はこちら

後遺障害等級によって賠償額が計算される

後遺障害によって請求できる2つの損害

なぜ、後遺障害等級が異なることで、上記のように賠償額が大きく違ってくるのでしょうか。

それは、交通事故の損害賠償額の計算は、後遺障害等級が何級かによって、行われるためです。

後遺障害等級によって計算が違ってくるのは、

(1)後遺障害慰謝料

(2)逸失利益

の2つです。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料というのは、後遺障害が残ったことによって、将来ずっと精神的な苦痛を受け続けることになるので、それを補償するためのものです。

後遺障害等級1級から14級まで、過去の裁判例によって、だいたいの相場が定まっています。

【後遺障害慰謝料の相場金額)

等級 慰謝料額
1級 2800万円
2級 2370万円
3級 1990万円
4級 1670万円
5級 1400万円
6級 1180万円
7級 1000万円
8級 830万円
9級 690万円
10級 550万円
11級 420万円
12級 290万円
13級 180万円
14級 110万円

慰謝料について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

【参考記事】
交通事故の慰謝料で被害者がやってはいけない6つのこと

逸失利益

次に、逸失利益ですが、これも、後遺障害等級によって、計算方法が異なります。

逸失利益というのは、後遺障害が残ったことによって、将来得られたはずの収入が得られなくなることによる損害です。

逸失利益の計算式は、以下のとおりです。

【基礎収入✕労働能力喪失率✕就労可能年数に対応するライプニッツ係数】

後遺障害等級は、このうち、「労働能力喪失率」の部分に関わってきます。

各後遺障害等級に対応する労働能力喪失率は、以下のとおりです。

等級 労働能力喪失率
1級 100%
2級 100%
3級 100%
4級 92%
5級 79%
6級 67%
7級 56%
8級 45%
9級 35
10級 27%
11級 20%
12級 14%
13級 9%
14級 5%

【参考情報】
国土交通省「労働能力喪失率表」

このように、労働能力喪失率が大きくなればなるほど、逸失利益の金額も大きくなるということになります。

後遺障害逸失利益の計算例

それでは、ここで、例を挙げて、実際に後遺障害逸失利益の計算は、どのようにするのかを説明したいと思います。

交通事故前年度の年収500万円であった45歳の会社員が、交通事故によりむち打ちのケガを負い、自賠責後遺障害等級14級9号(神経症状)が認定されたとします。

14級の労働能力喪失率は5%、14級(神経症状)の労働能力喪失年数は5年程度とされることが多いので、この数値を採用します。

逸失利益の計算式は、

【基礎収入✕労働能力喪失率✕就労可能年数に対応するライプニッツ係数】

です。

そこで、

500万円✕0.05✕4.580=114万5000円

となります。

ここで、自賠責後遺障害等級認定に誤りがあり、実は、12級13号が正しい等級だとしたら、どうなるでしょうか。

12級の労働能力喪失率は14%、12級(神経症状)の労働能力喪失期間は10年程度とされることが多いので、この数値を採用します。

500万円✕0.14✕8.530=597万1000円

このように、自賠責後遺障害等級が違うと、480万円も逸失利益の計算が違ってきてしまいます。

それだけ、自賠責後遺障害等級認定は重要だ、ということです。

後遺障害の中で、逸失利益の計算をする上で注意すべきものがあります。

詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

【参考記事】
交通事故の慰謝料や逸失利益で注意するべき後遺障害

自賠責後遺障害等級表


自賠責後遺障害等級認定の重要性をご理解いただいたと思いますが、では、自賠責後遺障害等級は、どのように定められているのでしょうか。

自賠責後遺障害等級は、1級から14級までに区分されており、かつ、各等級ごとに様々な後遺障害が規定されています。

そこで、ここでは、自賠責後遺障害等級表を掲げておきます。

【自賠法別表第1】 後遺障害等級1級

後遺障害 保険金
(共済金)
1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
4,000万円

【自賠法別表第2】後遺障害等級1級

後遺障害 保険金
(共済金)
1.両眼が失明したもの
2.咀嚼及び言語の機能を廃したもの
3.両上肢をひじ関節以上で失つたもの
4.両上肢の用を全廃したもの
5.両下肢をひざ関節以上で失つたもの
6.両下肢の用を全廃したもの
3,000万円

【自賠法別表第1】 後遺障害等級2級

後遺障害 保険金
(共済金)
1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3,000万円

【自賠法別表第2】 後遺障害等級2級

後遺障害 保険金(共済金)額
1. 一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
2. 両眼の視力が0.02以下になったもの
3. 両上肢を手関節以上で失ったもの
4. 両下肢を足関節以上で失ったもの
2,590万円

後遺障害等級3級

後遺障害 保険金(共済金)額
1. 一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
2. 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
3. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5. 両手の手指の全部を失ったもの
2,219万円

後遺障害等級4級

後遺障害 保険金(共済金)額
1. 両眼の視力が0.06以下になったもの
2. 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
3. 両耳の聴力を全く失ったもの
4. 一上肢をひじ関節以上で失ったもの
5. 一下肢をひざ関節以上で失ったもの
6. 両手の手指の全部の用を廃したもの
7. 両足をリスフラン関節以上で失ったもの
1,889万円

後遺障害等級5級

後遺障害 保険金(共済金)額
1. 一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
2. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
3. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
4. 一上肢を手関節以上で失ったもの
5. 一下肢を足関節以上で失ったもの
6. 一上肢の用を全廃したもの
7. 一下肢の用を全廃したもの
8. 両足の足指の全部を失ったもの
1,574万円

後遺障害等級6級

後遺障害 保険金(共済金)
1. 両眼の視力が0.1以下になったもの
2. 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
3. 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
4. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が
40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
5. 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
6. 一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
7. 一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
8. 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失ったもの
1,296万円

後遺障害等級7級

後遺障害 保険金(共済金)額
1. 一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
2. 両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
3. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
4. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
5. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
6. 一手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失ったもの
7. 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの
8. 一足をリスフラン関節以上で失ったもの
9. 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
10. 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
11. 両足の足指の全部の用を廃したもの
12. 外貌に著しい醜状を残すもの
13. 両側の睾丸を失ったもの
1,051万円

後遺障害等級8級

後遺障害 保険金(共済金)額
1.一眼が失明し、又は一眼の視力が0.02以下になったもの
2.脊柱に運動障害を残すもの
3.一手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失ったもの
4.一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの
5.一下肢を5センチメートル以上短縮したもの
6.一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
7.一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
8.一上肢に偽関節を残すもの
9.一下肢に偽関節を残すもの
10.一足の足指の全部を失ったもの
819万円

後遺障害等級9級

後遺障害 保険金(共済金)額
1.両眼の視力が0.6以下になったもの
2.一眼の視力が0.06以下になったもの
3.両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
4.両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
5.鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
6.咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
7.両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
8.一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
9.一耳の聴力を全く失ったもの
10.神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
11.胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12.一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失ったもの
13.一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの
14.一足の第一の足指を含み二以上の足指を失ったもの
15.一足の足指の全部の用を廃したもの
16.外貌に相当程度の醜状を残すもの
17.生殖器に著しい障害を残すもの
616万円

後遺障害等級10級

後遺障害 保険金
(共済金)
1.一眼の視力が0.1以下になったもの
2.正面を見た場合に複視の症状を残すもの
3.咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
4.14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
5.両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
6.一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
7.一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの
8.一下肢を3センチメートル以上短縮したもの
9.一足の第一の足指又は他の四の足指を失ったもの
10.一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
11.一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
461万円

後遺障害等級11級

後遺障害 保険金
(共済金)
1.両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2.両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3.一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
4.10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
5.両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
6.一耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
7.脊柱に変形を残すもの
8.一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの
9.一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
10.胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
331万円

後遺障害等級12級

後遺障害 保険金
(共済金)
1.一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2.一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3.七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
4.一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
5.鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
6.一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
7.一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
8.長管骨に変形を残すもの
9.一手のこ指を失ったもの
10.一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
11.一足の第二の足指を失ったもの第二の足指を含み二の足指を失ったもの又は第三の足指以下の三の足指を失ったもの
12.一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
13.局部に頑固な神経症状を残すもの
14.外貌に醜状を残すもの
224万円

後遺障害等級13級

後遺障害 保険金
(共済金)
1.一眼の視力が0.6以下になったもの
2.正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
3.一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
4.両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
5.5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
6.一手のこ指の用を廃したもの
7.一手のおや指の指骨の一部を失ったもの
8.一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
9.一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失ったもの
10.一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの
11.胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
139万円

後遺障害等級14級

後遺障害 保険金
(共済金)
1.一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
2.3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
3.一耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
4.上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
5.下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
6.一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
7.一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
8.一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
9.局部に神経症状を残すもの
75万円

【参考記事】
国土交通省「自賠責後遺障害等級表

交通事故における後遺障害等級認定の手続きについて

後遺障害等級認定を行なうのは誰か

後遺障害等級は、「損害保険料率算出団体に関する法律」という法律に基づいて設立された「損害保険料率算出機構」(略称「損保料率機構」)という団体が認定しています。

具体的な調査については、全国の都道府県庁所在地等に設置した自賠責損害調査事務所が行なっています。

【参考情報】損害保険料率算出機構「当機構で行う損害調査」

後遺障害等級はいつ申請するべきか

症状固定とは

後遺障害等級認定を受けるためには、損保料率機構に対し、後遺障害等級の申請を行ないます。

申請を行うタイミングは、「症状固定」の診断がされてからです。

症状固定とは、これ以上治療を続けても治療効果が上がらないと医師が判断することです。

症状固定と診断されると、「後遺症が残った」ということになるので、医師に「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」(以下「後遺障害診断書」とします)を書いてもらいます。

後遺障害診断書と、その他それまでの治療の診断書などの医学的な資料を提出して、自分の後遺症が後遺障害等級の何級何号に当たるのかを審査してもらい、後遺障害等級認定に進むことになります。

症状固定に関して注意するポイント

症状固定は、治療の状態をみて医師が判断することになるのですが、その判断は簡単ではないことも多いです。

たとえば、打撲や骨折後に生じる運動障害や、むち打ちや脊椎の損傷等から生じる神経障害などは、その日によって症状の程度が変わるため、治療効果が上がっているのかどうか微妙なこともあります。

このときに、加害者側の任意保険会社の担当者や弁護士から、「治療期間が半年を過ぎていますから、そろそろ症状固定として後遺障害等級の申請をしたほうがいいですよ」と言われることもあります。

あるいは、「もう症状固定なので、治療を打ち切りますよ」と言われることもあります。

しかし、保険会社に言われるままに安易に症状固定としてはいけません。

なぜなら、症状固定とすると、その時点で被害者の方の交通事故による損害が確定したことになるからです。

症状固定とした後、「状態がよくなっているから、もっと治療を続けたい」と思っても、原則として症状固定後の治療費は加害者に請求できないので、自腹で支払わなければなりません。

また、入通院に関する慰謝料にも問題が起きてきます。

この慰謝料は入通院期間をもとに算定します。

入通院期間とは、治療を開始した日から症状固定日までとなるので、症状固定後に通院したとしても、慰謝料や交通費、休業損害等は加害者に請求できません。

さらに、治療期間が短いことで、症状もそれほど深刻なものではないのだろうと評価されてしまって、後遺障害等級が認定されない、ということもあり得ます。

こうした知識がないまま症状固定としてしまうと、後遺障害等級認定にも影響がおよび、もらえるはずの治療費がもらえなかったり、慰謝料額が少なくなってしまったりと、被害者の方が損をしてしまうことになってしまうので注意が必要です。

保険会社が症状固定をすすめてきたとしても、まだ治療効果が上がっているのであれば医師とよく話し合い、まだ治療が必要であることを保険会社に伝えてもらったり、その旨の診断書を書いてもらったりして、治療を継続すべきです。

そのためには、治療の段階から医師に自覚症状や治療の効果について伝えるなどのコミュニケーションをとり、良好な関係を作っておくことも大切になってきます。

なお、保険会社が「これ以上治療を継続するなら、治療費の支払いはできません」と言って治療費の支払いを打ち切ったとしても、治療効果がでているうちは自分で治療費を立て替えて支払い、後日、後遺障害等級が認定されれば、立て替えた治療費を請求することができます。

後遺障害等級認定の申請には2つの方法がある


損保料率機構に対する後遺障害等級認定の申請方法としては、事前認定被害者請求という2つの方法があります。

「事前認定」

事前認定とは、交通事故の加害者の加入している任意保険会社を通して後遺障害等級の申請をする方法です。

自動車の保険は、強制保険である自賠責保険と、任意で加入する任意保険があります。

自賠責保険は支払われる保険金が定額制となっていて、自賠責保険では足りない分を補うのが任意保険です。

任意保険会社は任意一括払いサービスとして、自社の負担分の損害賠償額と、本来自賠責保険で支払われるべき損害額を被害者に一括して支払う方法をとっている場合が多いです。

任意保険会社が一括払いを行なう場合は、被害者に賠償金額を支払った後に自賠責保険に本来自賠責保険会社が負担するべき金額を請求することになりますが、もし自賠責保険の支払の対象にならない部分まで任意保険会社が支払ってしまうと、任意保険会社が損をしてしまいます。

そのため、被害者の後遺症が自賠責保険の後遺障害等級に該当するかどうか、該当する場合は何級に認定されるのかを自賠責保険に事前に確認しておくことが必要になるので、事前認定といいます。

メリットは、加害者側の任意保険会社が後遺障害等級の申請手続を行なってくれるので、被害者の方がすることは特になく、手続きが楽であるということです。

デメリットは、保険会社が主導で行なうため、被害者の方が後遺障害等級についての知識などがないまま手続きが進められてしまい、どのような書類が提出されているのかなどが把握できなかったり、提出書類に不足があったために正しい後遺障害等級が認定されない場合があったりすることです。

任意保険会社の一括払制度について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

【参考記事】
交通事故における「一括払制度」とは?

「被害者請求」

被害者請求とは、被害者が加害者の加入している自賠責保険会社に直接申請し、後遺障害等級の認定を受ける方法です。

加害者の加入している自賠責保険会社に連絡をして、後遺障害等級認定の被害者請求に関する資料一式を送ってもらい、そこに書かれている方法に従って必要書類を自賠責保険会社に提出します。

主な必要書類は次のとおりです。

支払請求書兼支払指図書
交通事故証明書
交通事故発生状況報告書
診断書
診療報酬明細書
通院交通費明細書
休業損害証明書
印鑑証明書
委任状(被害者本人が請求できないとき)
自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書
レントゲン、MRI画像等
その他症状を裏付ける検査結果や意見書等の医学的な資料

メリットは、事前認定のように任意保険会社を通さないので、被害者の方が申請の主導権を握ることになり、手続きの流れや提出する資料などを把握することができることです。

また、後遺障害等級が認定されれば、等級に応じた損害賠償金が自賠責保険会社から直接支払われるので、最終的な示談の前にまとまった金額を先に受け取ることができ、余裕をもってその後の交渉を進めることができるという点もあげられます。

デメリットは、被害者の方が自分で請求を行なうので、提出する資料を集めたりと手続に手間がかかることです。

後遺障害等級認定は、基本的に提出された書類のみで審査され、提出していない書類はないものとして扱われるため、自分の症状を裏付けるような診断書を提出していなかったり、診断書は提出したけれど自覚症状等の欄に十分な記載がなかったり、必要な検査や画像診断を行なっていなかったりと、資料が不足していると適正な後遺障害等級が認定されないことに注意が必要です。

【参考情報】国土交通省「支払までの流れと請求方法」

被害者請求について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

【参考記事】
【交通事故の保険金】自賠責保険への被害者請求の方法を解説

交通事故で正しい後遺障害等級が認定されるために大切なこと

正しい後遺障害等級が認定されるためのポイント

治療をしっかり受ける

自賠責後遺障害等級認定は、書面審査が原則となります。

提出された書類や検査結果に表れていないことについては、「存在しない」と判断されることになります。

つまり、交通事故の被害にあって、ケガをしたにもかかわらず我慢して治療を受けないと、「ケガがない」と判断される恐れがある、ということです。

したがって、交通事故の被害にあって、ケガをした、あるいはどこかに痛みなどがある場合には、すぐに医療機関に行って正しく診断を受けることが大切になってきます。

交通事故にあって、すぐに治療を受けず、しばらくしてから医療機関に行って診断を受けたとしても、それが交通事故によるものか、その他の原因によるものかの判断が難しくなってしまいます。

交通事故直後は特に痛みなどがなくても、数日して痛みなどが生じることもあります。その場合も、不具合を感じたらすぐに医療機関を受診するようにしましょう。

治療中の治療費をどこまで請求できるかについて、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

【参考記事】
【交通事故の治療費】どこまで請求できるのか?(入院費、介護費など)

症状固定までしっかり通院する

次に、治療を開始した場合には、症状が固定するまでしっかり通院するようにしましょう。

必要がないのに通院することはありませんが、医師の指示があるにもかかわらず、忙しくて、あるいは我慢して通院しないと、「たいしたケガではない」と判断される恐れがあります。

つまり、「治療の必要がないから通院していないのだ」と判断される可能性がある、ということです。

また、治療に専念しないと、本来治るものも治らなくなってしまう可能性もあるでしょう。

したがって、治療を開始したら、医師の指示にしたがって、症状固定まで、しっかりと通院することが大切です。

しっかりと検査をしてもらう

自賠責後遺障害等級認定は、書類審査が原則です。

だとすると、治療において撮影される画像や検査結果がとても重要、ということになります。

したがって、ケガの治療に必要な検査はできる限りやってもらった方がよい、ということになります。

後遺障害等級が正しく認定されるためのポイントは、自分のどの部位のどのような症状が、後遺障害等級表の何級何号に当てはまる可能性があるのかを把握し、その等級が認定されるために必要な要件を満たす医学的な資料を集めることです。

自分で自覚している症状のことを「自覚症状」、その自覚症状を証明する検査結果や画像など医学的な資料からの医師の所見のことを「他覚所見」といいます。

後遺障害等級が認定されるためには、この自覚症状と他覚所見、画像などが一致していることが必要になります。

例として、交通事故の怪我でもっとも多いむち打ち症(頚部外傷性症候群)で考えてみます。

むち打ち症で認定される自賠責後遺障害等級は、12級13号か14級9号です。

12級13号は、「頑固な神経症状」で、他覚所見により神経系統の障害が証明されるものです。

14級9号は、「神経症状」で、神経系統の障害が医学的に推定されるものです。

自覚症状、他覚所見、画像所見により判定されます。

検査としては、ジャクソンテスト、スパークリングテスト、筋萎縮検査、腱反射検査、握力テスト、筋電図、徒手筋力検査などを行います。

画像としては、レントゲン、MRIで、神経圧迫をみます。

そして、それぞれに異常所見があるだけでなく、それらの整合性もあわせてみることになります。

詳細は省きますが、損傷を受けた神経と皮膚の感覚障害の領域が整合しているか、なども検討することになります。

(参考記事)公益社団法人日本整形外科学会「むち打ち症」

正しい後遺障害等級が認定されなかった場合の対処法

書類の不備がなければ通常は1~2ヵ月(重傷の場合や判断が難しい場合はさらに数ヵ月かかる場合もあります)で、事前認定で申請した場合には加害者側の任意保険会社から、被害者請求で申請した場合には申請先の自賠責保険会社から審査の結果が送られてきます。

先にお話したように、自分の目指す後遺障害等級の基準を満たす資料を漏れなく提出していれば目指した後遺障害等級が認定されると思いますが、事前認定で任意保険会社に任せきりでどのような書類を提出しているかまったく知らなかったり、被害者請求を自分で行なったが基準を満たす資料に漏れがあったりした場合には、納得のいく結果がでないことになります。

そうなってしまった場合の対処方法としては、後遺障害等級について「異議申立」をすること、あるいは紛争処理申請をすることがあります。

【参考情報】
「異議申立」国土交通省

後遺障害等級認定の異議申立とは

【動画解説】交通事故の後遺障害等級が間違っている?(かなり損です)

後遺障害等級の異議申立とは、審査を行なった損保料率機構に対して、異議申立書等の書類を提出して、再度、後遺障害等級の申請をすることです。

異議申立書については、決まった形式はありません。

ポイントとしては、まず審査結果の理由等をよく読んで、なぜ後遺障害等級が認定されなかったのか、あるいはなぜ自分が目指していた後遺障害等級よりも低い等級になってしまったのかをよく検討します。

そして、その理由を覆すような新たな医学的な資料、たとえば再検査結果や画像、医師の診断書、意見書等の書面を提出します。

異議申立は何度でもすることができますが、審査結果に納得できないという不満や苦情、自覚症状がどんなにつらいかなどについて書いた書面だけを提出しても、結果は変わらないので注意が必要です。

異議申立をするには、後遺障害等級に関する審査基準を熟知し、それを立証するための医学的検査を認識した上で、医証を集める必要があります。

望む結果が得られなければ、結局は慰謝料額も変わりませんし、時間だけを浪費することになります。

異議申立をする際は、交通事故の後遺障害に強い弁護士に依頼することで結局は良い結果を得られると思います。

【参考記事】
【後遺障害等級】思ったような認定が受けられない時の解決法

後遺障害等級に関する紛争処理申請とは

紛争処理申請とは、損保料率機構とは別の機関である「自賠責保険・共済紛争処理機構(以下「紛争処理機構」とします)」というところに、紛争処理申請書等の書類を提出して、後遺障害等級の申請をすることです。

紛争処理機構は、自賠責保険や共済保険の支払いに関し、被害者と保険会社等との間で生じた紛争について、公正かつ適確な解決による被害者の保護を目的として設立された指定紛争処理機関です(自動車損害賠償保障法23条の5)。

損保料率機構に新たな資料を提出して異議申立を何度かしたけれど結果が変わらなかったという場合でも、紛争処理機構では適正な後遺障害等級が認定されることもあります。

この場合、保険会社は紛争処理機構が出した結果に従わなければなりません。

ただし、損保料率機構への異議申立は、時効期間内であれば何度でも行なうことができるのに対し、紛争処理機構への申請は一度きりしかできませんので注意が必要です。

紛争処理機構の紛争処理のプロセスについては、次の情報を参考にしてください。

なお、紛争処理申請をしても納得のいく結果が出なかった場合には、裁判を起こすことになります。

異議申立により示談金が大幅に増額した事例

最後に、異議申立により正しい等級が認定され、その結果、示談金が大幅に増額した事例をご紹介します。

解決事例:正しい後遺障害等級が認定されたことで慰謝料などが約4.8倍に増額

56歳男性の交通事故です。

骨折等の傷害を負い、左肩関節の可動域制限で、自賠責後遺障害等級12級6号が認定されました。

被害者が、みらい総合法律事務所の無料相談を利用したところ、後遺障害等級12級6号の認定が間違っていると判断されました。

そこで、被害者は、異議申立を弁護士に依頼し、異議申立をしたところ、後遺障害等級は10級10号にあがりました。

当初保険会社は、被害者に対し、示談金として248万9233円を提示していました。

しかし、異議申立で正しい後遺障害等級が認定された結果、最終的に、1211万円で解決しました。

当初提示額の約4.8倍に増額したことになります。

解決事例:異議申立により後遺障害等級がアップして慰謝料などが約18倍に増額

交通事故による右膝骨折で後遺症を負った男性の事例です。

自賠責後遺障害等級14級10号が認定され、加害者側の保険会社から示談金額として、248万6647円が提示されました。

金額に疑問を感じた被害者の方が、みらい総合法律事務所の無料相談を利用したところ、弁護士から「後遺障害等級14級は12級に上がる可能性があります」との意見があったため、すべての手続きを依頼されました。

弁護士が新たな資料を付けて異議申立をしたところ、後遺障害等級は12級13号が認定されました。

その結果、最終的には、4500万円で相手側と和解が成立。

保険会社の当初提示額から、なんと約18倍に増額したことになります。

被害者の方は、あやうく約4250万円を損してしまうところだったわけです。

このように、後遺障害等級認定は、交通事故の被害者にとってとても大切ですので、正しい後遺障害等級を認定されることが重要です。

そのためには、後遺障害等級認定がされた場合には、後遺障害に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

【参考記事】
後遺障害等級認定とは?認定の仕組みと異議申立のポイント