子供が交通事故で死亡した場合の慰謝料額は?

最終更新日 2019年 12月24日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

交通事故でもっとも辛く、悲しみが大きい事故。それは、自分の子供が交通事故で死亡してしまった場合です。

みらい総合法律事務所には、そのような怒りと悲しみにくれたご両親からの相談が多くあります。

子供が交通事故死してしまった場合、どのようなことになるのでしょうか。

法律的な観点から解説していきたいと思います。

刑事事件と慰謝料

子供が死亡事故に遭った場合には、法律的には、①刑事事件、②民事事件、③行政事件の3つの手続が進んでいきます。

このうち、行政事件というのは、加害者の免許の取り消しや停止などのことで、被害者の家族が関与するものではありません。

刑事事件というのは、死亡事故を起こした加害者に、どのような刑罰を科すか、という手続です。

死んだ子供の親としては、加害者に対して厳罰を科して欲しい、と望むのが通常でしょう。しかし、この刑事事件においても、遺族は当事者ではありません。

刑事事件は、国家が犯罪者にどのような刑罰を科すか、という手続ということになります。

しかし、亡くなった子供の両親が刑事事件に関与できないわけではありません。

まず、警察や検察庁で、事情聴取を受けます。

その時に、「被害感情」を聞かれるので、「厳罰に処してください」などと供述し、それが供述調書に記載されます。

また、刑事裁判に参加することもできます。それを「被害者参加制度」と言います。

交通事故の加害者の刑事裁判に、被害者の遺族が参加して、意見を陳述したりする手続のことです。

どのように参加し、どのような意見を述べたらよいのか、などは、素人ではわからないと思うので、交通事故に精通した弁護士に相談、依頼するのがよいでしょう。

交通事故の加害者の刑事事件が進行しているときに注意するのは、加害者から香典を受け取ったり、慰謝料を受け取ったりすると、加害者の刑が軽くなることがある、ということです。

お金を受け取ることで、被害感情がその分だけ慰藉された、と評価されることがあるためです。

そのため、刑事事件進行中には、加害者からは一切お金も受け取らず、示談交渉もしない、という方針をとることの方が多いです。

この場合も、弁護士に依頼しておけば、加害者や保険会社に対する防波堤となってくれますので、遺族としては気が楽なると思います。

子供の死亡事故では、これだけ請求できる

刑事事件が終わると、民事の損害賠償の示談交渉が始まります。

交通事故で息子さん、あるいは娘さんが死亡した場合に、慰謝料など損害賠償として請求できる項目には、主に以下のものがあります。

①葬儀費

②死亡逸失利益

③慰謝料

④弁護士費用(裁判をした場合)

上記①~④以外でも、治療の後に死亡したような場合は、実際にかかった治療費、付添看護費、通院交通費等を請求することができます。

また、損害賠償請求のために必要な診断書、診療報酬明細書、交通事故証明書等の取得にかかった文書費等も、損害賠償関係費として請求できます。

葬儀費は、葬儀にかかった費用です。

死亡逸失利益は、交通事故により子供が死亡した場合、その子供が大人になって働けば将来得られたはずの収入がありますので、その喪失分を損害として請求するものです。

慰謝料は、無念にも事故死してしまった子供の精神的損害や両親の精神的損害です。

弁護士費用は、その名のとおり、裁判を弁護士に依頼したことにより発生する弁護士費用です。

子供の事故死の場合には、これらの損害について、加害者側に請求していくことになります。

子供の死亡事故での示談金は、「子供の命の値段」です。

決して安易に示談せず、必ず適正額を受け取るようにしましょう。

では、「適正額」とは、いくらなのでしょうか?

死亡事故で、保険会社は低い金額を提示する?

死亡事故では、通常、49日が終わった後に、保険会社から連絡が来て、示談金が提示されます。

刑事事件中、示談交渉を拒否していた場合には、刑事事件が終わった後です。

被害者の中には、保険会社が必ず適正な金額を提示してくれると信じている方がいますが、これは間違いです。

私たちが相談を受けている中で、多くの場合に、保険会社は、適正な金額より低い金額を提示してきます。

なぜでしょうか?

それは、保険会社が株式会社の場合には、営利を追求しなければならないためです。

会社が利益を出すためには、売上を増やすだけでなく支出を減らすことが必要です。

保険会社が交通事故の被害者に対し、高額の示談金をどんどん払っていたら、利益が減ってしまいます。

そこで、保険会社は、なるべく示談金の支払いを低額におさえ、利益を出そうと努力をするのです。

このような仕組みがあるために、残念なことですが、子供の交通死亡事故においても、保険会社から適正な慰謝料が提示されなくなってしまうのです。

交通事故で、保険会社が被害者に対して慰謝料を提示する場合、計算基準が3つあります。

それは、

①自賠責保険基準

②任意保険基準

③弁護士基準(裁判基準)

の3つです。

金額の大きさは、弁護士基準>任意保険基準>自賠責保険基準となっていて、弁護士基準が適正な慰謝料額の基準ということになります。

保険会社は、示談交渉においては、自賠責保険基準、あるいは、任意保険基準で慰謝料を提示してくることが多いことを憶えておきましょう。

私たちにご相談下さい


子供の死亡事故での適正な慰謝料額とは?

では、子供が交通事故で死亡した場合、適正な慰謝料額は、いくらなのでしょうか?
以下に説明していきます。

葬儀費

原則150万円以下です。

150万円を下回る場合は実際に支出した額となります。

死亡逸失利益

死亡逸失利益とは、交通事故死した子供が将来得たであろう収入を推測して請求するものです。

死亡逸失利益の計算式は下記です。

基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

基礎収入とは、交通事故で死亡しなければ将来労働によって得られたであろう収入です。

子供の場合は、将来の収入額は不確定であるため、賃金センサスの平均賃金を基礎収入とします。

つまり、平均賃金くらいは収入を得るだろう、ということです。

生活費控除とは、基礎収入から、生きていればかかったはずであろう生活費分を差し引くことです。

生活費控除率の目安は、被害者が一家の支柱で被扶養者が1人の場合40%、一家の支柱で被扶養者2人以上の場合30%、女性(主婦、独身、幼児等含む)の場合30%、男性(独身、幼児等含む)の場合50%です。

したがって、子供の場合の生活費控除率は50%とします。

就労可能年数は、原則として67歳までです。

ただし、職種、地位、能力等によって、67歳を過ぎても就労することが可能であったと考えられる事情がある場合は、67歳を超えた分についても認められることがあります。

ライプニッツ係数とは、損害賠償の場合将来受け取るはずであった収入を前倒しで受け取るため、将来の収入時までの年5%の利息を複利で差し引く係数のことです。

このように将来の収入時までの年5%の利息を複利で差し引くことを、「中間利息を控除する」という言い方をします。

たとえば、4歳男児の場合のライプニッツ係数についてですが、就労可能年数は、通常18歳から67歳までとするため、4歳の時点で損害賠償金を得るとすると、4歳から18歳までの期間について中間利息を控除する必要があります。

そこで、4歳男児の場合のライプニッツ係数は、4歳から67歳までの期間のライプニッツ係数から、4歳から18歳までの期間のライプニッツ係数を差し引いた数値となります。

したがって、仮に、4歳男児の逸失利益を計算すると、

19.0751(4歳から67歳までの期間のライプニッツ係数)-9.8986(4歳から18歳までの期間のライプニッツ係数)=9.1765

が4歳男児の場合のライプニッツ係数です。

以上から、4歳男児の死亡逸失利益の計算式は以下となります。

5,267,600円(賃金センサス平成23年男性学歴計全年齢平均賃金)×(1-0.5)×9.1765=24,169,066円

慰謝料

慰謝料は、精神的損害なのですが、精神的損害は目に見えないので、いくらにするかを裁判所が決めるときに、裁判官に感覚によって金額がバラバラになってしまう可能性があります。

そこで、過去の裁判例の集積によって、死亡慰謝料については、一応の相場が作られています。

死亡慰謝料の相場は、以下のようになっています。

被害者が一家の支柱の場合2800万円、母親・配偶者の場合2500万円、その他(子供、成人独身者、高齢者等)の場合2000万円~2500万円が慰謝料の相場です。

したがって、仮にですが、2200万円を慰謝料とします。

両親など近親者の慰謝料も数百万円程度認められますが、この場合には、本人の慰謝料が少し減額され、慰謝料合計額の調整が図られることになります。

弁護士費用

以上の他、弁護士に依頼して裁判によって損害賠償を請求した場合、請求認容額の10%程度が弁護士費用として認められます。

この金額は実際の弁護士費用とは無関係です。

また、この弁護士費用相当額については、示談交渉では認められませんし、裁判で判決までいかないと、十分な金額は認められないのが通常です。

上述した請求額は、

1,500,000円(葬儀費)+24,169,066円(死亡逸失利益)+22,000,000円(慰謝料)=47,669,066円

となりますので、弁護士費用は47,669,066円の10%の4,766,906円となります。

以上から、4歳男児が交通事故で死亡した場合の損害賠償額の合計は、

1,500,000円(葬儀費)+24,169,066円(死亡逸失利益)+22,000,000円(慰謝料)+4,766,906円(弁護士費用)=52,435,972円

という計算が一応の適正額となります。

もし、自分に4歳の息子がいて、交通事故で死亡した場合の損害賠償金が、たった約5,000万円ということになります。

これでは、とても心の傷が癒えるとは言えないのではないでしょうか?

死亡事故の慰謝料が増額される?

しかし、場合によっては、子供の死亡事故において、慰謝料額が相場より増額されるケースがあります。

たとえば、加害者が飲酒運転、無免許運転、信号無視など悪質な運転行為があった場合や、被害者の遺族に暴言を吐くなど、被害感情の悪化が強い場合など、通常の事故よりも、得に精神的な損害が大きいと判断される場合です。

ただし、注意しなければならないのは、慰謝料の増額は、保険会社側から持ちかけられることはありませんし、裁判所が勝手に増額してくれることもありません。

慰謝料増額は、被害者が発見し、強く主張することが必要です。

そのためには、被害者は、どのような場合に慰謝料が増額されるのかを知っていなければならない、ということになります。

しかし、それは法律の素人には、無理でしょうから、そのような意味でも、やはり、子供の死亡事故の示談交渉は、弁護士に相談依頼等を検討した方がよいでしょう。

子供の死亡事故の実際の解決事例

では、ここで、みらい総合法律事務所が実際に解決した子供の死亡事故の事例を見てみましょう。

みらい総合法律事務所での実際の解決事例です。

1歳の女の子が、交通事故で、残念ながら、命を落としました。

保険会社は、49日が終わった後、悲嘆にくれるご両親に対し、示談金として、3399万3570円を提示しました。

ご両親は、怒りと悲しみのあまり、示談交渉する気力もなく、死亡事故に定評のあるみらい総合法律事務所の弁護士に依頼することにしました。

みらい総合法律事務所が保険会社と交渉した結果、最終的に、5193万8463円で解決しました。

保険会社が提示した額から、約1800万円も増額したことになります。

反対に言うと、保険会社が「これで示談してください」と提示した子供の命の値段は、1800万円も低かった、ということです。

子供の死亡事故の示談交渉の現場では、このようなことが起きている、ということを忘れてはいけません。

交通事故で、子供の命を不当に奪われ、その上さらに示談金まで不当に低い金額にさせられていい訳がありません。

そうならないために、ぜひ、交通事故の正しい知識を持ってください。

ただ、実際には、示談交渉は法律の難しい問題ですので、死亡事故に詳しい弁護士に相談・依頼するのがよいと思います。

みらい総合法律事務所は、死亡事故と後遺症事案に限定して専門性を高めています。

子供の死亡事故は、ぜひご相談ください。

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