19歳女性大学生の死亡事故で慰謝料を増額した判例

19歳女子大学生の交通事故について、弁護士が解説します。

【交通事故の判決】

東京地裁 平成18年7月28日判決(交通事故民事裁判例集39巻・4号・1099頁)

【死亡・後遺障害等級】
死亡事故

【損害額合計】
86,488,290円

【慰謝料額】
合計31,000,000円
死亡慰謝料の本人分として、25,000,000円
被害者の両親に、各2,000,000円
被害者の兄2人に、各1,000,000円

【交通事故の概要】
平成13年12月29日午前2時05分頃、埼玉県坂戸市内の道路上を被害者が歩行中、飲酒後仮眠状態に陥った加害者の普通貨物自動車に衝突された。被害者は、脳挫傷等の傷害を負い、交通事故当日午前4時9分に死亡した。
被害者は、交通事故当時19歳の女子大学生である。
原告は、被害者の両親、兄2人である。
原告が弁護士に依頼し、弁護士は代理人として提訴。

【判例要旨】

(裁判基準額 独身の男女 20,000,000円~22,000,000円)

本件交通事故では、以下の事情から、合計で、31,000,000円の死亡慰謝料を認めた。

①被害者は、本件交通事故当時19歳の大学生であり、当日もアルバイト仲間との忘年会からの帰宅途中に本件交通事故に巻き込まれたのであって、被害者に落ち度というべき事情は全く見受けられず、交通事故の態様も、被害者をボンネットに跳ね上げた上、フロントガラスに衝突させ、そのまま疾走して約75mあまり前方の路上に転落させて脳挫傷等の傷害を負わせて死亡させるという、無惨なものであること。
②加害者は、本件交通事故後、現場を離れ、救護等の必要な措置を講じていないこと。
③本件交通事故は、加害者が3軒の店で飲酒を重ねた後に運転して仮睡状態に陥ったことにより起きたものであり、飲酒の量も、交通事故後においても、呼気1ℓにつき0.55㎎という高濃度のアルコールが検出されたものであること。
④加害者の飲酒運転は日常的であったと認められること。
⑤被害者の家族は、被害者と被害者の母親が中心的な存在であったところ、被害者は本件交通事故により、突如命を奪われ、また、被害者の母親も、下記⑥のとおり4年以上経過した現在も娘の死に向かい合うことができず、被害者の家族は本件事故により家族としてのつながりを裁判を通じてしか共有し得なくなっていること。
⑥被害者の母親にとって被害者は、生前に「(被害者が)気が狂って死んでしまうね」などと言い合うほどの存在であって、現に、母親は、いまだに納骨することなく、被害者のためと称してマンションを購入して、その一室に被害者の遺骨を置き、週に数回マンションを訪れては被害者の遺骨に話しかけるなどし、また、従前、被害者に髪を切ってもらっていたことから、被害者死亡後は髪を切ることができず、被害者名義で被害者の近況を記した手紙を書くなどしているように、被害者の母親は、本件事故から4年以上経過した現在においても、娘の死を正面から認めることができない状態にあること。また、被害者の母親は、抑うつ状態にあると診断されており、家事も以前のようにこなすことができないこと。
⑦被害者の長兄は、本件交通事故によって、最愛の妹を失い、また、被害者とともに家族の中心的な存在であった母親が上記⑥のような状態となったことから、被害者の家族は被害者の兄にとって「からっぽの家族」となり、もはや家族としてのつながりを取り戻すことはできないと感じるに至っていること。
⑧被害者の次兄は、被害者よりも3歳年上であるが、幼少のころから対等な立場で遊ぶ関係にあり、被害者が次兄と同じ大学に進学したことから、学生生活も共に楽しんでいたが、そのような存在であった被害者を本件交通事故により失い、このことが遠因となって、在籍していた大学を退学するに至っていること。

以上、19歳女子大学生の交通事故で慰謝料が増額した判例について、弁護士が解説しました。

「交通事故の被害者が弁護士に相談すべき7つの理由と2つの注意点」は、こちらです。
交通事故弁護士