71歳女性の死亡事故で慰謝料を増額した判例

71歳女性の交通事故の判例を弁護士が解説します。

【交通事故の判決】

東京地裁 平成22年5月12日判決(交通事故民事裁判例集43巻・3号・568頁)

【死亡・後遺障害等級】
死亡事故

【損害額合計】
54,439,345円

【慰謝料額】
28,000,000円

【交通事故の概要】
平成20年6月9日午後1時20分頃、東京都世田谷区内の青信号に変わった交差点の横断歩道を被害者が歩行横断中、右折してきた加害者の普通貨物自動車に衝突され、加害車両の車底に巻き込まれたまま152.8m引きずられた。被害者は、胸部臓器損傷、腹腔内臓器損傷等の多発性外傷の傷害を負い、交通事故当日死亡した。
被害者は、事故当時71歳の女性で、主婦であった。
原告は、被害者の夫、長女である。
原告が弁護士に依頼し、弁護士が代理人として提訴。

【判例要旨】

(裁判基準額 高齢者等 20,000,000円~22,000,000円)

本件交通事故では、以下の事情から、28,000,000円の死亡慰謝料を認めた。

①加害者は、衝突の瞬間、傘を持った人に車をぶつけたかもしれないと考えながらも、直ちに停車せず、加害車両を32.8m走行させ、運転席ドアを開け上半身を車外に乗り出して右後方を見たところ、赤い傘が落ちているのを認めたものの、横断歩道上に倒れている人を認めなかったため、加害者車両を発進させ81.6㍍進んだところ、ハンドルの感覚が変で何かを引きずっているような感じがあったため、さらに38.4m進んだところで加害車両を停車させ、運転席から外に出て車底部を覗き込んで初めて被害者を引きずっていたことを確認しており、その落ち度は、余りにも重大であり、激しく非難されるべきであること。
②被害者に落ち度はなく、茶道教室を主宰し、民生委員やボランティア活動も行うなど社会に貢献し、周囲からも尊敬され、家庭においても夫や娘、孫ら皆から愛される存在であり、幸福な老後を送っていたにもかかわらず、突然に死を余儀なくされた無念さは察するに余りあること。
③遺族に与えた衝撃は甚大で、悲しみは癒されていないこと。

以上、71歳女性の交通事故で慰謝料を増額した判例について、弁護士が解説しました。

「交通事故の被害者が弁護士に相談すべき7つの理由と2つの注意点」は、こちらです。
交通事故弁護士