後遺障害と死亡事故に特化。交通事故賠償に詳しい弁護士が解説。

交通事故の慰謝料で損する人と得する人の違いとは?弁護士が解説

私の事務所に、ある交通事故の被害者の方がいらっしゃいました。
相談内容は次のようなことでした。

「保険会社から示談金の提示があったのですが、これが妥当なものかどうか相談したいのです。
示談金額は、1827万5619円。
交通事故に詳しい知り合いの人に聞いてみると、なかなか、いい金額が出ているというのです。
親戚の保険代理店に聞くと、もう少し金額は上がるのではないか? と言います。
このまま示談しようかと思ったのですが、最後に専門の弁護士さんに相談しようと思って……」

そこで私たちは、資料をよく検討しました。
すると、保険会社から提示された慰謝料などの示談金額は、明らかに低すぎる、という結論になりました。

私たちは被害者の方から委任を受け、保険会社と示談交渉しました。
しかし、保険会社が言を左右にして増額してきません。
そこで、私たちは訴訟を起こして、裁判所の判断に委ねました。

その結果は?

7500万円で決着しました。

保険会社提示額の1827万5619円から、約4.1倍も増額したことになります。

じつは、交通事故の世界では、こんなことが日常的に起こっています。

もし、この被害者の方が弁護士に相談せずに示談していたら?
なんと、5672万4381円も損をしていたことになります。

これが、交通事故の慰謝料で損をする人と得をする人の違いです。

もちろん、適正な金額以上を非合法に得ることはできませんので、「得をする」というのは、「適正な金額を獲得する」という意味です。

今、現実に、弁護士に相談せずに示談をしてしまっている人の中には、このように大きく損をしている可能性がある人が多数いるのではないかと思っています。

ではなぜ、そんなことが起きてしまうのでしょうか?

その理由のひとつは、保険会社の収益構造にあります。

保険会社の収入は、保険料収入です。
一方、支出には人件費やさまざまな経費があるでしょうが、とても大きな支出としては、保険金の支払いがあります。

保険会社の営業成績は、収入から支出を差し引いた利益で判断されます。
ということは、成績を良くするために、保険金の支払いをできる限り低くする、ということは当然に考えられることなのです。

「保険会社が、そんな不当な金額を提示するはずがない。私は信用している」

「今回の担当者はとても良い人だ。その人が、これが限度額ですと言っているのだから、その金額で示談するしかない」

じつは、このように考える人が損をするのです。

交通事故の慰謝料で損をしないためには、まずは被害者の方が正しい知識を身につけることです。
そこがスタートラインになります。

そして、示談をする前に、必ず金額を弁護士にチェックしてもらうことです。

これから、交通事故の慰謝料で被害者の方が損をしないための知識を説明していきます。
よく読んでいただき、決して損をしないようにしてほしいと思います。

目次

1.交通事故被害者が守るべき5つの鉄則とは?

数多くの交通事故の示談交渉や裁判に、弁護士としてかかわってきた経験を通して、わかったことがあります。

それは、被害者の方はご自身で気づかないうちにミスをしていているということ。
それも、後から取り返しのつかないような大きなミスをしていていることが、かなり多いということです。

これには、仕方がない面もあるでしょう。
なぜなら、事故にあう前に交通事故についての知識を持っている人などほとんどいないでしょうし、交通事故にあって、すぐに冷静な判断をするのは難しいものだからです。

しかし、交通事故後の被害者の対応ミスは、ご本人やご家族、または、弁護士が後でいくら奮闘しても取り戻すことはできません。

そこで万が一、交通事故の被害にあった時に被害者の方が守るべき5つの鉄則を解説します。

もし、ご自身やお知り合いの方が交通事故にあってしまった直後であれば、後悔しないためにも次の5つのことに注意しながら、交通事故の治療や相手方との示談交渉を進めてください。

(1)交通事故被害者の鉄則①「どんなことがあっても一定期間は通院する」


交通事故にあって怪我をした時は、すぐに病院へ行ってください。
交通事故の直後には必ず医師の診断を受け、主治医の指示に従って一定の期間、通院することが第1の鉄則になります。

これは当然と思いがちですが、中には仕事などで忙しく通院の時間がとれないことを理由に間を空けてしまう方もいます。

いくら仕事や私用で忙しくても、一定期間は通院することが大切です。

事故から間をあけてしまうと、不都合なことが起きてくる可能性があります。

たとえば、交通事故にあって少し経ってから体のどこかに痛みが生じたり、体調不良になったりした時、「これは、あのときの交通事故によるものだ」とご本人がいくら主張しても、その交通事故との因果関係をご本人や専門家が立証することが困難になるからです。
本当に交通事故が原因なのか、それとも他の要因により、体調に影響を及ぼしているのか、医学的な見地から証明をできなくなってしまうのです。

少しでも怪我の可能性があると思った時は、迷わず病院に行きましょう。

交通事故にあった直後は、たいした怪我ではないと感じていても後から生活に支障をきたすような症状が出てくることがよくあります。
たとえば、すり傷程度の外傷でも、次第にカラダの特定の部位が痛くなる、めまいや頭痛がするなどの後遺症が発生するといったケースがあるのです。

なお、通院中に何らかの変化があった時には、ちょっとしたことでも必ず医師に相談して判断をあおいでください。
これらの変化が医師のカルテに記載されることで、後日、示談交渉において客観的な証拠となるのですから。

(2)交通事故被害者の鉄則②「治療のための費用を抑える」

保険会社が、最後に損害の賠償金を払ってくれるのだから、怪我の治療費は自由に使っていいと思い込んでいる人、いませんか?

注意してください!
これは、交通事故被害者の方によくある勘違いです。

たとえば、入院中に個室を利用する、公共の交通機関を使えるくらいの症状にもかかわらずタクシーを利用する、健康保険適用外の治療を行う、などが勘違いとして多いケースです。
ところが、これらの費用が全て損害賠償金として認められ、支払われるとは限りません。

損害賠償については、治療に必要な金額で、相当な金額だけしか認められないのが原則です。

被害者に落ち度があるわけではない病院側の過剰な診療や高額な診療でさえ、認められないケースがあるくらいです。

また、注意が必要なこととしては、医療機関で「交通事故については健康保険は使えません」と言われた時の対応があります。

こうしたケースがまれにあるのですが、これは明らかに間違いです。

健康保険を使わないことにより、被害者の方が損をしてしまう可能性があります。
その理由は、「過失相殺」というものが関わってくるからです。

後ほど詳しく解説しますが、過失相殺とは「被害者側にも交通事故を起こす原因があった」と判断されることです。仮に被害者側の過失が認められてしまうと、受け取ることができる損害賠償金額から過失があった分の金額が差し引かれて支払われることになります。
当然、損害賠償金額が多くなるほど、過失分として差引かれる金額も多くなってしまいます。

将来の生活のことも考えれば、自由診療ではなく健康保険を使って治療のための費用を抑える工夫も必要になってきます。

もちろん、被害の程度が大きく、治療が必要な方は、相応の治療やサービスを利用すべきです。その一方、無理、無駄のない適切な範囲での治療を受ける努力をすべきなのです。

なお、治療時に使用した交通費や雑費などの領収書はすべて残しておきましょう。
これは、保険会社との示談交渉の際に、メモや口頭で「治療にはこれだけの費用がかかった」と被害者の方がいくら主張したとしても証拠として残されていなければ認められない可能性もあるからです。

(3)交通事故被害者の鉄則③「実況見分では、きっぱりと主張する」


人身事故の場合、警察は現場状況を確認し、加害者と被害者の双方から話を聞いて書類を作成します。
これを「実況見分調書」といいます。

実況見分調書は、後々、加害者と被害者の過失割合を決める際や、示談や裁判でも参考にされる重要な書類です。

ところで、大事なことがあります。
それは、実況見分で警察官から事故の状況について聞かれた時に、自分の記憶と違うことを絶対に認めてはいけないということです。

実況見分調書は、一度作成されると、後で直すことが難しいものです。

もし、被害者の方が事故の直後ということもあり動揺していたり、「後から訂正すればいいや」という軽い気持ちから警察官の誘導にのってしまった場合、どういうことが起きるでしょうか?

すなわち、事実とは違う実況見分調書ができあがってしまい、被害者の方が不利になり、大きな損失を被ってしまう可能性が出てくるのです。

なお、警察官は実際の事故現場を目撃したわけではありません。
そのため、経験や予測に基づいて、「事故当時の状況は〇〇だったのではないですか?」という質問で、被害者の方を誘導してしまうこともあるので、注意が必要です。

後悔しないためにも、実況見分では少しでも事実と違うと思う部分があるなら絶対に誘導されたり、自分の意見をゆずってはいけません。
きっぱりと自分の主張をすることが大切です。

(4)交通事故被害者の鉄則④「できるかぎり証拠を集めておく」

交通死亡事故の場合、被害者の方のご家族は事故直後にできるだけ証拠を集めておくことが大切です。

なぜなら、目撃者がいない場合、事故の状況を被害者の方は証言できないわけですから、必然的に加害者だけが証言できることになってしまいます。すると、どうしても加害者に有利な状況で裁判が進められてしまう傾向があるからです。

こうした状況を覆すためには、ご遺族が加害者の証言の矛盾をつくことができる証拠を提示することが必要になってきます。

事故からの時間が経過するにしたがって、証拠集めは難しくなっていきますから、ご遺族は事故直後にはタイヤのスリップ痕や、損傷した車両の写真を撮影しておくなど、できる限りの証拠を集めておくことが大切です。

ご遺族が事故の証拠集めに努力されたかいがあって、加害者に有利に進んでいた裁判が覆ったというケースも実際にあるのです。

事故現場の近くにコンビニがあれば、その店舗の防犯カメラに収められている映像ををチェックしたり、近隣の飲食店や商店などに聞き込みをすることで新たな証拠や有力な事実が浮かび上がってくることもあります。

また、信じられないかもしれませんが、事故直後には全面的に過失を認めていた加害者が、示談交渉が始まった途端、自分の過失を否定してくるケースもあります。
こうした例は、死亡事故以外でもあることです。

このような事態に備えるため、現場の目撃者にコンタクトが取れるのであれば、その方の名前や連絡先を確実に控えておくことも忘れないようにしてください。

ご家族を交通事故で亡くされて、大きなショックと悲しみを抱えている時に証拠集めなんてできない、というお気持ちもわかります。
しかし、これも交通死亡事故被害の現実なのです。

(5)交通事故被害者の鉄則⑤「示談の前に弁護士に相談する」

「今回は、当社の最高額の示談金額を提示させていただきます」

誠意のある印象の保険会社の担当者が、こんなことを言うことがあります。

すると、「一生懸命に対応してくれたのだから」と、示談に応じて判を押してしまう方もいると思いますが……。

ちょっと待ってください!

示談については、保険会社の担当者が良い人だからといって、賠償金額も良いとは限らない、ということを忘れてはいけません。

「今回のような交通事故の被害からすると、明らかに相場よりも低い賠償金額ですよ!」

後日、弁護士に示談書を見せたところ、そんなことを言われてしまうケースがよくあります。

もちろん、すべての示談交渉で賠償金額が上がるとは限りません。
しかし、弁護士が交渉に入ることで、極端なケースでは、先方が提示した金額の何倍にも賠償金額が上がるということもあります。
これは事実です。

一度、保険会社と示談をしてしまうと後で覆すことができません。
示談に応じる前には、必ず弁護士に相談してほしいと思います。

2.交通事故の加害者が負うべき3つの責任とは?

交通事故の被害者の方やご家族にとっては、交通事故にどのように対処すればいいのかというのはとても難しい問題です。
また、人身事故を起こした加害者には「刑事責任」、「民事責任」、「行政責任」の3つの責任が同時に発生するという事実が、物事を複雑にしてしまいます。

そこで、この3つの責任について解説していきます。

(1)刑事責任とは?

刑事責任とは、交通事故の加害者に罰金刑や懲役刑、禁錮刑などの刑罰が科せられることです。
たとえば、人身事故を起こした罪や、酒酔い運転をして事故を起こした罪、ひき逃げをした罪などがあげられます。

(2)民事責任とは?

民事責任とは、被害者に与えた損害を加害者が賠償する責任です。
これには、怪我の治療費や、怪我をしなければ得られるはずだったと見込まれる収入、被害者の方の精神的な苦痛などが含まれます。

(3)行政責任とは?

行政責任とは、加害者が免許の取り消しや、免許の停止等の行政処分を受けることです。

(4)被害者に大きくかかわる加害者の責任は?

じつは、これら3つの責任はそれぞれ別々のものであるため、場合によっては民事責任では加害者に損害賠償責任が認められたにもかかわらず、刑事責任では不起訴処分になったり、無罪になったりということも起こり得ます。

そのような場合は、被害者の方やご家族としては納得がいかないと憤りを感じることもあると思います。
しかし、民事責任と刑事責任は法律上は、あくまでも独立した責任だということを理解してほしいと思います。

ところで、上記3つの責任のうちで交通事故の被害者の方の人生に深くかかわってくるのは何かというと、民事責任になります。

民事責任では、加害者側と被害者側が損害賠償金によって解決をはかります。
この解決は、お互いの話し合いによって行われますが、どうしても双方で解決しない場合は、最終的には裁判等で決着することになります。

なお、裁判に至った場合は、法律の専門である弁護士に依頼することを強くお勧めします。

3.交通事故被害者とその家族が知っておくべき慰謝料の必須知識


人生で交通事故にあうことは、そうあることではありません。
しかし万が一、交通事故にあってしまった場合に被害者と、そのご家族が損をしないために知っておかなければいけない基礎知識があります。

ところで、交通事故の被害者の方は、自分自身で損害賠償について立証し、自ら加害者側に請求しなければならないという立場にあります。

まず第一に、交通事故の被害者の方とそのご家族には、この事実を知っておいていただきたいと思います。

仮に、「自分は被害者なのだから警察が何とか解決してくれるだろう」、「保険会社が処理をしてくれるはずだ」、などと他者に依存する考えでいるならば、残念ですが、その被害者の方は後で痛い目にあうことになるでしょう。

(1)被害者が加害者と直接示談交渉しない時のメリットとデメリット

交通事故の被害者の方が示談の交渉をしていく相手とは誰でしょうか?

じつは、ほとんどの場合、加害者が加入している保険会社の担当者になります。
なぜなら、任意保険には「示談代行サービス」というものがついていることが多いためです。

じつは被害者の方にとっては、加害者本人と示談交渉するではなく保険会社の担当者と交渉を進めていくことには、メリットとデメリットの両方があります。

まずメリットとしてあげられるのは、保険会社と示談交渉をした方がスムーズに解決できるということです。
加害者本人が、すべての損害賠償を行うことは現実的には難しいため、保険会社と示談交渉をした方が被害者の方にとってはスムーズに解決するわけです。

次にデメリットとしてあげられるのは、被害者の方がマイナス感情を抱いてしまいがちなところです
加害者と顔を合わせないために、相手の誠意や謝意が見えない、感じられない、ということが起きてくるのです。

被害者の方にしてみれば、保険会社の担当者と交渉することで加害者本人から謝罪を十分に受けていないという印象が強くなるため、気分を害してしまい、示談交渉がスムーズに進まなくなることがあります。

こうした状況は、交通事故の被害者の方にとってはとても大きな問題となるのですが、現状では制度上での解決策がないと言わざるを得ません。

(2)加害者の保険会社の担当者はあなたの味方ではない!

示談交渉では、加害者側の保険会社の担当者は、けっしてあなたの味方ではありません。

あくまでも、示談の交渉相手であるという事実を忘れないようにしてください。

ところで、被害者の方にとって交通事故によって受けた損害を補償してくれる保険(労災保険は除きます)には、「自賠責保険」と「任意保険」の2つがあるのをご存知でしょうか?
被害者に対して、最低限の補償額を支払うのが自賠責保険です。
さらに、それでは足りない部分を支払うのが任意保険となります。

示談交渉を有利に進めていくためには、被害者自身が保険とは何のためにあるのか? 損害賠償はどのような流れで行われるか? などについて把握しておくことが大切です。

(3)加害者が自賠責保険と任意保険に加入しているか確認をする

自動車損害賠償責任保険を略して、自賠責保険といいます。

自賠責保険は強制加入です。
そのため、法律では「加入していない自動車を運転してはならない」と規定されていることは運転免許を取得したことのある方はご存じだと思います。

じつは、自賠責保険には限度額というものがあります。
そのため、被害者の方が死亡した場合、または重い後遺症が残ってしまった場合には、十分な保障が得られないということが起きる可能性があるのです。

たとえば、後遺症の中でも最も重いものが残ってしまったケースで考えてみます。

自賠責保険から支払われる限度額は、最高で4000万円です。
ところが、最も重い後遺症が残った場合では、自宅のリフォーム費や介護費なども通常は含まれるので、賠償額は1億円を超えてしまいます。

すると、差額が6000万円にもなってしまいますが、この自賠責保険では足りない金額をカバーしてくれるのが任意保険です。

ただし、注意が必要なのは、加害者が必ずしも任意保険に加入しているとは限らないということです。
任意保険会社とは、任意であるため、加入するかしないかは運転者の判断に委ねられているのです。

そのため、被害者の方がやるべき重要なことは、交通事故にあってしまったらすぐに、加害者が任意保険に加入しているのかどうかを確認することです。

同時に、加害者が自賠責保険に加入しているかどうかも確認しておきましょう。
強制加入のはずなのに、何らかの理由で加害者が自賠責保険に加入していないケースもあるからです。

(4)加害者が自賠責保険に加入していない時はどうする?

万が一、相手方(加害者)が強制加入であるはずの自賠責保険に加入していない場合、被害者の方はどうすればいいのでしょうか?

安心してください、「政府保障事業」という制度を利用することができます。

無保険者が事故を起こしてしまった場合や加害者が誰なのか身元がわからない場合に、自賠責保険と同額の補償をしてくれるのが「政府保障事業制度」です。

なお、被害者ご自身だけでなく、同居する親族などの任意保険に「無保険者傷害特約」がある場合は、その保険から損害賠償相当額が支払われる可能性があるので、必ず確認することをお勧めします。

(5)損害賠償金の中身には何が含まれているのか?

ところで、ひと口に損害賠償金といっても、その中には一体どのようなものが含まれているのかご存知でしょうか?

ここでは、ざっくり説明します。

交通事故の損害には、「物損」と「人損」があります。
自動車や車内に置いてあったもの、あるいは身につけていたものなどが破損することを「物損」といいます。

一方、体に負った怪我や後遺症などを「人損」といいます。

そして、この物損と人損の両方を合わせた損害の賠償額が、交通事故での損害賠償金ということになります。

なお、自賠責保険は、人身事故のみに適用されるのため、物損事故には適用されません。
一方、任意保険の場合は、人身事故と物損事故のどちらにも適用されるという違いがあります。

(6)慰謝料が過失相殺でなくなる場合がある!?

「過失相殺」というと、何か難しく、重苦しい印象を受ける人もいるかもしれませんが、交通事故の示談交渉や裁判の時に欠かせない、大切なキーワードです。

過失相殺とは、簡単に言うと「被害者側にも不注意により交通事故を起こす過失があった」と認定されることをいいます。

たとえば、「加害者70%・被害者30%」というようにパーセンテージによって示されるのですが、、損害賠償金額からこの割合に基づいた割合分が差し引かれてしまうのです。

過失相殺の割合によって、受け取ることができる損害賠償金が変わってしまうのですから、交通事故の被害者になってしまった時は、この過失相殺を理解することがとても重要になります。

ところで、一般の方にとって、過失相殺は少しわかりにくいところがあります。
それは、「刑事責任」で被害者の方にはまったく過失がないと認定されたにもかかわらず、「民事責任」における損害賠償請求では過失があると認定されてしまうことがあるという部分でしょう。

被害者の方にしてみれば、こうした矛盾を単純に受け入れるのは難しいかもしれません。
しかし基本的に、刑事責任と民事責任とは別々のものであると考える必要があります。

(7)保険会社は敵?でも報告をまめにするべき理由とは?

前述したように、被害者の方にとって、加害者の保険会社は示談の交渉相手です。
しかし同時に、怪我の治療経過などを、まめに連絡・報告するべき相手でもあるのです。

一見、矛盾しているようですが、これはどういうことでしょうか?

被害者の方には、最終的に損害賠償金が支払われます。
ところが、支払いまでにはある程度の時間がかかってしまうため、金銭的に困ってしまう方もいます。
怪我の治療中は、治療費用がかかり、おまけに働くことができないために収入が減ることが多いからです。

被害者の方が困らないように、治療中に一旦、治療費の費用や、医療機関までの交通費、さらには休業補償などが支払われます。

これらは内払い金のため、最終的にはこれらの費用を差し引いた額が損害賠償金として支払われますが、被害者の方にとってはとても重要になることも多いものです。

加害者側の保険会社から内払い金が支払われるためには、被害者の方の怪我の状況や治療の必要性、休業の必要性などを保険会社に理解してもらわなければいけません。

そのためには、被害者の方は保険会社に対して、治療状況の報告を正確に、そしてマメに行うことが大切なのです。

(8)トラブルを未然に防ぐ!示談成立までのロードマップ

被害者の方にとって、交通事故から示談成立までの一連のフローを頭に入れておくと、被害を比較的スムーズに解決までもっていきやすくなり、トラブルを未然に防止することもできます。

また、示談成立までの流れを把握していないと、自分が次に何をすべきかがわからず回り道をしたり、適正な損害賠償を受けられなく可能性があるので注意が必要です。

【示談成立までの流れ】
1.事故発生
2.加害者の身元の確認
3.警察への通報と実況見分調書の作成
4.加害者と被害者の双方の保険会社への通知
5.怪我の治療
6.治療完了または後遺障害の認定により損害賠償額が確定
7.示談交渉
8.示談成立(決裂した場合は紛争処理機関や法的機関へ)

この中で特に重要なポイントについて解説します。

①加害者の身元は必ず確認すること

交通事故被害にあってしまった場合、後々、損害賠償などの交渉を加害者側としなければいけません。
そのためには、相手の名前や確実な連絡先を確認しておくことが必須です。

その際、次のポイントに注意してください。

・事故直後に加害者から名刺をもらっておく
加害者が業務中に起こした事故の場合、加害者が勤務する会社にも損害賠償責任を負担する義務が発生します。
また、加害者が保険に加入していない場合などでは、給料を差し押さえてしまうケースもあります。

・相手方(加害者)の会社に確認の電話をしてみる
相手が、「名刺は持っていない」と言うような場合は、会社名や連絡先をしっかりメモしておきます。
中には嘘の電話番号を告げるような不誠実な加害者もいます。
事故の現場で番号をダイヤルしてみて、正しい電話番号かどうかを確かめるのもいいでしょう。

加害者の車検証を確認する
加害者が運転していた自動車が自分のものでない場合もあります。
その場合、法律上は自動車の所有者にも損害賠償を負担する義務が発生します。
車検証には自動車の所有者が記載されているので確認するようにしましょう。
また、自賠責保険と任意保険を確認することも大切です。
できれば、携帯電話やスマホのカメラなどで撮影しておくことをお勧めします。

②警察へは必ず通報すること

交通事故では、加害者が示談を提案してくることがあります。
しかし、その提案には応じてはいけません。
事故後は、必ず警察に通報することが重要です。

交通事故では、警察は「交通事故証明書」や「物件事故報告書」などを作成します。
これらの書類がないと、後々、被害者の方は加害者の保険会社との示談交渉や裁判を行うことができなくなってしまうおそれがあります。
また、極端なケースでは、警察へ通報しなかったために事故そのものがなかったことになる可能性もあるので注意が必要です。

③加害者と被害者両方の保険会社へ連絡すること

自動車保険には、自賠責保険と任意保険がありますが、事故後に加害者に対して保険に加入しているかどうかを確認したら、保険会社へ確実に連絡をとってもらうことを忘れてはいけません。

同時に、被害者ご自身やご家族が加入している保険会社への連絡も忘れずに行ってください。
任意保険にはさまざまな種類があるため、契約内容によってはご自身やご家族の任意保険が治療費などを負担してくれるものもあるので忘れずに確認しましょう。

④怪我の治療の終了時期を主治医と相談すること

交通事故被害にあってっしまったら、怪我の治療をしなければいけません。
ところが、ここで被害者の方が悩んでしまうことがあります。
それは、怪我の治療を一体いつまで続けるべきなのか、ということです。

怪我が完治すれば、もう治療をやめることができるのでいいのですが、問題は痛みや障害が残ってしまった場合です。
基本的には、担当の医師が、「もうこれ以上、治療を継続しても改善が見込めない」と判断することを「症状固定」といいます。
したがって、この時点でまだ身体に障害が残っている場合には、残念ながら「後遺症」ということになります。

じつは、医師が症状固定の判断を出したあとの治療については、原則として損害賠償に含まれません。
そのため、主治医としっかりコミュニケーションをとりながら、今の自分の怪我がどのような状態なのかを常に把握することが大切です。

⑤加害者の保険会社に治療費をしっかり請求すること

怪我の治療をしていると、加害者の保険会社が「治療費の支払いの打ち切り」を通告してくることがあります。
治療費の支払いの打ち切りなどといわれると、「もうこれ以上は治療を受けられないのか…」と被害者の方は困惑してしまうでしょう。

でも安心してください。
これは、「保険会社としては、治療が一旦終わったと判断しました」ということであって、その後も治療が必要な場合は、その費用は支払われます。
ですから、主治医と相談して、必要ならば当然、治療を継続してください。

ただし、ここからの治療にかかった費用については、後で保険会社と交渉する必要がありますし、過失相殺がある場合は治療費が全額認められるわけではありません。
そのため、被害者の方は適切な治療に努めることが大切です。

(9)損害賠償請求には2通りの方法がある

示談が成立するまでの中で、被害者の方は自賠責保険会社と任意保険会社に請求を行っていく必要があります。

保険会社への請求には、大きく分けて次の2通りの方法があります。

【請求方法A】
まず初めに自賠責保険会社に請求し、足りない分は後から任意保険会社に支払ってもらう方法です。

【請求方法B】
自賠責保険会社に請求せずに、任意保険会社に一括請求をする方法です。
※この場合は、任意保険会社が自賠責分も一括して被害者に支払います。任意保険会社は、後で自賠責保険会社に自賠責分を請求するという仕組みになります。

裁判にまで至らないケースでは、AとBどちらの方法で請求しても、ほとんどの場合、被害者の方が受け取ることができる金額は同じです。

なお、裁判になると、「遅延損害金」という金利がつくため、AとBの2つの方法を比較すると金額に差が出てきます。

ただし、被害者の方の過失割合が大きいようなケースでは注意が必要です。
なぜなら、過失相殺によって被害者の方への賠償金額が減額されるからです。
そのため、被害者の方の過失割合が大きい場合では、任意保険会社との示談がスムーズに進まない場合があるのです。

一方、自賠責保険会社の場合は、ある程度、過失割合が高くても慰謝料などの損害賠償金や保険金は減額されずに満額が支払われます。(厳密には7割未満の過失まで)

では、被害者の方の過失割合が7割を超えた場合はどうなるかというと、
慰謝料などの損害賠償金や保険額から2割の減額ということになってしまいます。

ただし、これは被害者の方が怪我をした場合です。
後遺障害を負った場合や亡くなった場合の減額割合は次のようになります。

・被害者の過失が7割以上8割未満の場合/2割の減額
・被害者の過失が8割以上9割未満の場合/3割の減額
・被害者の過失が9割以上10割未満の場合/5割の減額

被害者の方の過失割合が大きいために、任意保険会社から支払われる損害賠償金額が自賠責保険会社から支払われる賠償金額の中に収まってしまうようなケースも中にはあります。

これらのことから考えると、被害者の方の過失割合が大きいために損害賠償額が自賠責保険の範囲内に収まってしまうような時は、【請求方法A】を選択するほうがいいといえます。

(10)これでわかる!自賠責保険の仕組みと流れ


被害者の方が自賠責保険会社に損害賠償金を請求すると、事故について調査が行われます。

この調査は、保険会社が事故調査の専門機関である損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所に必要な書類を送付し、それらに基づいて行われるものです。
当然、自賠責保険会社から被害者の方への支払いは、この調査の結果に基づいて行われるのです。

以下の表は、自賠責保険算定基準の金額例です。
ケースによっては算定基準が異なることがあるので、ひとつの目安として参考にしてください。

4.交通事故で慰謝料を確保するポイントはここ!

冒頭でもお伝えしましたが、じつは交通事故被害者の方の多くが、正しい金額の損害賠償金を受け取っていないという現実があります。

では、なぜこのようなことが起きてしまうのでしょうか?

被害者の方は、交通事故でつらい思いをして、後遺症が残るような被害を負い、さらには適正な損害賠償金を手に入れることができないとは……どうしてそんなことが許されてしまうのでしょうか?

その際、交通事故の被害者の方と加害者(保険会社)の間では、一体どのような話し合いが行われるのでしょうか?

そもそも、「示談」とはどのような話し合い、交渉なのでしょうか?

(1)交通事故の示談とは、どのような内容の交渉なのか?

民事上の紛争において、裁判ではなく当事者同士の話し合いで解決することを「示談」といいます。
示談は、紛争を解決するために行うものです。被害者側と加害者側の両サイドで話し合い、お互いの主張を重ね、ゆずりあうことを基本にしているのです。

通常、次のような流れで示談交渉は進んでいきます。

1.被害者と加害者の双方が話し合う
2.和解に至る
3.内容を書面にした示談書を作成
4.双方が判をつくことで示談成立

たとえば、次のようなイメージです。

・被害者の方が1000万円の損害賠償を請求
・加害者が40%の過失相殺(損害賠償額600万円)を主張
・何度かの話し合いを行う
・最終的に800万円の損害賠償額に決定

また、実際に取り交わされる示談書は、次のような内容になります。
もちろん、細部は状況によって異なりますし、保険会社が相手の場合は、「免責証書」という書面が示談書のかわりになることもあります。

示談書

近藤太郎(以下「甲」とする)と、佐々木次郎(以下「乙」とする)は、下記の事故(以下「本件事故」とする)による甲の乙に対する損害賠償請求について、次の通り示談する。

(事故の表示)
日時 平成○○年○月○日 午後17時15分
場所 東京都渋谷区○○町○丁目○番地路上
態様 乙運転の自動車(登録番号○○○○○○○)が道路横断中の甲に衝突した

(示談の内容)
1 乙は、甲に対し、甲の傷害に関して発生した治療費、休業損害、慰謝料、後遺障害その他一切の損害賠償として、既払金の他に金○○○○万円の支払義務があることを認め、これを平成○○年○月○日限り甲の指定する下記口座宛振込により支払う。

〈口座〉
○ ○銀行 ○○支店
(普)○○○○○○○ 近藤太郎

2 本件事故による甲の傷害に関する損害賠償は後遺障害分を含め(但し、後遺障害等級○級)、一切解決済みとして、甲は乙に対し、本示談書に規定する他、何ら請求しないこととする。ただし、本件示談の際に予想しえない後遺障害が発生した場合には、当該後遺障害に基づく損害賠償については別途協議する。

以上
 平成○年○月○日

甲 住所
  氏名                 印

乙 住所
  氏名                 印

(2)保険会社が「基準に基づいた金額」を提示したら要注意

示談交渉において、交通事故の被害者の方は、加害者側の任意保険会社が提示してくる賠償金額を疑うことなく鵜呑みにしてはいけません。

たとえば、加害者側の任意保険会社が被害者の方に賠償金額を提示する際、こんなことを言ってくることがよくあります。

「この金額は任意保険会社基準に基づいて算出しています」

これは、要注意です。

被害者の方にしてみれば、有名な保険会社が提示している、きちんとした基準で算出されたものなのだから、適正な金額なのだろうと思ってしまうのではないでしょうか。

しかし通常は、この「任意保険会社基準」の金額は、裁判で認められる基準額よりも低く設定されています。

裁判になれば、もっと高い賠償金を払わないといけない可能性が高いのです。
それなのに、任意保険会社はそれをわかっていながら低い額の損害賠償金を提示してくるのです。

(3)実際よりも低い金額で示談してしまっている被害者たち


なお、自賠責保険会社にも「自賠責基準」というものがあります。

これは、任意保険会社基準や裁判基準よりも低く設定されています。

裁判基準(最大) > 任意保険会社基準 > 自賠責基準(最小)

交通事故の賠償金には、このように3つの基準があり、弁護士が使う「裁判基準」がもっとも高い金額になるのです。

当然、被害者の方が、このことを理解している場合と知らない場合では、損害賠償金の額が大きく違ってきます。

保険会社から提示された金額で示談書に判を押してしまうと……本来であれば、裁判基準で受け取れるかもしれない適正な損害賠償額を、みすみす放棄してしまうことになるのです。

じつは、被害者は、交通事故に関する知識がないため、自賠責基準または任意保険会社基準の損害賠償金額で示談してしまっているケースがとても多いのが現実なのです。

(4)被害者は損害賠償金の中身(項目)のここに注目!

損害賠償金には、さまざまな損害項目があることをご存知でしょうか?

一般の人にとっては、損害賠償金というと、それ自体が「ひとつにまとまったもの」という印象かもしれません。

しかし、損害賠償金は、さまざまな損害項目が合算されたものであるということを被害者の方は理解しておくことが大切です。

たとえば、家計簿で考えてみましょう。

1ヵ月の支出の中には、電気代や水道代、ガス代、食費、家賃などさまざまな項目があるでしょう。
これらの項目をしっかりと確認して、合算することで正確な数字、金額を出すことができます。

損害賠償金も同様です。
交通事故における損害賠償金を構成する項目の一部を次にまとめてみます。

【損害賠償金を構成する項目例】(※怪我をした場合)
治療費、付添費、入院雑費、通院交通費、傷害慰謝料、後遺症慰謝料、弁護士報酬、休業損害、損害賠償請求関係費用、将来介護費、将来雑費、家屋・自動車等改造費、修理費、装具・器具等購入費、買替差額、代車使用料、休車損、登録関係費、評価損、葬儀関係費など

とても1度で覚えられないほど、さまざまな項目があることをおわかりいただけたでしょう。

示談交渉では、被害者の方はこれらの項目をすべてご自分で把握しておかなければいけません。
なぜなら、保険会社が提示してきた損害賠償金の額や項目が適正なものなのかを判断しなければいけないからです。

損害賠償金のどの項目が自分には必要なのか、それぞれの適正金額はいくらなのかを知っていれば、いざ示談交渉の際、保険会社の提示に対して、「この項目が抜けている」、「この項目の額は低いのではないか」というように具体的な指摘ができるでしょう。

しかし、項目によって損害金の算出法は違います。
交通事故や保険のプロではない一般の人が正確な金額を計算するのは至難の業でしょう。

では、被害者の方はどうすればいいのでしょうか?

(5)弁護士に相談するタイミングはいつがいいのか?

示談交渉を上手に、スムーズに進めていくには弁護士に相談することが有効です。

しかし、弁護士であれば誰でもいいかといえば、そんなことはありません。弁護士にも、それぞれ得意分野があることが普通だからです。

やはり、交通事故の示談においては、交通事故問題を得意とする法律事務所や弁護士に依頼すべきです。

では、どのようなタイミングで弁護士に相談すればいいのでしょうか?

基本的に、相談をするのはいつでもいいのですが、軽い怪我の場合、治療中は、弁護士に相談をしても、特に弁護士ができることはないので、治療が終わって保険会社が示談金を提示してきた時に相談するのでいいでしょう。

問題は重い怪我の場合です。

重傷の場合、治療中にもさまざまな問題が発生してくるので、まずは交通事故にあった直後に一度、弁護士に概略を話しておきます。
そして、問題が起きればその都度、相談をするというのがいいでしょう。

なお、賠償請求を行う方法には、ご自分で交渉するのと弁護士に依頼するという2つの選択肢がありますが、これまでの経験からも、やはり交通事故問題を得意とする弁護士に依頼することをお勧めします。

ご自身で交渉するのも不可能ではありませんが、前述したように損害賠償金の詳細を把握し、複雑な計算により適正額を把握するというのはとても難しい作業だからです。

(6)交通事故に強い弁護士を探すベストの方法とは?

では、交通事故に強い弁護士はどこにいるのでしょうか? 
どのように探したらいいのでしょうか?

知人を辿って弁護士を紹介してもらうという人もいると思いますが、いざ会って話をしてみると、その弁護士が交通事故を得意分野にしているわけではなく信頼感に欠けたため、依頼するまでには至らなかったという話もよくあるようです。

やはり今の時代であれば、パソコンで検索エンジンを使って交通事故問題を得意分野にしている弁護士のウェブサイト(ホームページ)を探すのが一番でいいでしょう。 
信頼できそうだと感じる弁護士がいたら、まずは電話で相談をしてみて実際に話をしてみるのがいいでしょう。

ただし、検索エンジンを利用する時の大切なポイントが2つあります。

①交通事故に関する実績や著作があるか?

ネット上のホームページは、現代では誰でも作ることができますから、パッと見は「交通事故が得意な弁護士のように見えるだけ」という場合もあるでしょう。
また、交通事故に関する一般向けの著作はあっても専門書の出版実績がないようであれば、その弁護士に専門性があるとはいえない場合も多くあります。
弁護士のウェブサイトを閲覧した時に実績の項目をチェックしたり、著作についてチェックすることは重要です。

②交通事故についての情報発信をしているか?

交通事故について、つねに情報発信をしている弁護士は、交通事故問題に時間をかけている証拠です。
ですから、交通事故について専門的に取り組んでいる可能性が高いと判断していいと思います。
さらにいえば、交通事故に関してテレビや新聞、出版社などのマスコミから取材を受けている弁護士は、まず間違いなく交通事故の専門家といっていいでしょう。
マスコミが交通事故について取材する際は、事前にその点を十分調査してから取材をしているからです。

(7)示談が決裂した場合はどうすればいいのか?

示談とは、双方の話し合いによって問題解決を図るものです。
そのため、当然、決裂することもあります。
では、決裂した場合、どうすればいいのでしょうか? 
どのような手続きをしなければいけないのでしょうか?

①財団法人交通事故紛争処理センターで和解斡旋をしてもらう

(財)交通事故紛争処理センターでは、被害者の方から相談を受けると相談員が加害者からもヒアリングしたうえで、示談斡旋を行っています。
注意すべきポイントは、弁護士が相談員を務めますが、被害者の方の弁護を行うわけではないということです。
相談員は、あくまでも示談斡旋を行う仲介役という立場です。
そのため、必要な証拠集めなどはすべて被害者ご自身で行う必要があります。

②調停を行う

簡易裁判所が間に入り、被害者と加害者の双方で話し合いを行うのが調停です。
しかし、示談交渉で一度話し合ったのに決着がつかなかったという経緯、流れがあるため、示談が決裂した後すぐに訴訟に移る人も少なくないのが現状です。

③訴訟をする

加害者を訴えて、判決を求めることを訴訟といいます。
訴訟では、裁判の途中で裁判所から「このへんで和解をしたほうがいいですよ」というアドバイスである「和解勧告」が入って和解に至るというケースと、裁判所からの判決が出されるまで争うというケースがあります。
判決が出るまでには、通常は半年から1年、長い場合では数年もかかることがあるため、途中で和解に至るケースが割合的には多いといえます。

もちろん、ご自身でも訴訟は行えます。
しかし、手続きの煩雑さや専門知識の難解さ、さらには時間の拘束などを考えれば、法律の専門家である弁護士に依頼するのが現実的だと思います。

5.交通事故で後遺障害が残った場合の要注意ポイントとは?

交通事故で被害を受けた場合、怪我の治療後に後遺障害(後遺症)が残ってしまう場合があります。

じつは、後遺障害が残るかどうかで損害賠償の項目も金額も大きく変わってきます。

(1)後遺障害が残った場合は慰謝料が大きくなる

まずは、後遺障害が残った時と残らなかった時の損害賠償の中身の違いについて見てみましょう。(人損の場合)

【後遺障害が残らないときの損害賠償金の主な内訳】
① 治療費
② 入院雑費
③ 付添看護費
④ 通院交通費
⑤ 器具装具
⑥ 休業損害
⑦ 傷害慰謝料
⑧ 弁護士費用
⑨ 文書費

【後遺障害が残ると認定されたときの損害賠償金の主な内訳】
① 治療費
② 入院雑費
③ 付添看護費
④ 通院交通費
⑤ 器具装具
⑥ 休業損害
⑦ 傷害慰謝料
⑧ 弁護士費用
⑨ 文書費
⑩ 後遺症慰謝料
⑪ 逸失利益
⑫ 自宅・自動車等改造費
⑬ 将来雑費
⑭ 重度後遺障害の将来の介護費用

この中では、まずは慰謝料が大きく違ってきます。

たとえば、⑦の「傷害慰謝料」は、交通事故により受けた肉体的な苦痛や治療に対するものなので共通です。
後遺障害が残ると認定された場合は、⑩の「後遺症慰謝料」が加算されます。

さらに、後遺障害が残ると認定された場合には、⑪の「逸失利益」が加算されます。
これは、後遺障害がなければ、その人が本来は得られたはずの利益を補填するものです。

(2)後遺障害の等級認定はどのように行われるのか?

後遺障害といっても、そのレベルはさまざまで、全部で14の等級に分けられています。
これを、「後遺障害等級認定」といいます。

障害が重いほうから1級、もっとも軽い等級が14級となります。

等級の客観的な判断は、「損害保険料率算出機構」という機関によって認定されます。

示談交渉はもちろん、裁判の際もこの機関の認定基準が尊重される傾向にあります。

(3)生活が苦しい被害者が「被害者請求」をするべき理由

被害者の方が後遺障害等級認定を行うには、①事前認定と、②被害者請求という2つの方法があります。

①後遺障害等級の事前認定とは?

事前認定とは、任意保険会社を通して後遺障害等級認定を行う方法です。
被害者の方のメリットとしては、負担が少ないということがあげられます。
任意保険会社は、認定に必要な書類を収集してくれたり、足りない書類を用意してくれます。

②後遺障害等級の被害者請求とは?


被害者請求とは、被害者ご自身が自賠責保険を取り扱っている会社に対し、後遺障害等級認定を行う方法です。
被害者の方のメリットとしては、示談を行う前にまとまったお金を受け取れるという点があげられます。

実際、負担が少ないという理由から大半の被害者の方が①事前認定を利用しています。
しかし、金銭的余裕のない被害者の方は被害者請求をすることで、示談を行う前にまとまった額を受け取れるのですから大きなメリットがあります。

ただし、裁判をする場合は注意が必要です。

裁判をして判決が出る場合には、事故時から賠償金に対して「遅延損害金」が付加されます。
ところが、先に被害者請求で損害賠償金を受け取ってしまうと、その分の遅延損害金は付加されません。

こうしたメリットとデメリットをよく考えながら、事前認定にするか、それとも被害者請求にするかを決めることが重要です。

(4)後遺障害等級によって受け取る金額が変わってくる

後遺障害等級認定で決まったそれぞれの等級で、被害者の方はどのくらいの金額を受け取ることができるのでしょうか?

金額を以下にまとめたので、参考にしてください。

【自賠責法別表第1】
第1級 4000万円
第2級 3000万円

【自賠責法別表第2】
第1級 3000万円
第2級 2590万円
第3級 2219万円
第4級 1889万円
第5級 1574万円
第6級 1296万円
第7級 1051万円
第8級  819万円
第9級  616万円
第10級  461万円
第11級  331万円
第12級  224万円
第13級  139万円
第14級  75万円

注意が必要なのは、等級が1級上がるだけで数十万から百数十万円も金額が変わってしまうことです。
また、同じ後遺障害であっても等級が変わると最大で1000万円もの差ができしまうということです。

さらに、後遺障害が複数ある時は、それらが合わさり併合されて等級が上がることもあります。

(5)等級に不服があれば「異議申し立て」をするべき!


後遺障害等級は、一般的には「14級9号」のように、等級数だけではなく、級と号の組み合わせで用いられます。

被害者の方が、どの級に該当するかを判断するために、それぞれの等級には後遺障害を負った部分に対して、いくかの項目があります。
「〇号」のという号数は、その番号を示しているわけです。

ところで、後遺障害等級認定を理解し、後遺障害等級の内容を見ていくと、被害者の方にとっては納得できない問題が必然的に出てきます。

ここでは、交通事故でよくある後遺障害である「むち打ち症」を例に見てみましょう。

むち打ち症は、12級13号と14級9号が対象になります。

12級13号…局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号……局部に神経症状を残すもの

判断基準を見ると、「頑固な」という言葉があるかないかの違いしかこの2つの等級には差がないのです。
それなのに、損害賠償金は、14級が75万円なのに対し、12級では224万円です。
被害者の方にとって、この違いはとても大きなものです。

そこで、医師の画像診断と神経学的所見から、この違いを具体的に判断していくことになります。

被害者の方が負った後遺障害が、どの等級に当てはまるのかについては微妙な判断になることも少なくありません。

そうした微妙な判断の違いで被害者の方は損をしてしまう可能性があるわけですから、もし認定された等級に少しでも不服があれば、損をしないためにも異議申し立てをすることが重要になってくるのです。

(6)逸失利益が勝負を決める!

前述したように、後遺障害が残ってしまった場合、損害賠償金には後遺症慰謝料の他に「逸失利益」が加算されます。

被害者の方が後遺障害を負ったことにより、本来得るべきだったのに得られなくなった収入(利益)を逸失利益といいます。

逸失利益は、以下の計算式によって算出されます。

基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数 = 逸失利益

①基礎収入とは?

「基礎収入」とは、被害者の方が事故前に得ていた収入のことで、逸失利益はこの額を基準にして算出されます。
概ね30歳未満の若年層の方の場合は、将来的には収入が増えただろうという予測に基づいて、「賃金センサス」といわれる年齢ごとの平均収入がよく用いられています。
その他の年代の場合でも、仮に事故前の収入が年齢ごとの平均収入を下回っていたとしても、将来的に賃金が増えるであろう可能性を証明できれば、平均的な収入をベースに算出されることがあります。

②労働能力喪失率とは?

たとえば、後遺障害等級が第14級と認定された場合、その後遺障害によって被害者の方の労働能力が5%失われたと考えられます。
この5%を「労働能力喪失率」といいます。
労働能力喪失率は、等級が上がるごとに比例して増えていきます。
13級では9%の喪失率、12級では14%の喪失率となり、もっとも等級の高い1級では、喪失率は100%です。

③ライプニッツ係数とは?

現時点のお金の価値と、被害者の方が将来的に手にするお金の価値は違うため、その差を調整する必要がでてきます。
そのための数値を、「ライプニッツ係数」といます。
逸失利益は、後遺症を負わなければ将来、得られたはずと見込まれる利益ですから、その利益分を現時点で受け取るということは、お金を前倒しで受け取るということになります。
ところが、ここで問題となるのが金利の存在です。
保険会社は、金利分のお金を差し引かないと、結果的には被害者の方にお金を多く支払ってしまうことになります。
そこで、ライプニッツ係数を用いて金額の調整をするわけです。

④労働能力喪失期間とは?

ライプニッツ係数の算出は複雑で難しいため、あらかじめ「ライプニッツ係数表」というものがあり、この表から係数を算出することができます。
被害者の方が、あと何年働けたかをもとに係数表は作成されています。
この期間を「労働能力喪失期間」といい、基本的には、その被害者の方が67歳まで働くことができたと想定します。
たとえば、被害者の方が事故当時32歳であったなら、あと35年は働くことができたと考えるわけです。
ちなみに、67歳以上の方や、未就労のお子さんが被害者になってしまうこともあるので、そのための係数もあります。
なお、頭部への怪我による神経障害などの軽度の後遺障害の場合は、労働能力喪失期間を数年間と認定されることもあるので、該当する方やご家族は注意が必要です。

後遺障害が残ってしまうと、損害賠償金額の計算がとても複雑になってきます。
ご自身が何級の後遺障害等級になるのか、どのような場合に等級が上がるのか、さらには損害賠償金を正確に計算するのは、一般の方ではなかなか難しいことだと思います。

加えて後遺障害等級は、後遺症慰謝料だけでなく逸失利益にも影響を与えるものですから、納得ができない場合は異議申し立てをすることが重要になってくるのです。

やはり、後遺障害が残ってしまった時や、後遺障害が残る可能性が高い場合には、交通事故問題に詳しい弁護士に相談したほうが最終的にはスムーズに、ストレスなく示談交渉を解決できると思います。

6.頭部への重傷事故で被害者が知っておくべきこと

交通事故の被害者の方が脳に損傷を受けた場合、高次脳機能障害や植物状態になってしまうケースは少なくありません。

そうした場合は、ご本人ではなくご家族などが示談交渉をしなければいけません。

では、ご家族はどのような対応をしていけばいいのでしょうか?

(1)植物状態になった被害者に対する損害賠償の中身を確認する

植物状態になってしまった被害者の方が保険会社に請求できる損害賠償の主な項目は次の通りです。

① 治療費
② 入院付添費用
③ 入院雑費
④ 損害賠償請求関係費用
⑤ 傷害慰謝料
⑥ 逸失利益
⑦ 後遺症慰謝料
⑧ 将来介護費
⑨ 休業損害
⑩ 将来雑費
⑪ 装具・器具等購入費
⑫ 家屋改造費
⑬ 弁護士費用
⑭ 文書費

後遺障害を負った場合や死亡事故の場合と比べると、項目数は多くなりますし、損害賠償金額も高額になります。

それは、事故直後の「治療費」「入院費」「慰謝料」「逸失利益」だけでなく、将来必要となる「介護費」や「雑費」が必要になるのが植物状態の被害者の方の特徴だからです。

植物状態の方の場合は自宅での介護になることもあります。
そのための介護費のほか、日々の紙オムツ代などの費用、さらには介護用のベッドや痰の吸入器などの費用も必要となってきます。

そうした事情もあって、植物状態の方の賠償請求は、他の案件よりも被害者側の請求金額と保険会社が提示する案との格差が大きくなるという傾向があります。

また、こうした傾向には植物状態の方の生存期間のほうが、一般の人よりも短いという説があることも一因です。
そのため保険会社は、これを理由に逸失利益や将来介護費の減額を提案してくるケースが多くあります。

実際、植物状態の方の生存期間が短いことを示す統計データや、保険会社の考えに沿った判例があることも事実です。

しかし現代では、医療の進歩などにより、植物状態の方の生存期間が短いと一概に断定することはできません。

被害者のご家族は、このような保険会社からの減額の提示に屈するべきではありません。
法的手段に訴えることを視野に入れてでも、この格差を埋めていくべきです。

そのためにも、弁護士が存在します。
交通事故問題に精通した弁護士は、必ずあなたの強い味方になってくれることでしょう。

(2)高次脳機能障害の場合の注意点とは?

交通事故の被害者の方の中には、高次脳機能障害になってしまう方も少なくないのが現実です。

高次脳機能障害とは、頭部に損傷を負うことで、記憶力や集中力が低下したり、まるで人が変わってしまったように人格そのものに大きな影響が出る障害です。

症状が重篤な方の場合では、食事や入浴などの活動が介護なしではできなくなります。
また、日常生活は問題なく行えたとしても、集中力が続かず、感情のコントロールができなくなってしまうため、コミュニケーション能力が低下してしまい、仕事に支障が出ることもあります。
結局は、退職を余儀なくされる方も多くいます。

被害者の方が高次脳機能障害になった場合も、もちろん後遺障害等級が認められます。
高次脳機能障害で寝たきりになってしまった被害者の方が保険会社に請求できる損害賠償の主な項目は、植物状態の被害者とほぼ同じです。

被害者の方とご家族は、しっかり請求して、保険会社との示談交渉に挑まなければいけません。

(3)本人が示談や訴訟ができない時はどうする?

植物状態になってしまった被害者の方や、重篤な高次脳機能障害の被害者の方は、ご本人で賠償請求を行うことができません。
(ただし、高次脳機能障害では、後遺障害等級1・2・3級に該当した場合)

そのため、ご家族や周囲の方が被害者の方に代わって、またはサポートをして示談や訴訟を進めていかなければいけません。

そうした時に利用できるもののひとつに、「成年後見人制度」があります。

成年後見人制度とは、認知症や知的障害、精神障害などによって物事を判断することが十分にできない人の権利を法律的に守る援助者を選び、支援する制度です。

成年後見人制度には、本人の判断能力に応じて、「後見」、「保佐」、「補助」の3つの区分があり、それに応じて、後見人の権利の範囲が定められています。

この後見人になるためにかかる費用は、「補助・保佐・成年後見人開始の審判手続き費用」として損害賠償の項目として認められます。

ちなみに、被害者に代わる成年後見人は誰でもできるわけではありません。
家庭裁判所で「成年後見人」として選任された人に限定されるため、成年後見人に選任されるには、家庭裁判所の審判手続きを行う必要があります。

7.交通死亡事故で大損をしないためにするべきこと

警察庁が公表している統計データ「平成27年における交通事故の発生状況」によると、交通事故の発生件数は53万6899件で、死者数は4117人になっています(負傷者数は66万6023人)。

近年では減少傾向にあるとはいえ、年間4000人以上の方が交通事故で亡くなっているのです。

不幸にも、大切な家族が交通事故で亡くなってしまった場合、ご遺族は何をどのように対応すればいいのでしょうか?

(1)交通死亡事故の場合、慰謝料はどうなるのか?

怪我をした時と同じように、被害者の方が亡くなった時も、ご遺族は自賠責保険会社と任意保険会社双方に対して、慰謝料などの損害賠償請求を行うことができます。

その際、2通りの方法があります。

①まず自賠責保険会社に請求してから、その後に任意保険会社に残りの金額を請求する
②任意保険会社に対して、自賠責分の金額も一括して請求する

それぞれのメリットとデメリットは怪我をした時と同様です。
特に経済面で苦しくなることが予想される場合は、①の方法を選択するのがいいでしょう。

ただし、忘れてはいけないのは、示談交渉が成立せずに裁判を起こし、最終的な判決までいくような場合には、損害賠償金の逸失には事故時から年5%の金利が付加されることです。

つまり、損害賠償金を先に手にしてしまうと、金利がその時点から付加されないのです。
その点もふまえて被害者請求をするべきかどうかを検討するべきでしょう。

なお、死亡事故の場合は、自賠責保険会社で支払う損害賠償金の上限は3000万円であることは覚えておいたほうがいいでしょう。

(2)被害者が死亡した時の損害賠償の中身とは?

被害者の方が交通事故で亡くなった場合、損害賠償金の中身(内訳)は、怪我をした時とは違ってきます。

被害者の方のご遺族が保険会社に対して請求できる項目のうち、主なものは次の通りです。

① 葬儀関係費用
② 逸失利益
③ 慰謝料(被害者の慰謝料、近親者の慰謝料)
④ 弁護士費用

①葬儀関係費とは?

葬儀を行った時にかかる葬儀費用などを葬儀関係費用といいます。
大半の場合、自賠責保険では定額で60万円、任意保険会社は120万円以内となります。
ちなみに、弁護士に依頼して訴訟を提起した場合、認定される葬儀関係費は150万円前後が相場になります。

②死亡逸失利益とは?

死亡逸失利益とは、生きていれば被害者の方が得られたはずの利益(お金)のことです。
事故前年の生存時の基礎収入にライプニッツ係数をかけて算出するのは後遺障害を負った時と同じです。
ただし、違いもあるので注意が必要です。

後遺障害が残ってしまった被害者の方の場合と異なるのは、逸失利益が支払われる際、「生活費控除率」が差し引かれることです。
生活費控除率とは、簡単に言えば被害者の方が生存していればかかったはずの生活費のことです。
被害者の方が亡なった場合、生活費がかからないため、生活費控除率を差し引いて調整する必要が出てきます。

逸失利益は、次の計算式から算出されます。

基礎収入 × 就労可能年数に対するライプニッツ係数 ×(1−生活費控除率)
=逸失利益

さらに、後遺障害が残ってしまった方と亡くなった方では、もうひとつ異なる点があります。

後遺障害が残った場合は、治療後に逸失利益が確定します。
しかし、交通事故で即死された場合は後遺障害の認定がないため、亡くなった時点で損害額が確定するので、示談交渉はこの金額に基づいて行われていくのです。

だからといって、死亡事故の示談が迅速に行われて、ご遺族が交渉から早く解放されるわけではありません。
示談が成立してしまうと被害弁償が終わったと見なされてしまうため、逮捕された加害者の刑事裁判での量刑が軽くなってしまう可能性があるからです。
そのため、死亡事故の場合は、刑事裁判の進展状況に合わせて示談交渉を進めることが多くなります。

③死亡慰謝料

交通死亡事故の場合の慰謝料の基準は、おおよそ以下の通りです。

・一家の支柱:2800万円
・母親、配偶者:2500万円
・その他:2000万円〜2500万円

④弁護士費用(裁判をした場合)

死亡事故の場合に限らず、弁護士が必要と認められる訴訟では、認容額の10%ほどが損害賠償額に加算されます。

このように、被害者の方が怪我をした場合と亡くなった場合とでは、示談に対する根本的な考え方が異なります。

なお、即死ではなく治療後に亡くなった場合には、治療費や慰謝料を別途請求できるので、忘れずに請求することが大切です。

(3)交通死亡事故では誰が慰謝料を受取ることができるのか?

交通死亡事故の場合では、被害者の方に代わって、被害者のご遺族(相続人)が加害者に対して損害賠償請求を行っていかなければなりません。
ですから、損害賠償金を受け取る権利はこの相続人にある、ということになります。

相続する権利の第1位は配偶者です。
配偶者以外の相続人の順位は次のようになります。

第1順位「子」
第2順位「親」
第3順位「兄弟姉妹」

ただし、これらの人がすべて相続人になるわけではないことに注意が必要です。
たとえば、被害者の方に妻と子がいる場合には、妻と子は相続人になりますが、親や兄弟姉妹は相続人にはなりません。
また、被害者の方に子供がいない場合は、妻と親だけが相続人となり、兄弟姉妹は相続の対象にはなりません。

なお、第1順位から第3順位の中に「孫」が入っていませんが、仮に第1順位の「子」が亡くなっている場合には、子の代わりに孫が第1順位になることは覚えておいてください。

このように、相続人の順位については数多くの組み合わせがありますが、誰が相続するかは、すべて法律で決められているのです。

(4)交通死亡事故で遺族が慰謝料を受取る場合の割合とは?


前述した通り、損害賠償金の相続には優先順位があります。
相続はこの相続順位によって行われますが、じつはその割合は相続人の間で均等に分割するというわけではありません。
法律で定められている「法定相続分」によって、誰がどれくらいの割合で相続するのかが決められるのです。

たとえば、配偶者と子1人が相続人の場合を考えてみます。
それぞれが、2分の1ずつの相続になります。
子が2人いる場合には、配偶者が2分の1、それぞれの子が4分の1を相続します。

つまり、配偶者はそのまま2分の1を相続することになりますが、子は2分の1の相続分をその人数によって分割して相続することになるのです。
このように、同順位の相続人は均等分割して相続するというのが基本的な考え方になるのです。

なお、被害者が相続にかかわる「遺言書」を残している場合は、その内容も考慮して相続が行われることになります。

(5)示談交渉や相続問題は待っていても解決しない

損害賠償金は、被害者の方の相続人が加害者に対して損害賠償請求を行うことで支払われます。

逆の視点から見れば、ご遺族の間で相続について話し合いがまとまらなければ、損害賠償請求が滞ってしまい、示談交渉も上手くまとまらないということです。

ただ、損害賠償金だけでなく他の相続財産も含めると、遺族間で相続を決定するのに時間がかかるケースも少なくないのが現実です。
このような時には、法律で定められている法定相続分に従って請求するか、遺産分割未了で請求するかのいずれかを選択するしかありません。

いずれにせよ、交通事故の被害者の方の相続問題で大切なことは、相続人とその分割割合を速やかに決定することです。

そして、示談交渉や相続問題は待っていても誰も解決してくれないということを知るべきです。

万が一、相続問題が解決しない場合などは弁護士に解決依頼をするのも、ひとつの解決策であるといえます。

交通事故の慰謝料で損をする人、得をする人のまとめ

今回は、交通事故にあってしまった時に被害者の方とご家族がしなければいけないことと、いざ損害賠償請求をする時に損をしないための対応の仕方などについて解説しました。

交通事故の被害は、前触れもなく突然やってくるものです。
被害者の方とご家族にとっては、一体何を、どのようにすればいいのか?
慰謝料は、いつ、誰に、どのように請求すればいいのか? 
示談交渉は、どのように進めていけばいいのか? 
わからないことばかりだと思います。

もちろん、交通事故にはあわないにこしたことはありません。
しかし、人生には予期せぬ不測の事態がやってくることがあります。
万が一の時、今回の解説を役立てて、損をしないようにしていただければ幸いです。

みらい総合法律事務所では、交通事故の被害者救済のための活動を積極的に行っています。

相談料は何度でも無料で、全国の被害者の方に対応することができます。

ただし、ご相談をお受けできるのは、次の3つのケースです。(2016年11月現在の条件です)

(1)死亡事故
(2)重度傷害(治療中もご相談ください。遷延性意識障害、脊髄損傷、脳挫傷、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血、びまん性軸索損傷、高次脳機能障害、手足切断、失明など)
(3)上記以外でもすでに1級から14級の後遺障害等級認定を受けられた方
  
また、実際の損害賠償額をお知りになりたい方は、みらい総合法律事務所で運営する「弁護士による交通事故SOS」内に、かかった費用を入力するだけで個々の被害者の方の損害賠償額を自動シミュレーションできるシステムをご用意しています。
 こちらも無料で利用できますので、ぜひご活用ください。


 
交通事故には、ひとつとして同じ案件はありませんから、お一人おひとりの方の相談にのり、適切なアドバイスをすることが何より大事だと考えております。

それが被害者の方や被害者のご家族の新たな一歩を踏み出すきっかけとなればと願っております。

みらい総合法律事務所
弁護士 谷原 誠

 

無料相談対象(取扱事案)について
知らないと損する必須知識
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