会社の従業員が業務中に交通事故を起こして被害者に損害を与えた場合、会社にも損害賠償を請求することができますか?

最終更新日 2019年 05月06日
執筆:みらい総合法律事務所 弁護士 谷原誠

会社従業員の交通事故に関する使用者会社の責任について、弁護士が解説します。

民法715条は、「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」と規定され、雇い主の使用者責任を定めています。

従業員が会社の自動車で業務中に交通事故を起こした場合、会社に使用者責任が認められれば、会社にも損害賠償を請求することができます。

使用者責任が認められるためには、従業員の行為に関して不法行為責任が成立していること、およびその行為が事業の執行についてなされた行為であることが必要となります。

ただし、右に該当する場合でも、使用者が被用者の選任及び監督について相当の注意をしたとき、または相当の注意をしても損害が生じたという場合には、使用者は責任を免れます(民法715条ただし書)。

被用者の選任及び監督について、故意・過失がなかったことの立証は、使用者が行わなければなりません。

また、会社には、使用者責任とは別に、自動車損害賠償保障法3条の運行供用者責任も発生します。

運行供用者とは、「自己のために自動車を運行の用に供する者」のことで、自動車の使用についての支配権を有し、かつ、その使用により享受する利益が自己に帰属する者のことを言います。

従業員が業務のために自動車を運行している場合は、通常、会社に自動車の使用についての支配権及び利益の帰属が認められるので、運行供用者に該当することになります。

したがって、会社は、その交通事故に関して、

①自己及び運転者が自動車の運行について注意を怠らなかったこと
②被害者または運転者以外の第三者に故意または過失があったこと
③自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかったこと(自動車損害賠償保障法3条ただし書)

をすべて証明できない限り、運行供用者としても責任を負いますので、被害者は会社に対し損害賠償を請求することができます。

以上、会社の従業員が起こした交通事故における会社の責任について、弁護士が解説しました。

交通事故の使用者責任で争いになった時は、弁護士にご相談ください。

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