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交通事故と自動車運転|運転者が知っておくべき違反行為と罰則を弁護士が解説

最終更新日 2024年 06月17日

自動車運転の違反行為と罰則
 

悪質な交通事故

近年、悪質な危険運転による交通事故が増えています。

多くの児童が亡くなった痛ましい事故や危険ドラッグによる死傷事故など、
また、悪質な交通違反である飲酒運転やひき逃げなどは後を絶ちません。

「少しだけならバレないだろう」、「ちょっとくらいなら問題ない…」
そんな気持ちが重大事故につながっているのかもしれません。

でも、想像してみてください。
もし、あなたが事故を起こして誰かを傷つけてしまったら…
もし、あなたやあなたの大切な人が命を落としたり、傷ついてしまったら…

誰が、あなたを守ってくれるのでしょうか?
誰が、加害者を裁くのでしょうか?

そこで交通事故に関する「法律」と「刑罰」についてご紹介します

専門家でなければ、交通事故関連の法律について詳しいという人はあまりいないでしょう。
「こんなことが法律違反になるの?」という人も多いかもしれません。

一方、現状の法律では、「罰則が軽すぎる」、「もっと罪を重くするべき」と感じている人もいるでしょう。

交通事故を起こしたときの3つの手続きとは?

交通事故を起こしてしまった場合、じつは加害者には3つの手続き、責任が発生します。
これらは別々の制度のため、それぞれの手続きが別個に進んでいきます。

「刑事手続き」

交通事故を起こしたとき、加害者には以下のような法律により、罰金刑、禁固刑、懲役刑などの刑事罰が科せられる場合があります。

①自動車運転死傷行為処罰法
2014年5月に施行された新しい法律です。
それまで、「刑法」にあった「自動車運転過失致死傷罪」と「危険運転致死傷罪」を抜き出し、さらに新しい類型の犯罪を加えて刑を重くしたものです。

②道路交通法
信号無視、スピード違反、無免許運転など道路における危険を防止するための法律です。

道路交通法で違反となる行為

刑事手続では、まず警察の捜査が行われます。
加害者が警察官から取り調べを受け、事故現場の実況見分調書の作成や、供述調書の作成がなされます。
取り調べには、加害者が逮捕・勾留される場合と、逮捕・勾留されない場合(在宅事件)があります。

その後、検察庁に送致され、今度は検察庁での取り調べを受け、起訴するかどうか決められます。起訴された場合は刑事裁判となり、加害者に刑罰を科すか否か、さらに刑罰を科す場合の量刑が審理されます。

ここで、実刑あるいは執行猶予付きの判決が言い渡されます。

民事手続き

交通事故を起こすと、加害者(運転者)は、被害者に対して不法行為が成立し、被害者が被った損害を賠償しなければならない義務が発生します。

賠償の対象となる損害には、人身損害と物損害があります。
人身損害には、ケガの治療費、ケガをしなければ得られたと見込まれる収入、精神的な苦痛に対する慰謝料などが含まれます。

手続としては、示談により解決する場合と調停や訴訟により解決する場合があります。
加害者が賠償金を支払う場合、加入している自賠責保険や任意保険によって保険会社から支払われます。
賠償金額は、寝たきりなどの重い後遺障害が残ったような場合には、数千万円から1億円を超えるまでになります。

行政手続き

運転者が道路交通法規に違反している場合には、違反点数が課せられます。
違反点数が一定以上になると、免許取消や免許停止、反則金等の行政処分を受けることになります。

つまり、行政処分を受けて反則金を支払ったからといって、刑事処分を免れるわけではないですし、民事責任で損害賠償責任が認められても、刑事責任では不起訴や無罪になることもあるのです。

交通事故に関する罰則が厳し

「自動車運転死傷行為処罰法」の成立までの経緯

ここでは、「自動車運転死傷行為処罰法」について、その成立の経緯から法律の内容について解説していきます。

「民意の後押しによって法律の厳罰化の動きが加速」
近年、悪質な危険運転によって多くの死傷者を出す交通事故が多発しています。

平成23年4月、栃木県鹿沼市で、てんかんの持病があり投薬治療を受けていた加害者が、医師から運転をしないよう指導を受けていたにもかかわらず、クレーン車を運転し、運転中にてんかん発作が起きて意識を失い、歩道上の小学生らに衝突させて、6人を死亡させた事故が発生。

また、同じ年の10月、愛知県名古屋市で、無免許でかつ酒気を帯び、無車検、無保険の自動車を運転していたブラジル人が、一方通行を逆走し、交差点の横断歩道上を自転車で進行していた被害者に自動車を衝突させて死亡させ、ひき逃げした事故が発生。

さらに、平成24年4月、京都府亀岡市で無免許のまま自動車を運転し、連日の夜遊びなどによる寝不足などのために居眠り運転をしたあげく、小学校に登校中の小学生らに衝突して3人を死亡させ、7人を負傷させた事故が発生。

これらの事故はマスメディアでも取り上げられ、社会的にも話題になったので覚えている人も多いでしょう。

しかし、その後、刑事裁判の動向が注視されたのですが、当時もっとも罰則の厳しい危険運転致死傷罪が適用されず、すべて自動車運転過失致死傷罪で起訴されました。
自動車運転過失致死傷罪は、最高刑で懲役7年でした。

そのため、自動車の死傷事故に対する罰則見直しの世論が高まり、法改正につながったのです。

【自動車運転死傷行為処罰法とはどんな法律?】
自動車運転死傷行為処罰法は、それまで、「刑法」にあった「自動車運転過失致死傷罪」と「危険運転致死傷罪」を抜き出し、新しい類型の犯罪を加えて刑を重くしたものです。

「自動車運転死傷行為処罰法」の詳しい解説

では、どのような場合に適用されるのか、以下に解説していきます。

危険運転致死傷罪

もっとも重い罰則が科せられます。

致傷の場合は懲役15年以下、死亡の場合は20年以下の懲役です。

なぜかというと、それは交通事故を起こした理由が前方不注視や脇見運転などの過失ではなく、次の6つの特に危険な運転行為を故意に行ったときに適用される罪だからです。

なお、危険ドラッグによる死傷事故にもこの罪が適用される可能性があります。

①アルコール・薬物の影響により正常な運転が困難な状態で走行

②進行を制御することが困難高速度で走行

③進行を制御する技能を有しないで走行

④人又は車の通行を妨害する目的で走行中の自動車の直前に進入、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で運転

⑤車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為

⑥六 高速自動車国道又は自動車専用道路において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為

⑦赤色信号等を殊更に無視し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で運転

⑧通行禁止道路を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で運転

準危険運転致死傷罪

アルコール又は薬物あるいは政令で指定する病気の影響により、その走行中に正常な運転に「支障が生じるおそれ」がある状態で自動車を運転し、人を死傷させた場合に適用されます。

病気の場合は、意識を喪失するような発作の前兆症状が出ている場合や、意識を喪失するような発作が予想されるのに、医師から指示された薬を飲んでいない場合などに、「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」にあたります。

政令で定める「特定の病気」には以下のもの等があります。

1.統合失調症

2.てんかん

3.再発性の失神

4.低血糖症

5.そう鬱病

6.重度の睡眠障害

過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪


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事故後、アルコールまたは薬物の影響や程度が発覚するのを免れるために、さらに飲酒したり、薬物を摂取したりするか、あるいは逃げてアルコールや薬物の濃度を減少させたりして、それらの影響の有無や程度の発覚を免れるような行為をした場合に適用されます。

これは、いわゆる「逃げ得」問題を撲滅しよう、というために規定されたものです。

関連動画解説

過失運転致死傷罪

前方不注視や後方確認義務違反などの過失によって交通事故で人にケガをさせたり死亡させたりした場合に適用されます。

法定刑は、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金です。

無免許運転による加重

無免許による重大事故が発生したにもかかわらず、以前は自動車運転過失致死傷罪と道路交通法違反という軽い罰則しか適用されなかったところ、社会的批判が高まったことから規定されました。

無免許であることで、罪に罪を重ねてしまうことになるわけです。
実際、次のように刑が重くなります。

1.危険運転致傷罪で怪我をさせた罪 懲役15年⇒懲役20年(無免許)

2.アルコール等で不覚にも困難に至って事故で怪我をさせた罪 懲役12年⇒懲役15年(無免許)

3.アルコール等影響発覚免脱罪 懲役12年⇒懲役15年(無免許)

4.過失運転致死傷罪(旧自動車運転過失致死傷罪)懲役7年⇒懲役10年(無免許)

いかがでしたか。
これらの罪は軽いと思ったでしょうか? それとも重いと感じたでしょうか?

法律の話なので少し難しい部分もありますが、交通事故に関しては重要なことなので、転ばぬ先の杖として、ぜひ覚えておいていただきたいと思います。

法律知識は、あなた自身を守ってくれる強い味方になってくれるはずです。

なお、実際に交通事故にあわれた方で現在お困りの場合は、弁護士などの専門家に相談することもおすすめします。

監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠
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