【交通事故】自賠責保険とは?被害者請求の方法は?
この記事を読んでわかること
交通事故の被害にあい、ケガをしてしまうと後遺症が残ってしまうことがあります。
その場合、被害者の方には慰謝料などの損害賠償金(状況によっては保険金とも、示談金ともいいます)を受け取る権利があります。
しかし、この損害賠償金、「誰に、どのように請求すればいいのかわからない」という被害者の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、弁護士が自賠責保険の被害者請求で失敗しないための知識を包括的かつ網羅的に解説します。
主に次のことを中心にお話ししていきます。
- 自賠責保険と任意保険の違いとは?
- 自賠責保険の仕組みについて
- 被害者請求と加害者請求の違いとは?
- 被害者請求の仕組みと方法について
- 交通事故の示談交渉における素人と弁護士の違い
- 交通事故の示談金が増額する理由
- 弁護士の正しい探し方
これから、交通事故の自賠責保険の被害者請求について説明していきますが、その前に、交通事故解決までの全プロセスを解説した無料小冊子をダウンロードしておきましょう。
目次
みらい総合法律事務所が解決した慰謝料増額事例を紹介
自賠責保険の解説の前にまずは、みらい総合法律事務所が解決した慰謝料増額事例をご紹介します。
ご自身の状況と照らし合わせながら参考にしてください。
「解決事例①:54歳男性が高次脳機能障害で3540万円を獲得」
54歳の男性がトラックを運転中、ガス欠になり、高速道路上に停止していたところ、後続車両に衝突された交通事故です。
被害者男性は、脳挫傷等の傷害を負い、高次脳機能障害で自賠責後遺障害等級5級2号が認定されました。
そこで、みらい総合法律事務所の無料相談を利用し、そのまま弁護士に示談交渉のすべてを依頼されました。
まず先に自賠責保険金1400万円を受領した上で弁護士が提訴。
裁判では、最終的に2140万円で解決し、総額3540万円を獲得した事例です。
「解決事例②:67歳男性の慰謝料等が約3.7倍に増額」
67歳の男性が、自動車で交差点を直進していたところ、左方からの直進自動車に衝突された交通事故です。
脊柱圧迫骨折等の傷害で、脊柱変形と右肩痛の後遺症を残して症状固定したため自賠責後遺障害等級を申請したところ、11級7号と12級13号の併合10級が認定されました。
被害者男性が加害者側の保険会社と交渉し、示談金が534万8085円となったところで、みらい総合法律事務所の無料相談を利用。
弁護士の説明に納得がいったことで、その後の示談交渉を依頼することとしました。
弁護士と保険会社との交渉は決裂したため、弁護士が提訴。
裁判では、会社の損害なども争点となり、激しく争われましたが、最終的には、大幅に増額し、2000万円で解決しました。
当初提示額から約3.7倍に増額した事例です。
「解決事例③:53歳男性の死亡事故で5150万円獲得」
53歳の男性が歩いて道路を横断していたところ、直進自動車に衝突された交通事故です。
ご遺族は、示談交渉は専門家に任せた方がよいと判断し、みらい総合法律事務所の弁護士に依頼することにしました。
弁護士の判断で、まず先に自賠責保険から3000万5050円を取得し、その後に加害者側の保険会社との交渉に入りました。
交渉では過失割合などが争点となりましたが最終的には保険会社が譲歩し、自賠責から取得した金額と合計で、5150万5050円で示談解決した事例です。
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加害者側の保険会社は、慰謝料などの損害賠償金がもっとも低くなる自賠責基準というもので算出した金額を被害者の方やご遺族に提示してくることがあります。
しかし、この金額は本来であれば被害者の方やご遺族が受け取るべき適正な金額ではありません。
弁護士(裁判)基準という、もっとも慰謝料などが高額となる基準で算出した適正な金額に増額させてから示談を成立させなければ、損をしてしまうことになるのです。
ですから、示談交渉になった場合はまずは一度、交通事故に強い弁護士に相談をしてみることをおすすめします。
自賠責保険とは?任意保険とは何が違う?
自賠責保険は、正式名称を「自動車損害賠償責任保険」といいます。
自動車やバイクを運行の用に供する際、法律によってすべての運転者が強制的に加入しなければならない損害保険のため、強制保険と呼ばれる場合もあります。
自賠責保険は、人身事故の被害者を救済するために作られた保険であるため、自損事故によるケガや物損事故には適用されません。
保険金などが支払われるのは、人身事故の被害でケガや死亡した場合のみです。
これに対して、任意保険はドライバーや自動車の所有者などが任意で加入する保険で、各損害保険会社がさまざまな内容の保険を販売しています。
自賠責保険の金額には支払限度がある
自賠責保険で補償される保険金額は法律によって、次のように支払限度が定められています。
・被害者が死亡した場合は3000万円
・傷害による損害の場合は120万円
・傷害により後遺障害が残り、介護が必要な場合は4000万~3000万円
・その他の後遺障害の場合は、1級から14級の後遺障害等級に応じて3000万円~75万円
自賠責法別表第1
第1級 | 4000万円 |
---|---|
第2級 | 3000万円 |
自賠責法別表第2
第1級 | 3000万円 |
---|---|
第2級 | 2590万円 |
第3級 | 2219万円 |
第4級 | 1889万円 |
第5級 | 1574万円 |
第6級 | 1296万円 |
第7級 | 1051万円 |
第8級 | 819万円 |
第9級 | 616万円 |
第10級 | 461万円 |
第11級 | 331万円 |
第12級 | 224万円 |
第13級 | 139万円 |
第14級 | 75万円 |
ところで、支払限度があることで問題になってくることがあります。
それは、被害者の方が受け取ることができる損害賠償金が自賠責保険金額では足りなくなった場合です。
自賠責保険から支払われる金額は、被害者に対する最低限の補償です。
そのため、自賠責保険からの保険金では足りない部分の損害賠償金額については、被害者の方は加害者が加入している任意保険の契約会社に請求することになるわけです。
その後、加害者側の任意保険会社から保険金の提示があり、この金額について検討していくわけですが、金額に納得がいかない場合は任意保険会社と示談交渉を進めていくことになります。
自賠責保険への被害者請求とは?
交通事故の被害者の方は、保険会社との示談が成立しなくても、自賠責保険金を受け取ることができます。
そのためには、加害者が加入している自賠責保険の取り扱い会社に直接、損害賠償請求額の支払いを請求することになります。
これを「被害者請求」といいます。
これに対し、加害者がまず被害者の方に損害賠償金を支払い、この金額を保険金として請求する手続を加害者請求といいます。
そもそも、保険というものは契約者が請求するものですから、被害者の方に対する損害賠償金を加害者が支払った場合に、加害者から自賠責保険会社に対して保険金を請求する加害者請求が本来のかたちです(自動車損害賠償保障法15条)。
しかし、加害者請求しかできないとすれば、仮に加害者が支払いを行なわない場合などでは被害者の方の救済が図れません。
そこで、被害者の方を保護するため、契約当事者ではない被害者が直接、加害者の自賠責保険に損害賠償額の請求をできるという被害者請求の手続を定めたのです(自動車損害賠償保障法16条)。
被害者請求には2種類の方法がある
被害者請求には、①仮渡金請求と②本請求の2種類があります。
①仮渡金請求
被害者の方は、加害者から交通事故に基づく損害賠償金の支払いを受けられないなどの場合、当面の治療費や生活費のための費用として、一時金を請求することができます。
死亡事故の場合は290万円、それ以外の場合は傷害の程度に応じて、40万円・20万円・5万円に分かれています。
なお、請求は1度だけで、被害者の方のみが可能です。
②本請求
交通事故によるケガの治療が完了、あるいは後遺障害の症状が固定して全損害額が確定した段階で請求することができます。
上限金額は前述したとおり、次のようになります。
・死亡による損害の場合は3000万円
・傷害による損害の場合は120万円
・介護を要する後遺障害の場合は4000万~3000万円
・その他の後遺障害の場合は、1級から14級の後遺障害等級に応じて3000万円~75万円
加害者が加入している自賠責保険会社に必要書類を提出して請求します。
被害者本人でなくても、被害者から委任を受けた者は請求できます。
なお、以前は内払金請求というものがありましたが、現在は本請求と統一されたためありません。
被害者請求で必要な書類一覧
主な必要書類は次のとおりです。
• 支払請求書兼支払指図書
• 交通事故証明書
• 交通事故発生状況報告書
• 医師の診断書または死亡診断書
• 診療報酬明細書
• 通院交通費明細書
• 休業損害証明書
• 印鑑証明書
• 委任状(被害者本人が請求できないとき)
• 戸籍謄本
• 後遺障害診断書
• レントゲン写真等
交通死亡事故の場合の自賠責保険金の請求について
交通事故の状況によっては、被害者の方が死亡する場合もあります。
交通死亡事故の場合、請求できる損害賠償項目などがケガによる後遺症の時とは違ってくるので注意が必要です。
ご遺族が行なうべきことについては次のページや動画を参考にしていただければと思います。
損害賠償金額を自分で計算することもできます!
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慰謝料などの損害賠償金額の算出は非常に複雑なため、実際の詳しい状況がわからないと正確な数字は出せないのですが、この自動計算機でおおよその金額を知っておくことで、今後の示談交渉などを有利に進めていくことができますので、ぜひ利用してみてください。
みらい総合法律事務所は、交通事故問題に精通した弁護士たちの専門家集団です。
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