自賠責保険について、被害者請求という手続があると聞いたのですが、どのようなものですか?

最終更新日 2019年 05月06日
執筆:みらい総合法律事務所 弁護士 谷原誠

交通事故の被害者が行う自賠責保険への被害者請求の手続について、弁護士が解説します。

被害者請求とは、交通事故の場合に、被害者が、自賠責保険会社に直接損害賠償額の支払いを請求する手続です。これに対し、加害者が自賠責保険に対し、被害者に支払った損害賠償額を請求する手続を加害者請求と言います。

本来、保険というものは、契約者が請求するものですので、被害者に対する損害賠償額を加害者が支払った場合に、加害者から自賠責保険会社に対して請求する加害者請求が本来のかたちです(自動車損害賠償保障法15条)。しかし、加害者請求しかできないとすれば、加害者が支払いを行わない場合等は被害者の救済が図れません。そこで、被害者を保護するため、契約当事者ではない被害者が、直接加害者の自賠責保険に請求できるという被害者請求の手続を定めたのです(自動車損害賠償保障法16条)。

被害者請求には、①仮渡金請求、②本請求の2種類があります。

① 仮渡金請求

加害者から交通事故に基づく損害賠償金の支払いを受けられない等、当面の治療費や生活費のための費用として、一時金を請求することができます。死亡事故の場合は290万円、それ以外の場合は、傷害の程度に応じて、40万円・20万円・5万円に分かれています。請求は1度だけで、被害者のみが可能です。

② 請求

交通事故によるけがの治療が完了あるいは後遺障害の症状が固定して、全損害額が確定した段階で請求することができます。金額は、死亡による損害の場合3000万円、傷害による損害の場合120万円、介護を要する後遺障害の場合4000万~3000万円、その他の後遺障害の場合、1級から14級の後遺障害等級に応じて3000万円~75万円です。

加害者の加入している自賠責保険会社に必要書類を提出して請求します。主な必要書類は下記のとおりです。被害者本人でなくても、被害者から委任を受けた者は請求できます。なお、以前は内払金請求というものがありましたが、現在は本請求と統一されたためありません。

<被害者請求の必要書類>

  • 支払請求書兼支払指図書
  • 交通事故証明書
  • 交通事故発生状況報告書
  • 医師の診断書または死亡診断書
  • 診療報酬明細書
  • 通院交通費明細書
  • 休業損害証明書
  • 印鑑証明書
  • 委任状(被害者本人が請求できないとき)
  • 戸籍謄本
  • 後遺障害診断書
  • レントゲン写真等

以上、自賠責保険への被害者請求について、弁護士が解説しました。

被害者請求が難しい、という場合は、弁護士にご相談ください。