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自賠責保険の被害者請求で失敗しないための知識

最終更新日 2020年 05月10日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

この記事を読んでわかること

交通事故の被害にあい、ケガをしてしまった場合、後遺症が残ってしまうことがあります。

その場合、被害者の方には慰謝料などの損害賠償金(状況によっては保険金とも、示談金ともいいます)を受け取る権利があります。

しかし、この損害賠償金、誰に、どのように請求すればいいのかわからない、という被害者の方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、弁護士が自賠責保険の被害者請求で失敗しないための知識を包括的かつ網羅的に解説します。

主に次のことを中心にお話していきます。

  • 自賠責保険と任意保険の違いとは?
  • 自賠責保険の仕組みについて
  • 被害者請求と加害者請求の違いとは?
  • 被害者請求の仕組みと方法について
  • 交通事故の示談交渉における素人と弁護士の違い
  • 交通事故の示談金が増額する理由
  • 弁護士の正しい探し方

これから、交通事故の自賠責保険の被害者請求について説明していきますが、その前に、交通事故解決までの全プロセスを解説した無料小冊子をダウンロードしておきましょう

自賠責保険とは?任意保険とは何が違う?

自賠責保険は、正式名称を「自動車損害賠償責任保険」といいます。

自動車やバイクを使用する際、法律によってすべての運転者が強制的に加入しなければならない損害保険のため、強制保険と呼ばれる場合もあります。

自賠責保険は、人身事故の被害者を救済するために作られた保険であるため、自損事故によるケガや物損事故には適用されません。

ですから、保険金などが支払われるのは、人身事故の被害でケガや死亡した場合のみです。

これに対して、任意保険はドライバーや自動車の所有者などが任意で加入する保険で、各損害保険会社がさまざまな内容の保険を販売しています。

自賠責保険の金額には支払限度がある

自賠責保険で補償される保険金額は法律によって支払限度が定められています。

・被害者が死亡した場合は3000万円
・傷害による損害の場合は120万円
・傷害により後遺障害が残り、介護が必要な場合は4000万~3000万円
・その他の後遺障害の場合は、1級から14級の後遺障害等級に応じて3000万円~75万円

自賠責法別表第1

第1級 4000万円
第2級 3000万円

自賠責法別表第2

第1級 3000万円
第2級 2590万円
第3級 2219万円
第4級 1889万円
第5級 1574万円
第6級 1296万円
第7級 1051万円
第8級 819万円
第9級 616万円
第10級 461万円
第11級 331万円
第12級 224万円
第13級 139万円
第14級 75万円

 

ところで、支払限度があることで問題になってくることがあります。

それは、被害者の方が受け取ることができる損害賠償金が自賠責保険金額では足りなくなった場合です。

自賠責保険から支払われる金額は、被害者に対する最低限の補償です。

そのため、自賠責保険からの保険金では足りない部分の損害賠償金額については、被害者の方は加害者が加入している任意保険の契約会社に請求することになるわけです。

その後、加害者側の任意保険会社から保険金の提示があり、この金額について検討していくわけですが、金額が納得いかない場合は任意保険会社と示談交渉を進めていくことになります。

 

自賠責保険への被害者請求とは?

交通事故の被害者の方が、まず行なうべきは自賠責保険金を受け取ることです。

そのためには、加害者が加入している自賠責保険の取り扱い会社に直接、損害賠償請求をすることになります。

これを「被害者請求」といいます。

これに対し、加害者がまず被害者の方に損害賠償金を支払い、この金額を保険金として請求する手続を加害者請求といいます。

そもそも、保険というものは契約者が請求するものですから、被害者の方に対する損害賠償金を加害者が支払った場合に、加害者から自賠責保険会社に対して保険金を請求する加害者請求が本来のかたちです(自動車損害賠償保障法15条)。

しかし、加害者請求しかできないとすれば、仮に加害者が支払いを行なわない場合などでは被害者の方の救済が図れません。

そこで、被害者の方を保護するため、契約当事者ではない被害者が直接、加害者の自賠責保険に損害賠償額の請求をできるという被害者請求の手続を定めたのです(自動車損害賠償保障法16条)。

被害者請求には2種類の方法がある

被害者請求には、①仮渡金請求と②本請求の2種類があります。

① 仮渡金請求

被害者の方は、加害者から交通事故に基づく損害賠償金の支払いを受けられないなどの場合、当面の治療費や生活費のための費用として、一時金を請求することができます。

死亡事故の場合は290万円、それ以外の場合は傷害の程度に応じて、40万円・20万円・5万円に分かれています。

なお、請求は1度だけで、被害者の方のみが可能です。

② 本請求

交通事故によるケガの治療が完了、あるいは後遺障害の症状が固定して全損害額が確定した段階で請求することができます。

金額は前述した通り、死亡による損害の場合は3000万円、傷害による損害の場合は120万円、介護を要する後遺障害の場合は4000万~3000万円、その他の後遺障害の場合は、1級から14級の後遺障害等級に応じて3000万円~75万円です。

加害者の加入している自賠責保険会社に必要書類を提出して請求します。

被害者本人でなくても、被害者から委任を受けた者は請求できます。

なお、以前は内払金請求というものがありましたが、現在は本請求と統一されたためありません。

被害者請求で必要な書類一覧

主な必要書類は次の通りです。

• 支払請求書兼支払指図書
• 交通事故証明書
• 交通事故発生状況報告書
• 医師の診断書または死亡診断書
• 診療報酬明細書
• 通院交通費明細書
• 休業損害証明書
• 印鑑証明書
• 委任状(被害者本人が請求できないとき)
• 戸籍謄本
• 後遺障害診断書
• レントゲン写真等

交通死亡事故の場合の自賠責保険金の請求について

交通事故の状況によっては、被害者の方が死亡する場合もあります。

交通死亡事故の場合、請求できる損害賠償項目などがケガによる後遺症の時とは違ってくるので注意が必要です。

ご遺族が行なうべきことについては次のページを参考にしていただければと思います。

 

確実に保険金を手にするためには弁護士に相談を!

ここまで、交通事故の場合の被害者請求についてお話してきましたが、いかがでしょうか。

「自分で手続きをするのは難しい……」と感じた方も多いかもしれません。

その場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

交通事故の被害でケガをした場合、病院などで治療を行なうでしょう。

その治療が、これ以上ケガの回復に効果がないという段階になると、主治医から「症状固定」の診断があります。

この状態は、「後遺症が残ってしまった」ということになるので、被害者の方はご自身の後遺障害等級認定の申請を行なう必要があります。

なぜかというと、後遺症が残ってしまった場合は後遺障害等級が認定されなければ慰謝料などの損害賠償金額を決定できないからです。

 

また、認定された後遺障害等級が正しいとは限りません。

その場合は、「異議申立」を行なうことができます。

 

さらに、前述したように自賠責保険金だけでは足りない分の損害賠償金については、加害者側の任意保険会社と加害者の方が示談交渉をしていかなければいけません。

後遺症を抱えながら、これらすべての手続きを確実に進めていくのは、被害者の方にはつらく、難しいことだと思います。

また、相手は保険のプロですから、保険の素人である被害者の方が交渉をして適切な損害賠償金額を認めさせるのは非常に困難だと言わざるを得ません。

ですから、こうした手続きは法律の専門家である弁護士にすべて任せてしまえばいいのです。

 

交通事故に強い弁護士の選び方とは?

ただし、忘れてはいけないことがあります。

それは、弁護士であれば誰でもいいわけではなく、必ず交通事故に強い弁護士に相談・依頼するべきだということ。

弁護士には、それぞれ専門分野や得意分野があります。

病気やケガの時には、専門外の医師の診断を受けようとは思わないでしょう。

それと同じように、交通事故の問題は必ず実務経験が豊富な、交通事故に強い弁護士に相談・依頼してください。

なお、交通事故に強い弁護士の探し方については、こちらのページを参考にしてください。

 

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