後遺障害と死亡事故に特化。交通事故賠償に詳しい弁護士が解説。

自賠責保険金の請求手続きを解説(後遺障害編)

最終更新日 2019年 11月28日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠


自賠責保険金の請求手続きを解説(後遺障害編)

交通事故に関わる手続きや用語には、難しいものが多いと感じる方もいらっしゃるでしょう。

また、知っているようで、じつはよく知らない、しっかり理解できていないというものもあると思います。

そこで今回は、「自動車損害賠償責任保険」(自賠責保険)について解説します。

交通事故の被害者は、負ってしまったケガや後遺障害の等級に応じた慰謝料などの損害賠償金(保険金)を受け取ることができます。
その際、まず関わってくるのが自賠責保険です。

ここでは、自賠責保険の内容や、保険金の請求の際に必要となる手続きである「被害者請求」と「事前認定」の違いなどについて見ていきます。

自動車損害賠償責任保険とは?

自動車損害賠償責任保険とは、自動車やバイクを使用する際に、法律によってすべての運転者が強制的に加入しなければならない損害保険です。(自動車損害賠償法第5条)

加入が義務付けられていることから「強制保険」と呼ばれることもありますが、略称である「自賠責保険」として認識している人も多いでしょう。

自賠責保険は、人身事故の被害者を救済するために作られた保険です。

そのため、自損事故によるケガや物損事故には適用されず、人身事故の被害の場合にのみ保険金などが支払われることになります。

一方、任意保険はドライバーや自動車の所有者などが任意で加入する保険です。

各損害保険会社が、さまざまな内容の保険を打ち出しています。

被害者としては、自賠責保険からの保険金では足りない部分の損害賠償金額や、自賠責保険金額を含んだ損害賠償金額を加害者側の任意保険会社に請求することになります。

なお、被害者自らがかけている任意保険から保険金を受け取る場合もあります。

自賠責保険の金額

自賠責保険で補償される保険金額等は法律によって定められています。

つまり、支払限度があるということです。

被害者が死亡した場合は3000万円、傷害による損害の場合は120万円です。

傷害を負ったことにより後遺障害が残り、介護が必要な場合は4000万~3000万円、その他の後遺障害の場合は1級から14級の後遺障害等級に応じて3000万円~75万円となっています。

自賠責法別表第1

等級 保険金額
第1級 4000万円
第2級 3000万円

自賠責法別表第2

等級 保険金額
第1級 3000万円
第2級 2590万円
第3級 2219万円
第4級 1889万円
第5級 1574万円
第6級 1296万円
第7級 1051万円
第8級 819万円
第9級 616万円
第10級 461万円
第11級 331万円
第12級 224万円
第13級 139万円
第14級 75万円

交通事故被害者が行なうべき手続きとは?

症状固定

交通事故の被害者でケガを負ってしまった場合、まずは病院で入院や通院をしてケガの治療を行ないます。

ここで大切になってくるのが「症状固定」という概念です。

ケガの治療のかいなく、残念ながらこれ以上の治療を続けても完治することがない、よくなることがない、と担当医師が判断した場合、症状固定となります。

後遺障害等級の認定

症状固定となると、後遺症が残ることになります。
ここで大切なのは、自分の後遺症がどの程度なのかを知ることです。
これは、後遺障害等級で表されます。

自動車損害賠償保障法(自賠法)では、後遺障害等級は症状の重い1級から14級まで、さらに後遺障害を負った部位の違いによって各号数が細かく分類されています。

たとえば、片方の眼を失明し、もう片方の眼の視力が0.02以下になった場合は8級1号、胸腹部臓器の機能に著しい障害が残ってしまい、生涯にわたって仕事ができないような場合は3級4号と認定される可能性があります。

後遺障害等級認定の手続き

被害者は「損害保険料率算出機構」(損保料率機構)に後遺障害等級認定の申請をします。

ご自身の後遺障害等級は、今後始まる損害賠償の示談交渉の際も大切になってくるので、間違いなどのないように申請しなければいけません。

なぜなら、後遺障害等級がひとつ違っただけで、最終的な示談金が何十万から何百万、重度なものになると何千万円も変わってくることがあるからです。

被害者としては、受け取る保険金で損をしないようにしなければいけません。

被害者請求と事前認定の違いとは?

後遺障害等級認定を申請するには2つの方法があります。
「被害者請求」「事前認定」です。

それぞれにメリットとデメリットがあります。

被害者請求

被害者請求とは、被害者が加害者の加入している自賠責保険会社に直接申請する方法です。

被害者請求によって後遺障害等級が認定されると、最初に自賠責保険金がまとまった金額で支払われます。

仮に、被害者とご家族に金銭的な余裕がない場合などは、まずは自賠責保険金を受け取ることで精神的にも余裕をもてるというメリットがあります。

というのも、この後に足りない損害賠償金額分を受け取るために加害者側の保険会社と示談交渉を進めていかなければいけないのですが、金額等で和解できなければ裁判などに進むこともあり、長い期間交渉がまとまらないということもあるからです。

また、被害者請求の名の通り、被害者が自分で資料を集めて申請することになります。
すると、手続の流れや、提出する書面を自分で把握できるので、これもメリットになります。
なぜなら、人任せにしていると間違った後遺障害が認定された時など、どこが間違っていたのか、何の資料・書類が足りなかったのかなどがわからないため対処が難しくなってしまう場合もあるからです。

しかし同時に、これがデメリットにもなります。

被害者請求では、さまざまな資料や書類を自分で用意しなければならないため、被害者としては手間がかかってしまうからです。

なお、加害者側の保険会社との示談交渉が決裂した場合は訴訟を提起して裁判に突入していく可能性があります。
判決で決着した場合、最終的に決定した損害賠償金には事故時からの遅延損害金がつきます。
しかし、被害者請求で最初にまとまったお金をもらっていると、最後に受け取る賠償金は当然少なくなるので、その分、遅延損害金も少なくなるというデメリットもあることに注意が必要です。

具体的には、「事故証明書」を見ると、加害者側の自賠責保険会社がわかりますので、そこに電話し、被害者請求に必要な書類一式を送るようお願いします。

そうすると、パンフレットや用紙等が送られてきますので、それに従って、申請をすることになります。

ただ、どのような医証を送るのがよいのか、など、得に重傷事案では難しいので、交通事故に詳しい弁護士に相談するのが望ましいでしょう。

事前認定

事前認定とは、被害者が直接ではなく、加害者側の任意保険会社を通して自賠責保険に申請する方法です。

通常、加害者側の任意保険には、示談代行サービスがついており、保険会社の担当者と示談交渉を行うことになります。

そして、任意保険会社と示談をした場合には、自賠責保険の金額を含んだ総額で損害賠償金の支払がなされます。

その上で、任意保険会社は、自賠責保険に対し、支払われるべき自賠責保険の金額を回収する、という段取りになります。

そうすると、任意保険会社としては、示談をした後で、自賠責保険からいくら支払われるか、自賠責保険が、被害者の後遺障害等級を何級と認定するか、を把握しておかなければなりません。

そこで、「事前に」任意保険会社は、自賠責後遺障害等級を認定するよう請求することになります。

これが、「事前認定」です。

被害者のメリットとしては、加害者側の任意保険会社が手続をやってくれるので、被害者請求のように資料や書類を集めて申請するといった手間がかからないことがあげられます。

さらに、示談交渉が上手くいかず最終的に裁判までいった場合、事故時から賠償金に遅延損害金がつくというメリットもあります。
被害者としては、事前認定で申請しておいて、判決後に足りない分の損害賠償金をもらった方が最終的な獲得金額が増えるわけです。

逆にデメリットとしては、どのような書類・資料が任意保険会社から提出されているのかわからないため、被害者としては提出書類に不備・不足がないかどうか確認することができないということがあげられます。

被害者請求と事前認定のどちらがいいのかは一概には決められないところがあります。
被害者のおかれている状況などを考えながら選択することになるでしょう。

後遺障害等級については異議申立ができる

仮に、提出した書類に不備や不足があった場合、本来認定されるはずの後遺障害等級ではなく低い等級が認定されてしまう可能性があります。
そうなると、支払われる慰謝料などの損害賠償金も低くなってしまうことに注意しなければいけません。

認定された後遺障害等級に納得がいかない場合や、より上位の後遺障害等級が認定される可能性がある場合には、新たな資料等を提出して「異議申立」をすることができます。

このあたりになると、法的知識の他、医学的知識や自賠責後遺障害等級認定基準などの知識も必要となってくるので、交通事故に詳しい弁護士に相談した方がよいでしょう。

加害者が自賠責保険に入っていなかった場合どうする?

強制加入であるはずの自賠責保険に加害者が加入していないという場合も考えられます。

その場合は、「政府保障事業」という制度を利用するとよいでしょう。

交通事故の被害にあったうえに損害賠償もされないのでは、あまりに被害者に酷です。
そのため、被害者救済として、自動車損害賠償保障法において政府保障事業という制度が設けられており、政府からの保障を受けることができるようになっているのです。

政府保障事業は、無保険者が事故を起こした場合の他、ひき逃げのように加害者がどこの誰なのかわからない場合にも自賠責保険と同額の補償をしてくれます。

自賠責保険について不安な時は弁護士に相談を!

ここまで、自賠責保険の内容から後遺障害等級認定、被害者請求と事前認定、異議申立などについて解説しました。

しかし、法律や保険に関する知識や手続きは難しいと感じる方もいらっしゃるでしょう。

また、「被害者請求」がいいのか、「事前認定」がいいのか、など、迷うこともあるでしょう。

その場合は一度、交通事故に詳しい弁護士に相談することを検討してみてください。

みらい総合法律事務所は、死亡事故と後遺症事案について、無料相談を受け付けています。

まず、無料で弁護士に相談し、弁護士に依頼した方が得になりそうな場合に、初めて弁護士に依頼すればよいと思います。

その際、必ず契約書を締結して、報酬金額を確認しておきましょう。

「報酬は後で話し合いましょう」というような法律事務所は避けてください。

また、交通事故の事案では、法律知識の他、医学的知識や自賠責後遺障害等級認定に関する実務知識、保険の知識などが要求されますが、すべての弁護士がこうした知識や実務に詳しいわけではありません。

できる限り、交通事故に精通した弁護士に相談することをおすすめします。

①交通事故に特化したホームページがある
②交通事故の専門書に執筆している
③ニュース番組などから「交通事故の専門家」として取材を受けている

これらの条件に当てはまるのであれば、交通事故に精通した弁護士といえるでしょう。

なお、みらい総合法律事務所では、死亡事故と後遺症示談に特化して専門性を高めており、「典型後遺障害と損害賠償実務」(ぎょうせい)など専門書を複数執筆しています。

また、テレビ、新聞、出版等の各メディアから「交通事故の専門家」として取材を受けています。

受け取る自賠責保険金額は適切か?

後遺障害等級認定の申請では、被害者請求と事前認定のどちらを選んだほうがいいのか?

異議申立や政府保障事業はどのように申請したらいいのか?

交通事故に関して困った時や不安がある時は、ぜひ一度、みらい総合法律事務所に相談していただければと思います。

無料相談対象(取扱事案)について
知らないと損する必須知識
  • 後遺症編
  • 死亡事故編