センターラインオーバー事故の過失割合とは?ケース別に徹底解説
センターラインを越えて発生する交通事故は、重大な過失が問われるケースが多く、法的責任も重くなります。
基本の過失割合は10:0です。
しかし、センターラインのない道路やカーブでの事故など、事故形態や道路状況によっては、被害者側の過失が問われることもあります。
本記事では、センターラインオーバー事故の過失割合について、発生しやすいケースと、事故に遭遇した際の適切な対処法を解説します。
目次
センターラインはみ出し事故とは
何か
センターラインはみ出し事故とは、車両が道路の中央線(センターライン)を越えて対向車線に入り、対向車両と衝突する事故を指します。
このような事故では、センターラインを越えた側の運転者に重大な過失が認定されるのが一般的です。
なお、道路構造や走行状況によっては例外的な判断がなされることもあるため、基本的な過失割合だけでなく、ケースごとの判断基準も把握しておくことが大切です。
センターラインオーバーによる
事故が発生するケース
センターラインオーバー事故は、運転者の不注意や道路構造の影響など、さまざまな要因によって発生します。
主なセンターラインオーバーの
発生原因
センターラインオーバー事故の主な原因には、脇見運転、居眠り、飲酒、速度超過、ハンドル操作の誤りなどが挙げられます。
夜間や悪天候時には視界が悪化し、センターラインの認識が困難になることで、はみ出し事故が発生することもあります。
また、急カーブや道路幅員の不足なども、センターラインオーバーの背景にある要素といえます。
カーブでセンターライン
オーバー事故が起きやすい理由
カーブでは視界が制限されるため、センターラインオーバーによる事故が多く発生します。
特にカーブの内側を走行する車両は、遠心力の影響でセンターラインを越えやすく、速度超過やハンドル操作の不適切さが重なることで、はみ出し事故のリスクが高まります。
さらに、急カーブでは見通しが悪いため、対向車がセンターラインオーバーに気付きにくく、回避が遅れることも事故の一因となります。
センターラインのない道路での
事故の特徴
センターラインが存在しない道路では、通行区分が曖昧になるため、対向車との接触事故が起こりやすいです。
車両は原則として左側通行が求められますが、幅員が狭い農道や山道では、双方の車両が中央付近を走行することも多く、接触の危険性が高まります。
このような道路では、走行位置や道路状況、回避の可能性などが事故の発生要因として重視され、センターラインの有無に代わる判断基準が必要とされます。
センターラインオーバー事故の
基本的な過失割合
センターラインオーバーによる交通事故の基本的な過失割合は、「加害者:被害者=10:0」とされています。
センターラインは、対向車両との通行区分を明確にする法的な境界であり、これを越えて走行する行為は、道路交通法第17条第4項および第18条第1項に違反します。
そのため、センターラインを越えて対向車線に侵入した場合、原則として侵入側の運転者に重大な過失があると認定されます。
ただし、事故の状況によっては被害者側にも一定の過失が認められ、過失割合が修正される場合もあるため、注意が必要です。
センターラインオーバー事故の
過失割合が変動する要素
センターラインオーバー事故では、基本的な過失割合が「加害者:被害者 = 10:0」とされるケースが一般的です。
ただし、以下のような要素によって、過失割合が修正される場合があります。
速度超過・脇見運転などの
加算要素
センターラインオーバー事故は、速度超過や脇見運転が原因で発生することが多く、加害者側の過失が重く評価されます。
一方で、被害者側にも速度超過や前方不注意などの過失が認められた場合には、過失割合が修正される可能性があります。
たとえば、被害者がカーナビを注視していたことにより前方不注意と判断された場合、過失割合が「加害者:被害者 = 9:1」や「8:2」に修正されることがあります。
また、センターラインを越えた車両が明らかに危険な挙動をしていたにもかかわらず、対向車が前方不注視等で減速や回避を怠った場合には、対向車にも10〜20%の過失が認定される可能性があります。
夜間・悪天候・
見通しの悪さによる修正
夜間や雨天、霧などの悪天候下では、視界不良によりセンターラインの認識が困難となり、事故の回避可能性が低下します。
このような状況では、運転者に相応の注意義務が課されますが、被害者側がその義務を怠ったと判断された場合には、過失割合が修正されることがあります。
また、見通しの悪いカーブでは、対向車のセンターラインオーバーなど不測の事態を想定した運転が求められます。
基本的な責任はセンターラインを越えた側にありますが、被害者にも注意義務違反が認められれば、一定の過失が加算されることもあります。
センターラインがない道路での
事故
センターラインが存在しない道路でも、車両は左側通行が原則とされているため、中央付近を越えてきた対向車と衝突した場合には、加害者側の過失割合が高く評価されます。
ただし、センターラインが明示されていない道路では通行区分が曖昧であるため、被害者側にも一定の注意義務が認められることがあります。
道路交通法第17条第5項では、舗装工事などにより道路の左側部分の幅員が通行に十分でないと認められる場合には、右側部分にはみ出して通行することが認められています。
このような状況で交通事故が起きた場合、被害者側にも一定の過失があるとして、過失割合が「加害者:被害者 = 8:2」とされる場合があります。
過失割合の判断に影響する証拠と
立証方法
センターラインオーバー事故における過失割合は、客観的な証拠の有無によって左右されます。
過失割合は損害賠償や慰謝料の支払いに直結するため、適切な立証ができるかどうかは極めて重要です。
ドライブレコーダー映像
ドライブレコーダーの映像は、事故の瞬間を客観的に記録する証拠として非常に有効です。
交通事故の示談交渉では、当事者の主張が食い違うことも少なくありませんが、映像があれば事故当時の状況を客観的に確認することが可能です。
特にセンターラインオーバー事故では、どちらがラインを越えたかによって過失割合が大きく変動するため、映像の有無が重要な判断材料となります。
事故発生時点でセンターラインを超えていたかどうか、当事者の走行速度や回避可能性などが記録されていれば、過失認定に直接影響する有力な証拠となります。
事故現場の写真
事故直後に撮影された現場写真も、過失割合の判断において有力な資料となります。
現場写真は、走行位置やセンターラインの有無、道路幅員などを示す客観的な証拠です。
ドライブレコーダーを搭載していても、死角となる部分は映らず、夜間や悪天候下では映像が不鮮明なこともあるため、写真は事故後の状況を補完する手段として有効です。
警察の実況見分調書
警察が作成する実況見分調書は、事故現場の状況や当事者の供述を基にした公式記録であり、保険会社との示談交渉や裁判において重視されます。
調書には、車両の位置関係、道路状況、センターラインの有無などが記載されており、過失割合の判断根拠となることがあります。
ただし、実況見分調書は警察が捜査の一環として作成するものであるため、証拠として不十分な場合には、他の資料と照合して補完する必要があります。
交通事故の目撃証言
事故を目撃した第三者の証言は、当事者の主張を補強する証拠として有効です。
当事者の車両にドライブレコーダーが搭載されていない場合、事故の発生状況を証言できる第三者の存在は特に重要です。
目撃証言の信頼性は、証人が事故当時にどの位置から何を見たか、記憶の鮮明さ、利害関係の有無などによって評価されます。
一方で、曖昧な証言や推測に基づく発言は採用されにくいため、複数の証言を得るなどして信憑性を確保することが重要です。
事故現場周辺の
監視カメラの記録
交通事故が発生した周辺に監視カメラが設置されている場合、その映像が証拠として用いられることがあります。
ドライブレコーダーを搭載していない場合や、事故直後に現場の状況を写真で残すことができなかったときは、監視カメラの存在を確認し、必要に応じて映像の開示を求めることも検討すべきです。
過失割合による慰謝料・
慰謝料への影響
交通事故の損害賠償額は、過失割合によって大きく変動します。
慰謝料の支払額や慰謝料の算定にも直接影響するため、正確な理解と対応が不可欠です。
過失割合が慰謝料の支払いに
与える影響
被害者側にも過失がある場合には、「過失相殺」が行われます。
過失相殺とは、被害者にも一定の過失がある場合に、その割合分だけ損害賠償額を減額する制度です。
たとえば、被害者側に20%の過失があると認定された場合、慰謝料は80%までしか支払われません。
したがって、1,000万円相当の損害を被っても、実際の補償は800万円にとどまることになります。
過失相殺が適用される場合の
損害賠償請求の留意点
示談交渉では、過失割合についても当事者間で協議されることになります。
被害者側に事故発生の一因があると認められた場合、過失割合に応じて受け取れる損害賠償額は減額されます。
そのため、加害者側の保険会社が提示する過失割合が妥当かどうかを慎重に見極めることが重要です。
提示内容を鵜呑みにして安易に合意するのではなく、過失認定の根拠となる証拠を事前に収集・整理しておくことが、適正な賠償を得るための鍵となります。
保険会社との示談交渉における
対応のポイント
保険会社は、過失割合を根拠に慰謝料の支払額を調整するため、交渉においては法的根拠と客観的な証拠の提示が求められます。
提示された過失割合が不当であると考えられる場合には、実況見分調書やドライブレコーダー映像などを用いて、具体的に反論することが必要です。
また、保険会社は自社の支払額を抑える方向で交渉を進める傾向があるため、被害者側が専門的知識を持たないまま対応すると、不利な条件で合意してしまうおそれがあります。
対応が困難な場合には、弁護士に交渉を依頼するなど、専門的支援を受けることが適正な補償の確保につながります。
センターラインオーバー事故に
遭ったら弁護士に相談を
交通事故が発生した場合、過失割合は一定の基準に基づいて分類されます。
しかし、実際の事故状況は千差万別であり、修正要素の有無や内容によって過失割合は大きく変動します。
センターラインオーバー事故は過失の判断が難しく、保険会社との交渉も複雑化しやすいのが実情です。
適切な損害賠償を得るには、法的知識と交渉力を備えた弁護士の支援が不可欠です。
証拠整理や過失認定への対応を含め、早期に専門家の助言を受けることで、より有利で納得のいく解決が期待できます。
センターラインオーバーの事故でお困りの場合は、まずは一度、みらい総合法律事務所の無料相談をご利用ください。
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代表社員 弁護士 谷原誠


















