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交通事故の慰謝料の相場や計算方法は?やってはいけない6つのポイントを解説

最終更新日 2022年 11月28日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠


被害者がやってはいけない6つのポイント

この記事を読むとわかること

【8分で解説!】記事を読む前に動画で全体像を把握できます

交通事故の慰謝料は相場から大幅に増額される!

やってはいけない6つのポイントとは

やってはいけない6つのポイントとは
交通事故における慰謝料とは、簡単に言うと「精神的な苦痛を被ったことに対する損害賠償金」ということになります。

しかし、被害者が受け取ることができるお金は、慰謝料だけではありません。

治療費、休業損害、逸失利益、将来介護費用その他、様々な損害の合計金額となります。

被害者は、慰謝料の請求に関し、色々な疑問がわいてくるでしょう。

  • 慰謝料とは、一体どういうものなのか?
  • 慰謝料はいくら請求できるのか?
  • 自分の場合の慰謝料の相場は、いくらなのか?
  • 相場以上の金額が認められる場合とは?
  • 保険会社と慰謝料額で合意ができない場合は、どうしたらいいのか?

慰謝料請求にも手順や注意するべきポイントがあります。

今回は、交通事故慰謝料の相場や計算、被害者が注意すべきことについて、網羅的に解説していきます。

ポイントは、6つあります。

交通事故の慰謝料請求の流れを知らずに示談してはいけない

慰謝料請求の流れを知らずに示談してはいけない
交通事故の示談交渉には、決まった流れがありますので、これを知らずに手続きを進めてはいけません。

3つの計算方法の違いを知らずに示談してはいけない

計算方法の違いを知らず
交通事故の慰謝料の計算には、3つの計算方法があります。

低い計算方法で示談しないよう、3つの計算方法を知っておく必要があります。

症状固定の前に治療をやめてはいけない

症状固定の前に
ケガの場合には、治療を終了しても、障害が残ってしまう場合があります。

この段階を症状固定といいます。

症状固定の前に治療をやめてしまうと不利益となりますので、注意が必要です。

後遺障害等級をおろそかにしてはいけない

後遺障害等級
後遺症が残った場合には、後遺障害等級認定を受けることになります。

この後遺障害等級認定は間違っていることもあり、そのまま手続きを進めると損をすることになりますので、注意が必要です。

慰謝料が増額する事例を知らないで示談してはいけない

増額する事例を知らないで示談
慰謝料には相場がありますが、事情によっては、相場よりも高額の慰謝料が認められることがあります。

これを見逃すと損をしますので、注意が必要です。

消滅時効を知らずに慰謝料を消滅させていはいけない

慰謝料を消滅させていはいけない
損害賠償請求権が永遠に請求できるわけではなく、一定期間が経過すると消滅する「時効」があります。

これを知っておかないと、損害賠償請求権がなくなってしまいますので、注意が必要です。

ここまで交通事で被害者がやってはいけない6つのポイントを簡単に説明してきましたが、
ここからはさらにわかりやすく網羅的に説明しています。

目次

①慰謝料請求の流れを知らずに示談してはいけない

②3つの計算方法知らずに示談してはいけない

③症状固定の前に治療をやめてはいけない

④後遺障害等級をおろそかにしてはいけない

⑤慰謝料が増額する事例を知らずに示談してはいけない

⑥消滅時効を知らずに慰謝料を消滅してはいけない

 

慰謝料自動計算機でシミュレーション

交通事故の慰謝料には、大きく分けて3種類があります。

  1. 傷害慰謝料
  2. 後遺障害慰謝料
  3. 死亡慰謝料
    1.  

      この他に「近親者慰謝料」もあります。

       

      交通事故慰謝料
      1 傷害慰謝料 入通院1日あたり4,300円~1万7000円
      2 後遺障害慰謝料 14級~1級に応じ、110万円~2,800万円
      3 死亡慰謝料 2000万円~2800万円

       

      そして、計算方法として、

      1. 自賠責基準
      2. 任意保険基準
      3. 弁護士基準

       
      の3つがあります。

      このうち、最も高額で適正な計算方法が弁護士基準です。

      そこで、弁護士基準いより、簡単にあなたの受け取ることができる賠償金をシミュレーションできる慰謝料自動計算機を設置しています。

      以下に「後遺障害編」と「死亡事故編」の計算機をご用意しておりますので、まずは計算してみていただければと思います。

      ①交通事故の慰謝料請求の流れを知らずに示談してはいけない

      交通事故の慰謝料は、金額が確定してはじめて請求することができます。

      交通事故の直後では、今後いくら治療費がかかるのか、またどの程度通院するのかがわからず慰謝料を計算することができない、ということになります。

      では、慰謝料請求までの流れはどのように進んでいくのでしょうか。

      まずは、そこから説明していきたいと思います。

      ここでは、ケガの場合を例として説明します。

       

      ①交通事故の発生
       ↓
      ②事故状況の確認
       ↓
      ③警察へ通報、警察官が実況見分調書の作成
       ↓
      ④加害者、被害者双方の保険会社へ連絡
       ↓
      ⑤ケガの治療に専念
       ↓
      ⑥症状固定、自賠責後遺障害診断書の作成
       ↓
      ⑦自賠責後遺障害等級の認定
       ↓
      ⑧慰謝料の計算
       ↓
      ⑨保険会社と示談交渉の開始
       ↓
      ⑩示談成立
       ↓
      ⑪決裂した時は裁判へ

      交通事故の怪我示談のチャート

       

      交通事故の発生

      交通事故が発生した場合には、道路交通法により、自動車を運転している場合は、すぐに自動車を止め、ケガ人を救護することが義務づけられています。

      また、道路の安全を確保する必要があります。

      事故状況の確認

      そして、事故状況を確認します。

      加害者の身元を確認するため、免許証を写真撮影しておくなどしておきます。

      警察へ通報、警察官が実況見分調書の作成

      交通事故が起きた時は、必ず警察へ連絡します。これも法律上の義務です。

      負傷者が出た場合は、警察官が実況見分調書を作成することになります。

      この実況見分調書は、示談交渉や裁判の際に「過失割合」を認定する資料となりますので、必ず事実に基づいて書類を作成してもらうようにしましょう。

      交通事故の慰謝料請求における実況見分調書の重要性について、もっと詳しく知りたい方は、「交通事故で実況見分により慰謝料が減額される理由」を参考にしてください。

      加害者、被害者双方の保険会社への連絡

      加害者、被害者双方の保険会社への連絡
      保険約款には、事故が起きた時には速やかに保険会社に連絡をするよう記載してあります。

      そこで、保険会社に連絡を行います。

      自分の側の任意保険でも人身傷害保険保険や弁護士費用特約など、使える保険があるかどうか、確認し、あわせて連絡しておきましょう。

      ケガの治療に専念

      交通事故でケガをした場合には、しばらくの間は、治療に専念しながら、保険会社から治療費や休業損害などを支払ってもらうことになります。

      治療が終了しないと慰謝料を計算することができませんので、この間は、治療に専念することになります。

      症状固定、自賠責後遺障害診断書の作成

      治療効果が上がらなくなると、「症状固定」となります。

      症状固定の状態で障害が残っている場合には、後遺症が残ったことになります。

      自賠責後遺障害等級の認定

      後遺症が残った場合には、どの程度の労働能力を喪失したのか、を判定してもらうため、自賠責後遺障害等級認定を受けることになります。

      1級~14級に区分されており、この等級によって、後遺障害慰謝料を計算することになります。

      等級毎に一応の慰謝料の相場が決まっています。

      慰謝料の計算

      自賠責後遺障害等級が確定すると、損害額が全て確定しますので、慰謝料を計算します。

      保険会社との示談交渉の準備が整うことになります。

      保険会社と示談交渉の開始

      保険会社と示談交渉の開始
      ここでようやく示談交渉を開始することができます。

      通常は、保険会社から示談金が提示され、その金額の妥当性を検討することになります。

      とはいっても、法律の素人では金額の妥当性を判断することができないと思いますので、遅くともこの段階では弁護士に相談するようにしましょう。

      多くの法律事務所が無料相談(電話)を受け付けています。

      示談成立

      示談が成立したら、示談書あるいは免責証書に署名捺印をして保険会社に送ったら、あとは入金を待ちます。

      交通事故の示談交渉の注意点について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

      決裂した時は裁判へ

      示談交渉が決裂したら、裁判に進むことになります。

      ここで重要なことは、交通事故に精通した弁護士を選ぶ、ということです。

      交通事故の被害に遭った時に、すぐにやるべきことを詳しく知りたい方は、「交通事故の被害者になった場合、すぐにやるべきこと」も参考にしてください。

      では、これから、交通事故の慰謝料の相場や計算、被害者が注意すべきことについて説明していきます。

      ②3つの計算方法の違いを知らずに示談してはいけない

      3つの計算方法の違いを知らずに示談してはいけない

      後遺障害等級が認定されると、いよいよ示談交渉が始まります。

      ところで、示談交渉の相手は誰かといえば、加害者が加入している自動車保険の任意保険会社です。

      その担当者から、「当社で最大限努力して出した金額です」などと言って示談金が提示されます。

      この時、被害者は「損害賠償金には基準がある」ことを知っておかなければいけません。

      なぜなら、被害者の慰謝料が本来よりも低い金額で設定されている可能性が高いからです。

      慰謝料の3つの基準とは、次の3つです。

      • 自賠責基準
      • 任意保険基準
      • 裁判基準

      順番に説明していきます。

      自賠責基準

      自動車を運転する者には法律により自賠責保険に加入することが義務付けられています。

      そのため、まず交通事故の被害者には加害者が加入している自賠責保険から損害賠償金が支払われることになります。

      その際の基準がこの自賠責基準であり、必要最低限の金額になります。

      自賠責保険ではカバーしきれない部分、つまり足りない分の損害賠償が発生する場合は、加害者が加入している任意保険から支払われます。

      傷害(入通院)慰謝料

      自賠責基準における入通院慰謝料は日額が定められています。

      計算式は、以下のようになります。

      【4300円✕対象日数】

      「対象日数」は、次のうち短い方を採用します。

      ・治療期間
      ・実際に治療した日数×2

      但し、2020年 3月31日より前の交通事故の場合は、1日あたり4200円で計算します。

      また、自賠責保険が負担する損害賠償の上限が定められており、傷害部分については、120万円とされています。

      後遺障害慰謝料

      後遺障害慰謝料も、自賠責保険には支払限度があり、被害者が死亡した場合は3000万円、後遺障害が残ってしまい、介護が必要な場合は4000万~3000万円。

      その他の後遺障害の場合は、 1級から14級の後遺障害等級に応じて3000万円~75万円の金額が支払われることになります。

      自賠責法別表第1
      第1級 4000万円
      第2級 3000万円
      自賠責法別表第2
      第1級 3000万円
      第2級 2690万円
      第3級 2219万円
      第4級 1889万円
      第5級 1574万円
      第6級 1296万円
      第7級 1051万円
      第8級 819万円
      第9級 616万円
      第10級 461万円
      第11級 331万円
      第12級 224万円
      第13級 139万円
      第14級 75万円

      自賠責保険の詳しい支払い基準については、国土交通省のホームページをご参照ください。

      参考記事:国土交通省「自賠責保険(共済)の限度額と保障内容」

      任意保険基準

      任意保険基準
      加害者側の任意保険会社が損害賠償額を算定するときに使う保険会社の内部基準です。

      内部的な基準なので、明確な基準が公表されているわけではありません。

      金額は自賠責基準と弁護士基準(裁判基準)の間で設定されています。

      被害者に後遺障害が残った場合、保険会社はそれぞれの社内内部基準によって算出した損害賠償金を提示してきます。

      弁護士基準(裁判基準)

      弁護士基準(裁判基準)
      実際の交通事故の裁判の事例から導き出された損害賠償金の基準です。

      法的根拠がもとになっているため、裁判をした場合に認められる可能性が高いのがこの基準による金額になります。

      弁護士など法律関係者が使う書籍「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)に金額が記載されています。

      裁判所や弁護士は、この赤い本を参考に損害賠償額を算定していきます。

      任意保険基準では、そもそも被害者が受け取ることができる金額よりも低い金額が設定されます。

      この3つの基準の中でもっとも金額が高いのは弁護士基準(裁判基準)であり、この金額が、本来被害者が受け取るべき金額です。

      ですから、任意保険基準のことを知らないで示談をしてしまうと損をすることになってしまうのです。

      どのくらい損をしてしまうか、私たち、みらい総合法律事務所が解決した極端な事例で慰謝料をいくらもらったか、見ていきましょう。

      高額の弁護士基準で示談をするための方法について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

      参考記事:【弁護士基準】交通事故の慰謝料をできるだけ高額で示談する方法とは?

      1日の通院で慰謝料はいくら?

      1日の通院で慰謝料はいくら?
      「1日しか通院していないから、慰謝料は出ないだろう」などと思い込んでいませんか?

      交通事故後に念のため病院で診察を受けた場合でも
      じつは、慰謝料を受け取ることができます。

      自賠責基準では、通院が1日の場合の慰謝料は、4300円になります。
      (交通事故発生日が2020年3月31日以前の場合は4200円

       
      一方、弁護士(裁判)基準では、軽傷の場合は、入院0か月、通院1か月で19万円になるので、次の金額になります。

      19万円×1日/30日=6333円

       

      重傷の場合は、入院0か月、通院1か月で28万円になるので、次の金額になります。

      28万円×1日/30日=9333円

       
      もう一つの基準の任意保険基準では、だいたいこの2つの基準の間の金額となることが多いです。

      入通院慰謝料は1日8600円ではないのか?

      「自賠責基準では、1日の慰謝料は8600円と聞きましたが」

      被害者の方から、このような質問を受けることがあります。

      こちらでは簡単に説明いたしますが

      詳しい情報が知りたい方は「入通院慰謝料は1日いくら?」で解説していますのでご覧ください。

      前述しましたが、自賠責基準では、治療の対象日数については、次のどちらか短いほうが採用されます。

      1. 実際の治療期間
      2. 実際に治療した日数×2

       
      たとえば、2か月間で2日に1回の通院をした場合を考えてみます。

      1) 4300円×60日=25.8万円

      2) 4300円×(30日×2)=25.8万円

       
      どちらの計算式でも合計は同じ金額になるのですが、 1)は対象日数を「治療期間」で考えています。

      2)の場合は対象日数を「実際に通院した日数」で考えているのですが、この時、「2」を4300円のほうにかけてしまったために、1日8600円という誤解が生じてしまったのではないかと考えられます。

      「2」を掛ける数字を間違えてしまうと、
      実際に治療を受けた日数が前後した場合大きく計算が狂ってしまいますので間違えないようにしましょう。

      詳しい解説はこちら

      【6分動画解説】交通事故で、被害者が弁護士基準で示談する方法

      交通事故の被害者が弁護士基準で示談する方法をわかりやすく簡潔にまとめた動画です。

      6分間で視聴することができるので是非ご覧ください。

      【実際の事例】約2億円損をするところだった被害者

      【実際の事例】約2億円損をするところだった被害者
      46歳男性が、交通事故により頚髄損傷の傷害を負い、四肢麻痺の後遺症を残して自賠責後遺障害等級1級1号に認定されました。

      保険会社は、被害者に対し、慰謝料として、7800万円を提示しました。

      被害者がみらい総合法律事務所に示談交渉を依頼し、最終的に、裁判での決着となりました。

      解決金額は、2億7664万2032円

      保険会社が提示した額の約3.5倍

      金額にすると約2億円増額したことになります。

      被害者が、弁護士に依頼せず、保険会社が提示する任意保険基準で示談していたら、約2億円も損をしていた、ということになるのです。

      他にも、慰謝料が大きく増額した事例は多数あります。

      慰謝料が大きく増額した実際に事例を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

      弁護士基準による慰謝料の計算方法

      弁護士基準で慰謝料を計算すべきことがわかりましたが、慰謝料といっても、じつは交通事故に関係するものはひとつではありません。

      「傷害慰謝料」、「後遺障害慰謝料」、「死亡慰謝料」の3種類があります。

      さらに、死亡事故などの場合には、近親者が慰謝料を請求できる場合もあります。「近親者慰謝料」と言います。

      ここでは、それぞれの慰謝料の計算方法を解説します。

      傷害慰謝料

      「傷害慰謝料」とは、交通事故によりケガ(傷害)をしたことに対する肉体的、精神的苦痛を慰謝するために支払われる損害賠償金です。

      交通事故の損害賠償実務では、傷害慰謝料は、原則として入通院機関を基礎として、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(日弁連交通事故相談センター東京支部編)に掲載されている計算表に基づいて計算をしています。

      参考記事:【参照】公益財団法人日弁連交通事故相談センター「当センターの刊行物について(青本及び赤い本)」

      では、具体的に傷害慰謝料の計算方法を説明します。

      (1)むち打ち症で他覚所見がない場合

      むち打ち症で他覚所見がない場合、軽い打撲、軽い挫創などの場合は、入通院期間を基礎として下記の表に当てはめて慰謝料を計算します。

      通院が長期にわたる場合は、症状、治療内容、通院頻度をふまえて実通院日数の3倍程度を通院期間の目安として計算します。

      「弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料(むち打ちなど軽傷)の算定表」


      (2)(1)以外の場合には、下記の表に当てはめて慰謝料を計算します。

      但し、通院が長期にわたる場合は、症状、治療内容、通院頻度をふまえて、実通院日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間のめやすにする場合もあります。

      また、傷害の部位、程度によっては、慰謝料額を20~30%増額する場合もあります。

      「弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料(重傷)の算定表」


      死亡慰謝料

      「死亡慰謝料」とは、交通事故により被害者が死亡したことで被った精神的損害に対して支払われるものです。

      受取人は、配偶者や子などの相続人です。

      被害者本人が死亡の瞬間に慰謝料請求権を取得し、それが相続により相続人に承継されると考えられています。

      具体的に誰が慰謝料を相続するのかについて、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

      参考記事:【交通死亡事故の相続】被害者の親族で誰が慰謝料受け取ることができるのかを解説

      被害者の立場や置かれている状況などによって金額が異なってきますが、概ねの相場金額は次のようになっています。

      一家の支柱の場合 2800万円
      母親・配偶者の場合 2500万円
      その他の方の場合 2000万~2500万円

      ここで、「一家の支柱」というのは、その人の収入によって、一家が生活している場合です。

      「母親・配偶者」というのは、その言葉のとおりであり、「その他」というのは、一家の支柱、母親・配偶者以外の者であり、独身者や子供、高齢者などの場合です。

      後遺障害慰謝料

      「後遺障害慰謝料」とは、交通事故で後遺障害が残った場合に精神的に被った苦痛に対して償われるものです。

      精神的な苦痛の程度というのは、本来は事故ごと、被害者ごとに違うものですが、それぞれの事案によって判断するのは難しいため、大体の相場金額が決まっています。

      裁判基準による後遺障害慰謝料の相場金額

      等級 保険金額
      1級 2800万円
      2級 2370万円
      3級 1990万円
      4級 1670万円
      5級 1400万円
      6級 1180万円
      7級 1000万円
      8級 830万円
      9級 690万円
      10級 550万円
      11級 420万円
      12級 290万円
      13級 180万円
      14級 110万円

      あくまで相場の金額ですから、もちろん金額がアップする場合があります。

      これらについても、前掲の「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部)に基づいています。

      このように、慰謝料はひとつではないので、加害者側の保険会社から損害賠償金の提示があった場合、何も知らない被害者は、どの慰謝料がいくら提示されているのか正確にわからないということがあります。

      そうした場合、安易に示談をしたために被害者が損をしてしまうというケースもあります。

      ですから、まずはご自身が請求できる慰謝料の種類や相場の金額を知ることは大切なのです。

      入通院慰謝料と後遺障害慰謝料について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

      ③症状固定の前に治療をやめてはいけない

      症状固定の前に治療をやめてはいけない

      交通事故で負ったケガの治療は症状固定までは必ず継続しなければいけません。

      なぜなら前述したように、症状固定と診断された時点で後遺症となり、その後に後遺障害等級の認定を受けることで被害者は慰謝料の請求をすることができるからです。

      ところが、被害者の中には途中で治療をやめてしまう人がいます。

      たとえば後々、被害者の入院費や治療費を支払うのは加害者側の任意保険会社なのですが、この担当者からケガの治療中に、

      「そろそろ治療を終えて示談交渉を始めたい」

      とか

      「今月で治療費の支払いを打ち切るので症状固定としてください」

      と言われる場合があります。

      保険会社としては、できるだけ治療費などの支払いを少なくさせたい理由から、このようなことを言ってくるわけですが、中には

      「治療費が打ち切られてしまうなら、もう通院することはできないのか…」

      と思い込んでしまって、まだ症状固定していないのに通院するのをやめてしまう被害者がいるのです。

      すると、どうなるのかといえば、治療を最後まで受けられず、症状を悪化させてしまう可能性もあります。

      ですから、くれぐれも安易に保険会社の担当者が言うことをうのみにして治療をやめてはいけません。

      しっかり、担当の医師から「症状固定」の診断が出るまで、治療を続けることが大切です。

      治療に関係する費用をどこまで加害者側に請求できるのかについて、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

      ④後遺障害等級をおろそかにしてはいけない

      前述したように、被害者が自賠責後遺障害等級の認定を受けるには、損保料率機構という機関に申請します。

      参考記事:【参考情報】損害保険料率算出機構「当機構で行う損害調査」

      その後、ご自身の後遺障害等級が決定するのですが、じつはこの等級、必ずしも正しいとは限らないことに注意が必要です。

      たとえば、申請に必要な書類や資料の不備。

      何か、足りないものはないか、記述に間違いはないかなど、しっかり確認する必要があります。

      下記の「裁判基準による後遺障害慰謝料の相場金額」の表を見てください。

      慰謝料早見表切り取り

      1級が2800万円、3級が1990万円です。

      本来であれば1級が認定されるべき被害者が3級と認定された場合、後遺障害慰謝料だけで810万円も低い金額になってしまうのです。

      また、損害賠償金には慰謝料の他に、入通院費や治療費、付添費、交通費、逸失利益、将来介護費などさまざまな項目があります。

      たとえば、逸失利益とはケガをして後遺障害が残ったために働くことができずに得ることができなくなった給料などの利益のことですが、これも等級が変われば当然金額も変わってきます。

      なかには、後遺障害等級が 1級違っただけで数千万円も賠償金額が違ってくる場合も多々あります。

      つまり、後遺障害等級は被害者が慰謝料などを請求するうえで非常に重要なものなのです。

      ですから、被害者は後遺障害等級を決しておろそかにしてはいけません。

      等級の認定を受けたら、それが本当に正しいものなのか、しっかり確認することが大事です。

      なお、認定された後遺障害等級に不満がある場合は「異議申立」をすることができます。

      ただ、後遺障害等級の認定が正しいかどうかは、法的知識の他、医学的知識、等級認定システムの知識など、高度な知識が必要です。

      また、異議申立といっても、ただ「不服がある」と主張するだけでは認められません。

      等級認定システムを熟知した上で、効果的な立証活動をしていかなければなりません。

      したがって、後遺障害等級が認定された際は、一度、交通事故に強い弁護士に相談することをおすすめします。

      1. 書類、資料の不備がないか確認する
      2. 等級の認定を受けたら、本当に正しいものなのか、しっかり確認
      3. 後遺障害等級に不満がある場合は「異議申立」をする
      4. 交通事故専門弁護士に相談(電話)する
      正しい後遺障害認定方法

       

      正しい後遺障害等級認定を受けるためのポイントなどをもっと詳しく知りたい方は、「正しい後遺障害等級が認定される人、されない人の違い」の記事も参考にしてください。

      慰謝料はいつ受け取れる?タイミングを解説

      慰謝料はいつ受け取れる?タイミングを解説
      交通事故の被害に遭った場合、すぐにでも慰謝料を払って欲しいと思うかもしれません。

      しかし、慰謝料の金額は、事故に遭ってすぐに決まるわけではありません。

      前述のように、慰謝料は、(1)傷害(入通院)慰謝料、(2)後遺障害慰謝料、(3)死亡慰謝料に分けられます。それぞれについて、慰謝料を受け取れる時期が違いいます。

      傷害(入通院)慰謝料

      傷害慰謝料は、交通事故でケガを負って、治療のために入院・通院しなければならくなることによる精神的苦痛に対するものです。

      したがって、交通事故の日から治療が終了するまでの間の入通院に対して発生します。

      そのため、治療が終了して初めて計算が可能となります。

      ケガが完治した場合は、治療が終了したら保険会社と示談交渉し、示談がまとまると、示談書または免責証書を作成後支払われることになります。

      後遺障害慰謝料

      ケガをして治療をしても、治らず、後遺症が残ってしまう場合があります。

      その場合には、その後生涯にわたって後遺症に苦しむことになりますので、その分の慰謝料が発生します。

      その場合には、自賠責後遺障害等級認定を受けることになり、認定された等級に応じて慰謝料が計算されます。

      したがって、後遺障害慰謝料は、症状が固定して初めて計算が可能になる、ということになります。

      死亡慰謝料

      死亡慰謝料は、被害者が交通事故により死亡したことにより発生する慰謝料です。

      したがって、死亡によりただちに計算が可能になり、請求可能となります。

      通常は四十九日が終わってから保険会社から連絡があり、示談交渉が開始されます。

      しかし、すぐに慰謝料を受け取ってしまうと、遺族の精神的な損害が填補されたとして、加害者の刑事処分が軽くなることがありますので、タイミングには十分注意しましょう。

      交通死亡事故の場合にご家族がやるべきこと、慰謝料の計算方法などを詳しく知りたい方は、「慰謝料請求…ご家族がやるべきことは?」の記事を参考にしてください

      ⑤慰謝料が増額する事例を知らないで示談してはいけない

      慰謝料には相場があることは前にお話ししましたが、じつは相場よりも慰謝料が増額する場合があります。

      慰謝料が相場より増額する事例について、動画で確認したい方は、この動画をご覧ください。

      【9分動画解説】 交通事故の慰謝料が増額する場合

      慰謝料が相場より増額する事例としては、主に以下の3種類があります。

      ①被害者の精神的苦痛の程度が通常より大きいと評価されて慰謝料が増額される事例

      ②他の損害項目に入らないものを慰謝料で斟酌して慰謝料が増額される事例

      ③被害者側に特別の事情がある事例

      順番に説明していきます。

      被害者の精神的苦痛の程度が通常より大きいと評価される事例

      加害者側の過失の大きさや、事故後の態度の悪さなどにより、事故に対する被害者の精神的苦痛が増大したと認められる場合は、慰謝料が増額されることがあります。

      過去の裁判例をご紹介します。

      加害者が、忘年会で飲酒後酩酊しながら自動車で帰宅する途中、
      高速道を一般道と錯覚して転回して逆送し、謝罪の際も配慮の欠けた面があったことなどを理由として、

      慰謝料相場2800万円のところ、3600万円を認めた事例があります
      (東京地裁平成15年3月27日判決・出典:交通事故民事裁判例集36巻2号439頁)。

      【判決の分析】
      本件では、
      交通事故を惹起した原因が飲酒酩酊していたにもかかわらず自動車を運転したこと、
      高速道路を逆走したこと、

      という法律違反の程度が高度であること、
      事故後の加害者に反省の態度がなかったことにより遺族の精神的苦痛が増大したものと評価されたと考えられます。

      加害者の酒酔い運転及びセンターラインーオーバーという悪質運転、事故後救助活動を一切しなかったこと、捜査段階で罪を逃れるため、被害者がセンターラインオーバーをしてきたと虚偽の供述をしたことなどを考慮し、慰謝料2800万円が相場のところ、本人分2600万円、妻分500万円、母分500万円の合計3600万円を認めた事例があります(東京地裁平成16年2月25日判決、出典:自保ジャーナル1556号13頁)。

      【判決の分析】
      本件では、交通事故を惹起した原因としての酒酔い運転とセンターラインオーバーという法律違反の程度が高度であること、
      事故後の加害者の悪質な態度により

      被害者の遺族の精神的苦痛が増大したものと評価されたものと考えられます。

      加害者が、運転開始前に飲んだ酒の影響により前方注視及び運転操作が困難な状態で、
      加害車両を走行させ、仮眠状態に陥り,

      主婦兼アルバイトの43歳女性に車両を衝突させて死亡させた交通死亡事故です。

      加害者は、勤務先の忘年会や二次会で飲酒したものですが、
      部下に対しては当日車で参加しないように注意が喚起されていたにもかかわらず、

      自らは車で出勤し,飲酒後も,翌朝も車で出勤したいとの考えから車両を運転したという事案です。

      当時の慰謝料の相場は、2400万円であったところ、裁判所は、本人分2700万円、夫200万円、3人の子合計300万円の合計3200万円の慰謝料を認めました(東京地裁平成18年10月26日判決、出典:交民39巻5号1492頁)

      【本判決の分析】
      本判決は、多量の飲酒により運転操作が困難な状態で車両を運転し、
      仮眠状態に陥った上で事故を起こしたという事故の悪質性と運転の動機の身勝手さなどを重視して慰謝料を増額したものと考えられます。

      交通事故の示談交渉で加害者側の主張によって、慰謝料が増額される事例について分析した以下の論文の参考にしてください。

      【参考論文】「交通事故に関する加害者側の主張と慰謝料の増額」(畑中久彌著)

      他の損害項目に入らないものを慰謝料で斟酌(しんしゃく)しようとする事例

      顔や生殖機能、嗅覚などの後遺障害が認定されても後遺症逸失利益が算定しにくいような事案の場合は、逸失利益を認めず慰謝料を増額することで賠償額のバランスを取ろうとすることがあります。

      過去の裁判例をご紹介します。

      22歳の女性の外貌醜状の後遺症について、顔面醜状のためモデルになるのを諦めたこと、
      同僚などから「どうしたのか」」などと聞かれ、辛い思いをしたこと、
      腕の醜状のため半袖等の着用を控えていること、

      などを理由として、逸失利益は認めないが、慰謝料相場1000万円のところ、1450万円を認めた事例があります(大阪地裁平成11年8月31日判決・出典:自保ジャーナル1335号3頁)。

      【判決の分析】
      本件では、外貌醜状により、モデルになるのを諦めたことから労働に支障が出たと考えられるものの、逸失利益を計算しにくいこと、その他実際に若い女性の精神的苦痛の高さに鑑み、慰謝料を増額したものと考えられます。

      交通事故の時に16歳であった女子に生じた大腿部の醜状痕(後遺障害等級第12級)について、逸失利益は否定されましたが、後遺障害慰謝料として、慰謝料相場金額が290万円のところ、慰謝料を増額して420万円が認められた事例があります。

      【判決の分析】
      本件では、大腿部の醜状痕であることから労働の支障がないとされましたが、
      若い女性であったことから、大腿部の露出に支障をきたし、通常の場合より精神的苦痛が大きいと評価され、
      慰謝料が増額したものと考えられます。
      (甲府地裁平成18年11月24日判決、出典:裁判所ホームページ

      被害者側に特別の事情がある事例

      被害者に特別の事情があり、通常の場合より被害者の無念さが大きいと認められると、慰謝料が増額されることがあります。

      20歳の男子大学生の死亡事故について、息子を失った喪失感等から四十九日が過ぎたころから精神的に不安定となって自殺を図り、
      精神科に入退院を繰り返し障害等級2級の障害者手帳の交付を受けている事案について、
      当時の慰謝料相場額が2000万円~2200万円のところ、本人分2200万円、母親分300万円、父親分150万円の合計2650万円を認めた事例があります(名古屋地裁平成17年11月30日判決、出典:交通事故民事裁判例集38巻6号1634)。

      【判決の分析】
      本件では、被害者の遺族に精神疾患が生じ、その程度が極めて重いことから、

      通常の場合に比して遺族の精神的苦痛が大きいと評価され、慰謝料が増額されたものと考えられます。

      9歳の小学生男児の交通死亡事故について、交通事故発生直後に被害者の悲惨な状態を目撃した母親がPTSDに罹患しました。

      裁判所は、母親の精神的打撃が深刻で現在に至るまで続いていることを考慮し、慰謝料の相場としては、2000万円~2200万円のところ、本人分1800万円、父親分200万円、母親分600万円の合計2600万円を認めた事例があります(東京地裁平成15年12月18日判決)。

      【判決の分析】
      本件では、被害者の母親が我が子の悲惨な状態を目的した精神的苦痛の大きさ、及び、その後実際にPTSDに罹患し、精神的苦痛の大きさが現実化したこと、から慰謝料を増額したものと考えられます。

      以下の記事でも高額慰謝料が認められた裁判例をご紹介していますので、参考にしてください。

      高額慰謝料が認められた3つの交通事故裁判例

      弁護士に依頼して慰謝料を相場より増額させた実例

      弁護士に依頼して慰謝料を相場より増額させた実例

      裁判で慰謝料を増額させた実例

      上記裁判例のように、弁護士に裁判を起こしてもらって、慰謝料が相場より増額することがあるのですが、実は、示談交渉では慰謝料を相場より増額させることはできません。

      保険会社として、相場の金額があるのに、わざわざ自分から相場金額より増額させる必要がないためです。

      保険会社としては、裁判所の判決によって「支払え」と命令されれば、支払わざるを得ませんが、自分から支出を増やし、会社の利益を減らす、という判断はしないわけです。

      そこで、慰謝料を相場より増額させるには、裁判を起こす必要があるのですが、ここでも注意点があります。

      それは、

      ・慰謝料増額事由は、被害者が主張・立証しない限り、裁判所は取り上げてくれない

      ・慰謝料増額事由は、被害者が発見しなければならない

      という点です。

      裁判は、当事者が主張・立証する範囲内でしか、判決をすることができないルールになっています。

      したがって、被害者が慰謝料増額事由を発見し、それを的確に裁判において主張立証していくことが必要となります。

      そのためには、やはり交通事故に精通した弁護士に依頼することが望ましいと言えるでしょう。

      ここで、みらい総合法律事務所の弁護士が裁判で慰謝料を増額させた事例をご紹介します。

      被害者や被害者のご家族は、慰謝料をいくらもらったのでしょうか。

      被害者男性が道路で寝ていたところ、飲酒運転の加害者にひき逃げされました。

      被害者遺族は、はじめからみらい総合法律事務所に刑事事件への被害者参加と示談交渉を依頼しました。

      刑事事件終了後、私たちは慰謝料増額を見越し、示談交渉をせず、提訴し、裁判での解決を目指しました。

      裁判所に加害者の悪質性を訴えて慰謝料増額を主張したところ、慰謝料の相場2500万円のところ、大幅に慰謝料が増額され、3400万円が認められました。

      解決総額は、9400万円です。

      交渉で慰謝料増額を実現した実例

      慰謝料増額は、通常は裁判を起こさないと難しいのですが、稀に、交渉においても増額できる場合があります。

      しかし、この場合も、被害者の弁護士が強く慰謝料増額事由を主張していかなければ実現は難しいでしょう。

      みらい総合法律事務所で扱った事案のうち、示談交渉で慰謝料増額を勝ち取った事例をご紹介します。

      被害者や被害者のご家族は、慰謝料をいくらもらったのでしょうか。

      飲酒ひき逃げで慰謝料を増額させた実例

      78歳男性の死亡事故です。

      被害者が自転車で走行中、飲酒運転の自動車に衝突され、ひき逃げされました。

      ご遺族は、加害者の刑事事件から参加することとし、みらい総合法律事務所の弁護士に依頼し、加害者の刑事事件から被害者参加しました。

      示談交渉が開始され、弁護士は、飲酒・ひき逃げだったことから、慰謝料の大幅な増額を強く主張しました。

      その結果、示談交渉において、相場金額2000万円~2500万円のところ、約2800万円まで保険会社が譲歩し、合意に至りました。

      もう1つご紹介します。

      無免許・センターラインオーバーで慰謝料を増額された実例

      65歳男性が交通事故で骨折等の傷害を負い、関節機能障害等で自賠責後遺障害等級は併合8級が認定されました。

      みらい総合法律事務所の弁護士が事案を分析したところ、加害者は無免許でセンターラインオーバーでの事故だったことがわかり、示談交渉で、この点を強く主張しました。

      その結果、保険会社が慰謝料増額を認め、慰謝料相場金額830万円だったところ、約1000万円で合意しました。

      示談交渉では慰謝料が相場より増額しないと思い、これを主張しない人もいますが、稀に増額する場合もありますので、ここは強く主張していくべきだと思います。

      慰謝料が減額されるケースもある

      慰謝料が減額されるケースもある
      これまでは、慰謝料が増額されるケースについて説明をしてきましたが、実は、慰謝料が減額されてしまうケースもあります。

      ここでは、以下の3つのケースについて説明をします。

      1. 素因減額
      2. 損益相殺
      3. 過失相殺

      素因減額

      素因減額というのは、被害者に何らかの負の要素がある場合に、慰謝料額が減額されることを言います。負の要素には、被害者の精神的傾向である「心理的要因」と、既往症や身体的特徴などの「体質的・身体的素因」があります。

      被害者が自殺した場合に、交通事故との因果関係が認められる時は、心因的養親の寄与が問題となります。

      心因的要因による減額は、交通事故による損害が、事故によって通常発生する程度や範囲を超えるものであって、かつ、その損害拡大について被害者の心因的要因が寄与していると認められる場合に慰謝料が減額されるものです。

      たとえば、軽微な追突事故の被害に遭った被害者が、数日後に病院に行って、医師に対して、「当初はなんともなかったが、数日したら気分が悪くなり、頭も痛く、首も痛い。」と訴えたところ、外傷性頚部症候群と診断され、その後入院し、5年間も入退院を繰り返した、というような事例で、医学的には症状の説明が困難なような場合です。

      体質的素因としては、無症状の後縦靱帯骨化症について、素因減額したものがあります。

      【参考情報】
      「最高裁平成8年10月29日判決」裁判所ホームページ

      損益相殺

      損益相殺というのは、交通事故の被害者が、交通事故に起因して何らかの経済的利益を得た場合に、それを損害の填補として、損害賠償額から減額されるものです。

      代表的にはものは内払いで、加害者の保険会社から治療費や休業補償を受け取っている場合には、その金額は損害の填補ですので、損害賠償額から減額されます。

      また、自賠責保険から損害賠償額を受領した場合や労災保険からの給付なども該当します。

      但し、労災保険法に基づく特別支給金については、損益相殺が否定されるのが裁判例ですので、労災事案については、特別支給金を受領することを忘れてはいけません。

      過失相殺

      過失相殺というのは、交通事故において、被害者に過失がある場合に、その過失の大きさなどを考慮して慰謝料等が減額されることをいいます。

      追突事故やもらい事故など、過失割合が10対0であれば、示談金の相場は、損害額の全額となります。1000万円の損害額であれば、示談金は1000万円となるでしょう。

      しかし、たとえば、過失割合が加害者80%、被害者20%、慰謝料額が1000万円とすると、被害者の過失分200万円が減額されて、慰謝料額は800万円となります。

      過失相殺は、示談交渉の場合には、双方が話し合い、合意によって決まります。

      たとえば、本当の過失割合が加害者80%、被害者20%だっとしても、保険会社がいいと言えば、加害者100%で合意してもいいわけです。

      当事者間で合意が成立しない場合は、裁判所が過失割合を決めることになります。

      この場合には、「別冊判例タイムズ38号 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版」(東京地裁民事交通訴訟研究会編)に基づいて判断がされることになります。

      【書籍紹介】
      民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準[全訂5版] 別冊判例タイムズ38号 別冊38号

      過失相殺について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

      ⑥消滅時効を知らずに慰謝料を消滅させていはいけない

      交通事故の示談交渉は、場合によっては何年もかかることがあります。

      その場合に注意しておかなければなりません。

      きちんと対処せずに放っておくと、請求できるはずの慰謝料が消滅してしまう場合があるのです。

      それは、「消滅時効」という制度です。

      一定期間法律上の権利を行使しない場合に、その権利が消滅してしまう制度です。

      交通事故の慰謝料請求権では、以下のようになっています。

      自賠責保険に対する被害者請求の時効

      自賠責保険に対する被害者請求の消滅時効については、傷害・死亡の場合は事故の翌日から3年、後遺障害がある場合は症状固定日の翌日から3年です。

      加害者に対する慰謝料請求権の時効

      (1)加害者に対する慰謝料請求権の時効は、「損害及び加害者を知った時」から物損については3年、人身損害部分については5年です。

      (2)又は、損害及び加害者がわからなかったとしても、事故日から20年を経過すれば時効により消滅します。

      (3)ケガによる後遺障害がある場合には、症状固定した時点で初めて後遺障害を含む損害について知ったことになります。したがって、人身損害の時効については症状固定日から5年となります。

      症状固定日から、というのは、事故等の時点が午前零時でない限り、初日不算入とされますので、当該日の翌日が起算点となります。
      (最高裁昭和57年10月19日判決)

      消滅時効の効果を生ずると、慰謝料は0円になってしまいますので、くれぐれも注意したいところです。

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      交通事故の慰謝料に税金はかかるの?

      交通事故で被害を受けて慰謝料などを受け取る場合、金銭で受け取ることなります。

      では、受け取った慰謝料に税金はかかるのでしょうか。

      まず、ケガや死亡事故など、心身に加えられた損害に対する慰謝料、治療費、休業損害、逸失利益などの損害賠償金には、税金はかかりません。

      非課税です。

      また、同じように、心身又は資産に加えられた損害について、社会通念上ふさわしい範囲の金額を見舞金としてもらった場合も非課税です。

      物損も自動車の修理費用などは非課税なのですが、一部課税対象となる場合もあります。

      たとえば、商品を配送中に、交通事故の被害に遭ったとしましょう。

      その全額を損害賠償金として受け取ったら、どうなるでしょうか。

      本来であれば、個人の場合には売却代金が収入金額となり、そこから仕入代金や経費などを差し引いて所得となり、所得税を支払います。

      つまり、損害賠償金が事業による収入金額に代わる性質ということになります。

      したがって、このような場合には、非課税とならず、事業所得の収入金額となりますので、注意が必要です。

      交通事故の慰謝料などに税金がかかるかどうかについて、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

      参考情報:「No.1700 加害者から治療費、慰謝料及び損害賠償金などを受け取ったとき」国税庁タックスアンサー

      慰謝料に関するQ&A

      慰謝料に関するQ&A
      ここでは、交通事故被害の相談者の方からよくいただく質問について、簡単に解説をします。

      Q1)慰謝料を請求するための弁護士費用はいくらですか?

      慰謝料を請求するための弁護士費用はいくらですか?
      A1)法律事務所によって違いがありますが、一般的にかかる費用は、①相談料、②着手金、③報酬金、④日当、⑤実費、となります。
      ここでは、みらい総合法律事務所の場合を例に金額などについてもお話しします。

      ①相談料:無料です。
      ※30分で5,000円としている法律事務所もあります。

      ②着手金:原則として無料です。
      事件に着手する前に支払う手付金です。
      ※例外的場合があるので、ご確認ください。

      ③報酬料:原則として獲得金額の10%(消費税別途)です。
      たとえば、加害者側の任意保険会社から示談金(損害賠償金)として500万円が提示され、弁護士が交渉したことで1,500万円に増額した場合(実際、2倍、3倍に増額することはよくあります)、
      弁護士の報酬額は150万円(消費税別)になります。

      1,500万円×0.1=150万円
      150万円×1.1=165万円
      1,500万円-165万円=1,335万円

       
      被害者の方の手元に残る金額は1,335万円となるので、弁護士報酬を支払っても、被害者の方がそのまま示談してしまった場合に比べて835万円も多く受け取ることができるわけです。

      ④日当
      弁護士が地方出張したり、外出業務が発生する場合にかかる費用です。

      ⑤実費
      印紙や切手、交通費など、実際に必要な経費です。

      【youtube解説】

       

      Q2)慰謝料が時効消滅しないためには、どうしたらいいですか?

      時効消滅しないためには、どうしたらいいですか?
      A2)まずは、時効の期限をしっかり把握することが大切です。

      交通事故の損害賠償請求における消滅時効とは、被害者の方が慰謝料などの損害賠償金を請求して受け取る権利がなくなってしまうことです。

      時効が成立してしまうと、その後は一切の損害賠償請求をすることができなくなってしまうので注意が必要です。

      <時効消滅の期限>
      ・加害者に対する損害賠償請求の時効
      「損害及び加害者を知った時」(民法724条)から物損については3年、人身損害部分については5年

      ・損害及び加害者がわからない場合
      事故日から20年

      ・後遺障害がある場合
      症状固定した時点で初めて後遺障害を含む損害について知ったことになるため、人身損害の時効は症状固定日から5年

      <時効を完成させない方法>
      ・加害者側に債務を承認する書面(同意書)を書かせる
      ・賠償金の一部を支払わせる
      ・裁判を起こす
      ・加害者に内容証明郵便を送付する など

       
      どの方法も簡単ではないので、詳しくは交通事故に強い弁護士に相談するのがいいでしょう。

      【youtube解説】

       

      Q3)死亡事故の場合、誰が慰謝料を請求できますか?

      死亡事故の場合、誰が慰謝料を請求できますか?
      A3)ご遺族(相続人)が請求することができますが、法律により相続順位と分配割合が決められています。

      【相続順位】
      ※被害者の方に配偶者がいる場合は、つねに相続人になる。
      ※配偶者がいない場合は、それぞれの場合の筆頭の親族のみが相続人になり、それ以外の親族は相続人にはならない。

      第1位:子
      ※すでに子が死亡していて、子の子供(被害者の方の孫)がいる場合は、「代襲相続」により「孫」が相続人順位の第1位になる。
      ※遺産相続では、認知されている子(胎児も含む)が相続の対象となる。

      第2位:親
      ※被害者に子がいない場合。
      ※養子縁組をした養父母も相続人になる。

      第3位:兄弟姉妹
      ※兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、その子が同順位で相続人になる。

      【相続人の法定相続分】

      <相続人が子の場合>

      配偶者 2分の1
      2分の1
      配偶者
      2分の1
      2分の1

      ※子が2人の場合、2分の1を分けるので、1人の相続分は4分の1となる。

      <相続人が親の場合>

      配偶者 3分の2
      3分の1
      配偶者
      3分の2
      3分の1

      ※両親(父母)がいる場合、3分の1を2人で分けるので、1人の相続分は6分の1となる。

      <相続人が兄弟姉妹の場合>

      配偶者 4分の3
      兄弟姉妹 4分の1
      配偶者
      4分の3
      兄弟姉妹
      4分の1

      ※兄弟姉妹の割合である4分の1をその人数で分配する

      Q4)裁判は、どのくらいの期間がかかりますか?

      裁判は、どのくらいの期間がかかりますか?
      A4)ケースバイケースですが、提訴してから判決が出るまで、およそ半年から1年です。

      裁判は、個別の事案ごとに行なわれるため、決まった期間というものはありません。
      ケガ、後遺障害の程度、示談交渉での争いの内容、進み具合によっては1年以上かかってしまうケースもあります。

      ちなみに、裁判所の「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(令和3年)」では、審理の終了までにかかる平均期間は13.3か月(和解事案も含む)で、判決までいった事案だけで見ると平均18.6か月かかっています。

      審理期間と割合

      平均審理期間 割合
      6か月以内 16.7%
      6か月から1年以内 39.1%
      1年から2年以内 36.7%
      2年から3年以内 6.0%
      3年から5年以内 1.4%
      5年以上 0.1%

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