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【後遺障害14級】の認定基準・慰謝料額・増額事例

最終更新日 2021年 04月06日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

後遺障害14級

この記事を読むとわかること

これから、交通事故で後遺障害14級が認定された場合に知っておくべき知識を解説していきます。

具体的には、この記事を読むことで次のことがわかります。

  • 後遺障害等級認定の仕組み
  • 後遺障害14級の認定基準
  • 後遺障害等級が間違っていた時の対処法
  • 後遺障害14級で弁護士に依頼すると、どの程度増額するのか?

後遺障害等級14級で多い「むち打ち症」

交通事故による後遺障害で多いもののひとつに「むち打ち症」(頸椎捻挫)があります。

むち打ち症で後遺障害等級が認定される場合には、12級13号か14級9号が認定されることになります。

むち打ち症の判断には難しい面もあるので、痛みや麻痺、しびれなどの自覚症状だけでなく、医学的な面からもきちんと症状を証明していく必要があります。

後遺障害等級14級の認定基準と保険金額

交通事故における後遺障害等級14級は、眼や耳、歯、指に関する障害や、手足にできた傷跡など全部で9つに分類され、労働能力喪失率は5%に設定されています。

14級は労働能力喪失率がかなり低く設定されていることからもわかるように、後遺障害の程度としてはもっとも軽いレベルと判断されます。

後遺障害等級14級の認定基準及び保険金限度額
<自賠法別表第2>

後遺障害 保険金
(共済金)
1.一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
2.3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
3.一耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
4.上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
5.下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
6.一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
7.一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
8.一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
9.局部に神経症状を残すもの

75万円

第14級1号

まぶたの障害には欠損障害と運動障害がありますが、14級1号では欠損障害が該当します。

まぶたの一部に欠損を残した場合とは、普通にまぶたを閉じた時に黒目は隠れるものの、角膜が完全に覆われず白目の一部が露出してしまう状態をいいます。

こうした症状が片方の眼のまぶたにある場合、14級1号が認定されます。

また、まぶたの障害の有無に関わらず、まつ毛の半分以上を失った場合もこの等級に該当します。

なお、両眼のまぶたの欠損障害の場合は13級4号となります。

第14級2号

交通事故による傷害で3本以上の歯を失ったり、著しい損傷を受けたために「歯科補綴(しかほてつ)」をした場合に14級2号が認定されます。

人間の永久歯は、上下それぞれ14本ずつの計28本ありますが、そのうちの3本以上、5本未満に障害が残った状態です。

歯科補綴とは、差し歯や入れ歯、クラウン、ブリッジ、インプラントなどで欠損した歯の機能や見た目を治療することで、こうした歯科補綴を施した歯に対して等級が認定されます。

なお、交通事故により14本以上の歯を失ったり、著しい損傷を受けたために歯科補綴をした場合は10級4号、10本以上の場合は11級4号、7本以上の場合は12級3号、5本以上の場合は13級5号がそれぞれ認定されます。

第14級3号

交通事故によって、片方の耳の聴力が、1m以上離れた距離では小声の話し声を聴き取るのが困難な状態になった場合、14級3号が認定されます。

認定の際には、単純な音が聴き取れるか(純音)、言葉を言葉として聴き取れるか(明瞭度)の2種類の検査を行ないます。

この等級の場合、具体的には純音聴力レベルは40dB以上または70dB未満という基準になっています。

なお、号数は規定されていませんが「14級相当」として、「30dB以上の難聴で、耳漏(じろう)がある状態」でも後遺障害等級14級が認定されます。

これは、交通事故の傷害によって、純音聴力レベルが30dB以上の状態となり、耳だれが出る症状が治癒しないケースとなります。

第14級4号/5号

上肢の露出面に、手のひらの大きさの醜い傷跡が残った場合は14級4号、下肢の露出面の場合は14級5号が認定されます。

上肢とは肩から手の先までの部分のことで、下肢とは足の付け根からつま先までの部分をいいます。

手のひらの大きさとは、被害者自身の指を含まない手のひらの大きさで判断されます。

なお、「14級準用」として、「胸腹部、背部、臀部の全面積の4分の1以上の範囲に醜状を残す状態」として傷跡が残った場合も後遺障害等級14級が認定されます。

第14級6号/7号

片方の手の親指以外の指の骨の一部を失った場合、あるいは骨がつかずに「遊離骨折」した場合は14級6号に認定されます。

右手か左手か、利き手かどうかによる区別はありませんが、失った場所や範囲によっては等級が上がる可能性があるので注意が必要です。

また、片方の手の親指以外の指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなった場合は14級7号が認定されます。

遠位指節間関節とは第一関節のことで、ここの曲げ伸ばしができない状態をいいます。

なお、指の本数の規定はありません。

第14級8号

片方の足の指で、中指、薬指、小指のうち1本もしくは2本の用を廃した場合、14級8号に認定されます。

この等級での用を廃したとは、中節骨もしくは基節骨を切断したもの、遠位指節間関節もしくは近位指節間関節(第二関節)において離断したもの、中足指節関節(指の付け根の関節)または近位指節間関節の可動域が健側(麻痺や障害がない側)の可動域角度の2分の1以下になった場合が該当します。

第14級9号

14級9号は、「局部に神経症状を残すもの」です。

典型的な症状としては、いわゆる「むち打ち症」があります。

むち打ち症では本人に痛みや麻痺、しびれなどの自覚症状があるものの、医学的に証明ができないケースが多く見られます。

むち打ち症は、この14級9号と12級13号とが適用されますが、12級13号では、「局部に頑固な神経症状を残すもの」と規定されていることに注意が必要です。

つまり、神経症状に「頑固なもの」という言葉が入っているかどうかの違いで等級が12級から14級に変わってくるため、一般の方にはわかりにくく難しい部分があるのです。

単純に言うと、12級は症状が医学的に証明される場合に認定され、14級は症状が医学的に証明はできないが、説明できる場合に認定されます。

具体的には、レントゲンやCTなどの画像診断では異常が見つからず、医学的に証明できなくても、神経学的検査の異常所見や通院状況などにより、神経症状を医学的に説明できれば、14級9号に該当するということになります。

知っていると有利!後遺障害等級の7つの注意ポイント

知っていたために、交渉や戦いで有利な状況が生まれることがあります。

後遺障害等級認定の前後においても、被害者の方が知っていることで、これ以上の損害を被ることなく、示談交渉を有利に進めていくことできるポイントがあるのです。

(1)症状固定の診断をするのは保険会社?それとも主治医?

症状固定とは、これ以上の治療を継続しても回復や完治の見込みがない状態のことをいいます。

これは主治医の診断によって行なわれるもので、症状固定により治療は終了し、これ以降は被害者の方には後遺症が残ってしまうことになります。

医学的なことですから、症状固定の診断は当然、主治医が行ないます。

しかし、ここで気をつけたいのは、加害者側の任意保険会社の担当者が「もう、このあたりで症状固定にしてください。これ以上の治療費は支払えません」と言ってくるケースがあることです。

医師ではない彼らが、なぜこんなことを言ってくるのかというと、保険会社としては支出となる被害者の方への治療費などをできるだけ少なくしたいから、ということになります。

大切なのは、被害者の方は保険会社の言葉を素直に信じてはいけない、ということです。

主治医からの症状固定の診断がないなら、それはまだ治療の効果が上がっている、回復の見込みがあるということ。

保険会社が言うことは気にせず、あくまでも主治医の判断に従って治療を継続してください。

なお、治療費などの領収書は必ず、すべて保管しておいてください。

治療費の支払いを打ち切られたとしても、領収書があれば、後の示談交渉の際に保険会社にまとめて請求することができるからです。

ただし、その治療費が払われるかどうかは、医学上治療の必要性があったかどうかで決まることに注意が必要です。

(2)後遺症と後遺障害の違いを理解する

交通事故の問題では、後遺症と後遺障害がよく出てきますが、これらの違いは何なのでしょうか?

後遺症とは、医学的には被害者の方に残った機能障害や運動障害、神経症状などのことをいいます。

たとえば、交通事故のケガのために、聴力が低下してしまえば機能障害ですし、手足の関節の可動域が制限されてしまったなら運動障害、むち打ちのために首や腰の痛みが消えないのであれば神経症状ということになります。

一方、後遺障害とは、後遺症について医学的、法的に次の要件が認められることで定義されるもので、損害賠償請求の対象になります。

①交通事故が原因であると医学的に証明されること
②労働能力の低下や喪失が認められること
③その程度が自動車損害賠償保障法(自賠法)で定める後遺障害等級に該当すること

ここで注意が必要なのは、被害者の方が感じている後遺症の症状はすべてが後遺障害と認められるわけではないということです。

ご自身の後遺障害等級が認定されなければ、損害賠償金でも大きな損失を被ってしまいますから、被害者の方にとっては正しく後遺障害等級の認定を受けることが非常に大切になってくるのです。

(3)なぜ後遺障害等級認定を受けなければいけないのか?

損害賠償金額を計算する際、問題となることがあります。

それは、被害者の方が負ったケガによる後遺障害の程度や症状には違いがあるため、一人ひとり個別に計算するには膨大な時間と労力が必要となってしまうことです。

さらには、慰謝料は被害者の方が抱える苦痛を慰謝するために支払われるものですが、この金額を計算する際に一人ひとりが抱えている精神的、肉体的苦痛を正確に数値化するのは不可能という問題もあります。

そこで、被害者の方の損害賠償金額を迅速かつ公平に算出するために設定されたのが後遺障害等級です。

そして、被害者の方一人ひとりの後遺障害がどの等級に該当するかを判断、認定する手続きを正式名称で「自賠責後遺障害等級認定」というのです。

なお、後遺障害等級を判定して、認定するのは医師だと思っている人もいるようですが、「損害保険料率算出機構(損保料率機構)」という機関が行なうことを覚えておいてください。

(4)交通事故の後遺障害等級は全部で14等級ある

前述したように、後遺障害等級は、自動車損害賠償保障法(自賠法)の定めにより全部で14等級があります。

もっとも重度のものが1級で、それぞれの等級では後遺障害が残った身体の部位によって各号数が細かく設定されています。

例として、首のケガ(むち打ち)で考えてみましょう。

交通事故の被害で首にケガを負い、むち打ち(頸椎捻挫)で治療後に症状固定したとします。

その時点で残ってしまった、痛みや麻痺、しびれなどの神経症状は、むち打ちの後遺症となり、これが(2)でお話した3つの条件を満たした場合に後遺障害となります。

そこで、後遺障害等級認定を申請して認められれば、被害者の方には12級13号か14級9号が認定される、という仕組みになっているのです。

(5)後遺障害等級認定の申請には2つの方法がある

後遺障害等級認定の申請をするには、「被害者請求」と「事前認定」という2つの方法があります。

どちらの方法にも、それぞれメリットとデメリットがあるので、ひとくちにどちらが有利とはいえないものです。

被害者の方は、ご自身の経済的な状況や後遺症の程度、状態などを考えて、どちらかの方法を選択して申請することになります。

「被害者請求」

被害者ご自身が自賠責保険取り扱い会社に対し、後遺障害等級認定を行なう方法。

示談交渉を行なう前にまとまったお金を受け取ることができる、などのメリットがある。

「事前認定」

加害者側の任意保険会社を通して後遺障害等級認定を行なう方法。

提出書類を自分で用意しなくていいので、被害者の方の負担が少ないというメリットなどがある。

(6)後遺障害等級認定の申請で必要な提出書類について

後遺障害等級認定を申請するために必要な書類、資料には次のようなものがあります。

「後遺障害等級認定の際に必要な提出書類等」
・支払請求書兼支払指図書
・交通事故発生状況報告書
・交通事故証明書
・診療報酬明細書
・通院交通費明細書
・医師の診断書(死亡の場合は死亡診断書)
・委任状(被害者自身が請求できない場合)
・休業損害証明書
・後遺障害診断書
・レントゲン・MRI等の画像 など

被害者の方が起こしがちな問題としては、提出書類や資料の不足、記載内容の不備などがあげられます。

そうした場合、後遺障害等級が認定されなかったり、正しい後遺障害等級が認定されずに低い等級が認定されてしまい、被害者の方が損害賠償金で損をしてしまう可能性があります。

(7)認定された等級に不満があるなら異議申立するべき

「認定された後遺障害等級は低すぎるのではないか」
「後遺障害等級が認定されないのは納得がいかない」

このような不満がある場合、被害者の方は「異議申立」をすることができます。

異議申立は、後遺障害等級認定の申請と同様に損害保険料率算出機構(損保料率機構)という機関に対して行ないます。

その際に注意するべきことは、ただ「認定された等級に納得がいかない」、「もっと高い等級が認定されるはずだ」などと訴えても認められないということです。

正しい後遺障害等級が認定されるためには法的、医学的な根拠が必要なのです。

ですから、後遺障害認定システムに強い医師に自覚症状欄や他覚所見、運動障害などを漏れなく「後遺障害診断書」に記載してもらうことが大切です。

場合によっては、レントゲン画像では確認できなかった問題がわかるようなCT画像やMRI画像などを撮影してもらう必要もあります。

また、再提出書類の法的な部分の確認をしてもらうためにも、交通事故に強い弁護士に相談することも大切になってきます。

みらい総合法律事務所の慰謝料増額解決事例

ここでは、みらい総合法律事務所で実際に解決した後遺障害14級の慰謝料などの増額事例をご紹介します。

・加害者側の保険会社は、いくらくらいの示談金(損害賠償金)を提示してくるのか?
・その金額に納得がいかなければ、どのように示談交渉を進めていけばいいのか?
・弁護士に示談交渉を依頼すると、どのくらい増額するのか?

など、実際の示談交渉の世界がどのようなものなのか、おわかりいただけると思います。

増額事例①:29歳男性が慰謝料等で約13倍に増額

29歳男性の交通事故被害の事例です。

事故の状況は、被害者男性が自動車を運転中に停車した際、後方から走行してきた自動車に追突されたというものです。

腰椎捻挫を負い、治療をしましたが症状固定となり、被害者男性には神経症状の後遺症が残ってしまいました。

自賠責後遺障害等級は14級9号が認定され、加害者側の保険会社からは治療費や休業補償などの既払い金の他に、示談金(損害賠償金)として、約15万円を提示されました。

被害者男性が、みらい総合法律事務所の無料相談を利用したところ、弁護士からは「増額可能」との意見があったので、示談交渉などのすべてを依頼されました。

弁護士と保険会社との交渉は決裂し、裁判となりましたが、結果的には当初提示額から約13倍に増額して、200万円で解決となった事例です。

増額事例②:むち打ち症の52歳女性の慰謝料等が約3.3倍に

52歳の専業主婦の女性が自動車を運転して丁字路にさしかかったところ、右折車が追突してきた交通事故です。

被害者女性は、頸椎捻挫、外傷性頚部症候群、頭部打撲傷などのケガのために後遺症が残り、自賠責後遺障害等級は14級9号が認定され、加害者側の保険会社からは慰謝料などの損害賠償金として約138万円が提示されました。

この金額が妥当なものなのかどうか、みらい総合法律事務所の無料相談を利用したところ、弁護士の見解は「さらに増額できる」というものだったため、被害者女性は示談解決を依頼。

その後、弁護士が保険会社と交渉しましたが、決裂したため提訴して裁判に突入。

裁判所は弁護士の主張を認め、最終的には約3.3倍増額の約468万円での解決となりました。

増額事例③:54歳男性の慰謝料などが400万円超に増額

青信号の交差点を直進中に、側方から赤信号を無視して侵入してきた自動車に追突された交通事故。

被害者は54歳の男性、職業は運転手です。

半月板損傷のケガのため、被害者男性には神経症状の後遺症が残ってしまい、自賠責後遺障害等級は14級9号が認定されました。

加害者側の保険会社は、既に支払い済みの治療費など約300万円をのぞいて、慰謝料などの損害賠償金として約180万円を提示。

この金額について、被害者の方がみらい総合法律事務所の無料相談を利用したところ、「増額可能」との見解だったので、そのまま示談交渉を依頼されました。

弁護士が保険会社と交渉し、最終的には当初提示額から約2.2倍の約404万円で解決した事例です。

増額事例④:40歳男性の慰謝料などが増額し3.5倍に!

40歳の男性がバイクで直進走行中、交差点で進入してきた自動車に衝突され、頸椎捻挫、腰椎捻挫、左肩打撲などのケガを負った交通事故です。

被害者男性には神経症状の後遺症が残ってしまい、自賠責後遺障害等級は併合で14級が認定され、加害者側の保険会社からは既払い金の他に慰謝料などの損害賠償金として約119万円が提示されました。

この金額が妥当なものかどうか判断できなかったため、みらい総合法律事務所の無料相談を利用して弁護士の意見を聞いたところ、「この金額は不当に低い」との見解だったことから、被害者の方は示談交渉のすべてを依頼されました。

弁護士と保険会社との交渉の結果、当初提示額から約3.5倍の増額を勝ち取ることができ、約413万円で示談解決したものです。