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耳の後遺障害等級と慰謝料の相場と計算方法

最終更新日 2021年 10月03日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

耳の後遺障害等級と慰謝料の相場と計算方法


【動画解説】耳の後遺障害等級と慰謝料の計算

交通事故で負った傷害(ケガ)が回復せず後遺症が残ってしまった場合、被害者の方には生活に制限ができてしまいます。

日常生活での不便、以前のようには働けなくなることで被る利益(収入)の損害……被害者の方とご家族は肉体的にも精神的にも苦痛を感じ、また将来的な不安もあると思います。

そうした場合に支払われるのが慰謝料などの損害賠償金です。

しかし、この損害賠償金、「そもそも、どういった内容なのかわからない」という方も多いでしょう。

ここには後遺障害等級というものも関わってくるのですが、交通事故に初めてあった方が知らないのは当然です。

そこで本記事では、聴覚障害など耳の負傷による後遺症で認定される後遺障害等級、慰謝料の相場金額や計算方法などについて、お話ししていきます。

これから交通事故で耳を負傷した場合の後遺障害等級や慰謝料などについて解説していきますが、その前に交通事故解決までの全プロセスを説明した無料小冊子をダウンロードしておきましょう。

交通事故発生から示談成立までの流れをチャートで解説

交通事故の被害にあってから、示談が成立して慰謝料などの損害賠償金を受け取るまでには大まかな流れがあり、被害者の方は次のような手続きが必要になります。

①症状固定とは?

入通院をしてケガの治療を続けても、主治医から「症状固定」の診断がある場合があります。

症状固定とは、これ以上回復しない、完治の見込みがないという状態で、その後、被害者の方には後遺症が残ってしまうことになります。

②後遺障害等級とは?

後遺症が残った場合、被害者の方が負った精神的、肉体的苦痛を償ってもらい、治療費や逸失利益(将来的に得られなくなった収入・利益)等の損害に対して賠償してもらう必要があります。

そのために必要となるのが後遺障害等級です。

後遺障害等級には1級から順に14級まで設定されており、1級がもっとも重い等級になります。

また、後遺障害が残った体の部位によって各号数が定められています。

慰謝料額は後遺障害等級によって相場の金額が決められています。

【参考情報】「自賠責後遺障害等級表」(国土交通省)

③異議申立

認定された等級が低い、あるいは等級が認定されなかったために不服がある場合は異議申立をすることができます。

ただし、適切な等級の認定を受けるためには、新たに医学的な書類や画像データなどを提出しなければいけません。

なお申請後、通常は2~4か月ほどで新たな判断が示されます。

こちらの記事で詳しく解説しています

④示談交渉

後遺障害等級が認定されると、加害者が任意保険に加入していればその保険会社から慰謝料などの損害賠償金(示談金、保険金と同じもの)の提示があります。

金額に納得できればいいのですが、そうはいかない場合が多くあります。

というのは、保険会社は営利法人ですから、できるだけ収入を増やして支出を減らそうとするため、保険金を低く提示してくるからです。

ですから、被害者の方としては金額の提示があったからといって安易に示談することなく、適切な金額を主張していくことが大切なのです。

⑤裁判

示談交渉が決裂した場合は提訴して裁判での決着に移行します。

被害者ご自身で裁判を進めていくのは困難ですので、ここはやはり交通事故に強い弁護士に依頼することが大切です。

耳の後遺障害の特徴について


☑交通事故での負傷による聴力障害は単独で生じることはあまりありません。

たとえば、頭部への外傷による高次脳機能障害や頸部捻挫による末梢神経障害などによって、聴覚の異常が起きる場合もあります。

☑示談交渉や裁判では聴覚障害が争点になる場合があります。

たとえば、聴覚障害の原因がその交通事故による後遺症によるものなのか、それとも先天性の聴覚障害があり、それが悪化したものなのか、また高齢者の場合は老人性の聴覚障害が既存障害としてあったのか、などとして争われるようなケースがあります。

☑事故後、一定の時間が経過してから症状が出てくるような場合には、交通事故による聴力障害とは認められないことがあるので注意が必要です。

☑なお、むち打ち症によるバレ・リュー症候群(自律神経症状)では聴力障害や耳鳴りの症状が起きる場合がありますが、自賠責調査事務所の判断では耳の後遺障害ではなく、神経症状として12級13号や14級9号が認定されます。

耳の後遺障害等級と慰謝料額


聴力障害の認定では、オージオメータという装置を使って行なう純音聴力検査などによって聴力レベルを数値で測定し、一定のレベルに達しているかどうかで等級が判断されます。

耳を負傷したために後遺症が残った場合に認定される後遺障害等級の種類と、弁護士(裁判)基準による後遺障害慰謝料などは次のようになっています。

(1)両耳の聴力障害

両方の耳の聴力を失った、あるいは聴力が低下した場合。

「後遺障害等級4級3号」
後遺障害:両耳の聴力を全く失ったもの
後遺障害慰謝料:1670万円
自賠責保険金額:1889万円
労働能力喪失率:92%

「後遺障害等級6級3号」
後遺障害:両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
後遺障害慰謝料:1180万円
自賠責保険金額:1296万円
労働能力喪失率:67%

「後遺障害等級6級4号」
後遺障害:一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
後遺障害慰謝料:1180万円
自賠責保険金額:1296万円
労働能力喪失率:67%

「後遺障害等級7級2号」
後遺障害:両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
後遺障害慰謝料:1000万円
自賠責保険金額:1051万円
労働能力喪失率:56%

「後遺障害等級7級3号」
後遺障害:一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
後遺障害慰謝料:1000万円
自賠責保険金額:1051万円
労働能力喪失率:56%

「後遺障害等級9級7号」
後遺障害:両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
後遺障害慰謝料:690万円
自賠責保険金額:616万円
労働能力喪失率:35%

「後遺障害等級9級8号」
後遺障害:一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
後遺障害慰謝料:690万円
自賠責保険金額:616万円
労働能力喪失率:35%

「後遺障害等級10級5号」
後遺障害:両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
後遺障害慰謝料:550万円
自賠責保険金額:461万円
労働能力喪失率:14%

「後遺障害等級11級5号」
後遺障害:両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
後遺障害慰謝料:420万円
自賠責保険金額:331万円
労働能力喪失率:20%

(2)片方の耳の聴力障害

「後遺障害等級9級9号」
後遺障害:一耳の聴力を全く失ったもの
後遺障害慰謝料:690万円
自賠責保険金額:616万円
労働能力喪失率:35%

「後遺障害等級10級6号」
後遺障害:一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
後遺障害慰謝料:550万円
自賠責保険金額:461万円
労働能力喪失率:14%

「後遺障害等級11級6号」
後遺障害:一耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
後遺障害慰謝料:420万円
自賠責保険金額:331万円
労働能力喪失率:20%

「後遺障害等級14級3号」
後遺障害:一耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
後遺障害慰謝料:110万円
自賠責保険金額:75万円
労働能力喪失率:5%

(3)耳殻の欠損障害

外側に出ている、いわゆる耳の部分(耳介とも呼ばれる)が欠損した状態。

「後遺障害等級12級4号」
後遺障害:一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
後遺障害慰謝料:290万円
自賠責保険金額:224万円
労働能力喪失率:14%

(4)耳鳴り・耳漏

耳鳴りに係る検査によって難聴に伴い著しい耳鳴りが常時あると評価できるものは12級相当、耳鳴りに係る検査によって難聴に伴い常時耳鳴りのあることが合理的に説明できるものは14級相当が認定されます。

慰謝料について知っておきたいポイント解説

(1)慰謝料の計算では3つの基準が使われる

慰謝料や逸失利益、治療費などを合計したものが損害賠償金になりますが、この算定では次の3つの基準が使われ、金額が変わってくることに注意が必要です。

「自賠責基準」

☑法律で定められている、自賠責保険による算定基準です。
☑自賠責保険は被害者救済のために設立されていることから、物損事故、自損事故には適用されず、人身事故のみ適用されます。
☑人身事故で補償される(支払われる)金額には限度があり、傷害(ケガ)の場合は120万円です。
☑認定された後遺障害等級によって、次の表のように保険金額が設定されています。

【支払限度額1】
神経系統の機能、精神、胸腹部臓器への著しい障害により介護が必要な場合(被害者1名につき)

自賠責法別表第1

常時介護を要する場合
(後遺障害等級1級)
最高で4000万円
随時介護を要する場合
(後遺障害等級2級)
最高で3000万円

【支払限度額2】
上記以外の後遺障害の場合
第1級:最高で3000万円~第14級:最高で75万円

自賠責法別表第2

第1級 3000万円
第2級 2590万円
第3級 2219万円
第4級 1889万円
第5級 1574万円
第6級 1296万円
第7級 1051万円
第8級 819万円
第9級 616万円
第10級 461万円
第11級 331万円
第12級 224万円
第13級 139万円
第14級 75万円
こちらの記事でも詳しく解説しています

「任意保険基準」

☑任意保険を提供している各保険会社が独自に設定している基準(非公表)で、自賠責基準より少し高いくらいの金額になるように設定されていると考えられます。

「弁護士(裁判)基準」

☑過去の裁判例から導き出されている法的根拠のある基準で、3つの中ではもっとも高額になります。
☑弁護士が加害者側の保険会社と示談交渉を行なう際に主張するものであり、裁判で認められる可能性が高いものです。
☑弁護士(裁判)基準で計算した金額が、被害者の方が本来受け取るべき正しい金額になります。
ですから被害者の方は、この基準での示談解決を目指すことが大切なのです。

(2)慰謝料は1つではない!3つある!!

交通事故の被害者の方が受け取ることができる慰謝料には、「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」があります。

※死亡慰謝料の受取人は、相続人(ご遺族)になります。

①自賠責基準による入通院慰謝料の算出方法

☑ケガの治療のために入通院した場合に受け取ることができるのが、入通院慰謝料です。
入通院慰謝料は次の計算式で求めます。

4300円(1日あたり)×入通院日数=入通院慰謝料

☑自賠責基準により、1日あたり4300円と定められています。
※改正民法(2020年4月1日施行)により改定された金額。
※2020年3月31日以前に発生した交通事故の場合は、4200円(1日あたり)。

☑入通院をして治療した場合の対象日数は、次のどちらか短いほうが採用されます。
①「実際の治療期間」
②「実際に治療した日数×2」

※たとえば治療期間が2か月(60日)で、3日に1回通院したとすると、
①4300円×60日=258,00円
②4300円×(20日×2)=172,000円
となるので、入通院慰謝料は40日分の172,000円が採用される、ということになります。

☑後遺症のない傷害(ケガ)に対する自賠責保険金の上限は120万円のため、治療費や入通院慰謝料などで上限を超えてしまう場合があります。
その時は、上限を超えた分を加害者側の任意保険会社に請求していくことになります。

②弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料の算出方法

☑弁護士(裁判)基準での入通院慰謝料は計算が複雑なため、日弁連交通事故相談センター
東京支部が毎年発行している「損害賠償額算定基準」という本に記載されている算定表から算定します。

☑算定表は、ケガの程度に応じて「軽傷用」と「重傷用」の2種類があります。

「弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料(むち打ちなど軽傷)の算定表」

「弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料(重傷)の算定表」

☑たとえば、耳のケガの治療のため入院はせずに2か月通院した場合、軽傷用の「入院0か月」と「通院2か月」が交わったところを見てください。
36万円となっているので、弁護士(裁判)基準では自賠責基準による慰謝料の2倍以上の金額になることがわかります。

③後遺障害慰謝料の算出方法

☑交通事故のケガのために後遺症が残り、
後遺障害等級が認定された場合に支払われるものです。

☑後遺障害等級は、もっとも障害の程度が重い1級から順に14級までが設定されており、さらに体の部位の違いによって各号数が決められています。

☑聴覚障害の後遺症による精神的苦痛の程度は事故ごと、被害者ごとで違うため、各事案によって判断するのが難しく、膨大な時間がかかってしまいます。
そのため、後遺障害慰謝料の金額は、次の表のように概ねの相場金額が設定されています。

<自賠責基準・弁護士(裁判)基準による後遺障害慰謝料の金額表>

自賠責基準による後遺障害慰謝料の金額表

☑なお、上記の金額はあくまで相場であるため、それぞれの事故の状況によっては金額がアップする可能があります。

慰謝料の計算例と基準の違いによる金額の差について


ここでは、後遺障害等級4級3号(両耳の聴力を全く失ったもの)が認定された場合の概ねの慰謝料額と基準による違いについて見てみます。

たとえば、入院1か月(30日)、その後、通院6か月(実際の通院日数70日、平均して週に2~3回の通院)の場合の概ねの慰謝料額は次のようになります。

「聴覚障害(後遺障害等級4級3号)した場合の慰謝料の相場金額」

自賠責基準 裁判基準
入通院
慰謝料
86万円 149万円
後遺障害
慰謝料
737万円 1670万円
合計 832万円 1819万円

注意していただきたいのは、自賠責基準と弁護士(裁判)基準では金額にして、約1000万円もの違いがあることです。

やはり、弁護士(裁判)基準での解決が重要なことがおわかりいただけると思います。

こちらの記事でも詳しく解説しています

みらい総合法律事務所の実際の増額解決事例


みらい総合法律事務所には、これまで多くの交通事故の相談、示談交渉の依頼が寄せられ、慰謝料の増額を勝ち取ってきました。

加害者側の保険会社は、どのくらいの金額を提示してくるのか、そして弁護士が交渉に入ると、どのくらい増額するのか、事例から知っていただきたいと思います。

解決事例①:64歳男性が耳鳴り・めまいで慰謝料等が約2.4倍に増額

64歳男性が赤信号で停車していた際、後ろから自動車に追突された交通事故です。

耳鳴りとめまいの後遺症が残り、後遺障害等級を申請したところ、それぞれ12級と14級の併合12級が認定されました。

すると、加害者側の任意保険会社が慰謝料などの示談金として約256万円を提示。

この金額が適切なものかどうか、被害者の方が、みらい総合法律事務所の無料相談を利用したところ、弁護士の見解は「まだ増額は可能」というものだったため、示談交渉のすべてを依頼されました。

弁護士が保険会社との交渉に入ると逸失利益が
争点となりましたが、最終的には630万円で合意。

当初提示額から約2.4倍に増額したことになります。

解決事例②:37歳男性の難聴の慰謝料等が約2.2倍に増額

37歳男性が交通事故の被害により難聴の後遺症が残り、症状固定した事例です。

後遺障害等級は12級相当が認定され、加害者側の任意保険会社は慰謝料などの示談金として約217万円を提示しました。

被害者男性は、みらい総合法律事務所の無料相談を利用し、そのまま示談交渉を依頼。

弁護士が保険会社と交渉した結果、約500万円で解決。

当初提示額から約2.2倍に増額したものです。

解決事例③:19歳男性の慰謝料等が約2370万円の増額

19歳男性が自転車を押しながら歩道を歩行中、路外から車道に出ようとした自動車に衝突された交通事故。

被害者男性は、腰椎圧迫骨折などの傷害を負い、脊柱変形と難聴の後遺症が残ってしまいました。

後遺障害等級は、それぞれ8級と14級で、併合8級が認定され、加害者側の任意保険会社から慰謝料など損害賠償金として約2303万円が提示されました。

被害者の方は、この金額で示談してもいいのか判断に迷ったため、みらい総合法律事務所の無料相談を利用。

弁護士の見解は、「まだ増額ができるので今は示談をするべきではない」というものだったため、示談交渉のすべてを依頼されました。

弁護士が保険会社と交渉しましたが、当方の主張を受け入れず譲歩しなかったため、提訴。

裁判では弁護士の主張が認められ、約2370万円増額の4670万円で解決しました。

保険会社の当初提示額から約2倍になって解決した事例です。