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交通事故の入通院慰謝料と後遺障害慰謝料を解説

最終更新日 2024年 07月02日

交通事故の入通院慰謝料と後遺障害慰謝料を解説

「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」の違いについて

(1)入通院慰謝料とは?

交通事故の被害で傷害(ケガ)を負った場合、被害者の方は入通院慰謝料を請求することができます。

入通院慰謝料というのは、入院・通院をしたことで被った肉体的な損害や、苦しみや悲しみなど精神的に被った損害について被害者の方を慰謝するために支払われるものです。

入通院慰謝料は、公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部が発刊している「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻(基準編)」に掲載されている表を用いて計算します。

ここでは、以下のケースで、慰謝料がいくらくらいになるかの目安を示します。

ケース別の入通院慰謝料の例

ケガの状況 入通院慰謝料の
目安
むち打ちで3か月通院し、
通院日数が30日で
完治した場合
53万円
むち打ちで6か月通院し、
通院日数が80日で
完治した場合
89万円
過骨折で1か月入院し、
12か月通院した場合
136万円

(2)後遺障害慰謝料とは?

入通院してケガの治療をしたものの、医師から「症状固定」の診断を受けて後遺症が残ってしまった場合、被害者の方は後遺障害慰謝料を受け取ることができます。

後遺障害慰謝料を受け取るには、まずご自身の後遺傷害等級について認定を受ける必要があります。

後遺障害等級は、1級から14級までに区分されており、それぞれの等級に応じて後遺障害慰謝料が計算されます。

【参考情報】:国土交通省「自賠責後遺障害等級表」

なお、慰謝料を算定する際には、①「自賠責基準」、②「任意保険基準」、③「弁護士(裁判)基準」という3つの基準があり、③⇒②⇒①の順に金額が低くなっていきます。

つまり、弁護士(裁判)基準がもっとも高い金額になるので、被害者の方はこの金額での示談成立を目指していくことが大切です。

弁護士(裁判)基準による後遺障害慰謝料の相場金額表

等級名をタップすると、各後遺障害等級の説明ページを表示します。

後遺障害等級 慰謝料
第1級 2,800万円
第2級 2,370万円
第3級 1,990万円
第4級 1,670万円
第5級 1,400万円
第6級 1,180万円
第7級 1,000万円
第8級 830万円
第9級 690万円
第10級 550万円
第11級 420万円
第12級 290万円
第13級 180万円
第14級 110万円

【出典】:「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部)

3つの基準の詳しい説明や、弁護士(裁判)基準で実際に解決した交通事故の事例はこちらの記事をご確認ください。

交通事故の慰謝料などの損害賠償金を計算してみましょう

(1)慰謝料自動計算機

被害者の方やご遺族が、ご自分で慰謝料などの損害賠償額を計算できるように、WEB上に自動計算機を設置しています。

交通事故には、それぞれ個別の事情があるため、すべての金額を完璧に出すことはできませんが、指示のとおりに数字を入力していくと、どなたでもすぐに基本的な金額を計算することができます。

  • 後遺症編
  • 死亡事故編
  • 損害賠償自動シュミレーション
  • シュミレーション 後遺症編
  • シュミレーション 死亡事故編

(2)慰謝料などの計算の手順を解説

実際に慰謝料などの損害賠償金を計算する際は、次のような手順で行なっていきます。

①各損害項目の金額計算と合算

入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・逸失利益・休業損害などの各損害項目を計算して、それを合算します。

「損害賠償金の項目例」

  • ・治療費
  • ・入院雑費
  • ・通院交通費
  • ・付添費
  • ・入通院慰謝料
  • ・後遺傷害慰謝料
  • ・将来介護費
  • ・将来雑費
  • ・休業損害
  • ・損害賠償請求関係費用
  • ・装具・器具等購入費
  • ・家屋・自動車等改造費
  • ・葬儀関係費
  • ・修理費
  • ・買替差額
  • ・評価損
  • ・代車使用料
  • ・休車損
  • ・登録手続関係費
  • ・弁護士報酬 など

②自分の過失割合分を過失相殺の基準に従って減額する

③損益相殺によって既払い金を差し引く

すでに治療費などを自賠責保険や労災保険から支払いを受けている場合は、その分を差し引きます。

(3)弁護士基準による慰謝料等の計算例

ここでは、弁護士基準による慰謝料等の計算例をケース別に見ていきましょう。

弁護士基準による慰謝料等の計算例①:追突事故

「事故の状況」

  • 兼業主婦(50歳)
  • 過失割合:追突事故で被害者の過失は0%
  • 通院期間:180日(実際の通院日数は90日)
  • 後遺症:むち打ち症が原因のしびれや疼痛
  • 後遺障害等級:14級9号
  • 治療費:50万円を既に受領済み
  • 事故の前年度の年収:350万円
  • 自賠責保険から後遺障害保険金として75万円を受領済み
被害者の受け取る損害賠償金額
被害者の受け取る損害賠償金額

弁護士基準による慰謝料等の計算例②:後遺障害10級

「事故の状況」

  • 会社員(41歳)
  • 過失割合:道路横断時の衝突事故で被害者の過失は30%
  • 入院期間:1か月(30日)
  • 通院期間:10か月(300日)で、実際の通院日数は150日
  • 後遺症:ひざの可動域制限等
  • 後遺障害等級:併合10級
  • 治療費:加害者側の任意保険会社から治療費として210万円を既に受領済み
  • 事故の前年度の年収:490万円(給与所得)
  • 自賠責保険から後遺障害保険金として450万円を受領済み
被害者の受け取る損害賠償金額
被害者の受け取る損害賠償金額

なぜ弁護士が示談交渉すると慰謝料が増額するのか?

被害者の方に後遺症が残った場合に受け取ることができる後遺障害慰謝料には、前述したように「3つの基準」というものが存在します。

この基準の違いによって受け取る金額が高くも低くもなってしまうので注意が必要です。

(1)自賠責基準

法律によって定められている自賠責保険による基準。

自賠責保険の設立目的は被害者への最低限の補償のため、自賠責基準はもっとも金額が低いものになる。

(2)任意保険基準

各損害保険会社が独自に設けている基準。

各社非公表となっているが、自賠責基準と弁護士(裁判)基準の中間くらいの金額に設定されている。

(3)弁護士(裁判)基準

裁判になった場合に認められる基準で、被害者から依頼を受けた弁護士が代理人となって示談交渉する際にも用いるため、弁護士(裁判)基準と呼ばれる。

これまでに積み重ねられてきた多くの判例から出されている基準のため法的根拠がしっかりしている。

3つの基準の中では、もっとも高額になる。

任意保険会社は営利法人のため、できるだけ支出を抑えて、利益を増大させることが目的となります。

そのため、支出となる被害者への保険金は、できるだけ低い基準で算出した金額を被害者の方に提示してきます。

しかし、被害者の方としては、できるだけ多く損害賠償をしてほしいと思うので、双方の利害が相容れず、示談交渉がすんなりとは解決しないということが多く起きるのです。

そこで、弁護士が被害者の代理人として示談交渉を行なうと、法的根拠のある弁護士(裁判)基準での金額を主張していくので、適正価格の慰謝料、つまり増額した慰謝料が認められる、という仕組みになっているのです。

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基準の違いによる慰謝料額の違い

加害者側の保険会社は、自賠責基準で算定した金額に多少の上乗せをした金額を被害者の方に提示してくるのがほとんどです。

やはり、被害者の方としては弁護士(裁判)基準で算出した金額で示談をしていくのがベストな選択だと思います。

自賠責基準と弁護士(裁判)基準で、慰謝料がどのくらい違ってくるのか表にまとめてみましたので、比較をしてみてください。

「自賠責基準・弁護士(裁判)基準による後遺障害慰謝料の金額表」

自賠責基準による後遺障害慰謝料の金額表
自賠責基準による後遺障害慰謝料の金額表

入通院慰謝料も弁護士基準を主張する

ところで、弁護士(裁判)基準というのは後遺障害慰謝料にしか適用されないのかというと、そんなことはありません。

もちろん、入通院慰謝料にも適用されます。

「通院を1か月した場合の慰謝料の日額の違い」

自賠責基準 4,300円
任意保険基準 経験上7,400円程度が多い
弁護士基準 9,333円

※自賠責基準は、1か月のうち半分以上の日数の通院だったと仮定して計算。任意保険基準と弁護士基準については、ひと月を30日として割って日額を計算。
※自賠責基準12.9万円、任意保険基準12.6万円、弁護士(裁判)基準28万円を日額に換算。
※重傷の場合で計算

このように、基準の違いによる金額の違いは歴然です。
やはり、被害者の方としては弁護士(裁判)基準での金額を目指していくのがいいと思います。

裁判では弁護士基準で慰謝料が計算される

ここで、こんな疑問を持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

「弁護士(裁判)基準の慰謝料を受け取るには裁判する必要があるの?」

シンプルにお話しすれば、裁判をする必要はありません。

実務経験が豊富な、交通事故に強い弁護士であれば、被害者の方から依頼を受けて加害者側の保険会社と交渉する際には、当然、弁護士(裁判)基準で算出した慰謝料などの損害賠償金を主張していくので、その金額に近い金額で示談を成立させることができる場合が多いです。

そもそも、示談というのは戦いではありません

被害者と加害者の間で、

  • ①どのような損害が生じたのか
  • ②その損害額はいくらなのか

ということについて話し合いで決めていき、和解によって解決していくことです。

ただし、弁護士の主張を保険会社が全面的に受け入れるわけでもないので、双方で妥協点を探りながら解決を目指していきます。

そのため、依頼人である被害者の方が裁判を望むのであれば、弁護士は提訴して裁判でさらに増額を勝ち取るために全力を尽くします。

なお、裁判で判決までいった場合は、損害賠償金の他に「遅延損害金」と「弁護士費用相当額」が追加され、賠償金が増額される可能性が高くなります。

裁判をすると時間がかかってしまうというデメリットはありますが、裁判では弁護士基準で計算した慰謝料が認められます。

裁判というと、大変なことのように感じるかもしれませんが、慰謝料などで増額を勝ち取ることができるという大きなメリットもあるのです。

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監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠
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