後遺障害3級の認定基準・慰謝料金額と増額事例
【動画解説】交通事故の被害者が、後遺障害等級を確実に獲得していく方法
交通事故発生から示談交渉までの手続きと流れ
交通事故が発生してから、示談成立に至るまでのプロセスは通常の場合、次のような流れで進行し、各段階でそれぞれ必要な手続きがあります。
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②事故の状況や加害者の身元の確認
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③警察へ通報、実況見分調書の作成への協力
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④被害者、加害者双方の保険会社への連絡
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⑤入院・通院でケガの治療に専念する
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⑥主治医から症状固定の診断
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⑦後遺障害等級が認定され損害賠償額が提示
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⑧加害者側の任意保険会社との示談交渉が開始
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⑨示談成立(法的手続きの後、保険金の受け取り)
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⑩示談が決裂した場合は訴訟を提起し、裁判での決着へ
別ページ「交通事故の被害にあってしまった場合、すぐにやるべきこと」でも詳しく解説していますのでご覧ください。
症状固定の診断を受けたら…
交通事故の被害者の方が治療を続けていくと、主治医からこんなことを言われる場合があります。
「そろそろ、症状固定にしましょう」
症状固定とは、これ以上の治療を続けても効果が上がらない、回復しない状態のことです。
ある時点で主治医から診断を受けることになりますが、症状が固定されるわけですから、残念ながら被害者の方には後遺症が残ってしまうことになります。
ところで、症状固定となった場合、被害者の方には大切なことがあります。
それは、ご自身の後遺障害等級の認定を受けることです。
後遺障害等級とは?
自賠法に定められる後遺障害等級は1級から14級まであり、もっとも重いものが1級になります。
さらに、後遺障害が残った身体の部位によって、それぞれの等級には各号数が細かく設定されています。
認定された後遺障害等級によって、最終的に受け取ることができる損害賠償金(保険金とも示談金ともいいます)が数百万円から数千万円も違ってくるため、被害者の方とご家族にとっては非常に重要なものになります。
【参考記事】:国土交通省「自賠責後遺障害等級表
後遺障害等級の申請方法は2種類ある
自賠責後遺障害等級認定を申請するには、「被害者請求」と「事前認定」という2つの方法があります。
・被害者請求…被害者が直接、加害者の加入している自賠責保険会社に申請する方法
・事前認定…加害者の任意保険会社を通して自賠責保険に申請する方法
それぞれにメリットとデメリットがあり、一概にどちらの方法がいいとはいえないため、被害者の方はご自身の置かれている状況などを考えながら選択する必要があります。
後遺障害等級認定で必要な書類について
自賠責後遺障害等級認定を申請するには、次のような書類、資料などが必要になります。
・交通事故証明書
・交通事故発生状況報告書
・医師の診断書(死亡の場合は死亡診断書)
・診療報酬明細書
・通院交通費明細書
・休業損害証明書
・委任状(被害者自身が請求できない場合)
・後遺障害診断書
・レントゲン・MRIなどの画像
これらの内容に間違いがあったり、書類の不足があったりした場合は正しい後遺障害等級が認定されなくなってしまうので注意が必要です。
後遺障害等級3級の認定基準と保険金額
後遺障害等級3級は、視力や言語能力、神経系統の機能、内臓機能など障害を負った部位によって5つに分類されています。
一見、社会復帰ができそうに見えても、後遺障害1級から3級は労働能力喪失率100%となるため、3級も社会復帰は不可能な状態となります。
また、後遺障害3級は認定が難しく、専門知識が必要なため、認定には時間がかかる場合もあります。
後遺障害3級の認定基準や保険金などは次のようになっています。
後遺障害3級の認定基準と保険金限度額
後遺障害 | 保険金(共済金)額 |
---|---|
1. 一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの 2. 咀嚼又は言語の機能を廃したもの 3. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、 終身労務に服することができないもの 4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、 終身労務に服することができないもの 5. 両手の手指の全部を失ったもの |
2,219万円 |
第3級1号
失明とは、眼球を亡失(摘出)したもの、あるいは明暗を区別できないか、もしくはようやく明暗を区別できる状態をいいます。
3級1号は、片方の眼の視力を完全に失い、かつ失明していない方の眼の視力が裸眼ではなく、眼鏡やコンタクトレンズで矯正しても0.06以下の場合に認定されます。
第3級2号
咀嚼(そしゃく)とは、食べ物をよく噛んで飲み込むことです。
事故によって顎(あご)の骨や筋肉、神経などに傷害を負ったことで、咀嚼機能を失い、スープなどの流動食しか食べられなくなった状態です。
言語機能については、1級2号と同様に4つの子音(口唇音・歯舌音・口蓋音・咽頭音)のうち3つ以上発音できない場合に認められます。
この2つのどちらかの障害が残った場合、3級2号に認定されます。
両方の傷害がある場合は、1級2号となります。
第3級3号
3級3号では、麻痺の場合には、以下の症状が該当します。
②中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要しないもの
つまり、脳や神経に障害があるものの、日常生活では随時介護がなくても食事や入浴、排泄などはできる状態です。
高次脳機能障害で3級3号が認定されるのは、自宅周辺を1人で外出できても、記憶力や注意力、学習能力、人間関係維持能力などの低下があるため、一般就労は難しい状態です。
なお、高次脳機能障害による記憶力や注意力などの低下や性格の変貌などはわかりにくいため、認定に時間がかかることもあります。
また、外傷性てんかんとなり、発作による精神障害のために終身労務が難しい場合も3級3号に認定されます。
第3級4号
呼吸器、循環器、腹部臓器(食道、胃、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓、脾臓、腹壁瘢痕ヘルニア等)、泌尿器、生殖器の障害などにより日常生活や自宅周辺の散歩などはできても、生涯にわたって仕事に就くことができない場合、3級4号に認定されます。
第3級5号
両手の指をすべて失ったものが該当します。
指は根元から失った場合はもちろん、親指の場合は第1関節から、その他の指は第2関節から失ったケースでも3級5号が認定されます。
後遺障害3級の後遺症慰謝料計算
みらい総合法律事務所では交通事故慰謝料がすぐにわかる自動計算機をご用意しています。
後遺症慰謝料に関してもリンク先の「(8)後遺症慰謝料」の部分で簡単に計算できますので
ご気軽に使ってみてください。
みらい総合法律事務所の慰謝料増額解決事例集
交通事故における実際の示談交渉では、加害者側の保険会社からどのくらいの金額の示談金(損害賠償金)が提示されるものなのでしょうか?
そして、弁護士が示談交渉に入ることで、どのくらいの増額を獲得することができるのでしょうか?
示談交渉の経験のない被害者の方は、よくわからず不安に感じると思います。
ここでは、みらい総合法律事務所が依頼を受け、実際に慰謝料などの増額を勝ち取った自賠責後遺障害等級3級の解決事例についてご紹介します。
ご自身の状況と照らし合わせて、参考にしていただければと思います。
増額事例①:支払い拒絶から約1000万円の増額
72歳の女性が、信号機のない交差点を原付バイクで走行中に起きた交通事故です。
女性は外傷性脳損傷などを負い、高次脳機能障害の後遺症が残ってしまいました。
後遺障害3級3号が認定され、ケガの治療後に女性は治療費や自賠責保険金で合計約2300万円を受け取りました。
その後、被害者女性は加害者側の任意保険会社に対して、残りの損害賠償金の請求をしましたが、保険会社の回答は、「被害者側の過失が大きいため、既に支払い済みの金額で十分と考え、これ以上の支払いは拒絶する」というものでした。
納得のいかない被害者の方が、みらい総合法律事務所の無料相談を利用し、そのまま示談交渉を依頼しました。
弁護士が交渉したところ、保険会社は被害者側の過失が65%あるとして支払いを拒否してきたため、訴訟を提起して裁判に突入しました。
裁判では弁護士の過失割合の主張が採用されて、最終的には45%と認定されたことで、追加の損害賠償金として約1000万円が認められました。
増額事例②:70歳女性が約1300万円の増額を獲得
交通事故被害のため、70歳の女性が脳挫傷などを負い、高次脳機能障害の後遺症が残ってしまいました。
後遺障害等級認定を申請したところ3級が認定され、加害者側の保険会社は既払いの治療費などの他に約2400万円の示談金を提示してきました。
この金額が適切なものかどうか判断ができなかった被害者の方が、みらい総合法律事務所の無料相談を利用したところ、弁護士の回答は「まだ増額は可能」というものだったので、そのまま示談交渉を依頼しました。
弁護士と加害者側保険会社の示談交渉では、慰謝料や将来介護費用などについて争われましたが、最終的には満額での合意に達し、約1300万円増額の約3700万円で解決した事例です。
増額事例③:69歳女性が約2500万円の増額を獲得
69歳の女性が交通事故の被害で頭部外傷、脊椎圧迫骨折などを負ってしまった事例です。
被害者女性は、高次脳機能障害の後遺症で後遺障害5級2号、脊柱運動障害の後遺症で8級2号、併合で3級が認定されました。
これに対し、加害者側の保険会社は約2900万円の示談金を提示。
この金額に疑問を感じた被害者の方が、みらい総合法律事務所に相談し、そのまま示談解決を依頼しました。
示談交渉では、粘り強く交渉した弁護士の主張を保険会社が受け入れ、約2500万円増額の約5400万円で解決しました。
【参考記事】
みらい総合法律事務所の解決実績はこちら
後遺障害等級認定で気をつけるべき7つのポイント
後遺障害等級認定の申請では、まず被害者の方が負った後遺症である機能障害や運動障害、神経症状などが、どの後遺障害等級に該当するのかについて必要な要件を把握することが大切です。
そして、これらを「自覚症状」と「他覚所見」という医学的な書類にまとめる必要があります。
そうしたことを踏まえて、被害者の方とご家族が後遺障害等級認定で気をつけるべきポイントには次のことなどがあります。
②必要な検査をせずに後遺障害等級認定の申請をしてはいけない
③認定された後遺障害等級が正しいものと信じてはいけない
④損害賠償請求権には時効があることを忘れてはいけない
⑤認定された後遺障害等級に納得がいかなければあきらめてはいけない
⑥弁護士に相談せずに後遺障害等級を認めてはいけない
⑦弁護士の選任を間違えてはいけない
詳しい解説については、ぜひこちらの記事を参考にしてください。
後遺障害等級認定に関するさまざまな疑問が、スッキリ解決するはずです。
後遺障害等級に納得がいかない場合は異議申立ができる!
後遺障害等級が認定されない、あるいは認定された等級に不服がある場合は「異議申立」をすることができるのを覚えておいてください。
詳細はこちらのページにありますので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
みらい総合法律事務所では、後遺障害等級の異議申立をする際にも、交通事故に強い弁護士が被害者の方を全面サポートしていきます。