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交通事故で麻痺の後遺症が残った場合の慰謝料の計算

最終更新日 2024年 02月21日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

交通事故で麻痺の後遺症が残った場合の慰謝料の計算

【4分で解説!】記事を読む前に動画で全体像を把握できます

 

交通事故の被害にあい、脳や脊髄に傷害(ケガ)を負ってしまうと、身体に麻痺(まひ)が残ってしまう場合があります。

加害者が任意保険に加入していれば、被害者の方はその保険会社から慰謝料などの損害賠償金を受け取ることができます。

しかし、保険会社が提示してくる金額は、本来であれば被害者の方が受け取るべき金額より、かなり低いのが現実です。

☑では、保険会社はどのくらいの慰謝料を提示してくるのでしょうか?
☑本当なら、被害者の方はどのくらいの金額を受け取ることができるのでしょうか?
☑正しい慰謝料額を受け取るには、どうすればいいのでしょうか?

本記事では、麻痺の後遺症が残ってしまった被害者の方が受け取るべき慰謝料など損害賠償金について、

・慰謝料の種類や計算基準
・慰謝料の正しい計算方法
・慰謝料以外にも受け取ることができる損害項目
・慰謝料計算で注意するべきポイント

といったことなどについて、解説していきます。

これから、交通事故で麻痺の後遺症が残った場合の慰謝料の計算方法などについて解説していきますが、その前に交通事故解決までの全プロセスを説明した無料小冊子をダウンロードしておきましょう。

交通事故で負った麻痺の症状と種類について

交通事故で負った麻痺の症状と種類について

麻痺の分類

麻痺の状態は、次の2つに分類されます。

「完全麻痺」
上肢(手)や下肢(足)が完全硬直(こうちょく)、または完全に弛緩(しかん)して、まったく動かすことができない、感覚がまったく感じられない状態。

「不全麻痺」
上肢(手)や下肢(足)を連動させて動かすことはできるが、稼働範囲などに問題がある状態。

麻痺の種類

麻痺の種類は、次の4つがあります。

麻痺の4つの種類

麻痺の分類 麻痺の現れる場所 備考
四肢麻痺 両方の上肢と下肢および臓器 頚髄を損傷すると生じる
対麻痺 両方の上肢または両方の下肢 胸髄、腰髄、仙髄、馬尾を損傷すると生じる
片麻痺 片方の上肢と下肢
単麻痺 片方の上肢または片方の下肢

麻痺の程度

麻痺の程度 詳細
高度の麻痺 障害のある上肢または下肢について、運動性・支持性がほとんど失われ、基本動作ができない
中等度の麻痺 障害のある上肢または下肢について、運動性・支持性が相当程度失われ、基本動作がかなり制限されている
軽度の麻痺 障害のある上肢または下肢について、運動性・支持性が多少失われ、基本動作を行う時の巧緻性および速度が相当程度損なわれている

なお、「軽度に至らないもの」として、麻痺のある四肢の運動障害がほとんど認められない程度の麻痺があります。
この場合、軽度の麻痺に含めるのではなく、12級の神経症状として等級認定されます。

麻痺の原因となる交通事故の傷害について

麻痺の原因となる交通事故の傷害について
交通事故で負った傷害(ケガ)で、麻痺の原因となるものには次のものなどがあります。

外傷性脳損傷

外部からの強い衝撃により脳の組織を損傷してしまうことを外傷性脳損傷といい、被害者の方には損傷を受けた部位により、さまざまな後遺症が残ってしまう可能性があります。

①頭蓋骨骨折
・頭蓋骨骨折により、脳髄液の漏洩、脳浮腫、頭蓋内血腫、硬膜外血腫、髄膜炎(合併症として)などを発症する場合がある。

・頭蓋骨骨折は部位によって、「頭蓋円蓋部骨折」と「頭蓋底骨折」に分けられ、頭蓋円蓋部骨折は、さらに線状骨折、陥没骨折、粉砕骨折の3つに分けられる。

②局所性脳損傷
・脳の特定の部位に外力が加わり、脳を損傷するもの。

・「脳挫傷」、「急性硬膜外血腫」、「急性硬膜下血腫」、「脳内血腫」の4つの病態に分類される。

③びまん性軸索損傷
・大脳の白質、右脳と左脳をつないでいる脳梁、脳の中心部である脳幹部などには細胞から伸びる無数の神経線維(軸索)があり、これが伸びたり、断裂してしまうもの。

・脳の表面部分には損傷が認められなくても、脳全体に強い外力が加わることで脳全体が激しく動き、脳の深い部分で広範囲に損傷が起こる。

 
【参考資料】
外傷性脳損傷のリハビリテーション(慶應義塾大学病院)

脊髄損傷

・頸椎、胸椎、腰椎部等の脊髄の損傷により、四肢等に麻痺が残ってしまうもの。

脊髄とは?

・背骨は、身体を支えている重要なもので、その中を通って脳に繋がっているのが脊髄です。

・背骨は1本の骨ではなく、約30個の脊椎がつながって構成されています。

・頸椎(7椎)から胸椎(12椎)、腰椎(5椎)、仙椎(5椎)、尾椎(3~5椎)とつながっており、各椎骨の間には椎間板があり、クッションのような役割をしています。

・脊髄は脳につながっている神経線維の集合体で、脳とともに中枢神経系を形成する重要なもので、上から頸髄、胸髄、腰髄、仙髄、尾髄に分けられます。

・交通事故の被害で、脊椎を骨折したような場合は脊椎損傷となりますが、同時に脊髄まで損傷してしまうと、脊髄損傷になります。

【参考情報】
脊髄損傷(公益社団法人日本整形外科学会)

 

不全損傷と診断された場合の注意ポイント

脊髄損傷は、「完全損傷」と「不全損傷」に分類されます。

脊髄が完全に断裂してしまった場合は、完全損傷になります。
脊髄の一部が断裂した場合は、不全損傷になります。

ここで問題になるのは、不全損傷の場合、後遺障害と認められない、あるいは等級が低く判断されてしまう可能性があることです。
後遺障害等級が低く判断されてしまうと、慰謝料などの損害賠償金も低い金額で提示されてしまいます。

裁判になる可能性も高いので、早めに弁護士に相談することをおすすめします。


 

よくわかる動画解説

 

麻痺の後遺症で認定される後遺障害等級について

麻痺の後遺症で認定される後遺障害等級について

交通事故の症状固定とは?

入通院をして治療を受けていると、ある時、医師から「症状固定」の診断を受けることがあります。

これ以上の治療を続けても改善の見込みがない、完治しない状態を症状固定といいます。
症状固定の診断以降、被害者の方には後遺症が残ってしまうことになります。


 

交通事故の後遺障害等級とは?

後遺症が残った場合、被害者の方は慰謝料などの損害賠償金を受け取ることができます。

そのために必要なのが、後遺障害等級です。
というのは、被害者の方の後遺障害等級が決まることで慰謝料などの算定ができるからです。

【参考情報】
「自賠責後遺障害等級表」(国土交通省)


 

よくわかる動画解説はこちら

交通事故の後遺障害等級認定の秘訣

 

後遺障害等級は、1級から14級まであり、障害の部位などによって各号数が設定されています。

麻痺の場合に認定される後遺障害等級

麻痺の後遺症の程度などによって、次のように1級から12級の範囲で後遺障害等級が認定されます。

「後遺障害等級1級1号(別表第1)」

・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの。

自賠責保険金額 4000万円
労働能力喪失率 100%
自賠責保険金額
4000万円
労働能力喪失率
100%

<麻痺の範囲と程度>

・高度の四肢麻痺
・高度の対麻痺
・中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの。
・中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの。

 

「後遺障害等級2級1号(別表第1)」

・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの。

自賠責保険金額 3000万円
労働能力喪失率 100%
自賠責保険金額
3000万円
労働能力喪失率
100%

<麻痺の範囲と程度>

・中等度の四肢麻痺が認められるもの。
・軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの。
・中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの。

 

「後遺障害等級3級3号(別表第2)」

・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの。

自賠責保険金額 2219万円
労働能力喪失率 100%
自賠責保険金額
2219万円
労働能力喪失率
100%

<麻痺の範囲と程度>

・軽度の四肢麻痺が認められるものであって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要しないもの。
・中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要しないもの。

 

「後遺障害等級5級2号(別表第2)」

・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの。

自賠責保険金額 1574万円
労働能力喪失率 79%
自賠責保険金額
1574万円
労働能力喪失率
79%

<麻痺の範囲と程度>

・軽度の対麻痺
・一下肢の高度の単麻痺

 

「後遺障害等級7級4号(別表第2)」

・神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの。

自賠責保険金額 1051万円
労働能力喪失率 56%
自賠責保険金額
1051万円
労働能力喪失率
56%

<麻痺の範囲と程度>

・一下肢の中等度の単麻痺

 

「後遺障害等級9級10号(別表第2)」

・神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの。

自賠責保険金額 616万円
労働能力喪失率 35%
自賠責保険金額
616万円
労働能力喪失率
35%

<麻痺の範囲と程度>

・一下肢の軽度の単麻痺

 

「後遺障害等級12級13号(別表第2)」

・局部に頑固な神経症状を残すもの。

自賠責保険金額 224万円
労働能力喪失率 14%
自賠責保険金額
224万円
労働能力喪失率
14%

<麻痺の範囲と程度>

・運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるもの。
・運動性、支持性、巧緻性および速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺。

 

実際に基準別に慰謝料を計算してみます

入通院慰謝料(自賠責基準)

・自賠責基準では、入通院慰謝料は1日あたりの金額が「4,300円」と定められています。

・入通院慰謝料は、1日でも治療を受けていれば受け取ることができます。

・入通院慰謝料の算定式は次のとおりです。

4,300円(1日あたりの金額) × 対象日数 = 入通院慰謝料

・入通院慰謝料を算定する際は、治療の対象日数に注意が必要です。

治療の対象日数は、次のどちらか短いほうが採用されます

A)「実際の治療期間」
B)「実際に治療した日数×2」

仮に、入院期間が3か月、治療期間が4か月で、実際に通院治療をした日数が平均で週に2回の場合、次のようになります。

A)「実際の治療期間」・・・210日間
B)「実際に治療した日数×2」・・・(90日+17週×2日) × 2 = 248日間

A)4,300円 × 210日 = 903,000円
B)4,300円 × 248日 = 1,066,400円

この場合、A)の903,000円が入通院慰謝料として認められるわけです。

入通院慰謝料(弁護士(裁判)基準)

・弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料算定するには、日弁連交通事故相談センター東京支部が発行している『損害賠償額算定基準』に記載されている算定表を使用します。

・この算定表は、弁護士や裁判所も使用するものです。

・傷害(ケガ)の程度によって、「軽傷用」と「重傷用」のどちらかの算定表を用います。

<弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料の算定表(むち打ちなどの軽傷用)>

<弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料の算定表(重傷用)>

重傷で入院期間が3か月、治療期間が4か月の場合、上の「重傷用算定表」のそれぞれが交わった部分を見ると「196」となっているので、この場合の入通院慰謝料は、196万円になります。

後遺障害慰謝料の算定方法

後遺障害慰謝料は、被害者の方が認定された後遺障害等級によって変わってきます。
ここでは、自賠責基準と弁護士(裁判)基準による各等級の金額の違いを表にまとめてみました。

<自賠責基準・弁護士(裁判)基準による後遺障害慰謝料の金額表>


入通院慰謝料、後遺障害慰謝料ともに、基準の違いによってこれほど金額の違いがあることに驚かれたかもしれません。

やはり慰謝料は、弁護士(裁判)基準で解決することが非常に大切だということをご理解いただきたいと思います。

麻痺の後遺障害で気をつけるべきポイント

麻痺の後遺障害で気をつけるべきポイント

将来介護費が争点になる場合が多い

重篤な麻痺による後遺障害では将来的な介護が必要になる場合が多くあるため、被害者の方は将来介護費を受け取ることができます。

<将来介護費の算定式>

(年間の基準額)×(生存可能期間に対するライプニッツ係数)

 


 

生涯にわたって必要となるもののため、被害者の方とご家族にとって将来介護費は非常に重要になります。

しかし、ここが大きな争点になることがよくあります。
というのは、金額が大きくなる分、加害者側の任意保険会社はさまざまな理由をつけて将来介護費を低く抑えようとしてくるからです。

保険会社は営利法人ですから、利益の追求のために、支出となる慰謝料や将来介護費はできるだけ低くしたいのです。


 

麻痺の後遺障害で重度の後遺障害等級が認定された場合は、示談交渉でもめてしまい、なかなか示談解決できないということがよくあります。

ですから、損害賠償金額に大きな開きがあって、なかなか示談が成立しない場合は、まずは弁護士に相談・依頼することを検討していただきたいと思います。

よくわかる動画解説はこちら

 

認定された等級に不満な場合は異議申立ができる

ご自身が認定された後遺障害等級を正しいものと思ってはいけません。

後遺障害等級の認定は、損害保険料率算出機構(損保料率機構)という機関が行なうのですが、ここでは提出された書類や資料からのみ判断します。
すると、たとえば提出資料・書類に不足があったり、内容に不備があった場合、そのまま判断されるので、正しい後遺障害等級が認定されないことがあるのです。

【参考情報】
当機構で行う損害調査」(損害保険料率算出機構)

・認定された後遺障害等級は低すぎるのではないか?
・この等級では納得がいかない、もっと高いはずだ。

このように感じたら、「異議申立」をすることができます。


 

よくわかる動画解説はこちら

 

異議申立を検討している場合は、まずは一度、交通事故に強い弁護士に相談してみることをおすすめします。

みらい総合法律事務所では、交通事故の被害者救済のエキスパートとして、後遺障害と死亡事故に関して年間1000件以上、被害者の方からご相談をいただいています。

また、当事務所では交通事故の損害賠償実務に関する専門書を執筆しています。

「交通事故訴訟における脊髄損傷と損害賠償実務」
「交通事故訴訟における高次脳機能障害と損害賠償実務」
「交通事故訴訟における典型後遺障害と損害賠償実務」

 


 
みらい総合法律事務所では随時、無料相談を受け付けています。

交通事故で麻痺の後遺障害が残ってしまった場合は、まずは一度、ご相談下さい。


 

 

 

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