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【後遺障害11級】の認定基準・慰謝料額・増額事例

最終更新日 2021年 03月30日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

この記事を読むとわかること

これから、交通事故で後遺障害等級11級が認定された場合に、被害者の方とご家族が心配や疑問に思っていることについて解説していきます。

具体的には、この記事を読むことで次のことがわかります。

  • 後遺障害等級認定の仕組み
  • 後遺障害等級11級の認定基準
  • 後遺障害等級11級が間違っていた時の対処法
  • 交通事故の示談金が増額する理由
  • 後遺障害等級11級で弁護士に依頼すると、どの程度増額するのか?

交通事故の被害により後遺症が残ってしまった場合、後遺障害等級認定を受けることが必要です。

後遺障害等級が決まると、被害者ご自身が受け取ることができる慰謝料などの損害賠償金額が加害者側の保険会社から提示され、その金額について示談交渉をしていくことになるからです。

つまり、後遺障害等級が決まらないと、保険会社は示談金を提示できないということです。

この記事では、後遺障害等級が認定された方のうち、11級に該当する場合の後遺症の症状や認定基準、慰謝料等の損害賠償金額などについて、みらい総合法律事務所で実際に増額解決した事例を交えながら解説していきますので、ご自身の状況と照らし合わせながら読み進めていってください。

これから、後遺障害等級11級の認定基準、慰謝料、増額事例などを解説していきますが、その前に、交通事故解決までの全プロセスを解説した無料小冊子をダウンロードしましょう。

【参考動画】
後遺障害等級11級の認定基準と慰謝料の動画解説

後遺障害等級11級の認定基準と保険金額

後遺障害等級11級は、脊柱や胸腹部臓器、手足への傷害による変形障害や機能障害、眼や耳、歯、指などの障害によって10の分類がされており、労働能力喪失率は20%になっています。

後遺障害等級は1級から14級までありますが、等級が下がるにしたがって判断が難しくなっていく面があります。

少しの判断の違いが慰謝料などの損害賠償金の損失につながってしまうので、慎重な判断や医師とのコミュニケーションも大切になってきます。

後遺障害等級11級の認定基準及び保険金限度額

<自賠法別表第2>

後遺障害 保険金
(共済金)
1.両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2.両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3.一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
4.10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
5.両耳の聴力が1メートル以上の距離では
小声を解することができない程度になったもの
6.一耳の聴力が40センチメートル以上の距離では
普通の話声を解することができない程度になったもの
7.脊柱に変形を残すもの
8.一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの
9.一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
10.胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に
相当な程度の支障があるもの
331万円

第11級1号

両眼の眼球に著しい調節機能障害や運動障害を残した場合、11級1号に認定されます。

眼球の調節機能とは、水晶体がピントを合わせる機能のことで、具体的には次のような障害が該当します。

<調節機能障害>

遠くや近くなどを見て眼のピントを合わせる機能が、健康時の2分の1以下になった場合。

<運動障害>

注視野(頭部を固定した状態で眼球の動きのみで見える範囲)が2分の1以下になった場合。

なお、年齢によって「2分の1」の範囲は変わっていくため、専門医の検査をしっかり受けることが大切です。

第11級2号/3号

交通事故による後遺症が、まぶたに残った場合に11級2号と3号が認定されます。

まぶたの動きとしては、開ける、閉じる、瞬きの3つがあります。

顔面や側頭部などへの衝撃による視神経や外眼筋等の損傷のために、これらの動きができにくくなる症状が問題となってきます。

具体的には、まぶたを開けているつもりでも十分に開かずに瞳孔(瞳の中心部分)が隠れたままの状態(眼瞼下垂)や、まぶたを閉じているにも関わらず角膜を完全に覆うことができない状態(兎眼)などの運動障害が残った場合が11級2号に該当します。

また、片方のまぶたの全部、または大部分に欠損が生じてしまい角膜を完全に覆うことができない場合は11級3号に該当します。

この場合、右眼か左眼かの区別はありませんが、両眼の場合には9級4号が認定されます。

なお、まぶたの欠損は外貌の美醜にも関わってくるため、上位の等級に認定される場合があります。

外貌醜状については、男女の区別はありません。

第11級4号

交通事故による傷害で、10本以上の歯を失ったり、著しい損傷を受けたために「歯科補綴(しかほてつ)」をした場合に11級4号が認定されます。

人間の永久歯は、上下それぞれ14本ずつの計28本ありますが、そのうちの約3分の1以上に障害が残った状態ということになります。

歯科補綴とは、差し歯や入れ歯、クラウン、ブリッジ、インプラントなどで欠損した歯の機能や見た目を治療することで、こうした歯科補綴を施した歯に対して等級が認定されることになります。

なお、14本以上の歯を失ったり、著しい損傷を受けたために歯科補綴をした場合には10級4号が認定されます。

第11級5号/6号

耳の聴力機能の障害に関わるのが11級5号と6号です。

認定の際には、単純な音が聴き取れるか(純音)、言葉を言葉として聴き取れるか(明瞭度)の2種類の検査を行ないます。

11級5号は、両耳の聴力が1m以上離れた距離では小声の話し声を聴き取るのが困難な状態とされます。

具体的には、純音聴力レベルが40dB以上となっています。

11級6号は、片方の耳の純音聴力レベルが70dB~80dB未満で、明瞭度は最高で50%以下となっています。

第11級7号

交通事故による傷害で、脊柱が変形したままになってしまった場合に11級7号が認定されます。

脊柱とは、いわゆる背骨のことで、これを構成する一つひとつの骨を脊椎といいます。

脊柱は7つの頸椎、12の胸椎、5つの腰椎、仙椎、尾椎の計26個の椎骨から成り立っています。

これらの骨が変形したケースの具体例は次の通りです。

・頚椎や胸腰椎の圧迫骨折で椎骨が楔状変形を起こしたもの
・椎間板ヘルニアの手術で脊椎固定手術が行なわれ、骨移植や人工関節が埋め込まれたもの
・脊柱管狭窄症、後縦靱帯骨化症等により3椎以上の椎弓の切除や拡大形成術を受けたもの

11級7号では脊柱の変形のみで、神経麻痺や運動障害がある場合は6級5号や8級2号に認定されます。

第11級8号

片方の手の人差し指、中指、または薬指のうち、いずれか1本を失った場合に11級8号が認定されます。

後遺障害等級において「指を失った」というのは、親指の場合は第一関節より先、それ以外の4本の指の場合は第二関節より先を失った状態をいいます。

なお、指を失った手が、右手か左手かの区別はありません。

第11級9号

片方の足の親指を含む2本以上の指の用を廃した場合、11級9号に認定されます。

「用を廃する」とは、次のような状態などをいいます。

・指の長さが2分の1以下になった場合
・親指は第一関節から先、それ以外の指の場合は第二関節から先の可動域が2分の1以下になった場合

指を失った足が、右足か左足かの区別はありません。

なお、片方の足の親指以外の指3本までの障害の場合には11級9号が認定されますが、すべての指の用を廃した場合は9級15号が認定されます。

第11級10号

健常者と同じ仕事に就くことはできるものの、胸腹部の内臓などのケガによる障害のために仕事の内容に相当の支障が生じる場合は11級10号が認定されます。

障害の残った内臓とは、肺などの呼吸器系や心臓などの循環器系、胃腸などの消化器系、肝臓、腎臓、泌尿器系、生殖器など多岐に及びます。

後遺障害診断書の内容によって等級が上がったり下がったりするので、診察する医師には過不足なく記載してもらう必要があります。

なお、内臓の障害は症状固定後に悪化するケースも多くみられるため、将来の再発、悪化に備えて検査の結果や病状の経過を記録として残しておくことも重要です。

交通事故の被害者が知っておくべき8つの注意ポイント

次に、症状固定から後遺障害等級認定、さらに異議申立までで交通事故の被害者の方が行なうべき重要な手続きやその仕組みなどについて、わかりやすく解説していきます。

(1)症状固定の診断は主治医がする

交通事故の被害で傷害(ケガ)を負い、入通院をして治療を受けていると、ある段階で主治医から「症状固定」の診断を受ける場合があります。

症状固定とは、これ以上の治療を継続しても回復や完治の見込みがない状態のことですから、残念ながらこの時点で治療は終了となります。

ところで、医師が症状固定の判断をする前に加害者側の保険会社が「もう症状固定にしてください。治療費の支払いは終了します」などと言ってくる場合がありますが、これを信じてはいけません。

保険会社としては、治療費として支払う金額を削減したくて言ってくるのですが、症状固定の診断はあくまでも担当の医師が行なうものです。

医師からの症状固定の診断がなければ、まだ治療効果が上がっているということですから、これまでのように普通に治療を受けてください。

その際、治療費の領収書などは必ず保管しておくようにしましょう。

後で、加害者側の保険会社にまとめて請求できるからです。

詳しい動画解説はこちら

(2)後遺症と後遺障害の違いとは?

症状固定の診断を受けると、これ以降、被害者の方には後遺症が残ってしまうことになります。

後遺症とは、医学的には被害者の方に残った機能障害や運動障害、神経症状などのことです。

後遺障害とは、後遺症について次の要件が認められることで定義され、損害賠償請求の対象となるものです。

①交通事故が原因であると医学的に証明されること
②労働能力の低下や喪失が認められること
③その程度が自動車損害賠償保障法(自賠法)で定める後遺障害等級に該当すること

ここでは、被害者の方が後遺症の症状を感じていても、そのすべてが後遺障害と認められるわけではない、ということに注意する必要があります。

(3)なぜ後遺障害等級の認定が必要なのか?

加害者側へ損害賠償請求する際は、入通院費や治療費、逸失利益や慰謝料、将来介護費などの各項目についてそれぞれ計算し、それらを合計して損害賠償金額を算出します。

その際、非常に難しいのは、被害者の方一人ひとりで後遺障害の程度や症状に違いがあるため、個別に計算するには膨大な時間と労力が必要となってしまうことです。

さらに、被害者の方が抱える苦痛を慰謝するために慰謝料を算出するわけですが、一人ひとりが感じている精神的、肉体的苦痛を正確に数値化するのは不可能だという問題もあります。

そうした問題を解消し、被害者の方の損害額を迅速かつ公平に算出するために設定されたのが後遺障害等級です。

そして、被害者の方それぞれがどの等級に該当するかを判断し、認定する手続きを正式名称で「自賠責後遺障害等級認定」というのです。

(4)後遺障害等級は全部で14等級ある

自賠法では、1級から14級までの後遺障害等級が定められています。

1級がもっとも症状が重く、また後遺障害が残った身体の部位によって各号数が細かく設定されています。

たとえば、交通事故による傷害で左右どちらか片方の腕が肩甲骨と上腕骨で離断した場合、肩関節から肘関節の間で失われた場合、肘関節で上腕骨と橈骨・尺骨が離断した場合は4級4号、片目を失明するか矯正視力で0.02以下になってしまった場合は8級1号が認定されます。

(5)後遺障害等級認定の申請方法は2種類ある

後遺障害等級認定の申請方法は2種類あります。

「被害者請求」

被害者ご自身が自賠責保険会社に対し、後遺障害等級認定を行なう方法です。

メリットとしては、示談を行なう前にまとまったお金を受け取ることができる点などがあります。

「事前認定」

任意保険会社を通して後遺障害等級認定を行なう方法です。

提出書類を自分で用意しなくていいので負担が少ないなどのメリットがあります。

それぞれにメリットとデメリットがあり、一概にどちらが有利とはいえません。

被害者の方は、ご自身の経済的な状況や後遺症の程度、状態などを考えて、どちらかを選択することになります。

(6)後遺障害等級認定の申請で必要な提出書類

後遺障害等級認定を申請するには、次のような書類や資料が必要になります。

「後遺障害等級認定の際に必要な提出書類などの例」
・支払請求書兼支払指図書
・交通事故発生状況報告書
・交通事故証明書
・診療報酬明細書
・通院交通費明細書
・医師の診断書(死亡の場合は死亡診断書)
・委任状(被害者自身が請求できない場合)
・休業損害証明書
・後遺障害診断書
・レントゲン・MRI等の画像 など

これらの内容に間違いがあったり、書類の不足があったりした場合は正しい後遺障害等級が認定されなくなってしまいます。

注意点としては、被害者ご自身で用意していくのは大変な作業であること、また交通事故の後遺障害等級認定システムに詳しくない医師の場合、書類の内容に不備ができてしまう可能性があることなどです。

(7)損害賠償請求できる項目について

加害者側に対して、被害者の方が損害賠償請求できる項目には次のようなものがあります。

「損害賠償金の項目の例」

治療費、付添費、将来介護費、入院雑費、通院交通費、装具・器具等購入費、家屋・自動車等改造費、葬儀関係費、死亡慰謝料、休業損害、傷害慰謝料、後遺症慰謝料、逸失利益、修理費、買替差額、代車使用料 など。

ご自身が請求できる項目を過不足なく請求していくことが大切です。

(8)等級に納得がいかない場合は異議申立するべき

後遺障害等級認定を申請したのに等級が認定されなかったり、低い等級が認定されたため不服である、といった場合には「異議申立」をすることができます。

ただし、注意が必要なのは、ただ「納得がいかない」、「高い等級を認定してほしい」といっても認めてはもらえないことです。

後遺障害等級認定の手続きは、「損害保険料率算出機構」(損保料率機構)という機関が行なっているので、異議申立もこの機関に対して申請します。

その際、医師によって自覚症状欄や他覚所見、運動障害などが漏れなく記載された「後遺障害診断書」や、レントゲン画像では確認できなかった箇所が詳しくわかるようなCT画像やMRI画像など、さまざまな書類や資料を提出し直す必要があります。

間違った後遺障害等級が認定されてしまうと、被害者の方は損害賠償金で大きな損をしてしまう可能性があるので、あきらめずに、しっかり異議申立をしていくことが大切です。

後遺障害等級認定の異議申立は、後遺障害等級認定の判断基準や医学的知識が必要です。弁護士の助言を受けて行なうようにしましょう。


みらい総合法律事務所の慰謝料増額解決事例

ここでは、みらい総合法律事務所が被害者の方から依頼を受け、示談交渉や裁判を経て、実際に慰謝料増額を勝ち取った自賠責後遺障害等級11級の解決事例についてご紹介していきます。

実際の交通事故の示談交渉は経験してみないとわからないことばかりだと思いますので、参考にしていただければと思います。

増額事例①:42歳男性の慰謝料などが約4.3倍に増額!

自動車同士の出会い頭の事故で、42歳の男性会社員が腰椎圧迫骨折のため脊柱変形の後遺症を残して症状固定しました。

自賠責後遺障害等級は11級7号が認定され、加害者側の保険会社は慰謝料などの損害賠償金として約490万円を提示してきました。

この金額について、みらい総合法律事務所の無料相談を利用したところ、「金額が低すぎる、まだ増額が可能」との回答を弁護士から得たことで、被害者の方は示談交渉のすべてを依頼することにしました。

その後、弁護士が保険会社と交渉を行ない、約2100万円で解決。

当初提示額から約4.3倍に増額することができた事例です。

増額事例②:50歳男性が脊柱変形で約1800万円を獲得

50歳の男性が自動車を運転中、急に車線変更してきた自動車に衝突された交通事故。

被害者男性は、脊柱圧迫骨折のため脊柱変形の後遺症を残し、自賠責後遺障害等級は11級が認定されました。

加害者側の保険会社は、既に支払い済みの金額をのぞいて約650万円の損害賠償金を提示。

この金額が正しいものかどうか、みらい総合法律事務所の無料相談を利用したところ、弁護士からは「増額可能」のアドバイスがあり、被害者男性は示談交渉のすべてを依頼しました。

その後、弁護士が交渉をしましたが決裂したため、提訴。

裁判では、慰謝料、過失割合、逸失利益が争点となりましたが、最終的には約1820万円で解決しました。

当初提示額から約2.8倍に増額した事例です。

増額事例③:21歳女性の損害賠償金が約2.8倍に増額

自転車で走行していた21歳のアルバイト女性が自動車にひき逃げされ、頭蓋骨骨折や脳挫傷などの傷害を負った交通事故です。

自賠責後遺障害等級は、脳挫傷痕の後遺症で12級13号、嗅覚脱失で12級相当の併合11級が認定され、加害者側の保険会社は治療費などの既払い金の他に慰謝料などとして約330万円を提示しました。

被害者女性は、はたして自分の後遺障害等級や示談金は正しいのかと疑問を感じ、みらい総合法律事務所の無料相談を利用したところ、増額可能との見解だったので、そのまま弁護士にすべてを依頼しました。

交渉の結果、慰謝料などの損害賠償金は約2.8倍の約930万円に増額して解決となりました。

増額事例④:36歳男性の損害賠償金が約16倍に増額!

36歳の男性が交通事故で第7胸椎圧迫骨折の傷害を負い、脊柱変形の後遺症が残ってしまった事例です。

自賠責後遺障害等級認定を申請したところ、後遺障害等級11級7号が認定されました。

加害者側はタクシー会社で、被害者の方に対し示談金として約68万円を提示。

みらい総合法律事務所が受任し、交渉を重ねたた結果、最終的に約1100万円で解決しました。

保険会社提示額から、なんと約16倍に増額したことになります。

このように、弁護士に依頼すると、慰謝料が増額することが多くあります。ご自身では難しいと感じたら、すぐ弁護士に相談しましょう。