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後遺障害等級表と等級認定手続で被害者がやってはいけない7つのこと

最終更新日 2022年 02月14日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

後遺障害等級認定で交通事故の被害者がやってはいけない7つのこと

ほんの一瞬の出来事で人生が大きく変わってしまうことがあります。

交通事故の被害にあわれた方は、それを実感しているでしょう。

後悔のない人生を送りたい……誰しもが願うことだと思いますが、時間を戻すことはできないのですから、交通事故の被害者の方は、事故後からの対応や手続きなどで後悔のないように進めていくことが大切です。

しかし、わからないことが多いでしょう。

チェックボックス後遺障害等級とは何か?
チェックボックス後遺障害等級は、誰が認定する?
チェックボックス後遺障害等級に不満があるときは?
チェックボックス何かやってはいけないことがあるのか?
チェックボックス後遺障害等級での失敗例は?
チェックボックス弁護士はどう役に立つのか?

一つでもわからなことがあるならば、このまま読み進めてください。

そこで今回は、被害者の方が保険金(損害賠償金)を受け取る際に大切な「後遺障害等級認定」について、やってはいけないことについてまとめてみました。

目次


【動画解説】交通事故の被害者が、後遺障害等級を確実に獲得していく方法

後遺障害等級認定とは?

交通事故の被害者にとって重要なもののひとつに「自賠責後遺障害等級認定」があります。

事故によるケガが原因で後遺症が残ってしまった場合、被害者の方はこの先の人生で障害を抱えて生きていかなくてはなりません。

そこで、精神的、肉体的な損害に対する償いである慰謝料や、健康であれば将来も働いて得ることができたはずだった賃金である逸失利益、さらには入通院費、治療費、将来にわたる介護費などを加害者に対して請求する権利があります。

これらの各項目を合わせたものが保険金(損害賠償金)となるわけですが、その金額の算出の際に必要になるのが後遺障害等級です。

認定された後遺障害等級によって慰謝料などの金額が高くも低くもなるため、被害者の方にとってはとても大切なものになるのです。

自賠責後遺障害等級表


自賠責後遺障害等級認定の重要性をご理解いただいたと思いますが、では、自賠責後遺障害等級は、どのように定められているのでしょうか。

自賠責後遺障害等級は、1級から14級までに区分されており、かつ、各等級ごとに様々な後遺障害が規定されています。

そこで、ここでは、自賠責後遺障害等級表を掲げておきます。

【自賠法別表第1】 後遺障害等級1級

後遺障害 保険金
(共済金)
1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
4,000万円

【自賠法別表第2】後遺障害等級1級

後遺障害 保険金
(共済金)
1.両眼が失明したもの
2.咀嚼及び言語の機能を廃したもの
3.両上肢をひじ関節以上で失つたもの
4.両上肢の用を全廃したもの
5.両下肢をひざ関節以上で失つたもの
6.両下肢の用を全廃したもの
3,000万円

【自賠法別表第1】 後遺障害等級2級

後遺障害 保険金
(共済金)
1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3,000万円

【自賠法別表第2】 後遺障害等級2級

後遺障害 保険金(共済金)額
1. 一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
2. 両眼の視力が0.02以下になったもの
3. 両上肢を手関節以上で失ったもの
4. 両下肢を足関節以上で失ったもの
2,590万円

後遺障害等級3級

後遺障害 保険金(共済金)額
1. 一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
2. 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
3. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5. 両手の手指の全部を失ったもの
2,219万円

後遺障害等級4級

後遺障害 保険金(共済金)額
1. 両眼の視力が0.06以下になったもの
2. 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
3. 両耳の聴力を全く失ったもの
4. 一上肢をひじ関節以上で失ったもの
5. 一下肢をひざ関節以上で失ったもの
6. 両手の手指の全部の用を廃したもの
7. 両足をリスフラン関節以上で失ったもの
1,889万円

後遺障害等級5級

後遺障害 保険金(共済金)額
1. 一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
2. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
3. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
4. 一上肢を手関節以上で失ったもの
5. 一下肢を足関節以上で失ったもの
6. 一上肢の用を全廃したもの
7. 一下肢の用を全廃したもの
8. 両足の足指の全部を失ったもの
1,574万円

後遺障害等級6級

後遺障害 保険金(共済金)
1. 両眼の視力が0.1以下になったもの
2. 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
3. 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
4. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が
40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
5. 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
6. 一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
7. 一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
8. 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失ったもの
1,296万円

後遺障害等級7級

後遺障害 保険金(共済金)額
1. 一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
2. 両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
3. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
4. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
5. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
6. 一手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失ったもの
7. 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの
8. 一足をリスフラン関節以上で失ったもの
9. 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
10. 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
11. 両足の足指の全部の用を廃したもの
12. 外貌に著しい醜状を残すもの
13. 両側の睾丸を失ったもの
1,051万円

後遺障害等級8級

後遺障害 保険金(共済金)額
1.一眼が失明し、又は一眼の視力が0.02以下になったもの
2.脊柱に運動障害を残すもの
3.一手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失ったもの
4.一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの
5.一下肢を5センチメートル以上短縮したもの
6.一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
7.一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
8.一上肢に偽関節を残すもの
9.一下肢に偽関節を残すもの
10.一足の足指の全部を失ったもの
819万円

後遺障害等級9級

後遺障害 保険金(共済金)額
1.両眼の視力が0.6以下になったもの
2.一眼の視力が0.06以下になったもの
3.両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
4.両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
5.鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
6.咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
7.両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
8.一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
9.一耳の聴力を全く失ったもの
10.神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
11.胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12.一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失ったもの
13.一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの
14.一足の第一の足指を含み二以上の足指を失ったもの
15.一足の足指の全部の用を廃したもの
16.外貌に相当程度の醜状を残すもの
17.生殖器に著しい障害を残すもの
616万円

後遺障害等級10級

後遺障害 保険金
(共済金)
1.一眼の視力が0.1以下になったもの
2.正面を見た場合に複視の症状を残すもの
3.咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
4.14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
5.両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
6.一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
7.一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの
8.一下肢を3センチメートル以上短縮したもの
9.一足の第一の足指又は他の四の足指を失ったもの
10.一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
11.一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
461万円

後遺障害等級11級

後遺障害 保険金
(共済金)
1.両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2.両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3.一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
4.10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
5.両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
6.一耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
7.脊柱に変形を残すもの
8.一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの
9.一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
10.胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
331万円

後遺障害等級12級

後遺障害 保険金
(共済金)
1.一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2.一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3.七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
4.一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
5.鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
6.一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
7.一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
8.長管骨に変形を残すもの
9.一手のこ指を失ったもの
10.一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
11.一足の第二の足指を失ったもの第二の足指を含み二の足指を失ったもの又は第三の足指以下の三の足指を失ったもの
12.一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
13.局部に頑固な神経症状を残すもの
14.外貌に醜状を残すもの
224万円

後遺障害等級13級

後遺障害 保険金
(共済金)
1.一眼の視力が0.6以下になったもの
2.正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
3.一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
4.両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
5.5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
6.一手のこ指の用を廃したもの
7.一手のおや指の指骨の一部を失ったもの
8.一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
9.一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失ったもの
10.一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの
11.胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
139万円

後遺障害等級14級

後遺障害 保険金
(共済金)
1.一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
2.3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
3.一耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
4.上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
5.下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
6.一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
7.一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
8.一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
9.局部に神経症状を残すもの
75万円

【参考記事】
国土交通省「自賠責後遺障害等級表

後遺障害等級はどのように認定されるのか?

後遺障害等級認定の申請には、「事前認定」と「被害者請求」という2種類の方法があります。

それぞれにメリットとデメリットがあるので、ご自身にとってよりよい方法を選択するのがよいでしょう。

なお、後遺症があるにも関わらず後遺障害等級が認定されない場合や、等級認定されたものの低い等級のために納得がいかない、不満であるという場合は「異議申立」をすることができます。

詳しい解説はこちら⇒
交通事故で正しい後遺障害等級が認定される人、されない人の違いとは

交通事故発生から裁判までの流れを理解しましょう


ここでは、後遺障害等級認定の前後の流れと必要な手続きなどについてもお話しておきます。

交通事故が発生すると、通常は次のような流れで各手続が進んでいきます。

交通事故発生から裁判までの流れ

(1)交通事故が発生
(2)事故の状況や加害者の身元の確認
(3)警察へ通報、実況見分調書の作成への協力
(4)被害者、加害者双方の保険会社への連絡
(5)入院・通院でケガの治療に専念する
(6)主治医から症状固定の診断
(7)後遺障害等級が認定され損害賠償額が提示
(8)加害者側の任意保険会社との示談交渉が開始
(9)示談成立(法的手続きの後、保険金の受け取り)
(10)示談が決裂した場合は紛争処理機関や法的機関へ相談
(11)場合によっては訴訟を提起し、裁判での決着へ

症状固定とは?

被害者の方が病院で治療をしていると、主治医から「症状固定にしましょう」と診断される段階があります。

これは、文字通り症状が固定しているということで、これ以上の治療を続けても回復の見込みがないという状態になります。

この時点で後遺症が残ることになるので、被害者の方は後遺障害等級認定の申請をすることになります。

なぜ示談交渉でもめることが多いのか?

たとえば、事前認定を選択した場合、後遺障害等級が認定されると加害者が加入している任意保険会社から示談金(保険金)の提示があります。

被害者の方が提示金額に納得すれば、示談交渉にまでは進みません。
しかし、金額が低いために納得がいかない、不満である、というような場合は示談交渉に突入します。

示談というのは、被害者と加害者の双方で話し合い(加害者が任意保険に加入している場合は、代理として保険会社の担当者が相手になります)、最終的には和解することが目的です。

ところが示談交渉では、すんなり和解とはならないことが多いのです。

なぜかというと、そもそもの提示金額が本来であれば被害者の方が受け取ることができる金額よりも低く設定されており、さらには被害者ご自身が交渉をしても保険金額が上がることはほとんどないという現実があるからです。

なぜ、そんなことが起きるのでしょうか?

まったく理不尽な話ですが、その理由についてはこちらのページをじっくり読んで「不都合な事実」を知ってください。

詳しい解説はこちら⇒
交通事故の示談交渉で被害者が避けておきたい7つのこと

被害者が後遺障害等級認定でやってはいけないこととは?


ここまでお話してきたように、交通事故にあわれた被害者の方にとって、後遺障害等級認定が非常に重要だということがわかっていただけたと思います。

だからこそ、後遺障害等級認定では注意しなければいけないポイント、やってはいけないことがあります。

(1)治療効果があがっているのに治療を終了してはいけない

ケガの治療中に、加害者側の任意保険会社の担当者から連絡があり、こんなことを言ってくる場合があります。

「これ以上は治療費を出せません。そろそろ症状固定にしてください」

なぜ、こうしたことを言うのかといえば、営利法人である保険会社としては、できるだけ支出を少なくしたいからです。

症状固定の診断をするのは医師なのですから、あなたの主治医から症状固定の診断がないということは、治療の効果が上がっていることだと考えられます。

ですから、保険会社の言うことをけっして鵜呑みにして治療を止めてはいけません。

主治医としっかり相談しながら、納得いくまで治療を続けることが大切です。

なお、被害者の方としては、保険会社から治療費の支払いを打ち切られることは不安だと思いますが、安心してください。

治療費については一時的にご自身で支払うことになりますが、必要な治療であれば後から保険会社に請求することができます。

ですから、必ず領収証はすべて保管しておくようにしましょう。

【参考記事】
交通事故によるケガの治療の注意点と治療費打ち切りの対応策

(2)必要な検査をせずに後遺障害等級認定の申請をしてはいけない

これも、よく起きる問題なのですが、後遺障害等級認定に必要な医学的検査を受けずに申請してしまっているケースが見受けられます。

すると何が起きるかといえば、正しい後遺障害等級が認定されない、ということが起きてしまいます。

この原因は何かというと、医師の交通事故問題に対する知識や経験のなさや少なさということになるかと思います。

これも、やむを得ない部分があるでしょう。

というのも、そもそも医師のミッションは患者の病気やケガを治すことであって、交通事故の後遺障害等級認定に必要な書類や資料を用意することではないからです。

ですから、まずは被害者ご自身で必要な画像データ等は用意されているか、診断書や申請書類に不備がないかを確認することも大切なポイントです。

(3)認定された後遺障害等級が正しいものと信じてはいけない

認定された後遺障害等級は絶対に正しいものであるとはかぎりません。

たとえば、申請の際に書類に不備があったり、資料が足りなかったりというケースも多いものです。

これは、前述した事前認定でも被害者請求でも、どちらでも起こり得ます。

事前認定では、加害者側の任意保険会社が書類をそろえてくれるので被害者の方としてはラクなのですが、実際にどのような書類や資料をそろえて提出されたのか、不備はなかったのかなど被害者が確認することはできません。

一方、被害者請求では被害者の方が必要書類や資料を準備しなければいけませんが、そもそも後遺障害等級認定のシステムに詳しく、以前に申請の経験がある、という人はほとんどいないでしょうから、間違いや不備があってもやむを得ないともいえるでしょう。

ですから、認定された後遺障害等級が絶対に正しいとは考えてはいけません。

理想的なのは、交通事故問題に精通した、被害者救済の経験豊富な弁護士に確認してもらうのがいいと思います。

【参考記事】
後遺障害等級認定とは?認定の仕組みと異議申立のポイント

(4)損害賠償請求権には時効があることを忘れてはいけない

後遺障害等級の認定では、その後に控えている損害賠償請求の段取りとスケジュールについても、しっかり考えておかなければいけません。

じつは、損害賠償請求権には消滅時効があります。

定められた期間を過ぎてしまうと損害賠償請求ができなくなってしまうので、十分気をつけてください。

自賠責保険に対する被害者請求の時効
傷害・死亡の場合は事故日から3年、後遺障害がある場合は症状固定日から3年。

加害者に対する損害賠償請求の時効
加害者に対する損害賠償請求の時効は、「損害及び加害者を知った時」(民法724条)から物損については3年、人身損害部分については5年です。あるいは、損害及び加害者がわからなかったとしても、事故日から20年を経過すれば時効により消滅します。

後遺障害がある場合には、症状固定した時点で初めて後遺障害を含む損害について知ったことになるので、人身損害の時効は症状固定日から5年となります。

時効を完成させないためには、加害者に対する損害賠償請求の場合は、加害者から債務承認書をもらう、賠償金の一部支払いを受ける、裁判を起こす、などの方法により時効を中断することができるので覚えておいてください。

また、書面又は電磁的記録によって、損害賠償に関して協議を行う旨の合意を加害者との間で書面を取り交わした時には、以下のいずれか早い時までの間、時効は完成しないこととなります。

①その合意があった時から1年

②その合意において当事者が協議を行う期間(1年未満)を定めたときは、その期間

詳しい解説はこちら⇒
交通事故の示談金が時効で消滅してしまう場合とは?

(5)認定された後遺障害等級に納得がいかなければあきらめてはいけない

前述したように、被害者の方に後遺症の症状があるにもかかわらず、後遺障害等級が認定されないケースや正しい等級が認定されないといった場合もあります。

そうした時は、けっしてあきらめてはいけません。

もちろん、後遺障害はお金で解決できるようなものではありません。

しかし、交通事故により肉体的、精神的に損害を受けたうえに、さらに保険金額まで損害を受けてしまうのは被害者の方にとっては、あってはならないことです。

特に、後遺障害が重度の場合では、等級が1級違っただけで、数千万円単位で保険金額が違ってくる場合もあるのですから、被害者の方にとっては非常に大切なことです。

ですから、不満がある時には「異議申立」をすることをおすすめします。

後遺障害等級認定の書類は、損保料率機構という機関から届きます。

書類に認定理由、あるいは不認定理由が記載されていますので、これをよく読んでください。

これらを覆すためには、新たな医学的な証拠が必要です。

異議申立では、「等級が認められないのはなぜなのか!」、「この等級は低すぎる」、「後遺症の症状がつらい…」などと不満を書いて提出しても、新たな結果を得ることはできません。

たとえば、新たな検査結果や画像、医師の診断書、意見書等の書面を提出して、医学的な見地から「他覚的所見」を補う必要があるのです。

【参考記事】
【後遺障害等級】思ったような認定が受けられない時の解決法

(6)弁護士に相談せずに後遺障害等級を認めてはいけない

ここまで読み進められて、どのようにお感じになったでしょうか?

正しい後遺障害等級認定を受けるためには、さまざまな手続きがあり、深い知識が必要で、簡単ではないと思われたのではないでしょうか?

だからといって、後遺障害等級認定の通知が手元に届いた際、内容を見ただけで簡単にその等級を認めてはいけません。

まずは弁護士と相談して、ご自身の後遺障害等級が正しく認定されているかどうか確認することをおすすめします。

詳しい解説はこちら⇒
交通事故を弁護士に相談すべき7つの理由と2つの注意点

(7)弁護士の選任を間違えてはいけない

ただし、弁護士なら誰でもいいわけではありません。

交通事故に不慣れな医師に検査や診断をお願いしてはいけないように、やはり後遺障害等級認定の際は交通事故に詳しくない弁護士に相談してはいけません。

言い方を変えるなら、後遺障害等級認定の際は交通事故問題に精通した、経験豊富な弁護士に相談・依頼することが大切だということです。

弁護士といっても、誰もが交通事故の被害者救済ができるわけではありません。

弁護士には専門分野があるので、交通事故が専門外の弁護士では正しい後遺障害等級認定については、よくわからないということが起きてしまうことがあることに注意が必要です。

【参考記事】
【注意】交通事故で示談交渉を任せる弁護士の選び方

後遺障害等級認定でお困りの場合は弁護士に相談を!


後遺障害等級認定でお困りの際は、交通事故問題に精通した弁護士に相談・依頼をしてください。

交通事故に関する法律は当然のこと、後遺障害等級認定のシステムや損害保険の知識があり、医学的な知見も豊富な弁護士であれば、被害者の方が正しい後遺障害等級認定を受ける際の心強いパートナーになることができます。

みらい総合法律事務では、そうした交通事故のプロフェッショナルたちが随時、無料相談をお受けしています。

後遺症と死亡事故が取り扱い分野となります。

まずは無料で相談してみて、「納得がいく説明を受けることができた」、「この弁護士は信頼できそうだ」と判断できたら、正式に委任をすればいいと思います。

ぜひ一度、ご連絡をいただければと思います。

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