後遺障害等級認定手続の流れと異議申立のポイント
目次
【動画解説】交通事故の後遺障害等級が間違っている?(かなり損です)
交通事故で負った傷害が万一治りきらなかった場合、後遺症について慰謝料や逸失利益を請求できます。
その請求に必要なのが、本記事で解説する「後遺障害等級認定」です。
等級認定の必要性や仕組み、そして申請のやり方を知らないままだと、被害者として十分な額がもらえません。
併せて、等級認定の結果に納得できなかった場合の「異議申立」や、適正な等級を得るためのポイントも知っておきたいものです。
後遺障害等級認定を理解すれば、満足できる結果を得るための事故対応が分かります。
以降では、必ず押さえたい等級認定の基礎知識を漏れなく紹介します。
後遺障害等級認定とは
交通事故の損害賠償で言われる「後遺障害等級認定」とは、事故被害者が負った後遺症を1級・2級……とのように14段階で評価するシステムです。
自賠責保険から被害者へ政令指定の金額を支払う(自賠法第13条1項)にあたり、障害による労働や生活への影響を的確に捉える目的で設けられています。
付け加えると、労働者の負傷等を補償する制度(=労災保険)にも、同じく補償の目的で後遺症を評価するシステムがあります。
交通事故における後遺障害等級認定の方法等は、労災保険で用いられる「障害等級認定基準」に準じるものです。
以上の解説内容は、自賠責保険の支払基準(平成13年金融庁・国土交通省告示第1号)の「後遺障害による損害」の章で確認できます。
【参考情報】障害等級認定基準について〔労働基準法〕昭和50年9月30日基発第565号
【用語解説】
・自賠法(自動車損害賠償保障法)
…加入義務や人身事故の補償方法など、自賠責保険の基本ルールを定めたもの
・自賠令(自動車損害賠償保障法施行令)
…自賠法の規定を実施するための具体的な方法を定めたもの
後遺障害等級で慰謝料と逸失利益を計算
では、事故のせいで後遺症に苦しむ人が「後遺障害等級認定」を得るメリットとは、一体何でしょうか。
それは、損害賠償の費目に「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」が追加されることです。
裏を返せば、14級以上のいずれかの等級に該当すると自賠責保険で判断されない限り、上記費目の支払いはまず望めません。
言うまでもなく、被害者の今後の生活のため損害賠償額は何よりも必要なものであり、ひいては等級認定の有無で将来を大きく左右することになります。
【後遺障害慰謝料とは】
後遺症により負った精神的苦痛につき、被害者に支払われる費目です。
個別の被害者が受領すべき金額は、判例から作成された「弁護士基準」(裁判基準)を目安とします。
なお、介護を要する重い障害については、被害者本人のみならず近親者の分も請求できます。
【逸失利益とは】
後遺症がなければ被害者が得られたであろう、将来の収入です。
原則として、事故前の収入のうち「労働能力喪失率」に相当する部分を、年齢から見て稼働できる残りの年数分(=就労可能年限)請求できるとします。
ただし、職業や日常生活上の不便等、被害者1人ひとりの事情は十分に考慮されます。
【参考記事】交通事故の慰謝料や逸失利益で注意するべき後遺障害
後遺障害等級はどう決まるのか
後遺障害等級認定の方法は、先でも説明したように労災保険の「障害等級認定基準」に沿います。
上記基準によれば、該当する等級を判断するにあたって、下記Step1からStep3の順で事故被害者1人ひとりの後遺症が整理されます。
Step1.後遺症の現れた「身体の部位」で分類
…解剖学的観点で身体を10部位に大別し、障害がどこに現れているのか整理する。
Step2.後遺症の内容を「障害の系列」で分類
…後遺症を器質的障害と機能的障害に分け、労災保険の障害等級認定基準で掲げられている「障害系列表」の区分に当てはめる。
Step3.障害の程度で該当する等級を判断
…その障害の重さ(主に労働能力に与える影響)を見定め、自賠令別表1および別表2「後遺障害等級表」の1級~14級のどれに該当するか判断する。
なお、同一系列に現れる障害につき、その重さを一定の基準で並べたものを「障害の序列」と呼びます。
そして、序列が上位なら高い等級、反対に下位なら低い等級……とのように、自賠令別表1・別表2の「後遺障害等級表」に対応させつつ判断します。
【例1】右肩関節の可動域が4分の3以下に制限された場合
→12級6号「一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの」(別表2)
【例2】左足の膝に人工関節を挿入置換し、可動域が健側の2分の1以下に制限された場合
→6級7号「一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの」(別表2)
【例2】脊髄損傷を負い、両手足が麻痺して随時介護が必要になった場合
→2級1号「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」(別表1)
後遺障害等級別の慰謝料の目安
事故被害者として気になるのは、等級認定によって追加で得られる金額でしょう。
下記表で紹介するのは、各等級における後遺障害慰謝料の目安です。
表には、逸失利益算定に用いられる「労働能力喪失率」の基準も併記しました。
【別表1】「介護を要する後遺障害」の場合
【別表2】「後遺障害」の場合
実際に支払われる額はケース別に異なりますが、等級認定のメリットは表から十分理解できます。
本記事の最後で紹介する事例のように、等級が上がる(もしくは非該当から該当へと修正される)だけで解決額に数百万円以上の差が出るケースも、決して珍しくありません。
【参考情報】「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」金融庁・国土交通省
後遺障害等級認定を得るための条件
後遺障害等級認定を得るには、必要書類を添えて保険会社に申請しなければなりません。
申請時に提出した書類は、第三者機関である「損害保険料率算出機構」に属する自賠責損害調査事務所に送られ、そこで認定審査の判断材料として用いられます。
では、等級認定の申請ができるようになるタイミングとは、一体いつでしょうか。
被害者本人が治らないと感じたら、すぐに申請していいものなのでしょうか?
結論として、上記の理解は間違いです。
等級認定を申請する際は、必ず自賠責保険における後遺障害の要件を満たさなくてはなりません。
ここで言う要件とは、労災保険関連の通達で言われる「症状固定」です。
症状固定とは
自賠令第2条1項2号では、後遺障害を「傷害が治ったとき身体に存する障害」と定義しています。
この「傷害が治ったとき」こそ、前述の「症状固定」の意味です。
なお、労災保険の障害等級認定基準は、症状固定の説明を下記のようにしています。
“傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法(以下「療養」という。)をもってしても、その効果が期待し得ない状態(療養の終了)で、かつ、残存する症状が、自然的経過によって到達すると認められる最終の状態”
上記を分かりやすく言い換えるなら、事故後に懸命に治療を続けても「症状はこれ以上改善しない」と医師が判断したタイミングが、症状固定=後遺障害等級認定の申請要件が整った時となります。
【参考情報】障害等級認定基準について〔労働基準法〕昭和50年9月30日基発第565号
後遺障害等級認定の申請方法と手続きの流れ
では、等級認定の申請の流れや必要書類はどうなっているのでしょうか。
詳しい解説の前に、等級認定の申請方法として「事前認定」と「被害者請求」の2種類があり、それぞれやり方が異なる点を押さえる必要があります。
一般的には「事前認定」が用いられますが、都合により「被害者請求」をしても構いません。
ここでいったん基本事項に触れると、交通事故の補償は「自賠責保険」(強制加入)と「任意保険」(任意加入)の2階建です。
事故被害者に対する補償の実施は、1階部分である自賠責保険が優先します。
そして、補償されるべき額が自賠責保険の限度額を超える場合は、その超過分を2階部分である任意保険が負担します。
上記を押さえた上で、まずは事前認定・被害者請求の各意味を解説します。
事前認定とは
事前認定とは、等級認定の申請と結果確認を任意保険会社に一任する方法です。
任意保険会社では、まず損害賠償額全体を一括で支払い、その後に自賠責の補償分を保険会社間で清算するサービス(=一括払い)を行っています。
サービスの根拠法は、自賠法第15条です(下記参照)。
“被保険者は、被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ、保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。”
※被保険者=加害者
一括払いを行う任意保険会社は、加害者の責任や後遺障害等級などについて、事前に自賠責損害調査事務所から結果通知を得ます。
何故なら、立て替える自賠責保険分の回収不能は防がなくてはならないからです。
上記の結果通知を得るにあたっては、前もって等級認定の書類が任意保険会社から提出されます。これが「事前認定」の仕組みです。
被害者請求とは
一方の被害者請求とは、被害者が自分で自賠責保険会社に書類を送り、損害賠償額を請求する方法です。
別の言い方をするなら、先述の「一括払い」を利用しない場合の手続きにあたります。手続きの根拠は、下記で紹介する自賠法第16条1項の条文です。
(略)被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。
事前認定の解説では触れなかったものの、任意保険会社による一括払いは、保険会社別に請求する手間を省けるサービスとして存在します。
これをあえて利用せず、手続きが煩雑になるのを覚悟して「被害者請求」とするのは、下記メリットがあるからです。
・示談が成立する前に保険金を受け取れる
…自賠責保険は、被害者保護の観点で設けられている補償制度です。そのため、加害者との話し合いがまとまっていなくても、請求すれば最低限の保障は素早く受けられます。
・妥当な後遺障害等級が得やすくなる
…等級認定を得るため提出する「後遺症を説明する資料」は、出来れば被害者自身でじっくり吟味したいものです。任意保険会社に提出を任せず、自分でしっかりと書類をチェックしてから提出することで、情報不足のせいで納得できない等級に認定される失敗※を避けられます。
※詳しくは、“後遺障害等級に納得できない時の異議申立とは“の章で解説します。
事前認定の流れと必要書類
事前認定の手続きはシンプルです。
被害者のやるべきことは原則として「後遺障害診断書」の取得・提出以外になく、あとは任意保険会社に任せられます。
Step1.後遺障害診断書の書式を受領
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Step2.主治医による診断書作成
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Step3.任意保険会社に診断書を返送
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Step4.自賠責損害調査事務所に書類が移る
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Step5.損害調査(等級認定の審査)
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Step6.任意保険会社が「後遺障害等級認定票」を受領
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Step7.被害者に結果通知
※被害者による手配を要する部分:Step1からStep3まで
被害者請求の流れと必要書類
一方の被害者請求は、収集すべき資料が多いのが難点です。
収集にあたっては、受診病院の受付・市区町村役場・警察署・自動車安全運転センター等の各所をあたる必要があり、煩雑だと言わざるを得ません。
被害者としては、通院やリハビリに専念できるよう、対応は出来るだけ代理人に任せたいものです。
Step1.自賠責保険会社の特定
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Step2.必要書類の収集
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Step3.自賠責保険会社に書類送付
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Step4.書類点検(不備確認)
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Step5.自賠責損害調査事務所に書類が移る
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Step6.損害調査(等級認定の審査)
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Step7.自賠責保険会社へ結果通知
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Step8.被害者に結果通知(後遺障害等級認定票の受領)
※被害者による手配を要する部分:Step1からStep3まで
以下で紹介するのは、収集・提出すべき資料の一例です。
必須分だけでも多く、請求や書類チェックを手際よく行うのは難しいと分かります。
【被害者請求の必要書類】※必須分
・後遺障害診断書
・治療の内容が分かる診断書
・診療報酬明細書
・交通事故証明書
・事故発生状況説明書
・入院・通院交通費明細書
【被害者請求の必要書類】※状況に応じて揃える
・標識交付証明書(または届出済証)
・休業損害証明書(確定申告書等)
・示談書および示談金領収書
・付添看護自認書(または付添看護料領収書)
・戸籍謄本(または事故当事者と請求者の続柄が分かる住民票)
・検査資料(レントゲン画像など)
・委任状
【参考記事】
【交通事故の保険金】自賠責保険への被害者請求の方法を解説
等級認定の結果が出るまでにかかる期間
等級認定の結果が下りるのは、調査事務所が書類を受け付けてから1ヶ月以内であることがほとんどです。
損保料率算出機構が公表する2019年度※のデータでも、後遺障害にかかる請求件数全体の75.9%が30日以内に調査を終えています。
と言っても、「事前認定」で等級認定の結果が得られるまでの期間は、任意保険会社の申請業務次第だと言わざるを得ません。
一方の「被害者請求」の結果が出る時期は、書類集めが終わっていることを前提に予測できます。
また、弁護士に手続き依頼した場合、請求の下準備に手慣れているためスピーディです。
後遺障害等級に納得できない時の異議申立とは
等級認定の審査は書類ベースであり、被害者の状況を直接見てもらえるわけではありません。
そのため、到底納得できない低い等級しか得られなかったり、非該当と判断されたりする場合があります。
万一適正でない結果が返ってきた場合は、諦めずに不服申立制度を用いて、上位の認定を狙いましょう。
【不服申立制度の種類】
・自賠責保険への異議申立
・紛争処理申請による調停
・裁判手続(=訴訟)
※上記以外にも「国土交通大臣に対する申出制度」(自賠法第16条の7)がありますが、自賠責保険会社が法令や支払基準に違反している場合のみ利用対象とされています。
以降、本記事で紹介する対応方法は、優先して選択するのが普通の「異議申立」です。
【参考】異議申立が選ばれる理由
紛争処理申請による調停は1回きりであり、これで等級が変更されなければ、残る手段は訴訟のみとなります。
他方、異議申立には回数制限がなく、実例は少ないものの2回以上続けて手続きしても構いません。
訴訟による対応長期化を避けられる可能性があるのなら、紛争処理申請に比べて効率的です。
【参考論文】「後遺障害の認定と異議申立に関する一考察」(加藤久道著)
異議申立の手続きと仕組み
異議申立をする時も、最初の申請のように書類を保険会社に提出しなければなりません。
提出した書類は、異議申立書その他の資料は、公平性と客観性を確保しながら慎重に判断するため、外部の専門家が参加する「自賠責保険(共済)審査会」に送られます。
なお、異議申立の申請方法もやはり2種類です。
・事前認定の場合
…任意保険会社に書類提出し、損害保険料率算出機構を経由して審査会に送ってもらいます。
・被害者請求の場合
…被害者から損害保険料率算出機構へ直接資料を提出し、審査会で判断してもらいます。
異議申立を成功させるポイント
当初の等級認定が納得できない結果になったのは、「医学的資料の不足」が原因です。
資料不足のせいで障害の状況が正確に伝わらず、結果として低い等級もしくは非該当と判断されてしまっているのです。
つまり、異議申立で適正な等級が得るには、少なくとも「当初申請分にはない新情報」が記載された資料を追加しなければなりません。
異議申立時に追加すべき資料は、医師の協力の下、適宜必要な検査や治療を実施することで得られます。
また、保険会社に渡した資料が全て確実に審査会に回されるよう、事前認定から被害者請求に切り替えておくのがベストです。
着実に成功させるには「等級認定理由の把握」も必要
等級認定の理由(あるいは非該当の理由)は被害者によって異なります。
個別の異議申立事案を着実に成功させようとするなら、当初の等級認定の理由をきちんと把握・分析しなければなりません。
そこで活用できるのが、書面による説明(自動車損害賠償保障法16条の5)です。
説明を請求すると、被害者(もしくは代理人)の元に下記資料が届けられ、等級認定が納得できない結果になった理由を詳しく確認できます。
・後遺障害事案整理票
…当初提出した後遺障害診断書等から整理した事項(傷病名や治療経過等)が記載されています。
・認定理由
…当初の認定(低い等級あるいは非該当)がなぜそうなったのか、判断の理由が記載されています。
・損害細目およびその積算根拠を記載した書面
…損害項目別の支払金額や、その内容が記載されています。
異議申立時の必要書類
いよいよ異議申立の手続きをする時は、どういった書類が必要になるのでしょうか。
まず用意するのは、申立ての趣旨や理由を記入した「異議申立書」です。
その上で、申立書の内容を裏付けるものとして、解説した追加の医学的資料を含めて添付書類を適宜揃えます。
揃えるべき資料は事案により異なりますが、一例として以下のようなものが挙げられます。
・主治医の意見書
・医療照会の回答書
・追加で受けた検査の結果
・検査や治療設備の整った医療機関の専門医による後遺障害診断書
・診療報酬明細書
・交通事故の刑事記録※
・被害者本人が作成した陳述書
※事故の大きさや、負った怪我の程度が過小評価されていた場合
消滅時効を中断(更新)させておく必要性
後遺障害等級認定の異議申立をしようとすると、認定理由の分析、追加で検査等を実施してもらうための受診、関係各所への資料請求……とのように準備に時間を要します。
注意したいのは、自賠法で定められた消滅時効が完成し、自賠責保険への請求が出来なくなってしまう可能性です。
そこで、被害者請求権の時効のカウントを止めるため、自賠責保険会社に「時効中断(更新)申請書」を提出しておかなくてはなりません。
【参考】「自賠責保険に対する被害者請求権」の消滅時効
傷害・後遺障害・死亡のそれぞれにつき、下記の日を起算点として3年(平成22年3月31日以前の交通事故は2年)が経過すると完成します。
傷害にかかる請求:事故日の翌日
後遺障害にかかる請求:症状固定日の翌日
死亡にかかる請求:死亡日の翌日
もう1つ、ここで紹介した「自賠責保険に対する被害者請求権」と「加害者への損害賠償請求権」が別のものである点にも要注意です。
前者の消滅時効の中断(更新)は、後者の消滅時効には影響しません。
そこで、時間が経っても加害者あるいは任意保険会社への請求できるよう、加害者に対しても消滅時効を中断させる手続きが別途必要になります。
消滅時効について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【参考記事】
【時効】交通事故の示談金が0円に!?損をしないための知識を解説
異議申立で交通事故の慰謝料が大幅にアップした例
最後に紹介したいのは、異議申立が功を奏し、結果として事故被害者の獲得額が大幅にアップした事例です。
いずれも医学的知識を持った弁護士が、相談時点で「異議申立をすべき事案」と判断し、追加資料の取り寄せから保険会社との交渉まで実施しています。
紹介する2つの事例からは「等級認定が適正でないまま交渉を進めると、多額の損失は免れられない」と分かります。
【14級→12級】約2450万円の増額に成功したケース
交通事故で右膝骨折の傷害を負い、その後遺症につき14級9号(局部に神経症状を残すもの)に認定されたケースです。
相談当初は左記等級で損害を確定しており、保険会社からは248万6647円の支払いが提示されている状態でした。
弁護士への相談のきっかけは、被害者の男性が提示額の妥当性に疑問を持ったことです。
相談内容から「獲得した等級が低すぎる」と判断したみらい総合法律事務所は、正式な依頼を受けて異議申立を実施しました。
その結果、当初の判断通り12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)の獲得に成功します。
後の保険会社との交渉は、大幅な増額を理由に決裂し、提訴に至りましたが、最終的には4500万円の支払い(約2450万円の増額)で和解しています。
【11級→8級】約1170万円の増額に成功したケース
交通事故で脊椎圧迫骨折の傷害を負い、脊柱変形の後遺症が残ったケースです。
相談当初、被害者の女性は後遺障害等級11級7号(脊柱に変形を残すもの)と認定され、保険会社からは661万1033円の支払いが提示されていました。
相談対応したみらい総合法律事務所の弁護士は、ヒアリングした被害者の状況から「上位の等級を狙える」と案内しました。
依頼を受けて異議申立を実施したところ、追加の診断書を得たことが功を奏し、8級に該当するとの結果が下りています。
その後の保険会社との交渉は、やはり大幅な増額を理由に決裂しています。
しかし、訴訟も辞さず粘り強く対応した結果、最終的には1829万円の支払い(約1170万円の増額)で解決できました。
まとめ
交通事故で負った傷害が治りきらなかった場合は、後遺障害慰謝料と逸失利益を請求できます。
ただし、事故被害者がその後遺症に関する費目を請求するにあたっては、事前に「後遺障害等級認定」を得なくてはなりません。
詳しい認定のルールは法令で確認できますが、事故被害者として押さえておきたいポイントは以下の通りです。
・「症状固定」の理解
…等級認定の申請が出来るのは、「これ以上治療を続けても症状の改善は見込めない」と医師が判断した時です。
・「被害者請求」で申請すべきケース
…等級認定の申請は任意保険会社に任せるのが一般的です。しかし、示談が長期化する場合や、適正な等級を得るために必要な場合は、「被害者請求」とするのがベストです。
・異議申立を成功させるポイント
…異議申立で納得できる後遺障害等級を得るには、少なくとも「当初説明できなかった事情が記載された医学的資料」を追加しなければなりません。
そのためには、必要な検査等を実施し、最初の申請で適正な等級が得られなかった理由を確認・分析する必要があります。
獲得した等級は妥当なのか、適正な等級を得るにはどうすれば良いのか、これらについて被害者だけで判断するのは極めて困難です。
的確に対応するなら、医学的知識と解決実績を豊富に持つ弁護士のサポートは欠かせません。
その他、弁護士に依頼するメリットとして、必要書類の判断と収集をスピーディに実施できる点が挙げられます。
無理に自分で対応せず、少しでも不安に思うことがあれば相談してみましょう。
【参考記事】
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