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弁護士による交通事故SOS

交通事故の弁護士費用の相場と加害者に負担させる方法

最終更新日 2021年 03月23日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

この記事を読むとわかること

交通事故の被害者の方は、刑事事件への対応、後遺障害等級認定の手続き、保険会社との示談交渉など、さまざまな難しい対応をしなければなりません。

当然、初めての経験で、どう対処したらよいかわからないことが多いでしょう。

そこで、弁護士に相談・依頼することを検討すると思いますが、気になるのが弁護士費用です。

この記事では、交通事故の弁護士費用について、包括的かつ網羅的に解説します。

  • 弁護士は何をしてくれるのか?
  • 弁護士費用はどのくらいかかるのか?
  • 弁護士費用を加害者に負担させる方法
  • 弁護士費用を安くする方法
  • 弁護士費用を保険でまかなう方法

【動画解説】 交通事故の弁護士費用を説明します

交通事故の解決は弁護士に依頼する必要があるのか?

弁護士に依頼すると示談金額が増額する理由

示談金には、一般に、「自賠責基準」「任意保険会社基準」「弁護士(裁判)基準」の3つがあります。

保険会社が被害者の方に提示する示談金額は、任意保険会社基準で計算されたもののため、多くの場合、自賠責基準よりやや高く、弁護士(裁判)基準より低いという金額です。

そこで、被害者の方が「納得できないので、弁護士(裁判)基準で解決したい」と、保険会社からの提示金額をはねつけたとします。

このような場合、保険会社は弁護士(裁判)基準での示談に応じてくれるでしょうか?

残念ながら多くの場合では、示談に応じることはないでしょう。

「保険会社としては、この金額が出せる限界です」と主張され、交渉がまとまらないまま平行線をたどってしまうことになると思います。

しかし、被害者の方が弁護士に依頼して、弁護士が代理人として保険会社と交渉を始めた途端、保険会社が譲歩してきて増額に応じた、ということがよくあります。

なぜかというと、保険会社側は裁判を起こされると、よほど保険会社に有利な事情がある場合以外は、弁護士(裁判)基準で支払いをしなければならなくなることを知っているからです。

また、裁判になると、保険会社側でも弁護士に依頼しなければならないので弁護士費用がかかります。

支出が増えてしまうなら、裁判にはせずに交渉で被害者側の弁護士の言い分を聞いて示談金額を増額して示談したほうが損は少ない、という判断が働くのです。

しかし、弁護士に依頼をせずに被害者本人が保険会社と交渉をしている間は、いくら主張してもそれによって保険会社が損をするということはないので、被害者側の要求に応じて示談金の増額をする必要が保険会社にはないのです。

これが、弁護士に依頼をすると示談金額が増額されることが多い理由です。

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交通事故の弁護士費用の内訳を知る

ただし、弁護士に依頼すると弁護士費用がかかります。

では、その内訳には、どのようなものがあるのでしょうか?

考えられる弁護士費用の項目としては、相談料、着手金、報酬金、実費、日当があります。

相談料

弁護士に相談をする際にかかる弁護士費用です。

30分5000円などと、時間に応じて発生することが多いですが、最近では交通事故に関しては、相談料を無料にしている弁護士事務所も増えています。

着手金

弁護士に依頼すると決めた際にかかる弁護士費用で、初期費用ともいいます。

依頼した案件の内容にもよりますが、交通事故の場合、10万円~20万円程度が多いでしょう。

場合によっては、100万円以上を提示される場合もあるので、必ず確認するようにしてください。

着手金の支払いを確認した後で、弁護士は依頼された案件に着手することになります。

通常、着手金は依頼した案件の結果に関わらず、返還されることはありません。

ただし現在では、交通事故業務に関しては着手金を無料とする法律事務所も増えています。

私たち、みらい総合法律事務所でも原則として着手金は無料です。

報酬金

依頼した案件が終了した場合に、解決の内容に応じてかかる弁護士費用です。

たとえば、回収した金額(交通事故の場合は損害賠償金額)の○○パーセント、などです。

仮に、報酬金が獲得金額の10%の場合、加害者側から1000万円を獲得した、ということであれば、報酬金は100万円(消費税別)ということになります。

実費

実際にかかる費用で、弁護士に依頼しなくてもかかってくるものです。

裁判を起こす場合に裁判所に収める収入印紙や切手代、医師に診断書等を依頼する場合の発行手数料、CTやMRIなどの画像の交付料、通信費用などがあります。

日当

弁護士が遠方に出張などをする場合に、交通費とは別に発生する弁護士費用です。

遠方の裁判所へ出頭する場合や、遠方の被害者宅や、通院している病院に出向くケースなどがあります。

相場は、大体1日あたり3万円~5万程度です。

【参考記事】
日本弁護士連合会「弁護士費用(報酬)とは」

まずは相談!無料相談がおすすめな理由とは?

弁護士に依頼しようかどうか迷っている場合には、まずは実際に相談してみることが一番です。

相談をしたからといって依頼をしなければならない、などということはまったくありません。

相談の方法としては、メール、電話、面談相談の3つが考えられます。

メールや電話での相談が心理的ハードルとしては低いかと思います。

ただし、メールや電話だと資料を見せながら相談することが難しいので、相談を受けた弁護士も一般的な説明しかできないということが考えられます。

一般的な説明だけであれば、書籍などを読むのと同じです。

大切なことは、「自分のケースでは、どうなるのか?」という点です。

交通事故は、それぞれの事案によってまったく事情が異なるので、自分の事情をよく説明して具体的な相談をしたいのであれば、資料を持って面談相談することが必要になってくるでしょう。

また、実際に弁護士に会って話をしたほうが、依頼者としても弁護士の対応や人柄などを確認することができ、より安心できると思います。

ですので、最初はメールや電話でもよいかもしれませんが、より詳しく相談をしたいと思ったら、面談相談を予約するという方法がおすすめです。

今では、相談費用は無料という法律事務所も増えてきています。

みらい総合法律事務所もそうですが、交通事故の専門サイトを開設している事務所では、多くの事務所が無料相談を実施しています。

無料相談を利用することで、医療におけるセカンドオピニオンのように何人かの弁護士に相談をすることも可能になります。

弁護士費用に相場の金額はあるのか?

弁護士費用の旧日弁連基準

弁護士費用は、以前は日本弁護士連合会というところで弁護士費用の基準を定めていて、全国の弁護士はその基準に基づいて着手金や報酬などの弁護士費を請求していました。

この弁護士費用の目安となる基準を、「旧日弁連基準」といいます。

しかし、2004(平成16)年に、弁護士費用が自由化されて旧日弁連基準は廃止され、各弁護士が自由に着手金や報酬金額を決めていいということになりました。

ただ、自由化されたといっても、急に大きく弁護士費用を変えることは難しいという実情もあったことから、現在でも旧日弁連基準を参考に弁護士費用を設定している弁護士も多いといえます。

旧日弁連基準は以下のように定められています。

経済的利益 着手金 報酬金
300万円以下 8% 16%
300万円超
3000万円以下
5%

9万円
10%

18万円
3000万円超
3億円以下
3%

69万円
6%

138万円
3億円超 2%

369万円
4%

738万円

(着手金の最低額は10万円)

たとえば、経済的利益を1000万円とした場合、
着手金は、1000万円×5%+9万円=59万円
報酬金は、1000万円×10%+18万円=118万円

弁護士費用の合計は、177万円(消費税別途)という計算になります。

タイムチャージ

タイムチャージ制は、その案件にかかった時間に応じて、弁護士費用が発生する方法です。

1時間○○円とあらかじめ決めておき、弁護士が自分でその案件を処理するために費やした時間を記録しておき、請求します。

国際的な企業法務や金融法務などを多く行なう大手の法律事務所で利用されていることが多いものですが、依頼者が個人である交通事故の場合は、今のところタイムチャージ制をとっているという弁護士はあまりいないと思います。

成功報酬制

案件が終了して、結果が依頼者の利益になるものであった場合に、報酬が発生する方法を成功報酬制といいます。

依頼者が得た経済的利益の○○%、というように事前に決めておきます。

また、相談料や着手金などの初期費用は無料で、成功報酬のみが発生するという方法を、特に完全成功報酬制といったりします。

報酬は経済的利益の10%として弁護士に依頼した場合、交通事故の示談金が1000万円で解決したなら、100万円(1000万円×10%)が弁護士費用になります。

みらい総合法律事務所は成功報酬が原則

最近の傾向としては、相談料、着手金無料で成功報酬制を採用する弁護士が多いようです。

このときに、報酬額は「20万円+回収金額(獲得金額)の10%(消費税別途)」としているところが多いです。

回収金額(獲得金額)というのは、加害者側が支払うことになった損害賠償金額のことです。

たとえば、回収金額が1000万円の場合、120万円(20万円+1000万円×10%)が弁護士報酬となる、ということです。

この20万円というのは何かというと、着手金無料として初期費用がかからない分、損害賠償金が入ったら少なくとも20万円を弁護士に支払うという、いわば着手金の後払いのようなものと考えるといいかもしれません。

ちなみに私たち、みらい総合法律事務所の弁護士費用は、相談料無料、後遺障害等級12級以上の場合は原則として着手金無料の完全成功報酬制をとっています。

また報酬は、獲得金額の10%(消費税別途)のみとなっているので、プラス20万円の上乗せなどはありません。

ただし、事案にもよりますので事前にお問い合わせください。

【参考記事】
みらい総合法律事務所の報酬基準

弁護士費用特約を賢く使って弁護士費用を節約する!

自動車保険の特約に、弁護士費用特約というものがあります。

弁護士に依頼することにした場合の弁護士費用が保険で支払われるというものです。

保険会社によって若干規定が異なることもありますが、大体、相談料10万円、弁護士費用300万円を上限として保険金が支払われます。

弁護士費用保特約は、オプションのように保険をつけるかどうか選ぶものなので、自分が自動車保険に加入したときに弁護士費用特約をつけたかどうかを忘れてしまっている被害者の方も結構いるでしょう。

保険会社のほうでも、「弁護士費用特約が使えますよ」と親切に教えてくれないこともありますので、自分の自動車保険に弁護士費用特約がついているかどうかは保険証券を確認したり、保険会社に問い合わせたりして自分で確認する必要があります。

弁護士費用特約がついていて、弁護士費用が300万円以下の場合は、弁護士費用をまるまる保険で支払ってもらえる場合があります。

弁護士に依頼することで損害賠償金額が増額して、なおかつ弁護士費用は保険で支払ってもらえるのであれば、使わないともったいない制度だと思います。

弁護士費用を安く抑える方法の一つですから、ぜひ積極的に活用していただきたいと思います。

ただし、300万円以下なら、いくらでも払ってくれるというわけではなく、保険会社の支払基準があったり、保険会社が相当と認めた額しか払ってくれなかったりというトラブルもありますので、確認しておくことが必要です。

交通事故を弁護士に依頼すると損をする場合とは?

弁護士に依頼すると損をしてしまう場合とは、どんな場合でしょうか?

それは、弁護士に交渉や裁判を依頼したにも関わらず、保険会社が提示してきた金額からまったく増額しない場合や、増額はしたけれど弁護士費用のほうが高くつく場合が考えられます。

たとえば、保険会社が最初に提示してきた金額が900万円で、弁護士に依頼したら100万円増額して1000万円になった場合、報酬の取り決めが「獲得金額の10%」であれば、報酬は100万円なので増額分とまったく同じで依頼した意味がなくなってしまいます。

もし、報酬の取り決めが「20万円+獲得金額の10%」だったとしたら、報酬は120万円なので、依頼者が受け取れる金額は880万円となり、当初の提示額の900万円より少なくなってしまい、損をしてしまいます。

また、着手金が発生する弁護士に依頼した場合は、着手金は通常は返還されませんから、依頼したのに増額しなかった場合や、やはり別の弁護士に依頼したいと思ってその弁護士を解約する場合でも、着手金分は損をすることになってしまいます。

ちなみに、みらい総合法律事務所では、相談料と原則として着手金は無料、報酬は獲得金額の10%(消費税別途)としています。

また、もし保険会社の提示額から増額しなかった場合は、原則として弁護士費用もいただかない、という方法をとっています。

こうすることで、被害者の方が弁護士に依頼することで損をすることがないように配慮しています。

裁判を起こして弁護士費用を加害者に負担させる方法

弁護士費用は保険会社から受け取る損害賠償金額から差し引くのですから、被害者の方が負担するということになります。

では、弁護士費用を加害者に負担させる方法はあるのでしょうか?

裁判を起こせば弁護士費用の負担はなくなる!?

被害者側が裁判を起こす場合には、最初に「訴状」という書面を裁判所に提出します。

訴状には、加害者に請求する損害賠償金額の項目を記載するのですが、この中に「弁護士費用」という項目を作って、加害者に請求することができるのです。

このときの弁護士費用は、通常は損害賠償額の10%前後とします。

たとえば、加害者に請求する損害賠償金額が10w00万円だとしたら、訴状に記載する弁護士費用は、1000万円の10%で100万円となり、訴状の上で加害者に請求する損害賠償金額の合計は1100万円にする、ということです。

実際の判決でも、裁判で認定された損害賠償金額の10%程度を弁護士費用として認める傾向にあります。

【参考判例】
最高裁昭和44年2月27日判決

認める傾向にある、ということなので、必ず10%の弁護士費用が認められるというわけではありません。

事案によっては、10%よりも低い場合もあります。

また、裁判で認められる弁護士費用は、依頼者が実際に支払う弁護士費用とは関係ありません。

実際に支払う弁護士費用は、依頼者と弁護士の間で事前に決めておくものなので、裁判で認められた弁護士費用よりも高額の弁護士費用がかかるということも、もちろん考えられます。

遅延損害金がつけば損害賠償金は増額する!

さらに、裁判で判決が出た場合には、遅延損害金というものもつきます。

遅延損害金は、事故発生日が2020年4月1日より前の場合は、事故発生日から年5%、2020年4月1日以降の場合は、事故発生日から年3%で計算します。また、この利率は、以降3年毎に改定されます。

ここでは、仮に5%で計算します。

たとえば、損害賠償金額が1000万円の場合、事故発生日から2年経ったときに判決が出たとしたら、1000万円の5%である50万円の遅延損害金が2年分つくということになるので、遅延損害金は100万円になります。

この場合の判決は、損害賠償金額1000万円、弁護士費用100万円、遅延損害金100万円で、加害者に1200万円の支払を命じる、という内容になります。

もし、損害賠償金額が1億円で、事故から3年後に判決が出たという場合は、弁護士費用1000万円、遅延損害金1500万円、合計1億2500万円の支払いが加害者に命じられます。

実質的に、弁護士費用をすべて加害者に負担させることができたうえに、さらに被害者の方が受け取れる損害賠償金額が増加することになると考えることができます。

被害者の方の中には、「弁護士には依頼したいけれど裁判にはしたくない」、「裁判という言葉を聞くと躊躇してしまう」という方も結構いらっしゃいますが、このように、裁判を起こすことで弁護士費用を加害者に負担させ、さらにより多額の損害賠償金額を受け取れる可能性があることを覚えておいてください。

じつは被害者の裁判の負担は少ない

では、裁判を起こすことのデメリットは何かというと、判決まで時間がかかること、被害者の方が裁判所まで行かなければならないケースがあること、などがあげられます。

裁判の期日は、おおむね月1度くらいの頻度ですので、解決までに半年から1年、死亡事案や重症事案など金額の大きい裁判ほど加害者側の弁護士も争ってきますので、2年や3年かかることもあります。

また、裁判所が当事者の意見を聞きたい場合などには、証人尋問といって被害者やその親族、医師などの関係者が裁判所に出頭しなければならない場合もあります。

ただし、示談交渉でも相手が応じなければ時間がかかることは同じですし、交渉で膠着状態が続くのであれば裁判をしてしまったほうが結果的に早く解決するということもあります。

それに、裁判が長引いたとしても、その場合には遅延損害金が多く得られることになります。

また、被害者の方が証人尋問で裁判所に出頭しなければならないとしても1~2回くらいで、普段の裁判は弁護士だけが出席すればいいので、さほど被害者の方の負担にはならないと思います。

デメリットと考えられることも、知識として知ってしまえば、なんとなく不安だという気持ちもおさまってくるかと思います。

ご自身の事案が裁判をしたほうがいいのかどうか、よく弁護士から話を聞いて判断するようにしましょう。

まとめ

では、今回の解説をまとめます。

(1)交通事故の示談交渉は弁護士に依頼すると増額することが多いことを知っておきましょう。

(2)示談金が増額するかどうか、弁護士事務所の無料相談を利用して確認しましょう。

(3)事案によっては、弁護士費用を払うことによって損をしてしまう場合があるので、よく確認するようにしましょう。

(4)任意保険で弁護士費用特約がある場合には、積極的に利用しましょう。

(5)弁護士に依頼する場合には、必ず弁護士費用を確認し、契約書に明記してもらうようにしましょう。

(6)裁判を起こすと、弁護士費用の一部を加害者に負担させることができます。有利不利を弁護士とよく相談しましょう。