交通死亡事故の慰謝料増額法と実際の解決事例集
目次
交通事故の被害者の方は、慰謝料などの損害賠償金を受け取ることができます。
しかし、加害者側の任意保険会社はかなり低い金額を提示してきます。
そして、加害者側との示談交渉では、被害者の方が交渉しても増額しなかったのに、弁護士に依頼すると慰謝料などが増額することが多くあります。
そこで本記事では、交通死亡事故の被害者の方やご遺族が慰謝料の増額を勝ち取るための方法を、みらい総合法律事務所で実際に解決した増額事例を交えながら見ていきたいと思います。
これから、交通死亡事故の慰謝料について解説していきますが、その前に交通事故解決までの全プロセスを説明した無料小冊子をダウンロードしておきましょう。
交通事故の慰謝料とは?
交通事故の4つの慰謝料と3つの基準
交通事故の被害者の方は損害賠償金を受け取ることができますが、その中でも金額が大きなものの1つが慰謝料です。
ところで、慰謝料というのは、じつは1つではありません。
- 入通院慰謝料(傷害慰謝料)
- 後遺障害慰謝料
- 死亡慰謝料
- 近親者慰謝料
という4つの種類があります。
増額解決事例①:40代男性の慰謝料増額により約9500万円で解決
40代男性が飲酒し、道路上で寝ていたところ、ひき逃げされた死亡事故です。
当初からご遺族は、みらい総合法律事務所に事件対応を依頼。
加害者の刑事事件に被害者参加し、弁護士は刑事事件終了後に提訴しました。
弁護士は、事故の悪質性から、「慰謝料は相場より増額されるべき」と主張。
結果、相場金額2800万円のところ、本人分3000万円、妻と子の近親者慰謝料400万円が認められて増額したこともあり、最終的に9500万円で解決となったものです。
そして、ここで重要なのは、慰謝料の計算には、次の3つの基準があることです。
1.自賠責基準
2.任意保険基準
3.弁護士(裁判)基準
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3つの基準の中では、弁護士(裁判)基準がもっとも高額になります。
そして、被害者の方が受け取るべき正しい金額が、この基準で算定した慰謝料になります。
自賠責基準は、もっとも金額が低くなり、任意保険基準は自賠責基準より少し金額が高くなるように設定されています。
こちらの記事でも詳しく解説しています
交通事故の示談交渉で弁護士が必要な理由
なぜ加害者側の保険会社は慰謝料を低く提示してくるのか?
被害者の方やご遺族としては、交通事故により精神的、肉体的に大きな苦痛と損失を被っています。
ですから、交通事故の示談交渉などできればやりたくない、早く解決してしまいたい、と思われる方がほとんどでしょう。
しかし、示談交渉が遅々として進まない、なかなか示談を成立できない、ということがよく起きてしまいます。
それにはさまざまな理由があるのですが、もっとも大きな理由として加害者側の任意保険会社(加害者が任意保険に加入している場合)が、被害者の方が納得できないような低い金額の損害賠償金を提示してくる、ことがあげられます。
保険会社は営利法人ですから、利益の追求のために活動しています。
収入を増やし、支出を減らすことができれば利益が上がります。
そのため、被害者の方が受け取るべき金額の2分の1や3分の1、場合によっては10分の1やそれ以下という慰謝料を自賠責基準や任意保険基準で計算して提示してくるのです。
・【示談交渉】進まない、上手くいかない6つの理由と対処法
・交通事故の示談交渉で被害者が避けておきたい7つのこと
・交通事故で保険会社が低い慰謝料を提示してくる理由
弁護士に依頼すると慰謝料などが増額します!
みらい総合法律事務所では、年間1000件以上のご相談をいただいており、死亡事故と後遺症が残る事案に注力して日々、専門性を高めています。
ところで、なぜ交通事故の問題解決で弁護士が必要なのかというと、主に次のことがあげられます。
・被害者の方が示談交渉から解放されストレスが軽減されるから
・慰謝料などの増額が実現できるから
被害者の方とご家族は、交通事故によってさまざまな苦痛、損害を被っているのですから、これ以上の苦しみを味わう必要はないのです。
ですから、示談交渉は交通事故に強い弁護士に任せてしまうという選択も、ぜひ検討してください。
・なぜ、交通事故の示談金は弁護士が代理すると増額することが多いのか?
・交通事故で高額の弁護士基準で示談するために大切なこと
知っておきたい死亡慰謝料の知識
死亡慰謝料を受け取ることができるのはご遺族
死亡慰謝料は、交通事故で亡くなった被害者の方の精神的苦痛、損害に対して支払われるものです。
ただし、被害者の方は亡くなっているため、受取人はご家族になるのですが、誰でも受け取ることができるわけではありません。
相続人の順位によって分配率が違ってくることに注意が必要です。
死亡事故の慰謝料の相場金額
死亡慰謝料は、被害者の方の家庭での状況や立場によっておおよその相場金額が決められています。
①自賠責基準による死亡慰謝料
自賠責基準による死亡慰謝料は、「被害者本人の死亡慰謝料」と、「ご家族などの近親者慰謝料」を合計した金額で支払われます。
☑被害者本人の死亡慰謝料:400万円(一律)
☑近親者慰謝料:配偶者・父母(養父母も含む)・子(養子・認知した子・胎児も含む)の人数によって金額が変わる。
・1人の場合/550万円
・2人の場合/650万円
・3人以上の場合/750万円
※被扶養者の場合は上記の金額に200万円が上乗せされる。
②弁護士(裁判)基準による死亡慰謝料
被害者の方の家庭での立場の違いなどによって、次のように相場金額が設定されています。
被害者が一家の支柱の場合 | 2800万円 |
---|---|
被害者が母親・配偶者の場合 | 2500万円 |
被害者がその他(独身者・幼児・高齢者など)の場合 | 2000万~2500万円 |
被害者が一家の支柱の場合 - 2800万円
被害者が母親・配偶者の場合 - 2500万円
被害者がその他
(独身者・幼児・高齢者など)の場合- 2000万~2500万円
ただし、すべてのケースでこの金額のとおりに認定されるわけではなく、事故の状況や加害者の危険運転、その悪質性(ひき逃げ、信号無視、飲酒運転等)などの要因によっては慰謝料額が増額する可能性があります。
増額解決事例②:17歳女性の死亡事故で約3000万円増額
自転車に乗っていた17歳の女性が、飲酒・脇見運転の自動車に追突された死亡事故。
当初、ご遺族は地元の弁護士に依頼し、加害者側の任意保険会社から約5893万円の示談金の提示を受けました。
すると弁護士から、「裁判になると金額を下げられる可能性がある」として示談をすすめられ、これに疑問を感じたご遺族が、みらい総合法律事務所の無料相談を利用したという経緯がありました。
みらい総合法律事務所の弁護士の見解は「増額可能」というものだったので、示談交渉のすべてを依頼されました。
弁護士が丁寧に立証を重ねた結果、慰謝料の相場が2000~2500万円のところ、2800万円が認められ、最終的な示談金額は約3000万円増額して、約8835万円で解決した事例です。
増額解決事例③:79歳女性の示談金が2000万円増額の弁護士基準で解決
79歳女性が自転車で走行中、後方から自動車に追突された死亡事故です。
ご遺族が加害者側の任意保険会社と示談交渉を行なったところ、約2017万円の示談金が提示されました。
この金額の妥当性を確認するため、ご遺族がみらい総合法律事務所の無料相談を利用。
弁護士の見解は「金額が低すぎる」というものだったため、示談交渉のすべてを依頼されました。
弁護士が保険会社と交渉した結果、当初提示額から約2000万円増額の4000万円となり、これは弁護士(裁判)基準に準じる金額だったため、示談解決となりました。
死亡慰謝料が増額されるケースとは?
次のようなケースでは、慰謝料の増額が認められる場合があります。
1.被害者の精神的苦痛がより大きいと思えるような場合
・加害者に無免許、飲酒運転、著しいスピード違反、赤信号無視などの悪質な行為があった場合
・事故後に被害者を助けることなく、ひき逃げなどをした場合
・事故後、遺族に暴言を吐くなど、反省の態度がまったく見えない場合
増額解決事例④:21歳男性の慰謝料などが約3300万円増額
路上にいた21歳の男子学生が、直進自動車に衝突された死亡事故。
加害者側の任意保険会社は、示談金として約6171万円を提示。
ご遺族は、この金額が妥当なものかどうか確認するため、みらい総合法律事務所の無料相談を利用し、そのまま示談交渉を依頼されました。
弁護士が交渉したところ、保険会社は被害者の方が路上にいたことから過失割合を主張。
交渉が決裂したため、弁護士が提訴して裁判に突入しました。
裁判では弁護士が、加害者の速度超過を主張立証。
最終的には、約3300万円増額の9500万円で解決したものです。
増額解決事例⑤:78歳男性の飲酒・ひき逃げ事故で慰謝料が増額
78歳無職の男性の死亡事故です。
ご遺族の希望は、①加害者の刑事事件への被害者参加、②できるだけ高額の示談解決、というものだったため、当初から、みらい総合法律事務所にすべてを依頼されました。
ご遺族が刑事事件に被害者参加した後、弁護士が交渉を代理。
飲酒・ひき逃げによる慰謝料増額の主張に対し、加害者側の任意保険会社がはこれを認めたことで、慰謝料の相場金額2000~2500万円のところ、2800万円に増額
合計の損害賠償金額も弁護士(裁判)基準による3200万円で解決した事例です。
2.被害者側に特別な事情がある場合
過去の判例では、次のような場合に慰謝料増額が認められています。
・交通事故により人工妊娠中絶を余儀なくされた。
・将来、音楽教師になる夢があったが努力が水の泡となった。
・子供に重度の肢体障害があったが、事故により介護・訓練ができなくなり、子供の身体機能が後退した。
・婚約破棄、離婚になった。
3.その他の損害賠償の項目を補完するような場合
過去の判例では次のものがあります。
女性が腕に外貌醜状を負ったが、労働能力の喪失は認められず、逸失利益(将来的に得られたはずの利益、収入)が否定されたが、慰謝料の増額は認められた。
(大阪地裁平成11年8月31日判決)
死亡事故で受け取ることができる慰謝料以外の損害項目
死亡事故の場合、死亡慰謝料のほかに次の項目で損害賠償を受けることができます。
1.葬儀関係費用
・自賠責保険から支払われるのは定額で60万円。
これを超えた場合は、「社会通念上、必要かつ妥当な実費」として100万円まで認められます。
・加害者側の任意保険会社が提示してくる金額は、おおよそ120万円以内。
弁護士に依頼して訴訟を起こした場合、裁判で認められる上限金額は原則150万円になります。
増額解決事例⑥:83歳女性の慰謝料と葬儀費用が増額
83歳の女性が道路を横断中、直進してきた自動車に衝突された死亡事故です。
ご遺族が、今後の損害賠償の示談交渉について、みらい総合法律事務所の無料相談を利用し、そのまま示談交渉のすべてを依頼されました。
弁護士が加害者側の任意保険会社と交渉すると、死亡慰謝料が弁護士(裁判)基準の上限である2500万円に増額。
葬儀費用も、相場の上限金額150万を超える206万円で合意し、最終的には約2909万円で解決した事例です。
2.死亡逸失利益
・逸失利益とは、被害者の方が生きていれば将来に得られたはずのお金、収入です。
(年収)×(就労可能年数に対するライプニッツ係数)×(1-生活費控除率)=(死亡逸失利益)
・年収は、事故前年の年収を基本とします。
・就労可能年数は、原則として18歳から67歳。
・ライプニッツ係数とは、現在と将来ではお金の価値に変動があるため、その差額を現時点で調整するために使われるもの。
ライプニッツ係数の算出は複雑なため、あらかじめ定められていいます。
(※民法改正により、2020年4月1日以降に起きた交通事故の場合は、ライプニッツ係数の率は3%となり、以降は3年ごとに見直されるようになっている)
【参考情報】厚生労働省「就労可能年数とライプニッツ係数表」
・生活費控除率は、おおよその目安が決められています。
被害者が一家の支柱で被扶養者が1人の場合 | 40% |
---|---|
被害者が一家の支柱で被扶養者2人以上の場合 | 30% |
被害者が女性(主婦、独身、幼児等含む)の場合 | 30% |
被害者が男性(独身、幼児等含む)の場合 | 50% |
- 被害者が一家の支柱で被扶養者が1人の場合
- 40%
- 被害者が一家の支柱で被扶養者2人以上の場合
- 30%
- 被害者が女性(主婦、独身、幼児等含む)の場合
- 30%
- 被害者が男性(独身、幼児等含む)の場合
- 50%
増額解決事例⑦:53歳男性の逸失利益等が増額して示談成立
53歳男性(自営業)が道路を横断歩行中、直進してきた自動車に衝突された死亡事故です。
事故後、ご遺族はすぐに、みらい総合法律事務所に依頼。
弁護士は、まず自賠責保険に被害者請求したうえで、加害者側の任意保険会社との示談交渉を開始しました。
被害者の方の申告所得額が少なかったため、逸失利益が争点になりました。
弁護士は、被害者の方が家事に従事していたことから平均賃金による死亡逸失利益を主張。
最終的にはこれが認められ、自賠責保険金を含め約5150万円で示談解決となりました。
3.弁護士費用
示談交渉が決裂した場合、弁護士に依頼して裁判に入りますが、最終的に判決までいった場合、裁判で認められた損害賠償金額の10%程度を相当因果関係のある損害として、弁護士費用相当額が加算されます。
なお、裁判で判決までいくと、遅延損害金というものも加算されるので、ご遺族が受け取る金額はさらに増額します。
相談者の中には、「裁判まではしたくない」という方もいらっしゃるのですが、最終的に受け取ることができる金額が増額するので、裁判も検討してみることをおすすめします。
死亡事故では過失割合も重要になる
前述したように、交通死亡事故ではさまざまな理由、要因によって死亡慰謝料の金額が変わってきます。
そうした中でも、ご遺族の方には過失割合に注意していただきたいと思います。
というのは、示談交渉では被害者側が不利になる可能性があるからです。
示談交渉では、被害者側と加害者側がそれぞれ主張を展開していくわけですが、死亡事故の場合、被害者の方は亡くなっているため主張立証することができません。
すると、加害者の主張を中心に展開されてしまうことも多いため、被害者側が不利になってしまうケースが多いのです。
対応策としては、事故の目撃者の確保、ドライブレコーダーの映像を使用するなどあります。
しかし現実問題として、ご遺族が単独で保険と損害賠償実務のプロである保険会社の担当者と対等以上に交渉をしていくことは、かなり難しいと言わざるを得ません。
ですから、ご遺族としても交渉のプロ、法律のプロである交通事故に強い弁護士に相談・依頼することも大切になってくるのです。
増額解決事例⑧:36歳男性の損害賠償金が3倍に増額
36歳男性が酒に酔って路上で寝ていて、自動車にひかれ死亡した交通事故です。
ご遺族はまず自賠責保険に被害者請求をして3000万円を受領。
その後、加害者側の任意保険会社と交渉したところ、300万円の提示を受けました。
ご遺族は、みらい総合法律事務所に示談交渉のすべてを依頼。
弁護士が代理人として交渉したところ、保険会社は被害者の方の過失割合を70%と主張して譲らなかったため、弁護士が提訴しました。
裁判では被害者の方の過失割合が40%となり、3倍増額の900万円で解決した事例です。
最終的にご遺族が受け取った金額は3900万円です。
死亡事故は弁護士に相談・依頼するという選択
ここまで、交通死亡事故で慰謝料の増額を獲得するためのポイントについてお話ししてきました。
・加害者側が主張してくる過失割合に注意
・慰謝料の増額理由があるか確認
・弁護士(裁判)基準での解決を目指す
・示談交渉で被害者側の主張を加害者側に認めさせる
ただ、現実的に考えていただきたいのです。
・これまで多額の金額に関する交渉をしたことがありますか?
・交通死亡事故に関する法律、保険、医学などの知識をお持ちでしょうか?
・精神的に多大な苦痛と損害を被り、そのうえで厳しい示談交渉を続けていく覚悟はあるでしょうか?
やはり、被害者のご遺族のみなさんには、交通事故に精通した弁護士に相談・依頼する選択を検討していただきたいと思うのです。
みらい総合法律事務所では随時、無料相談を受け付けています。
まずは一度、ご相談下さい。
・交通事故を弁護士に相談しないと損をする7つの理由
・【交通事故】弁護士に相談・依頼するベストのタイミング
・【交通事故】死亡事故の実際の解決事例集
参考サイト:
交通事故で弁護士に依頼して慰謝料が大きく増額した10の事例
https://www.jikosos.net/basic/basic6/zougaku10
交通事故の被害者が保険金と慰謝料を増額させる方法
https://www.jikosos.net/basic/basic6/hokenkin
交通事故の慰謝料を相場以上に増額させる方法
https://www.jikosos.net/basic/basic6/isyaryouzougaku
【弁護士基準】交通事故の慰謝料をできるだけ高額で示談する方法とは?
https://www.jikosos.net/basic/basic6/jidan-hou
あなたの慰謝料が少ない5つの理由/増額する方法
https://www.jikosos.net/basic/basic6/isharyou5reason
解決実績
https://jikosos.jp/age/age50/20200720_11986
https://jikosos.jp/topics/20211115_14234
https://jikosos.jp/topics/sibou/20200615_11842
https://jikosos.jp/topics/20220411_14419
https://jikosos.jp/topics/20220509_14438
https://jikosos.jp/topics/20220404_14413
https://jikosos.jp/topics/20211004_14212
https://jikosos.jp/topics/sibou/20201124_12324