交通事故の加害者が任意保険に加入していないのですが、どうしたらいいですか?

最終更新日 2015年 09月29日
執筆:みらい総合法律事務所 弁護士 谷原誠

交通事故の加害者が任意保険に加入していないときの問題について、弁護士が解説します。

自動車保険には、自賠責保険と任意保険があります。

自賠責保険は、正確には、「自動車損害賠償責任保険」と言い、自動車損害賠償保障法5条で加入が義務づけられている強制保険です。加入していない場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金という罰則があります(自動車損害賠償保障法86条の3)。

自賠責保険は、交通事故のうち、人身事故の被害者を救済するために作られた保険であるため、人身事故の場合のみ適用され、物損は対象になりません。支払限度額は、死亡による損害の場合3000万円、傷害による損害の場合120万円、介護を要する後遺障害の場合4000万~3000万円、その他の後遺障害の場合、1級から14級の後遺障害等級に応じて3000万円~75万円です。

自賠責保険は必要最低限の保障のため、実際の交通事故では、自賠責保険だけではカバーしきれない場合が多く発生します。その場合に備えて加入するのが、任意保険です。

任意保険は、各損害保険会社が様々な内容での保険プランを提供しており、契約によって保険金額と補償内容が異なります。対人賠償だけではなく、対物賠償もありますので、物損事故にも対応できます。

任意保険は、自賠責保険でカバーしきれない部分を補うものですので、交通事故による損害賠償金額が自賠責保険金額を上回る場合にのみ、その上回る部分について支払われます。

加害者が任意保険に加入していない場合、損害額が自賠責保険の上限額を超え、加害者自身にも損害を賠償する資力がない場合の被害者への賠償が問題となります。

このような場合には、交通事故の被害者自身が加入している自動車の任意保険の「人身傷害補償保険」を使うことになります。

人身傷害補償保険とは、被保険者が、被保険自動車や他の自動車に搭乗中の事故や、歩行中の交通事故により傷害を被った場合に、約款で規定された基準に従って算定された損害額が支払われる保険です。過失割合が決定していない場合や、相手方との示談交渉などが済んでいない場合でも、支払いを受けることができます。

ただし、約款で規定されている支払金額は、裁判をした場合に認められうる金額が掲載されている「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」(赤い本)の基準よりは低い金額となっています。

なお、人身傷害補償保険は、人身事故の場合のみ適用されるので、物損の場合は使えません。この場合でも、被害者自身が加入している任意保険に、「車両保険」がついていれば、被保険者の自動車に生じた損害額を支払ってもらうことができます。

以上、交通事故の加害者が任意保険未加入の場合にどうするか、について弁護士が解説しました。

交通事故の加害者が任意保険に入っていないような場合には、弁護士にご相談ください。

「交通事故の被害者が弁護士に相談すべき7つの理由と2つの注意点」は、こちらです。
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