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人身傷害保険|交通事故で慰謝料も受け取れる保険

最終更新日 2024年 03月14日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

人身傷害補償保険は、交通事故でどのような場合に使えるのか?

交通事故の自動車保険


交通事故で被害を被った場合には、被害者は、加害者に対して損害賠償請求をします。

損害には、治療費や休業損害などのほか、後遺症が残った場合には、後遺症慰謝料や逸失利益を請求することができます。

逸失利益と言うのは、将来の収入源に対応する損害です。

後遺症には様々な種類があり、重い後遺症の場合には、寝たきりになることもあり、その場合には、損害額が1億円を超えるケースも多くあります。

また、死亡事故の場合にも、慰謝料等損害賠償金は高くなります。

そのような場合に、運転手個人に損害賠償を請求しても、個人の財力には限りがあるため、被害者は、損害賠償金を全額もらえない可能性があります。

そのため、自動車保険が用意されています。

自動車保険には、自賠責保険と任意保険があります。

自賠責保険は、法律で加入が義務付けられた分けて、人身事故の場合に適用され、必要最小限度の金額が補償されます。

したがって、自賠責保険だけでは、被害者が損害を全額補償することができないことが多いため、自動車の保有者は、任意保険に加入することが通常です。

加害者が、任意保険に加入している場合には、示談交渉は、対人賠償保険会社と行うのが通常です。

対人賠償保険の限度額が無制限であれば、被害者が被った損害は全額填補されることになります。

ところが、加害者が、任意保険に加入していないような場合もあります。

その際に、被害者の損害を填補してくれる保険に、被害者側で加入している人身傷害保険(人身傷害補償保険)と言うものがあります。

【参考記事】
交通事故における「一括払制度」とは?

人身傷害保険(人身傷害補償保険)とは


人身傷害保険とは、被保険者が、被保険自動車や他の自動車に搭乗中の交通事故や、歩行中の交通事故により傷害を被った場合に、約款で規定された基準に従って算定された損害額が支払われる保険です。

最大の特徴は、被保険者の損害賠償責任の有無や過失の程度を問わずに支払いを受けることができる点です。したがって、交通事故で過失割合が決定していない場合や相手方との示談交渉などが済んでいない場合でも、支払いを受けることができます。

また、対人賠償保険会社は、被害者の過失部分について過失相殺によって損害賠償金を減額して支払います。

しかし人身傷害保険は被害者の過失割合に関係なく支払われます

人身傷害保険は、保険の自由化に伴って、平成10年に発売されたのが最初になります。

ただし、支払を受けられる金額は、加害者に対して法律上請求できる金額ではなく、保険約款が定められた金額で、裁判基準の金額よりは低い金額になっているのが通常です。

また、保険会社によって人身傷害保険の内容が異なっていますので、よく約款を確認することが重要となります。

人身傷害保険は、

・被保険者が被保険自動車や他の車両に搭乗中か、あるいは歩行中に、「急激かつ偶然な外来の事故」により身体に傷害を受けた時に適用されます。

「急激」というのは、突発的な事故のことを言います。

「偶然な」というのは、予知不可能な原因から傷害が発生することを言います。

そして、以下のいずれかに該当することを要件とします。

  1. 自動車(原動機付自転車を含む)の運行に起因する急激かつ偶然な外来の事故
  2. 被保険自動車の運行中の、飛来又は落下してきた物との衝突
  3. 被保険自動車の運行中の火災又は爆発
  4. 被保険自動車の運行中の落下

 

したがって、たとえば、自動車を運転して交差点で正面から来た右折自動車に衝突されたような、通常の交通事故は、人身傷害保険の適用がある、ということになります。

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人身傷害保険に慰謝料を請求する利点


通常の場合、交通事故の加害者等は、自賠責保険と任意保険に加入しています。

この場合には、相手方保険会社から慰謝料を全額受け取ることができます。

では、人身傷害保険の利点とは、なんでしょうか。

示談交渉せずに迅速に支払を受けられる

相手方の任意保険会社から慰謝料の支払を受けるには、保険会社と示談交渉をして、示談を成立させなければなりません。

過失割合など争点がある場合には、示談交渉が長引きますし、場合によっては裁判で何年もかかる可能性があります。

しかし、人身傷害保険金は、当該保険会社の計算方式に従って計算されますので、迅速に支払いを受けることができます。

相手方保険会社との示談交渉の注意点について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

【参考記事】
交通事故の示談交渉で被害者が避けておきたい7つのこと

過失相殺をされない


相手方の任意保険会社と示談交渉をする場合、被害者に過失があるときは、過失相殺を主張されます。

たとえば、損害額が1000万円、過失割合が、加害者60%、被害者40%、という場合には、慰謝料の額は、600万円、ということになります。

しかし、人身傷害保険は、過失部分も支払ってくれますので、過失相殺されることがありません。

被害者に過失がある場合、特に過失が大きい場合には、大変メリットのある保険です。

過失相殺について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

【参考記事】
図解で解説!交通事故の過失割合と過失相殺で損をしないために大切なこと

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加害者の任意保険がない場合

通常の場合は、加害者は、任意保険に加入しています。

しかし、中には、任意保険に加入していない加害者もいます。

そのような場合には、自賠責保険に請求し、不足分を加害者個人に請求していくことになります。

しかし、個人では資力に乏しい場合が多く、損害を回収できないことが多いでしょう。

人身傷害保険は、そのような場合でも慰謝料などの保険金を支払ってくれます。

その上で、保険金を支払った人身傷害保険会社が、相手方に請求していくことになります。

このような加害者が任意保険に加入していない場合に、人身傷害保険の大きなメリットが発揮できるでしょう。

加害者に任意保険がない場合の対応方法について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

【参考記事】
交通事故の加害者が無保険(任意保険なし)の場合どうするか?

自損事故の場合


自損事故の場合には、加害者がいません。

したがって、慰謝料を請求していく相手がいません。

しかし、人身傷害保険は、自損事故にも対応していますので、損害を補償してくれます。

なお、この場合には、自損事故保険や搭乗者傷害保険も検討するようにしましょう。

各種自動車保険について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

【参考記事】
交通事故で保険金はいくらもらえる?相場と計算を徹底解説

被保険者と請求できる人

被保険者

人身傷害保険の被保険者は、一般的に、以下のとおりです。

(1)保険証券記載の被保険者(記名被保険者)

(2)記名被保険者の配偶者

(3)記名被保険者またはその配偶者の同居の親族

(4)記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子

(5)被保険自動車に搭乗中の者

(6)上記(1)~(4)以外の者で、(1)~(4)の者が運転する被保険自動車以外の自動車に搭乗中の者(ただし、(1)~(4)の者の使用者の業務のための運転であり、かつ、その自動車が使用者の所有するものである場合を除く)

(7)上記以外の者で、被保険自動車の保有者

(8)上記以外の者で、被保険自動車の運転者

但し、上記に当てはまっても、次の者は除かれます。

・極めて異常かつ危険な方法で搭乗中の者

・業務として自動車等を受託している自動車取扱業者

人身傷害保険金を請求できる人

次に、誰が人身傷害保険の保険金を請求できるか、ですが、以下の人が請求できます。

(1)被保険者(被保険者死亡の場合はその法定相続人)

(2)被保険者の父母、配偶者、子

 

人身傷害保険の慰謝料など保険金額


交通事故の被害に遭った時、被害者は、加害者側の任意保険会社と示談交渉し、示談金を受け取ることができます。

また、示談交渉をせずに、自ら契約する保険会社に人身傷害保険金を請求することにより、迅速な補償を受けることもできます。

加害者側の任意保険会社から受け取る示談金は、法律上の損害賠償額ということになりますが、被害者側に過失がある場合には、過失相殺がされることになります。

他方、人身傷害保険は、過失相殺されません。しかし、人身傷害保険における慰謝料などの保険金額は、法律上の損害賠償額とイコールではなく、当該保険会社の計算基準によって計算された金額ということになります。

そして、多くの場合に、人身傷害保険金よりも、加害者側の保険会社から支払われる法律上の損害賠償額の方が高額です。

そこで、被害者としては、まず加害者側の保険会社に法律上の慰謝料など損害賠償額の請求をして、示談金の支払いを受け、その後、自分の過失分を人身傷害保険に請求する、という方法をとることができます。

また、人身傷害保険に先行して慰謝料など保険金を請求し、その後、不足分を加害者側の任意保険会社に請求する、という方法をとることもできます。

どちらを先行した方が得なのか、については、難しい問題なので、交通事故に精通した弁護士に相談するようにしましょう。

交通事故を弁護士に相談するメリットとデメリットについて、もっと詳しく知りたい方は、以下の動画を参考にしてください。

【動画解説】 交通事故被害者が弁護士に依頼するメリット・デメリット

人身傷害保険の免責事由

人身傷害保険には、「免責事由」が定められており、保険金の支払いを受けられない場合があります。

自動車事故に主に関係するものとしては、以下のものがあります。

  • ・被保険自動車の競技・曲技使用による損害
  • ・被保険者または保険金受取人の故意又は重大な過失によって生じた損害
  • ・被保険者の闘争行為、自殺行為又は犯罪行為によって生じた損害
  • ・被保険者の無免許運転による損害
  • ・麻薬等の影響により正常な運転ができないおそれがある状態で被保険自動車を運転している場合に生じた損害
  • ・被保険者の酒気帯び運転中に生じた損害
  • ・被保険者が、自動車等の使用について、正当な権利を有する者の承諾を得ないで搭乗した場合の損害
  • ・被保険者の脳疾患、疾病又は心神喪失による損害

人身傷害保険金の請求方法


人身傷害保険に加入している場合、被害者は、加害者側の対人賠償保険会社と交渉してもいいし、先に人身傷害補償保険から保険金を受け取ることもできます。

対人賠償責任保険外車は、被害者に対し、自賠責保険金分も含めた損害賠償額全額を支払うことがあります。

これを一括払いといいます。

一括払いをした対人賠償保険会社は、被害者に対して示談金を支払った後、自賠責保険会社に対して、加害者請求をして、自賠責保険分を回収します。

人身傷害保険会社が、被害者に対して、保険金を支払った後も、自賠責保険分について、自賠責保険会社に対して請求をします。

この請求は、加害者請求ではなく、被害者の損害賠償請求権の代位取得となります。

 

人身傷害補償保険に関する最高裁判決

人身傷害補償保険に基づく保険金請求権と加害者に対する損害賠償請求権との関係について、人身傷害保険金を支払った保険会社がによる損害賠償請求権の代位取得の範囲等が争われた事案について、最高裁平成24年2月20日判決は、次のように判示しています。

「保険会社は保険金請求権者の権利を害さない範囲内に限り保険金請求権者の加害者に対する損害賠償請求権を代位取得する旨の定めがある自動車保険契約の人身傷害条項の被保険者である被害者に過失がある場合において、上記条項に基づき被害者が被った損害に対して保険金を支払った保険会社は、上記保険金の額と被害者の加害者に対する過失相殺後の損害賠償請求権の額との合計額が民法上認められるべき過失相殺前の損害額を上回る場合に限り、その上回る部分に相当する額の範囲で保険金請求権者の加害者に対する損害賠償請求権を代位取得する。」

 
【参考記事】
裁判例結果詳細

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