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人身傷害補償保険は、交通事故でどのような場合に使えるのか?

最終更新日 2021年 07月16日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

人身傷害補償保険は、交通事故でどのような場合に使えるのか?

交通事故の自動車保険

交通事故で被害を被った場合には、被害者は、加害者に対して損害賠償請求をします。

損害には、治療費や休業損害などのほか、後遺症が残った場合には、後遺症慰謝料や逸失利益を請求することができます。

逸失利益と言うのは、将来の収入源に対応する損害です。

後遺症には様々な種類があり、重い後遺症の場合には、寝たきりになることもあり、その場合には、損害額が1億円を超えるケースも多くあります。

また、死亡事故の場合にも、慰謝料等損害賠償金は高くなります。

そのような場合に、運転手個人に損害賠償を請求しても、個人の財力には限りがあるため、被害者は、損害賠償金を全額もらえない可能性があります。

そのため、自動車保険が用意されています。

自動車保険には、自賠責保険と任意保険があります。

自賠責保険は、法律で加入が義務付けられた分けて、人身事故の場合に適用され、必要最小限度の金額が補償されます。

したがって、自賠責保険だけでは、被害者が損害を全額補償することができないことが多いため、自動車の保有者は、任意保険に加入することが通常です。

加害者が、任意保険に加入している場合には、示談交渉は、対人賠償保険会社と行うのが通常です。

対人賠償保険の限度額が無制限であれば、被害者が被った損害は全額填補されることになります。

ところが、加害者が、任意保険に加入していないような場合もあります。

その際に、被害者の損害を填補してくれる保険に、被害者側で加入している人身傷害保険と言うものがあります。

【参考記事】
交通事故における「一括払制度」とは?

人身傷害補償保険とは


人身傷害補償特約とは、被保険者が、被保険自動車や他の自動車に搭乗中の交通事故や、歩行中の交通事故により傷害を被った場合に、約款で規定された基準に従って算定された損害額が支払われる保険です。

最大の特徴は、被保険者の損害賠償責任の有無や過失の程度を問わずに支払いを受けることができる点です。したがって、交通事故で過失割合が決定していない場合や相手方との示談交渉などが済んでいない場合でも、支払いを受けることができます。

また、対人賠償保険会社は、被害者の過失部分について過失相殺によって損害賠償金を減額して支払います。

しかし人身傷害保険は、被害者の過失割合に関係なく支払われます。

人身傷害保険は、保険の自由化に伴って、平成10年に発売されたのが最初になります。

ただし、支払を受けられる金額は、加害者に対して法律上請求できる金額ではなく、保険約款が定められた金額で、裁判基準の金額よりは低い金額になっているのが通常です。

また、保険会社によって人身傷害保険の内容が異なっていますので、よく約款を確認することが重要となります。

一般的に、被保険者として認められる者は以下のとおりです。

・保険証券記載の被保険者(記名被保険者)
・記名被保険者の配偶者
・記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
・記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子
・被保険自動車に搭乗中の者

被保険者に該当したとしても、人身傷害保険から支払いを受けられない場合は主に下記の通りです(約款ごとの相違点はありますので、約款をご確認ください)。

・被保険者が他の自動車に搭乗中の場合で、他の自動車が、二輪自動車あるいは原動機付自動車の場合
・被保険者が他の自動車に搭乗中の場合で、他の自動車が、記名被保険者及びその配偶者、またはこれらの者の同居の親族が所有する自動車である場合
・被保険者が他の自動車に搭乗中の場合で、被保険者が、被保険者の使用者の業務のために、その使用者の所有する他の自動車に搭乗中の場合

人身傷害保険金の請求方法

人身傷害保険に加入している場合、被害者は、加害者側の対人賠償保険会社と交渉してもいいし、先に人身傷害補償保険から保険金を受け取ることもできます。

対人賠償責任保険外車は、被害者に対し、自賠責保険金分も含めた損害賠償額全額を支払うことがあります。

これを一括払いといいます。

一括払いをした対人賠償保険会社は、被害者に対して示談金を支払った後、自賠責保険会社に対して、加害者請求をして、自賠責保険分を回収します。

人身傷害保険会社が、被害者に対して、保険金を支払った後も、自賠責保険分について、自賠責保険会社に対して請求をします。

この請求は、加害者請求ではなく、被害者の損害賠償請求権の代位取得となります。

人身傷害補償保険に関する最高裁判決


人身傷害補償保険に基づく保険金請求権と加害者に対する損害賠償請求権との関係について、人身傷害保険金を支払った保険会社がによる損害賠償請求権の代位取得の範囲等が争われた事案について、最高裁平成24年2月20日判決は、次のように判示しています。

「保険会社は保険金請求権者の権利を害さない範囲内に限り保険金請求権者の加害者に対する損害賠償請求権を代位取得する旨の定めがある自動車保険契約の人身傷害条項の被保険者である被害者に過失がある場合において、上記条項に基づき被害者が被った損害に対して保険金を支払った保険会社は、上記保険金の額と被害者の加害者に対する過失相殺後の損害賠償請求権の額との合計額が民法上認められるべき過失相殺前の損害額を上回る場合に限り、その上回る部分に相当する額の範囲で保険金請求権者の加害者に対する損害賠償請求権を代位取得する。」

【参考記事】
裁判例結果詳細