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交通事故における任意保険の「一括払い制度」とは?

最終更新日 2021年 08月06日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

交通事故における「一括払制度」とは?

一括払い制度とは

対人賠償保険には、自賠責保険と任意保険があります。

自賠責保険は、人身傷害の場合の最低限の保障をするための保険であり、法律により加入が義務づけられています。

任意保険は、自賠責保険の上積みの保険です。2つの保険は、別の保険ですから、被害者は、本来、自賠責保険と任意保険に対して、それぞれ請求を行うことになります。

しかし、それでは煩雑であり、被害者保護にかけることから、対人賠償保険会社から、自賠責保険金を含めて慰謝料などの損害賠償額を一括して支払い、その後、対人賠償保険会社が自賠責保険会社に対して加害者請求として求償を行うということが行われます。

これが一括払い制度です。

たとえば、自賠責保険及び任意保険に加入している自動車で交通事故を起こし、被害者を負傷させ、その損害賠償額が300万円である場合、傷害の場合の自賠責保険金の限度額は120円ですので、被害者は、120万円を自賠責保険に請求し、残りの180万円を任意保険に請求しなければなりません。

しかし、それでは交通事故の被害者に手間がかかりますので、任意保険会社が、交通事故の損害賠償金300万円を一括で被害者に支払い、自賠責保険金の120万円については、任意保険会社から自賠責保険会社に対して求償をして支払ってもらうという方法をとる、ということです。

こうすることで、被害者の手間が省けますので、交通事故の処理では一般的に行われています。交通事故で受傷した場合、加害者側の任意保険会社の担当者から連絡がきて、治療費や休業損害の支払い、示談交渉などの対応を行うのは、この任意一括制度に基づいているわけです。

一括払い制度は、法律や保険約款に決められたものではなく、対人賠償保険会社のサービスとして行われるものです。

被害者と対人賠償保険会社との交渉がつかない場合には、被害者が、まず自賠責保険に対して被害者請求を行い、自賠責保険金を取得してから、残りの部分を、裁判により損害賠償額を確定するような場合もあります。

【参考記事】
「任意・自賠一括仮払決済システム」一般社団法人日本損害保険協会

内払い制度


また、対人賠償保険では、内払い制度があります。

交通事故の被害者が、対人賠償保険会社から損害賠償金を払ってもらうには、損害賠償額を確定する必要があります。

損害賠償額を確定するためには、ケガの場合には、治療を終了しなければなりません。

治療を終了した時に障害が残っていた場合には、後遺症部分の損害を計算できるように、自賠責後遺障害等級を受ける必要があります。

自賠責後遺障害等級は間違っていることがあるので、その場合には、異議申立をし、後遺障害等級を確定させて、はじめて損害賠償額を計算することができます。

さらに、示談が成立すればいいのですが、場合によっては、裁判をして和解や判決により損害賠償額が確定する必要があります

しかし交通事故によって怪我をした被害者は、病院に対して治療費を支払ったり、働けなくなることによる休業損害が発生したりなど生活費や支払に困ることが少なくありません。

そこで、対人賠償保険会社が、損害賠償額が確定する前に、治療費や休業損害等の支払いをするのが内払い制度です。

内払いの対象となるのは、治療費、入院雑費、通院交通費、休業損害など、損害確定前に支出を余儀なくされる費用です。

内払い制度は、あくまでも当座の支払いなので、後遺症による逸失利益や慰謝料等は内払いの対象にはなりません。

また、被害者の過失割合が高い場合、保険会社が損をしないように、内払いの金額を制限してくる場合もあります。

任意保険会社が一括払いを行う場合、その後自賠責保険にその立替分を求償することになりますが、もし自賠責保険の支払対象とならない部分まで支払ってしまうと、任意保険会社が損をすることになってしまいます。

そこで、その損害が自賠責保険の支払対象になるかどうか、後遺障害の程度(等級)等を自賠責保険に事前に確認しておくことが必要になります。これを事前認定といいます。

事前認定

対人賠償保険会社の一括払い制度は、対人賠償保険会社が、被害者に自賠責保険金を含めて損害賠償額を支払い、その後、自賠責保険会社に対し立て替えて支払った金額を求償する制度です。

その場合に、対人賠償保険会社と自賠責保険会社の調査に食い違いがあった場合には、自賠責保険会社は支払いを拒否します。

そのようなことを回避するために、対人賠償保険会社は、被害者に対して支払いをする前に、自賠責保険会社に、自賠責保険会社が加害者の賠償責任を認めるのか、被害者に重過失減額があるのか、後遺障害の有無及びその程度に対して自賠責保険会社に調査を依頼し確認しておくこととされます。

これが事前認定と言われるものです。

事前認定における「事前」というのは、自賠責保険に対して請求を行う前に認定を受けるという意味で事前にでと言われます。

後遺障害等級の認定を受けるには、被害者が直接手続きをする被害者請求と事前認定の2種類があります。

事前認定は、対人賠償保険会社が行うものなので、被害者が手続きをすることなく認定を受けることができます。

被害者請求


これに対し、被害者が自分で自賠責保険に損害賠償額の請求する際に、自賠責後遺障害等級認定を受ける手続もあります。

これが被害者請求です。

被害者請求では、被害者が後遺障害診断書などに資料を自分で収集し、自賠責保険会社に提出する必要があります。

後遺障害等級に該当するかどうかを判定するのは、損害保険料率算出機構という団体です。

等級が間違っている場合には、異議申立をすることもできます。

【参考情報】
「当機構で行う損害調査」損害保険料率算出機構

人身傷害保険の一括払い


人身傷害保険は、被害者側が加入する保険です。

人身傷害保険がある場合には、被害者は、対人賠償保険会社から支払いを受ける前に人身傷害保険会社から保険金を受け取ることもできます。

その場合、対人賠償保険と同じように、人身傷害保険会社が、自賠責保険金分を含めて保険金を支払う制度があります。

これが人身傷害保険の一括払い制度です。

対人賠償責任保険による自賠責保険の求償は、加害者請求ですが、人身傷害保険会社による自賠責保険への請求は被害者の損害賠償請求権の代位取得によるものです。

人身傷害保険会社が、被害者に対し、支払をする場合にも、後日、自賠責保険会社に請求をすることから、事前認定を行うことになります。

【参考情報】
人身傷害補償保険は、交通事故でどのような場合に使えるのか?

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