交通事故の示談交渉で被害者が避けておきたい7つのこと


交通事故の被害者が損害賠償金を受け取るためには示談交渉をしなければいけません。

しかし、交通事故は人生でそう何度もあうわけではないため、示談交渉は初めての体験という人がほとんどでしょう。

実際、示談交渉には、入る前、示談交渉中、示談成立後でさまざまな手続きが必要なため、後遺症を抱えて精神的にも肉体的にもつらい被害者にとっては厄介なものです。

また、大切なご家族を交通事故で亡くしてしまった死亡事故のご遺族には辛いものとなるでしょう。

そこで今回は、示談交渉で被害者が避けておきたいことについて解説します。
 

示談交渉とは?

示談とは、交通事故が起きた場合に被害者と加害者の間で問題となる次のことを、話し合いによって解決をして、和解することです。

  • どのような損害が生じたのか?
  • その損害額はいくらになるのか?
  • 支払い方法はどのようにするのか?

示談交渉とは、裁判のように争って白黒決着をつけるものではありません。

基本的には、交通事故の当事者同士がお互いに話し合い、譲歩しながら、損害賠償の内容を決定していくプロセスです。

話し合いで、すんなり合意でき、和解に至ればいいのですが、多くの場合でスムーズに事が運ばないということが起こります。

被害者としては、突然の交通事故で、それまでの生活や健康な体を奪われるのですから、簡単に納得できるものではないでしょう。

しかし、いずれにせよ最終的に損害賠償問題は解決させる必要のあるものとは理解しておいてください。
 

示談解決までの流れとは?

通常、交通事故が発生してから示談が成立して交渉が終了するまでには次のような流れで事が進んでいきます。

  1. 交通事故が発生
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  2. 事故状況や相手(加害者)の身元の確認
        ▼
  3. 警察への通報、実況見分調書の作成
        ▼
  4. 加害者、被害者双方の保険会社への通知
        ▼
  5. ケガの治療
        ▼
  6. 治療完了により症状固定
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  7. 後遺障害等級の認定により賠償損害額確定
        ▼
  8. 加害者側の保険会社と示談交渉
        ▼
  9. 示談成立、法的手続き
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  10. 決裂した時は紛争処理機関、法的機関へ

交通事故が発生してから、解決までに被害者が何をしなければならないか、小冊子にまとめています。無料ですので、ぜひ手に入れてください


 

示談交渉に入る前にやるべきこととは?

上記「示談解決までの流れ」を見れば、示談交渉に入る前に被害者がやっておく必要があることがわかります。

  • 警察に通報する
  • 加害者の身元を確認する
  • 警察の実況見分調書の作成に協力する
  • 被害者と加害者の双方の保険会社へ連絡する
  • 入通院等でケガの治療をする

当たり前のことのように思うでしょうが、交通事故被害にあった当初は心が動揺しているものですから、どれかが抜け落ちてしまうこともあります。

まずはご自身のために、必要なことはしっかり行なうようにしましょう。

 

加害者側の保険会社の言い分をうのみにしないように

ケガの治療を行なったものの、残念なことに完治しない、これ以上治療を続けても回復の見込みがない、ということがあります。

その場合は主治医から「症状固定」の判断を受けることになります。

これ以降、体に残った不具合は後遺症となります。

ところで、ケガの治療中に加害者側の保険会社から連絡が来ることがあります。

電話口で担当者は、こんなことを言うかもしれません。

今月で治療費の支払いを打ち切りたいと思うので、そろそろ症状固定としてください

これは要注意です! こうした話を、うのみにしてはいけません。

被害者の治療費や入院費を支払うのは、加害者が加入している任意保険会社のことが多いのですが、保険会社としては、早く治療費を確定させ、示談交渉に入りたいのでこんなことを言っている可能性があります。

注意しすべきは、症状固定となると、原則として症状固定日以降に治療を行なった場合の治療費や交通費、休業損害などを加害者側に請求することができなくなってしまうことです。

症状固定については、保険会社ではなく、主治医としっかり話し合って判断するようにしてください。
 

後遺障害等級の認定の前に示談交渉を始めるのは避ける

症状固定となった場合、被害者は自賠責後遺障害等級の認定を受けなければいけません。

なぜなら、ご自身の後遺障害等級が認定されないと示談交渉を進めることができないからです。

しかし、中には

早く示談交渉を始めなければいけないのではないか

とか、

精神的、肉体的につらいから、面倒な交渉は早く終わらせてしまいたい

といったような理由から示談交渉を始めようとする人がいますが、それは得策ではありません。

というのは、ご自身の後遺障害等級が決定してからでないと、慰謝料などの正確な金額が出せないため、たとえ示談交渉したとしても、それが無駄になってしまうからです。

まずは焦らず、後遺障害等級の認定を受けてから示談交渉にのぞみましょう。

 

間違った等級認定の見逃しには注意が必要

自賠責後遺障害等級は1級から14級まであり、1級の方が障害が重いと判断されます。

後遺障害等級認定を受けると、ご自身の後遺症は後遺障害となり、その等級によって慰謝料などの損害賠償金額が決まります。

ところが、ここで見逃しに注意すべきことがあります。

自賠責後遺障害等級は、損害保険料率算出機構(損保料率機構)という専門の機関が認定するのですが、じつは、ご自身の自賠責後遺障害等級が間違って認定されることがあるのです。

間違った等級が認定されると、慰謝料などの損害賠償金額で大きな差が出てきてしまうのですから、これは避けなければいけません。

裁判基準による後遺障害慰謝料の相場金額

等級 保険金額
1級 2800万円
2級 2370万円
3級 1990万円
4級 1670万円
5級 1400万円
6級 1180万円
7級 1000万円
8級 830万円
9級 690万円
10級 550万円
11級 420万円
12級 290万円
13級 180万円
14級 110万円

上の表で見ると、仮に本来は2級の後遺障害の人が4級と認定されてしまった場合、後遺障害慰謝料だけで700万円もの差が出てしまうのです。
これは被害者にとっては大きな損失です。

後遺障害等級の認定には、主治医の診断書などさまざまな書類や文書を提出しなければいけないのですが、これらに不備や間違いがあると本来の等級とは違うものが認定されてしまうことがあるのです。

 

なお、後遺障害認定等級なしとされたり、認定された等級に不服がある場合は「異議申立」をすることができますので、必要であれば検討することをお勧めします。

 

後遺障害等級が正しいかどうか判断するには、専門知識が必要です。一度相談してみませんか?


 

損害賠償金の3つの基準を知らずに示談には注意が必要

ご自身の自賠責後遺障害等級が認定されると、いよいよ示談交渉が開始されます。

正しい後遺障害が認定される前に示談交渉を開始しないようにしてください。

示談交渉ではまず加害者側の任意保険会社から示談金の提示があります。

さて、損害賠償金を提示されて、あなたはそれを妥当な金額と思うでしょうか?

それとも低すぎると感じるでしょうか?

じつは、知らない人も多いのですが、示談交渉を開始して、保険会社から提示される損害賠償金は、本来被害者が手にすることができる金額よりも低く設定されていることが多いのです。

ですから、「金額が低すぎる」と感じることがあったら、あなたのその感覚が正しい可能性があります。

ほとんどの人は、示談交渉で提示された金額が適正な金額かどうか、判断できないでしょう。

無理もありません。

交通事故に遭うことなど、一生に一度あるかどうかなのです。

しかし、決して不要に示談書にサインをしてはいけません。

一度サインをすると、交通事故が解決したものとして、後で覆すことができなくなります。

そして、必ず適正な金額で示談しなければなりません。

なぜなら、後遺症の場合、示談金は、「失った身体の値段」であり、死亡事故の場合には、示談金は、「命の値段」だからです。

しかし、なぜ、保険会社、交通事故の示談交渉で適正な金額を提示してくれないのでしょうか。

それは、損害賠償金には3つの基準があるからです。

自賠責基準

まず、交通事故の被害者には加害者が加入している自賠責保険から損害賠償金が支払われることになります。

これは、自動車を運転する者は自賠責保険に加入しなければいけないと法律により義務付けられているからです。

自賠責法別表第1

第1級 4000万円
第2級 3000万円

自賠責法別表第2

第1級 3000万円
第2級 2590万円
第3級 2219万円
第4級 1889万円
第5級 1574万円
第6級 1296万円
第7級 1051万円
第8級 819万円
第9級 616万円
第10級 461万円
第11級 331万円
第12級 224万円
第13級 139万円
第14級 75万円

この表のように等級によって金額の基準が決まっており、これを自賠責基準といいます。

被害者が死亡した場合は3000万円、傷害による損害の場合は120万円、介護が必要な後遺障害が残った場合は4000万~3000万円が相場となっています。

その他の後遺障害の場合は、上記の表のように1級から14級の後遺障害等級に応じて3000万円~75万円となっています。

自賠責基準では被害者に対する補償として、最低限の金額が設定されています。

そのため、比較的ケガの程度が軽く、自賠責保険の範囲内で納まる場合には自賠責基準をもとに損害賠償金が算出されます。

しかし、自賠責保険ではカバーしきれない部分(足りない分)の損害賠償が発生する場合は、加害者が加入している任意保険から支払われます。

任意保険基準

すべてのドライバーは法律により自賠責保険への加入が義務付けられているわけですが、自賠責保険から支払われる保険金だけでは被害者への損害賠償金を賄えない場合があります。

そうした万が一の時のため、多くのドライバーは任意の自動車保険に加入する場合が多いと思いますが、それぞれの保険会社が内部で設定しているのが任意保険基準ということになります。

明確な基準が外部に公表されているわけではありませんが、自賠責基準と弁護士基準(裁判基準)の間で金額が設定されています。

保険会社は、それぞれの社内内部基準によって算出した損害賠償金を示談交渉において、被害者に提示してきます。

弁護士基準(裁判基準)

示談交渉が決裂して、裁判をした場合に認められる可能性が高いのが、この基準による金額です。

弁護士基準(裁判基準)は、実際の交通事故の裁判の事例から導き出された損害賠償金の基準ですから、法的根拠がもとになっています。

裁判所や弁護士は、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)という本に記載されている金額をもとに、損害賠償額を算定していきます。

3つの基準の中でもっとも金額が高いのが、この弁護士基準(裁判基準)になります。

そもそも被害者が受け取ることができる金額よりも低い金額が設定されているのが任意保険基準ですが、保険会社の担当者は保険のプロですから被害者がご自身で示談交渉して金額を上げる、つまり適正な金額にすることは非常に難しいものです。

そこで、被害者から依頼を受けた弁護士が代理人となり示談交渉をし、そこで合意が得られなければ訴訟を提起して裁判に突入するわけですが、ここで弁護士が主張するのが弁護士基準(裁判基準)で算出した損害賠償金となります。

ですから、被害者は保険会社から示談金額の提示があったからといって、簡単にそれを信じて示談書にサインをすることには注意が必要なのです。
 

損害賠償金額と項目を確認せず示談には注意が必要

示談交渉では、加害者側の任意保険会社から「損害賠償金額の計算書」が提示されますので必ずチェックをしてください。

ここには、損害賠償における各項目と金額が明記されていますが、本来あるべき項目が漏れている場合や金額が間違っている場合があるので注意が必要です。

損害賠償金の項目には次のようなものがあります。

治療費、付添費、将来介護費、入院雑費、通院交通費、装具・器具等購入費、家屋・自動車等改造費、葬儀関係費、休業損害、傷害慰謝料、後遺症慰謝料、逸失利益、修理費、買替差額、代車使用料 など

このように、じつは損害賠償金というのはひとつの項目ではなく、上記のようなさまざまな項目をまとめたものなのです。

ですから、示談交渉を進めていく際は「示談金」と呼び、保険会社から受け取る時に「保険金」という名称を使うことがあるのですが、これらはすべて損害賠償金と同義だということです。

なお、慰謝料というのは損害賠償項目の中のひとつということになります。

信じがたいことですが、これらの項目が抜けていたり、金額が間違っていることがあります。

そして、一度示談が成立してしまうと、あとから新たに請求することはできません。

ですから、損害賠償金額と項目を確認せず示談することには注意が必要なのです。
 

損害賠償請求の時効を忘れないように

示談交渉をしていて、損害賠償金額が納得がいかなければ、示談を成立させることはできません。

その際、注意すべきことのひとつに「消滅時効」の問題があります。

つまり、損害賠償請求にも時効があるということです。

自賠責保険に対する被害者請求の時効

  • 2010(平成22)年3月31日以前に発生した交通事故については、傷害・死亡の場合は事故日から2年、後遺障害がある場合は症状固定日から2年。
  • 2010(平成22)年4月1日以降に発生した交通事故については、傷害・死亡の場合は事故日から3年、後遺障害がある場合は症状固定日から3年。

 

加害者に対する損害賠償請求の時効

  • 加害者に対する損害賠償請求の時効は、「損害及び加害者を知った時」から3年。(民法第724条)
  • ひき逃げなどで加害者が特定できない場合、事故日から20年を経過すると時効により損害賠償請求権が消滅。
    仮に事故発生から2年後に加害者がわかった場合は、その時点から3年間で時効が成立する。
  • 後遺症が残った場合の時効は、被害者が症状固定した時点で初めて後遺障害を含む損害について知ることになるため、症状固定日から3年。

 
なお、時効が迫ってきた時に被害者ができることがあります。

それは、時効を中断させることです。

保険金請求の場合には時効経過前に保険会社から「時効中断承認書」という書類をもらえば時効を中断させることができます。

加害者に対する損害賠償請求の場合は、加害者から時効中断承認書をもらう、賠償金の一部支払いを受ける、裁判を起こす、などの方法により、時効を中断することができます。
 

示談交渉相手の保険会社を“味方”とは思わないでいただきたい

そしてもうひとつ、被害者の方にお伝えしたいのは、加害者側の保険会社を“味方”とは思わないでいただきたい。ということです。

前述の通り、示談交渉が始まると、加害者側の保険会社は任意保険基準によって算出した損害賠償金を被害者に提示してきます。

その時、担当者はこんなことをあなたに言うかもしれません。

当社の規定では最高の金額をご提示させていただきました

被害者としては、

「大手保険会社がいうことなのだから金額に間違いはないだろう」

とか、

「ここまで丁寧に対応してくれたのだから示談しないと申し訳ない」

などと考えてしまう方もいらっしゃいますが、それは正しい判断とはいえないかもしれません。

なぜなら、ここまでお話ししてきたように任意保険基準による示談金額は、場合によっては弁護士基準(裁判基準)の2分の1や3分の1、あるいは数十分の1という金額であることもあるからです。
 

保険会社は営利を追求する

なぜ、そのようなことが起こるのでしょうか。

それは、保険会社が株式会社の場合、その存在自体が営利目的であるためです。

株式会社は、営利を追及しなければなりません。

売上を増やすと同時に、支払を減らさなければならないのです。

被害者と示談交渉をし、高額の示談金を支払っていたら、支払が増えてしまい、利益が減少してしまいます。

したがって、保険会社は、営利追求という存在目的のために、できる限り被害者への支払を減らさないといけないのです。

これが、保険会社が交通事故の示談交渉で、適正な金額を提示したがらない理由です。

しかし、弁護士が示談交渉に出てくると、ある程度適正な金額を提示しないといけなくなります。

なぜなら、そうしないと、裁判を起こされ、適正な金額を支払うことになる上に、保険会社は自分の弁護士の弁護士費用を払わないといけなくなるからです。

そうであれば、弁護士が出てきたら、示談交渉で、ある程度増額してでも解決した方が得、という判断になるのです。
 

交通事故の慰謝料で困った時は弁護士に相談ください!

以上のような理由で、交通事故の示談交渉で、加害者側の保険会社が提示する金額に納得がいかない、どうも疑わしいと感じるなら、交通事故に強い弁護士に相談することをお勧めします。

法律の専門家である弁護士であれば、被害者の方の慰謝料に関して的確なアドバイスができ、示談交渉の代行も可能です。

また、ここまでの説明を読んでみると、交通事故の法律や保険に関して詳しくないと、とても対応できないような手続きが多くあったと思いますが、交通事故問題の解決を弁護士に依頼した方の多くは、

そうした煩わしい交渉から解放された

損害賠償金が想像より何倍も増額した

といったメリットを手に入れることができています。

弁護士に交通事故の示談交渉を依頼することで、どの程度、示談金が増えることになるのか、その実績をぜひご覧ください。

驚くと思います。

みらい総合法律事務所の実績はこちらから

 

なお最後になりますが、裁判を起こしたほうが、じつは被害者の方が得をする場合もあるということをお伝えしておきます。

「弁護士に依頼すると高額の報酬金がかかるのではないか」

「弁護士に依頼するのは、どうも気が引ける」

とお考えの方はこちらをご覧ください。

 

交通事故の裁判をし、判決までいくと、事故時から年5%の遅延損害金が付加されることになります。

また、判決では、損害賠償金の額の約10%相当額の弁護士費用相当額が追加で支払を命じてくれます。

したがって、裁判は、決して避けるものではないのです。

ただ、弁護士なら誰でもいいわけではありません。

弁護士にも得意不得意がありますので、必ず交通事故に精通した弁護士に依頼するようにしましょう。

みらい総合法律事務所では、交通事故問題の解決で経験豊富な弁護士たちが無料相談を実施しています。

死亡事故と後遺症事案に絞って専門性を高めていますので、お悩みの方はぜひ一度ご相談いただければと思います。