交通事故の示談で被害者が注意するべき7つのポイント
「交通事故の示談」とは、交通事故により受けた被害についての損害賠償問題を裁判によらずに当事者間で解決する和解契約(民法695条)ということになります。
示談で合意する内容は、慰謝料など支払われる示談金額、示談金の支払時期、過失割合などであり、交通事故の実務では、最終的に、「示談書」や「免責証書」に署名捺印をすることにより成立します。
この相互に譲り合う過程を「示談交渉」といいます。
一度示談が成立してしまうと、原則として撤回できませんので、示談交渉はとても重要な手続きです。
事案によってかなり異なりますが、示談金の相場は、後遺障害のない人身事故で数十万~100万円程度、後遺障害の残る人身事故で数百万~1億円円程度、死亡事故で数千万~1億円程度です。
示談が成立するまでの期間は、示談開始から3ヶ月程度が目安です。そこまでに示談がまとまらなければ裁判を検討します。
交通事故の示談交渉においては、被害者が注意するべき7つのポイントがあります。
(1)示談交渉で保険会社の言い分を、うのみにしてはいけない。
(2)後遺障害等級の認定の前に示談交渉を始めてはいけない。
(3)間違った等級認定で示談してはいけない。
(4)損害賠償金の3つの基準を知らずに示談してはいけない。
(5)損害賠償金額と過失割合を確認せず示談してはいけない。
(6)示談交渉相手の保険会社を“味方”とは思ってはいけない。
(7)保険会社は営利を追求することを忘れてはいけない。
この記事では、示談とは何か、示談の流れ、示談交渉のポイント、注意すべき7つのことについて、網羅的に解説していきます。
この記事を読むことで、あなたが、適切かつ高額の示談金を得られることを願っています。
まずは、以下の動画で確認してみましょう。
交通事故の示談交渉でやってはいけない7つのこと
目次
交通事故の示談交渉とは?
そもそも示談とは
前述したように、示談とは、交通事故が起きた場合に被害者と加害者の間で問題となる次のことを、話し合いによって解決をして、和解することです。
- どのような損害が生じたのか?
- その損害額はいくらになるのか?
- 支払い方法はどのようにするのか?
上記のような内容を話し合って合意するものであり、示談交渉とは、裁判のように争って白黒決着をつけるものではありません。
基本的には、交通事故の当事者同士がお互いに話し合い、譲歩しながら、損害賠償の内容を決定していくプロセスです。
そして、示談が成立すると、示談書あるいは保険会社の書式である免責証書を締結して、示談金が支払われ、損害賠償事件は終了ということになります。
示談が成立した後は、原則としてそれ以上の請求はできないこととなります。
したがって、交通事故の被害者として、示談交渉は慎重に進める必要があります。
話し合いで、すんなり合意でき、和解に至ればいいのですが、多くの場合でスムーズに事が運ばないということが起こります。
被害者としては、突然の交通事故で、それまでの生活や健康な体を奪われるのですから、簡単に納得できるものではないでしょう。
しかも、多くの場合、保険会社は、適正な金額を提示してくれないのです。
そして、被害者が交渉しても、すんなり増額してくれないという現実があります。
これは、保険会社が株式会社の場合、営利を追求することを目的とする存在であるからです。
以下のみらい総合法律事務所の解決事例を確認してみてください。
当初の被害者に対して提示された示談金額がいかに低いものかがわかるでしょう。
示談金の内訳
交通事故の示談金には、多数の項目が含まれます。
示談金とは、慰謝料だけでなく、各損害項目の合計額だということです。
たとえば、怪我をした場合は、入通院治療費がかかります。
治療期間中、収入がなくなれば休業損害が発生します。
後遺症が残った場合には、一生辛い思いをするので、後遺症分の慰謝料や逸失利益が発生します。
示談金の内訳を抜粋してご紹介すると、以下のとおりです。
入院付添費
入院雑費
傷害慰謝料
休業損害
後遺症慰謝料
逸失利益
将来介護費
車椅子代
介護ベッド代
家屋改造費
葬儀費
死亡慰謝料
近親者慰謝料など。
このように、たくさんの損害項目について、漏れなく請求し、かつ、各損害項目を適正額で計算することが大切になってきます。
示談成立までにかかる期間
交通事故の示談交渉は、示談が成立して示談書を交わし、示談金が支払われたら終了します。
では、示談成立までの期間は、どのくらいかかるのでしょうか。
これには、決まった期間があるわけではなく、ケースバイケースとなりますが、一応の目安はあります。
ここでは、死亡事故ではなく、ケガをしたケースとして、以下の3つのフェーズに分けて説明していきます。
(1)ケガをして、治療が終了するまでの期間
(2)後遺障害等級認定を受けるまでの期間
(3)示談交渉を開始し、示談が成立するまでの期間
(1)のケガをして、治療が終了までの期間は、ケガの内容によって、全く違ってきます。
したがって、この期間の目安を提示することはできません。
(2)の後遺障害等級認定を受けるまでの期間は、通常1~2ヶ月、場合によっては2~3ヶ月かかります。
そして、高次脳機能障害や資料の追加提出が必要なケースなどは、半年以上かかる場合もあります。
(3)示談交渉を開始し、示談が成立までの期間は、相手の保険会社の担当者の仕事のスピードによって異なってきます。
担当者によっては、何度も催促しているうちに数ヶ月経過してしまう、という場合もあるためです。
ちなみに、みらい総合法律事務所にご依頼いただいた場合は、3ヶ月程度を一つの目処として、示談解決するか、裁判をするか、を判断するようにしています。
示談の前に示談金額をシミュレーション
交通事故の被害者にとって、とても大事な示談交渉ですが、示談金がいくらになるのかがわからなれば、効果的な示談交渉はできません。
しかし、普通の人にとって、交通事故は一生に一度遭うかどうかです。
示談金の計算方法を熟知している人はほとんどいないでしょう。
そこで、みらい総合法律事務所では、被害者が示談金額を簡易的に計算できる「慰謝料自動計算機」を設置しています。
いざ示談交渉を行う前に、一度示談金額の概算をつかんでおきましょう。
「後遺障害編」と「死亡事故編」に分かれています。
示談の流れとは
ところで、交通事故の示談交渉は、どのように進むのでしょうか?
示談交渉を始める前に、示談の流れに頭に入れておき、今、自分はどの段階にあるのかを知っておくことが示談交渉を上手に進めるコツです。
通常、交通事故が発生してから示談が成立して交渉が終了するまでには次のような流れで事が進んでいきます。
↓
②事故状況や相手(加害者)の身元の確認
↓
③警察への通報、実況見分調書の作成
↓
④加害者、被害者双方の保険会社への通知
↓
⑤ケガの治療
↓
⑥治療完了により症状固定
↓
⑦後遺障害等級の認定により賠償損害額確定
↓
⑧加害者側の保険会社と示談交渉
↓
⑨示談成立、法的手続き
↓
⑩決裂した時は法的機関へ
交通事故の発生
交通事故の示談交渉は、事故が発生することにより始まります。
交通事故により、被害者は、車の損壊、ケガ、死亡など、様々な損害を受けることになります。
その損害を金銭で回復しようというのが示談交渉ということになります。
交通事故の被害に遭ったときに、すぐにやるべきことについて、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
交通事故の被害にあってしまった場合、すぐにやるべきこと。
事故状況や相手(加害者)の身元の確認
交通事故の被害に遭ったら、事故状況を確認するとともに、加害者の身元を確認しておきます。
なぜなら、示談金を支払ってくれるのは加害者や加害者が加入している自賠責保険、任意保険だからです。
ひき逃げで犯人がわからないと、示談交渉もできないこととなってしまいます。
警察への通報、実況見分調書の作成
事故が発生したら、必ず警察へ通報します。
人身事故の場合には、現場において、警察官が実況見分調書を作成することになります。
この実況見分調書は、事故の状況を明らかにするものであり、後日の示談交渉の際に「過失割合」を認定するのにとても重要な書類です。
真実に基づいて作成してもらうようにしましょう。
加害者、被害者双方の保険会社への通知
次に行うのは、加害者側及び自分がかけている各種保険の保険会社への連絡です。
事故が起きた時には、連絡をするよう保険約款に記載してあります。
忘れがちなのが、自分の側の保険ですが、弁護士費用を払ってくれる保険であったり、自分の過失分を補填している保険などもありますので、忘れないように連絡しましょう。
ケガの治療
交通事故でケガをした場合には、必ず医療機関に行くようにしましょう。
我慢して病院等に行かないと、「ケガがない」と認定される恐れもあり、そうなると、その分の賠償金をもらえなくなってしまう可能性があります。
治療完了により症状固定
ケガの治療を続け、完全に治ればよいのですが、治療効果が上がらなくなっても、障害が残っている場合があります。
この時のことを「症状固定」といいます。
後遺障害等級の認定により賠償損害額確定
症状固定した時点で、障害が残っていると、後遺症が残ったことになります。
その場合には、自賠責後遺障害等級認定を受けることになります。
この認定は、示談金額に大きく影響を受けることになりますので、注意が必要です。
加害者側の保険会社と示談交渉
自賠責後遺障害等級が確定したら、いよいよ示談交渉となります。
多くの場合に、加害者は任意保険に加入しているので、示談交渉の相手は保険会社の担当者となります。
示談成立
示談交渉により、合意が成立したら、示談成立です。
示談書あるいは免責証書に署名捺印をして保険会社に送ったら、あとは入金を待つだけです。
決裂した時は裁判へ
残念ながら示談交渉が決裂したら、裁判に進みます。
自分では難しいと思いますので、交通事故に精通した弁護士を探しましょう。
交通事故の示談交渉の流れについて、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
交通事故の示談の流れを徹底解説
①示談交渉で保険会社の言い分を、うのみにしてはいけない
交通事故でケガをして、入通院をして治療をする場合、治療費がかかります。
仕事を休めば収入が減少しますので、生活費に困ることもあります。
加害者が任意保険に加入していれば、多くの場合に、これら治療費や休業補償については、保険会社が支払ってくれます。
そのようなプロセスを経ていると、加害者の保険会社の担当者が味方のように思えることがあるかもしれません。
しかし、保険会社の担当者の言うことをうのみにしてはいけません。
例を挙げて説明します。
ケガの治療を行なったものの、残念なことに完治しない、これ以上治療を続けても回復の見込みがない、ということがあります。
その場合は主治医から「症状固定」の判断を受けることになります。
これ以降、体に残った不具合は後遺症となります。
ところで、ケガの治療中に加害者側の保険会社から連絡が来ることがあります。
電話口で担当者は、こんなことを言うかもしれません。
「今月で治療費の支払いを打ち切りたいと思うので、そろそろ症状固定としてください」
これは要注意です!
こうした話を、うのみにしてはいけません。
被害者の治療費や入院費を支払うのは、加害者が加入している任意保険会社のことが多いのですが、保険会社としては、早く治療費を確定させ、示談交渉に入りたいのでこんなことを言っている可能性があります。
注意すべきは、症状固定となると、原則として症状固定日以降に治療を行なった場合の治療費や交通費、休業損害などを加害者側に請求することができなくなってしまうことです。
症状固定については、保険会社ではなく、主治医としっかり話し合って判断するようにしてください。
②後遺障害等級の認定の前に示談交渉を始めてはいけない
こちらでは後遺障害等級の認定の前に示談交渉を始めてはいけない理由を解説していきます。
症状固定にならないと金額が計算できない
症状固定となった場合、被害者は自賠責後遺障害等級の認定を受けなければいけません。
なぜなら、ご自身の後遺障害等級が認定されないと示談交渉を進めることができないからです。
症状固定は、ケガの治療を続ける過程で、「これ以上治療をしても、治療効果が上がらない」というような状態のことです。
治療効果が上がらないのに、いまだ障害が残っていると、「後遺症」が残った、ということになります。
後遺症が残ると、その後もずっと後遺症に苦しめられます。精神的苦痛がある、ということです。
そこで、後遺症による慰謝料を請求することができることになります。
また、後遺症による障害によって、職業が制限されるなど、収入の減少も発生します。
そこで、その減少分を逸失利益として請求することができることになります。
これに対し、症状固定前の収入の減少分は、「休業損害」といいます。
さらに、症状固定により、治療の必要性がなくなりますので、その後の治療費は請求できないことが原則です。
このように、症状固定の前と後では、請求できる損害項目に違いが出てくることになります。
したがって、交通事故でケガをした場合には、症状固定まで治療を続けることが必要です。
しかし、中には
「早く示談交渉を始めなければいけないのではないか」
とか、
「精神的、肉体的につらいから、面倒な交渉は早く終わらせてしまいたい」
といったような理由から示談交渉を始めようとする人がいますが、それは得策ではありません。
というのは、ご自身の後遺障害等級が決定してからでないと、慰謝料などの正確な金額が出せないため、たとえ示談交渉したとしても、それが無駄になってしまうからです。
まずは焦らず、後遺障害等級の認定を受けてから示談交渉にのぞみましょう。
自賠責後遺障害等級とは
自賠責後遺障害等級とは、自賠法で定められた等級で、一番重い1級から一番軽い14級まで区分されています。
なぜ、このような区分が必要か、というと、後遺症の重さに関する基準を作る必要があるからです。
後遺症による慰謝料や逸失利益の金額を計算するには、その後遺症がどの程度の精神的苦痛を発生させるのか、その後遺症によって、どの程度労働能力が制限されるのか、を決めなければなりません。
それを決めるのが、自賠責後遺障害等級ということになります。
国土交通省 「自賠責後遺障害等級表」
自賠責後遺障害等級は誰が認定するのか
では、自賠責後遺障害等級は誰が認定するのでしょうか。
それは、「損害保険料率算出団体に関する法律」に基づいて設立された損害保険料率算出機構という団体が認定します。
そして、具体的には、各都道府県に設置してある損害調査事務所が行っています。
自賠責後遺障害等級認定を受けるには、任意保険会社を通して行う「事前認定」と被害者が直接行う「被害者請求」があります。
どちらもメリット、デメリットがありますので、よく検討して行うようにしましょう。
被害者請求について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
③間違った等級認定で示談してはいけない
後遺障害等級による慰謝料額の違い
ところが、ここで見逃しに注意すべきことがあります。
じつは、ご自身の自賠責後遺障害等級が間違って認定されることがあるのです。
間違った等級が認定されると、慰謝料などの損害賠償金額で大きな差が出てきてしまうのですから、これは避けなければいけません。
裁判基準による後遺障害慰謝料の相場金額
等級 | 慰謝料額 |
---|---|
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
上の表で見ると、仮に本来は2級の後遺障害の人が4級と認定されてしまった場合、後遺障害慰謝料だけで700万円もの差が出てしまうのです。
これは被害者にとっては大きな損失です。
全体となると、もっと大きな金額となります。
みらい総合法律事務所が異議申立をした体験事例
みらい総合法律事務所が実際に解決した体験事例では、後遺障害等級が間違っていたために、危うく約4250万円も損しそうになった被害者がいます。
ご紹介します。
ある男性が、交通事故に遭い、右膝骨折の傷害を負い、自賠責後遺障害等級14級10号が認定されたので、保険会社は、被害者に対し、示談金を提示しました。
提示された示談金は、248万6647円でした。
被害者がみらい総合法律事務所に相談したところ、後遺障害等級が間違っているのではないか、と指摘を受けたので、弁護士に依頼し、異議申立をしました。
異議申立の結果、12級13号が認定され、示談交渉を開始しましたが、裁判となりました。
その結果、4500万円での決着となりました。
保険会社の提示額が約250万円ですから、約4250万円増額したことになります。
つまり、後遺障害等級が間違ったまま示談していたら、被害者は、約4250万円もの損をしていた可能性がある、ということです。
後遺障害等級の認定には、主治医の診断書などさまざまな書類や文書を提出しなければいけないのですが、
これらに不備や間違いがあると本来の等級とは違うものが認定されてしまうことがあるのです。
後遺障害等級が間違っていた場合には、「異議申立」をすることができますので、必要であれば検討することをお勧めします。
【参考情報】:国土交通省「異議申立」
ただし、異議申立は、単に異議を申し立てるだけではなく、後遺障害等級認定システムを熟知し、どの等級を狙うかを検討し、等級認定に必要な医証を収集し、的確な主張をしなければなりません。
とても専門性の高い作業と言えるでしょう。
必ず交通事故に強い弁護士の助言を得ながら進めるようにしましょう。
後遺障害等級認定の異議申し立てについて、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
④損害賠償金の3つの基準を知らずに示談してはいけない
ご自身の自賠責後遺障害等級が認定されると、いよいよ示談交渉が開始されます。
正しい後遺障害が認定される前に示談交渉を開始しないようにしてください。
示談交渉ではまず加害者側の任意保険会社から示談金の提示があります。
さて、損害賠償金を提示されて、あなたはそれを妥当な金額と思うでしょうか?
それとも低すぎると感じるでしょうか?
じつは、知らない人も多いのですが、示談交渉を開始して、保険会社から提示される損害賠償金は、本来被害者が手にすることができる金額よりも低く設定されていることが多いのです。
ですから、「金額が低すぎる」と感じることがあったら、あなたのその感覚が正しい可能性があります。
ほとんどの人は、示談交渉で提示された金額が適正な金額かどうか、判断できないでしょう。
無理もありません。
交通事故に遭うことなど、一生に一度あるかどうかなのです。
しかし、決して不要に示談書にサインをしてはいけません。
一度サインをすると、交通事故が解決したものとして、後で覆すことができなくなります。
そして、必ず適正な金額で示談しなければなりません。
なぜなら、後遺症の場合、示談金は、「失った身体の値段」であり、死亡事故の場合には、示談金は、「命の値段」だからです。
しかし、なぜ、保険会社、交通事故の示談交渉で適正な金額を提示してくれないのでしょうか。
それは、損害賠償金には3つの基準があるからです。
自賠責基準
まず、交通事故の被害者には加害者が加入している自賠責保険から損害賠償金が支払われることになります。
これは、自動車を運転する者は自賠責保険に加入しなければいけないと法律により義務付けられているからです。
自賠責法別表第1
第1級 | 4000万円 |
---|---|
第2級 | 3000万円 |
自賠責法別表第2
第1級 | 3000万円 |
---|---|
第2級 | 2590万円 |
第3級 | 2219万円 |
第4級 | 1889万円 |
第5級 | 1574万円 |
第6級 | 1296万円 |
第7級 | 1051万円 |
第8級 | 819万円 |
第9級 | 616万円 |
第10級 | 461万円 |
第11級 | 331万円 |
第12級 | 224万円 |
第13級 | 139万円 |
第14級 | 75万円 |
この表のように等級によって金額の基準が決まっており、これを自賠責基準といいます。
被害者が死亡した場合は3000万円、傷害による損害の場合は120万円、介護が必要な後遺障害が残った場合は4000万~3000万円が相場となっています。
その他の後遺障害の場合は、上記の表のように1級から14級の後遺障害等級に応じて3000万円~75万円となっています。
自賠責基準では被害者に対する補償として、最低限の金額が設定されています。
そのため、比較的ケガの程度が軽く、自賠責保険の範囲内で納まる場合には自賠責基準をもとに損害賠償金が算出されます。
さらに詳しく自賠責保険の支払基準を知りたい方は、国土交通省のホームページをご参照ください。
【参考記事】:国土交通省「自賠責保険(共済)の限度額と保障内容」
しかし、自賠責保険ではカバーしきれない部分(足りない分)の損害賠償が発生する場合は、加害者が加入している任意保険から支払われます。
任意保険基準
すべてのドライバーは法律により自賠責保険への加入が義務付けられているわけですが、自賠責保険から支払われる保険金だけでは被害者への損害賠償金を賄えない場合があります。
そうした万が一の時のため、多くのドライバーは任意の自動車保険に加入する場合が多いと思いますが、それぞれの保険会社が内部で設定しているのが任意保険基準ということになります。
明確な基準が外部に公表されているわけではありませんが、自賠責基準と弁護士基準(裁判基準)の間で金額が設定されています。
保険会社は、それぞれの社内内部基準によって算出した損害賠償金を示談交渉において、被害者に提示してきます。
弁護士基準(裁判基準)
示談交渉が決裂して、裁判をした場合に認められる可能性が高いのが、この基準による金額です。
弁護士基準(裁判基準)は、実際の交通事故の裁判の事例から導き出された損害賠償金の基準ですから、法的根拠がもとになっています。
裁判所や弁護士は、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)という本に記載されている金額をもとに、損害賠償額を算定していきます。
【出典】:公益財団法人交通事故相談センター 「当センターの刊行物について」
3つの基準の中でもっとも金額が高いのが、この弁護士基準(裁判基準)になります。
そもそも被害者が受け取ることができる金額よりも低い金額が設定されているのが任意保険基準ですが、保険会社の担当者は保険のプロですから被害者がご自身で示談交渉して金額を上げる、つまり適正な金額にすることは非常に難しいものです。
そこで、被害者から依頼を受けた弁護士が代理人となり示談交渉をし、そこで合意が得られなければ訴訟を提起して裁判に突入するわけですが、ここで弁護士が主張するのが弁護士基準(裁判基準)で算出した損害賠償金となります。
ですから、被害者は保険会社から示談金額の提示があったからといって、簡単にそれを信じて示談書にサインをすることには注意が必要なのです。
みらい総合法律事務所による弁護士基準での解決事例
では、私たちが実際に依頼を受け、
慰謝料を増額し、解決した事例をご紹介します。
24歳の女性が交通事故で頭部を負傷し、四肢が全く動かない状態になりました。
この事故の後遺症は、最も重篤な後遺障害等級1級1号に該当すると認定されました。
保険会社は、示談金として約8,985万円の支払いを提案し、これが適切な額だと主張しました。
しかし、被害者はこの提案に納得せず、みらい総合法律事務所に助けを求めました。
結果として、示談では合意に至らず裁判となりましたが、弁護士の主張が認められ、最終的に被害者に2億3,900万円が支払われることとなりました。
保険会社提示額は、約9000万円でしたので、約1億4000万円増額したことになります。
信じられないかもしれませんが、弁護士に依頼すると、こんなことも起こる、ということです。
弁護士は、弁士基準で示談交渉をするのですが、弁護士基準で示談解決する方法について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
⑤損害賠償金額と過失割合を確認せず示談してはいけない
示談交渉では、加害者側の任意保険会社から「損害賠償金額の計算書」が提示されますので必ずチェックをしてください。
ここには、損害賠償における各項目と金額が明記されていますが、本来あるべき項目が漏れている場合や金額が間違っている場合があるので注意が必要です。
損害賠償金の項目には次のようなものがあります。
治療費、付添費、将来介護費、入院雑費、通院交通費、装具・器具等購入費、家屋・自動車等改造費、葬儀関係費、休業損害、傷害慰謝料、後遺症慰謝料、逸失利益、修理費、買替差額、代車使用料 など
このように、じつは損害賠償金というのはひとつの項目ではなく、上記のようなさまざまな項目をまとめたものなのです。
信じがたいことですが、これらの項目が抜けていたり、金額が間違っていることがあります。
そして、一度示談が成立してしまうと、あとから新たに請求することはできません。
ですから、損害賠償金額と項目を確認せず示談することには注意が必要なのです。
以下、示談に含まれる主な損害項目を説明していきます。
人身事故の場合の損害項目について、詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
ケガの場合の損害賠償の項目
ここではケガの場合の損害賠償の項目、4つをわかりやすく解説していきます。
治療関係費
治療関係費は、治療に関して支出する損害です。
治療費の他、問題になるものとして、マッサージ費、温泉治療費、入院中の特別室の使用料、差額ベッド代、症状固定後の治療費、将来の手術費などがあります。
治療費については、必要かつ相当な実費が認められ、過剰診療は認められません。
しかし、示談はあくまでも話し合いにより解決するものなので、加害者側が合意するのであれば、法律上認められないものが入っても、示談は有効に成立します。
治療費について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
将来介護費用
重度後遺障害が残り、たとえば、寝たきりになってしまった場合には、自力で日常生活を送ることができません。
そこで、家族が介護するか、あるいは職業介護人を頼まないといけなくなります。
それが将来介護費用です。
近親者であれば、1日8000円、職業介護人であれば実費となりますが、特に職業介護人の実費の額はかなりの差があり、示談交渉において被害者と保険会社で主張する金額が食い違います。
そこで、示談が決裂することも多く、裁判での決着が多くなります。
したがって、将来介護費用が必要な場合には、示談交渉のはじめから弁護士に依頼することも検討しましょう。
将来介護費について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
休業損害
休業損害は、ケガのために働けず、その結果得ることができなかった収入を補填するものです。
たとえば、給与所得者であれば、事故前の収入を基礎として、休業したことによる現実の収入の減少分が休業損害となります。
専業主婦などの家事労働者の休業損害が発生します。
家事労働を外部に委託すると、有償となるためです。
休業損害について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
慰謝料
慰謝料は、ケガによって被った精神的苦痛を慰謝するものです。
これには、傷害(入通院慰謝料)と後遺障害慰謝料があります。
また、重度後遺障害により、近親者が死亡にも比肩すべき精神的苦痛を被ったときは、近親者固有の慰謝料が発生することがあります。
傷害慰謝料と後遺障害慰謝料を分けるのは、「症状固定」です。
症状固定は、治療効果が上がらなくなった状態のことをいい、その状態で障害が残っていた場合に後遺症が残った、といいます。
後遺障害慰謝料については、すでに説明しました。
なお、示談交渉においては、保険会社は、慰謝料を満額で提示してくることは少ないと理解しておいた方がいいでしょう。
傷害慰謝料と後遺障害慰謝料について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
逸失利益
逸失利益は、後遺障害が残ったことにより、減少する将来の収入を填補するものです。
事故前に得ていた収入を基礎として計算をするので、重度の後遺障害が残った被害者が高額の収入を得ていた場合には、損害額がかなりの高額となります。
交通事故の前後で収入に変化がなかったり、かえって昇給していたりすると、逸失利益の金額が争いになりやすい傾向があります。
死亡事故の損害賠償の項目
死亡事故の場合に請求できる主な損害賠償の項目は、以下のとおりです。
- ・葬儀費用
- ・逸失利益
- ・死亡慰謝料
- ・近親者慰謝料
死亡事故の場合、加害者が起訴されて刑事裁判になることも多いです。
その場合には、ご遺族が刑事裁判に参加できる「被害者参加制度」がありますので、参加を検討してもいいでしょう。
この場合には、示談交渉は、刑事裁判が終わった後に開始することが多いです。
死亡事故の場合には、損害額が高額なりますので、やはり保険会社との間で金額に開きが出てくることが多いです。
早めに弁護士に相談することも検討しましょう。
(みらい総合法律事務所では無料電話相談も承っております。そのほか電話相談できる窓口をまとめたページもご用意しております。)
死亡事故の時、ご遺族が注意すべきことについて、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【交通死亡事故】慰謝料請求…ご家族がやるべきことは?
過失割合を確認する
過失相殺は、被害者に過失がある場合に、その過失の大きさなどを考慮して示談金額が減額されることをいいます。
たとえば、過失割合が加害者70%、被害者30%、慰謝料額が1000万円とすると、過失相殺により、被害者の過失分300万円が減額されて、示談金額は700万円となります。
示談交渉をする際には、この過失割合に注意が必要です。
なぜなら、先ほどの例で言うと、過失割合が10%違うだけで、100万円も示談金額が違ってきてしまうためです。
では、過失割合をどうやって決めるのか、というと、示談交渉の場合には、双方が話し合い、合意によって決まります。
たとえば、本当の過失割合が加害者70%、被害者30%だっとしても、保険会社がいいと言えば、加害者90%、被害者10%で合意してもいいわけです。
示談交渉では、この過失相殺にも注意して、根拠をもって過失割合を主張していくことが大切です。
過失相殺について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
⑥示談交渉相手の保険会社を“味方”とは思ってはいけない
そしてもうひとつ、被害者の方にお伝えしたいのは、加害者側の保険会社を“味方”とは思わないでいただきたい。ということです。
前述の通り、示談交渉が始まると、加害者側の保険会社は任意保険基準によって算出した損害賠償金を被害者に提示してきます。
その時、担当者はこんなことをあなたに言うかもしれません。
「当社の規定では最高の金額をご提示させていただきました」
被害者としては、
「大手保険会社がいうことなのだから金額に間違いはないだろう」
とか、
「ここまで丁寧に対応してくれたのだから示談しないと申し訳ない」
などと考えてしまう方もいらっしゃいますが、それは正しい判断とはいえないかもしれません。
なぜなら、ここまでお話ししてきたように任意保険基準による示談金額は、場合によっては弁護士基準(裁判基準)の2分の1や3分の1、あるいは数十分の1という金額であることもあるからです。
⑦保険会社は営利を追求することを忘れてはいけない
なぜ、そのようなことが起こるのでしょうか。
それは、保険会社が株式会社の場合、その存在自体が営利目的であるためです。
株式会社は、営利を追及しなければなりません。
売上を増やすと同時に、支払を減らさなければならないのです。
被害者と示談交渉をし、高額の示談金を支払っていたら、支払が増えてしまい、利益が減少してしまいます。
利益が減少すると、株主は、役員の交替を求めます。
それは、困るので、利益を出すため、保険会社の役員は、被害者への支払を抑えるよう社員い命じることになるのです。
社員は、被害者のことが可哀想だと思ったとしても、会社の方針に逆らうことはできないのです。
これが、保険会社が交通事故の示談交渉で、適正な金額を提示したがらない理由です。
しかし、弁護士が示談交渉に出てくると、ある程度適正な金額を提示しないといけなくなります。
なぜなら、そうしないと、裁判を起こされ、適正な金額を支払うことになる上に、保険会社は自分の弁護士の弁護士費用を払わないといけなくなるからです。
裁判では、最も高額の「弁護士基準」で判決が出されます。
また、事故日からの遅延損害金や被害者の負担する弁護士費用相当額を本来の賠償金に付加して支払うよう命じられます。
【参考判例】弁護士費用を加害者側に負担させた最高裁判決:最高裁昭和44年2月27日判決
つまり、示談するよりも支払が多くなってしまうのです。
そうであれば、弁護士が出てきたら、示談交渉で、ある程度増額してでも解決した方が得、という判断になるのです。
以上のことから、「保険会社が嫌がること」がわかります。
被害者が弁護士を選任して、弁護士が代理として出てくると、示談金が高額になる可能性が高まるので、保険会社は嫌がることになるでしょう。
また、裁判を起こされると、弁護士基準での支払となり、さらに弁護士費用や遅延損害金などを追加で支払わないといけなくなるので、保険会社は嫌がることになるでしょう。
なぜ、弁護士が代理すると慰謝料が増額することが多いのかについて、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
示談書で注意すべきポイント
示談交渉で合意した場合は、示談書を作成して、署名捺印して示談の成立となります。
その後は、相手方からの入金を待つことになります。
ここでは、示談書を作成する際に注意すべきポイントについて解説します。
被害者と加害者で示談をする場合には、「示談書」を作成することになりますが、保険会社と示談をする場合には、通常「免責証書」という保険会社所定の書類に署名押印することになります。
この示談書あるいは免責証書に記載すべき内容としては、次の事項となります。
(1)当事者の特定
交通事故を起こしたのは、加害者は誰で被害者は誰か、ということを特定します。
(2)交通事故の特定
交通事故が発生したのは、いつなのか、の年月日や時刻、場所などを特定します。
(3)人損か物損か
本件交通事故は、車両などの物損のみか、ケガもしたのか、区別します。
また、後遺障害等級認定を受けている場合には、その等級も記載しておきます。後遺障害は悪化することがあるので、今回は、認定された等級を前提にした示談であることを明らかにするためです。
(4)示談金額
(5)支払条件
何月何日までに支払うのか、また、現金か振込か、などを記載します。
(6)精算条項
示談は、損害賠償請求という民事の問題は全て精算し、終了させるものです。後でひっくり返すことはできません。そのために、示談交渉が全て終了して精算された、ということを明らかにします。
(7)将来の後遺障害
後遺障害の状況によって、将来、悪化の可能性がある場合は、「本件示談後、後遺障害が発生した場合には、当該後遺障害に基づく損害賠償については別途協議する。」などと記載しておきます。
詳しい示談書の書き方について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
示談が不成立になる理由
示談が不成立に。ちょっと聞いただけでは怖いこの内容。
しっかり読んで役立てていただけると幸いです。
任意保険がない
通常は、加害者は任意保険に加入しており、示談交渉は保険会社の担当者と行います。
強制保険である自賠責保険だけでは、損害賠償金の全額を補償することが難しいためです。
しかし、中には、自賠責保険のみ加入しており、任意保険に加入していない者が加害者となる場合があります。
この場合には、自賠責保険金で不足する部分については、加害者らと直接示談交渉をしなければなりません。
そうすると、保険会社の担当者と違って、交通事故の示談交渉の素人ですから、適正な示談金額もわかりませんし、示談金を支払う資力がない場合も多いです。
そのため、示談を成立させることが難しくなってしまいます。
加害者に任意保険がない場合の示談交渉について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
過失割合で合意できない
追突事故など、過失割合が100対0の場合は良いのですが、被害者の自動車も走行中であるなど、被害者に過失がある場合もあります。
そのような場合には、過失相殺が争点となります。
過失相殺とは、被害者側に過失がある場合に、その過失割合分を示談金額から差し引くことです。
過失割合について、被害者と加害者の主張が食い違う場合には、刑事記録を取りよせて、実況見分調書などをもとに交渉をします。
それでも折り合いがつかない場合には、示談交渉が不成立となってしまう場合があります。
過失割合と過失相殺について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【参考記事】
図解で解説!交通事故の過失割合と過失相殺で損をしないために大切なこと
示談金額に合意できない
交通事故の示談交渉は、加害者が被害者に対し、損害賠償金として、いくら支払うかを話し合うことです。
お互いに根拠を述べ、譲歩をしながら交渉するわけですが、お互いにそれぞれ言い分がある場合も多いです。
前述の過失割合もそうですが、後遺障害が残ったような場合には、後遺障害の存否、どの程度の労働能力喪失率なのか、逸失利益の金額などが争点となることが多いです。
また、重度の後遺障害が残り、将来の介護費用が必要となる場合には、その金額を巡って争点となりやすく、裁判での決着が多くなります。
保険会社は、なるべく示談金額を低くし、会社の利益を確保することを求められるためです。
そのため、話し合いを続けても、最終的に示談が成立しない場合があります。
消滅時効が間近
交通事故の損害賠償請求権には、「消滅時効」という制度があります。
一定期間権利の行使をしないと、その権利が消滅してしまう制度です。
たとえば、自賠責保険に対する被害者請求の時効は、傷害および死亡の場合は事故の翌日から3年、後遺障害がある場合は症状固定日の翌日から3年です。
そして、交通事故の加害者に対する慰謝料請求権の時効は、損害及び加害者を知った時から物損については3年、人身損害部分については5年です。
また、損害及び加害者がわからなかったとしても、交通事故の日から20年を経過で時効です。
但し、後遺障害がある場合には、人身損害の時効は症状固定日から5年で時効となります。
示談交渉が成立せず、日数が経過してしまうと、この消滅時効が迫ってくることがあります。
時効が完成してしまうと、慰謝料請求権が消滅してしまうので、それを阻止する必要があります。
そのための方法が訴訟提起となるので、示談交渉の途中であっても、時効が迫ってきた場合には、示談交渉を打ち切って訴訟を提起する場合もあります。
時効には十分気をつけなければなりません。
消滅時効について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
まとめ
交通事故の示談交渉で注意すべき7つのポイントについて、まとめます。
(1)示談交渉で保険会社の言い分を、うのみにしてはいけない。
保険会社からの情報や提案をそのまま鵜呑みにせず、自身の立場と権利をしっかりと理解することが大切です。被害者としての権利を知り、それに基づいて交渉しましょう。
(2)後遺障害等級の認定の前に示談交渉を始めてはいけない。
後遺障害の等級認定を急ぎすぎると、適切な賠償を受け取れないリスクがあります。しっかりと治療した上で、自分の状態を正確に把握してから交渉に臨むことが重要です。
(3) 間違った等級認定で示談してはいけない。
等級が誤っていると、賠償額も不適切になります。しっかりとした医師の診断と共に、正確な等級を確定させましょう。
等級が間違っている場合には、異議申立も検討しましょう。
(4)損害賠償金の3つの基準を知らずに示談してはいけない。
損害賠償の詳しい基準や計算方法を理解することで、自分の権利に合った適切な金額を請求することができます。
被害者は弁護士基準(裁判基準)で主張すべきです。
(5)損害賠償金額と過失割合を確認せず示談してはいけない。
示談金額が適切かどうかを判断するため、自身と加害者の過失割合の確認は非常に重要です。事故の状況や証拠をもとに、正確な割合を確認しましょう。
(6)示談交渉相手の保険会社を“味方”とは思ってはいけない。
保険会社は最終的には自社の利益を追求します。そのため、被害者としては保険会社を過度に信用せず、自身の立場をしっかりと保つことが大切です。
(7)保険会社は営利を追求することを忘れてはいけない。
保険会社は営利を追求する企業であり、その目的を理解することで、示談交渉における彼らの行動や提案の背景を理解することができます。
以上のポイントを理解し、適切に示談交渉を進めることが被害者としての権利を守るための鍵となります。
もし不安や疑問がある場合、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は被害者の権利を最大限に守るための支援をしてくれます。
みらい総合法律事務所では、死亡事故と後遺症事案に注力し、被害者からの無料相談を受け付けています。
以上の知識を持って、交通事故の被害者の方は、決して損をしないように気をつけてください。