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交通事故で接骨院、整骨院、マッサージ等に通う場合の注意点

最終更新日 2024年 06月17日

交通事故で接骨院、整骨院、マッサージ等に通う場合の注意点

交通事故で負った傷害(ケガ)の治療のために被害者の方は病院に入院・通院すると思います。

ところで、被害者の方の中には、後遺障害が重度でなく、比較的軽傷のケガの場合など、整形外科に行くよりも接骨院や整骨院、マッサージ、鍼灸、整体で治療を受けるほうが気がラクだし、通いやすいという方もいらっしゃるでしょう。

でも、ちょっと待ってください…病院と接骨院・整骨院などでは、いろいろな違いがあります。

治療費は加害者が任意保険に加入していれば、その保険会社から支払いを受けることができますが、病院での治療ではないと何か不都合や不利になることなどはないのでしょうか?

接骨院や整骨院などの費用についても、確実に支払いを受けることができるのでしょうか?

そこで本記事では、被害者の方が接骨院や整骨院などで治療を受ける際に知っておくべき知識や注意するべきポイントなどについてお話ししていきます。

交通事故のケガの治療費はどこまで請求できるのでしょうか?

症状固定とは?

交通事故でケガを負った場合、被害者の方はどういった損害項目を加害者側に請求できるのでしょうか?

また、ケガの治療をする場合、治療費はどこまで請求できるのでしょうか?

それには、後遺症が残るかどうかも大きなポイントになります。

治療を続けたものの、これ以上の回復の見込みがない、完治は難しいとなると主治医が「症状固定」の診断をします。

症状固定となると被害者の方には後遺症が残ってしまうことになります。

入通院して治療をした場合の損害項目例

症状固定の診断を受けるまでで、加害者側に請求できる損害賠償項目は次のようになります。

チェックボックス治療費
必要かつ相当な範囲での実費金額
※特別個室、過剰診療等の費用は補償されない可能性があるので注意が必要。

チェックボックス付添看護費
看護師・介護福祉士等:実費全額
近親者:入院の場合は1日6500円
通院の場合は1日3000円
※幼児・高齢者・身体障害者等で必要のある場合

チェックボックス入院雑費
1500円(1日あたり)

チェックボックス交通費
原則として、本人分の実費

チェックボックス装具・器具購入費
車いす・義足・義眼・補聴器・義歯・入れ歯・かつらなどの購入費、処置費等の相当額

チェックボックス子供の保育費・学習費など
実費相当額

チェックボックス弁護士費用
訴訟になった場合、裁判所により認容された金額の1割程度

チェックボックス休業損害
ケガによって休業したことによる現実の収入減分
※事故前の収入を基礎とする。

チェックボックス入通院慰謝料(傷害慰謝料)」
入通院をして治療をした場合に被った精神的苦痛や損害に対する補償

後遺症が残った場合の損害項目

症状固定により後遺症が残った場合、後遺障害等級が認定されると次のような損害項目について請求することができます。

「将来介護費」
看護師・介護福祉士等:実費全額
近親者:常時介護が必要な場合は1日8000円
※平均寿命までの期間について、中間利息を控除した金額。

「家屋・自動車などの改造費」
自動車・家の出入り口・風呂場・トイレなどの改造費や、介護用ベッドなどの購入費の実費相当額

「逸失利益」
事故前の収入額に、労働能力喪失率、就労可能年数、中間利息の控除分をかけた金額

「後遺障害慰謝料(後遺症慰謝料)」
後遺障害が残ったことに対して支払われる補償

このように、症状固定により後遺症が残ってしまった場合、入院慰謝料と休業損害は受け取ることができなくなります。

しかし、後遺障害等級が認定されれば、新たに「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」などを受け取ることができます。

なお、入通院慰謝料より後遺障害慰謝料のほうが、休業損害より逸失利益のほうが金額は大きくなります。

こちらの記事でも詳しく解説しています

ケガの治療で整骨院や接骨院を利用する時に注意することはあるでしょうか?

交通事故で負ったケガが比較的軽傷の場合、①病院に通院する、②病院と接骨院などを状況に合わせて通院する、③接骨院や整骨院のみ通院する、というように被害者の方の状況や選択によって治療の受け方に違いがあると思います。

その時、こんな疑問を感じたことはないでしょうか?

接骨院と整骨院、整体院の違いとは?

交通事故で負ったケガや日常生活で腰痛がある、といったような時、接骨院や整骨院、整体院に通うことがあると思います。

ところで、接骨院と整骨院、整体院は何が違うのでしょうか?

簡単にいうと、じつは接骨院と整骨院は名前が違うだけで同じものなのですが、整体院はこれらとは違うカテゴリーの施術を行なうところになります。

「接骨院・整骨院」

接骨・整骨は「ほねつぎ」とも呼ばれ、打撲や捻挫、脱臼や腰痛等の痛みの治療を手技などによって行ないます。

その源流は戦国時代の柔術に遡ることができ、敵を倒す「殺法」と外傷を治す「活法」のうちの活法が発展し、現在の柔道整復術につながっているといいます。

柔道整復術という名称は、明治時代の終わり頃、柔道家や柔術家たちが収入を得るための職業として認められたからで、現在も国家資格である「柔道整復師」の資格が必要です。

(施術者は柔道の経験者である必要はありません)

接骨院や整骨院では健康保険で施術を受けることができるのも大きな特徴です。

なお、仕事中および通勤中のケガに適用される「労災保険」や交通事故での「自賠責保険」でも施術を受けることができます。

「整体院」

整体は資格がなくても施術を行なうことができるのですが、通常は民間資格である整体師の資格を取得した施術者が手技などを行ないます。

なお、整体院では各種健康保険が適用されないので、すべて自費で施術を受けることになります。

「鍼灸院」

鍼(はり)や灸(きゅう)で施術を行なうもので、国家資格が必要です。

鍼灸師は、はり師ときゅう師に分かれおり、現在の制度上では鍼灸師という名称は使われていません。

鍼灸院でも条件を満たしていれば、健康保険が適用されます。

接骨院・整骨院と病院での治療では何が違うのか?

西洋医学の病院と接骨院・整骨院では次のような違いがあり、それがデメリットになってしまう可能性があります。

チェックボックス接骨院・整骨院では、レントゲンやCT、MRIなどの画像診断ができない
チェックボックス接骨院・整骨院では、診断書や後遺障害診断書を作成できない
チェックボックス接骨院・整骨院での治療は必要性を認められない場合がある

画像診断ができなと正確な判断ができず、後遺障害診断書がないと後遺障害等級が認められません。

そうなると、治療の必要性自体が認められず、治療費などを受け取ることができなくなってしまう可能性があります。

接骨院・整骨院で行なわれるのは、柔道整復術という医療類似行為であり、病院が行なう医療行為ではないからです。

では、接骨院・整骨院での治療費が認められるにはどうすればいいのでしょうか?

接骨院や整体院での治療費を受け取る方法とは?

整形外科などの医師の診断を必ず受ける

交通事故の被害にあった場合、ケガをしていても、していなくても、まずは必ず病院に行ってください。

「ケガはしていない」とか、「大したことないから大丈夫」ということで病院に行かない人がいますが、これはやめてください。

あとから、体調が悪化したり、痛む箇所がでてくる場合があります。

ケガの状態によっては、レントゲンやCT、MRIといった画像診断でわかることもあります。

また、被害者の方の中には、「仕事が忙しくて時間がない」とか「通うのが面倒になった」といって途中で通院するのをやめてしまう人がいますが、これもよくないです。

まず知っておいていただきたいのは、原則として交通事故の損害賠償は西洋医学によって必要性が判断され、認められたものでなければ支払いを受けることはできない、ということです。

病院に通院して治療を受けていないと、治療の必要性を認められず、治療費だけでなく慰謝料や休業損害、逸失利益など損害賠償金の大きな項目まで認められなくなってしまう可能性があるので注意が必要です。

ですから、交通事故でケガをした場合は、必ず病院へ行き、適切な治療を受けることが大事です。

定期的に通院をしながら接骨院・整骨院にも通う

病院は待ち時間が長くてイヤだとか、接骨院・整骨院のほうが気がラクでいいという人もいるでしょう。

その場合、病院へは定期的に通院しながら、接骨院・整骨院にも通うようにしてください。

片方だけでなく、病院も接骨院・整骨院も両方に行くことが大切です。

医師の指示書や診断書に必要性を記載してもらう

柔道整復等の費用と自賠責保険の支払い基準について、次のようなものがあります。

「自動車損害賠償責任保険の保険金及び自動車損害賠償責任共済金等の支払基準」(平成13年 金融庁 国土交通省 告示第1号)
免許を有する柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師が行う施術費用は、必要かつ妥当な実費とする。

つまり、接骨院や整骨院、マッサージなどの費用は治療費として認められるのですが、そのためには主治医から整骨院などでの治療が必要である旨の診断書や指示書を書いてもらう必要があるということです。

(接骨院や整骨院などでは診断書を作成することはできません)

接骨院や整骨院などに通うことがケガの治療上、必要であること、そして効果があることを整形外科などの医師に証明してもらうことが大切なのです。

過剰診療を疑われないように注意してください!

ケガの治療について、通院の回数にも注意が必要です。

通院の回数が少なすぎるのは問題ですが、じつは多すぎても「過剰診療」を疑われて問題になることがあるからです。

治療費が適切に認められるには、その「必要性」と「相当性」が重要になってきます。

通院の必要性:通院して治療を受けることで、ケガの状態がよくなる、改善効果があること
通院の相当性:通院して受ける治療の内容、通院の頻度が適正であること

通院回数が多すぎると、過剰診療として保険金詐欺を疑われる可能性があるので注意が必要です。

これは、接骨院・整骨院での治療の場合も同様です。

以上、交通事故で負ったケガの治療について注意するべきポイントについて解説しました。

監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠
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