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【後遺障害の逸失利益】職業別の計算と早見表

最終更新日 2021年 09月14日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

【後遺障害の逸失利益】職業別の計算と早見表


交通事故の被害者の方が受け取ることができる損害賠償項目のひとつに「慰謝料」があるのは、ご存じだと思います。

では、「逸失利益」はどうでしょう?

交通事故の被害により後遺症が残ってしまい以前のように働くことができなくなった場合、以降は収入を得ることができなくなるか、大幅に収入が減ってしまうことになります。

この将来的に失ってしまう収入が逸失利益です。

ところで、この逸失利益、被害者の方の職業や立場などによって金額が変わってきます。

そこで今回は、職業別の逸失利益の計算の仕方などについてお話ししていきたいと思います。

これから交通事故の逸失利益について解説していきますが、その前に交通事故解決までの全プロセスを説明した無料小冊子をダウンロードしておきましょう。

交通事故の被害者にとって逸失利益が重要な理由

突然の交通事故……被害者の方がケガを負って後遺症が残ってしまえば、以前のような健康を失うだけでなく、将来的な収入も途絶えてしまう可能性があります。

被害者の方は金銭的補償として、加害者側に慰謝料などの損害賠償金を請求することができますが、そうした項目の中に逸失利益があります。

被害者の方やご家族としては、後遺症を負ったうえに将来の生活費の不安を抱えてしまうのは二重の被害といってもよいでしょう。

ですから、適切で正しい金額の逸失利益を受け取ることがとても大切になってきます。

逸失利益の計算方法とは?


実際の逸失利益の算定では、労働能力の低下の程度や収入の変化、将来の昇進、転職、失業などの可能性、日常生活でどのような不便があるのかなど、さまざまな要因を考慮して計算していきます。

ここでは基本となる計算式と各項目についてお話しします。

「逸失利益の計算式」
基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数=逸失利益

逸失利益の算出では、上記の計算式を用います。

(1)基礎収入

原則として、被害者の方が事故前に得ていた収入額を基礎としますが、将来的に現実収入額以上の収入を得られる立証があれば、その金額が基礎収入となります。

現実収入額が賃金センサスの平均賃金を下回っていても、将来、平均賃金程度の収入を得られる蓋然性があれば、平均賃金を基礎収入として算定します。

※賃金センサスとは、厚生労働省が毎年実施している「賃金構造基本統計調査」の結果から出されているものです。

※「給与所得者」「主婦」「個人事業者」「失業者」「学生」「幼児」「高齢者」といった被害者の方の年齢や職業、立場や状況の違いによって、原則、賃金センサスによる平均収入値が使われる場合があります。

※蓋然性とは、ある事柄が起こる確実性、真実として認められる確実性の度合いのことをいいます。

(2)労働能力喪失率

労働能力喪失率は、後遺障害等級ごとに決められたパーセンテージがあるため、これを基本として用いますが、実際の算定では被害者の方の職業や年齢、性別、後遺症の部位と程度、事故前後の労働状況などから総合的に判断していきます。

たとえば、後遺障害12級は14%、8級では45%、1~3級では100%になります。

それぞれのパーセンテージは次のようになっています。

労働能力喪失率早見表

等級 労働能力喪失率
1級 100%
2級 100%
3級 100%
4級 92%
5級 79%
6級 67%
7級 56%
8級 45%
9級 35%
10級 27%
11級 20%
12級 14%
13級 9%
14級 5%

【出典】「労働能力喪失率表」(労働省)

(3)労働能力喪失期間

被害者の方が、あと何年間働くことができたのかを仮定するもので、原則として67歳までとされます。

ただし、未成年者や高齢者の場合は修正が加えられる場合があります。

① 労働能力喪失期間の始期は症状固定日となります。
未就労者の場合は原則として18歳とされますが、大学卒業を前提とする場合は卒業時とされます。

② 症状固定時の年齢が67歳以上の場合、原則として簡易生命表の平均予命の2分の1を労働能力喪失期間とします。
なお、症状固定時から67歳までの年数が簡易生命表の平均余命2分の1より短くなる場合は、原則として平均余命の2分の1とします。

③ 労働能力喪失期間の終期は原則67歳ですが、被害者の方の職種や地位、能力、健康状態などによっては違った判断がされる場合もあります。

④ ちなみに、交通事故でもっとも多い障害(ケガ)である「むち打ち症」の場合は、後遺障害12級で10年ほど、14級で5年程度とされる場合が多いものの、具体的な症状で判断していくことが重要になります。

【参考情報】(厚生労働省)
令和2年簡易生命表(男)
令和2年簡易生命表(女)

(4)ライプニッツ係数

現在と将来ではお金の価値に変動があるため、その差を調整するために用いるのがライプニッツ係数です。

被害者の方にとって逸失利益は、将来に受け取るはずだった金額(収入)を前倒しで受け取ることになります。

保険会社としては将来的な金利分を差し引かずに、そのまま支払ってしまうと損をすることになってしまいます。

そこで、その差を調整することが必要になってくるわけです。(専門的には、中間利息を控除する、といいます)

① ライプニッツ係数の算出は複雑で難しいため、あらかじめ算出されている「ライプニッツ係数表」を使用します。

② 中間利息控除の基準時は、症状固定時とすることが多いのですが、裁判例によっては事故時とするものもあることに注意が必要です。

③ 2020年4月1日以降に起きた交通事故の場合は、ライプニッツ係数の法定利率は3%で計算します。(以降は3年ごとに見直されるようになっています)

④ 死亡事故の場合、生活費を控除しますが、後遺症がある場合は原則、控除しません。

職業別の基礎収入についての注意ポイント


次に、職業や家庭での立場の違いによる基礎収入の算出での注意点について解説します。

(1)有職者

☑給与所得者:原則として事故前の収入を基礎収入とします。

現実の収入が賃金センサスの平均額以下の場合、平均賃金が得られる蓋然性があれば、それが認められます。

若年労働者(概ね事故時に30歳)の場合には、学生との均衡の点もあるため全年齢平均の賃金センサスを用いるのが原則となります。

☑事業所得者:自営業者や自由業者、農林水産業などは申告所得を参考にしますが、この申告額と実収入額が異なる場合は、立証があれば実収入額を基礎とします。

所得が、資本利得や家族の労働などのトータルなものの場合は、所得に対する本人の寄与部分の割合によって算定します。

現実収入が平均賃金以下の場合、平均賃金が得られる蓋然性があれば、男女別の賃金センサスを用います。

現実収入の証明が困難なときは、各種統計資料によって算定する場合もあります。

☑会社役員:会社役員の報酬については、労務提供の対価部分は認められますが、利益配当の実質をもつ部分については消極的で、基礎収入には加えません。

(2)家事従事者

賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均の賃金額を基礎とします。(最判昭和49.7.19 判時748・23)

職業がある主婦(兼業主婦)の場合、実収入が上記平均賃金以上のときは実収入、平均賃金より下回るときは平均賃金によって算定します。

その際、一般的には家事労働分の加算は認められません。

なお、専業主婦の場合、家事労働は労働とされるため、逸失利益として認められます。

(3)無職者

☑学生・生徒・幼児等:賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、男女別全年齢平均の賃金額を基礎とします。

女子年少者の逸失利益については、女性労働者の全年齢平均賃金ではなく、一般的には男女を含む全労働者の全年齢平均賃金で算出します。

大学生になっていなくても、大卒の賃金センサスが基礎収入と認められる場合があります。

大卒の賃金センサスによる場合、就労の始期が遅れるため、全体としての損害額が学歴計平均額を使用する場合と比べて減る場合があることに注意が必要です。

☑高齢者:就労の蓋然性があれば、賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、男女別、年齢別平均の賃金額を基礎とします。

(4)失業者

労働能力、労働意欲があり、就労の蓋然性があるものは認められます。

その場合、再就職によって得られるであろう収入を基礎とするべきで、特段の事情がないかぎり、失業前の収入を参考とします。

ただし、失業以前の収入が平均賃金以下の場合は、平均賃金が得られる蓋然性があれば男女別の賃金センサスを用います。

職業別:基礎収入の早見表

職業 基礎収入
給与
所得者
原則として事故前の収入
事業
所得者
申告所得を参考にします
会社役員 労務提供の対価部分
家事
従事者
賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均の賃金額
学生・
生徒・
幼児
賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、男女別全年齢平均の賃金額
高齢者 就労の蓋然性があれば、賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、男女別、年齢別平均の賃金額
失業者 労働能力、労働意欲があり、就労の蓋然性がある場合、再就職によって得られるであろう収入

実際の逸失利益の計算例


逸失利益は、被害者の方の職業や家庭での立場、年齢などに違いによって金額が変わってきます。

ここでは計算例として、(1)有職者と、(2)18歳未満の未就労者について、逸失利益がどのくらいの金額になるのか計算してみます。

(1)有職者・就労可能者

「例」
・50歳の会社員(症状固定時)
・年収500万円
・労働能力喪失率:35%(後遺障害等級9級と仮定)
・ライプニッツ係数:13.1661
※就労可能期間17年(50~67歳)の数値を用います。

「計算式」
5,000,000円 × 0.35 ×
13.1661 = 23,040,675円

(2)18歳未満の未就労者

「例」
・10歳の男子(症状固定時)
・年収5,609,700円
※ここでは「令和元年賃金センサス」男性・学歴計・全年齢の平均賃金を用います。
・労働能力喪失率:35%(後遺障害等級9級と仮定)
・ライプニッツ係数:20.1312
※児童の場合、18歳で就労を開始すると仮定すると、ライプニッツ係数は67歳までのライプニッツ係数から18歳に達するまでのライプニッツ係数を差し引いたものを用います。
したがって、ここでは67年-10年=57年に対応するライプニッツ係数(27.1509)から、18年-10年=8年のライプニッツ係数(7.0197)を引いたものを採用します。

「計算式」
5,609,700円 × 0.35 ×
20.1312 = 39,525,497円

逸失利益が認められない!?注意すべき後遺障害

後遺障害によっては、仕事には影響がないとして逸失利益が認められない場合があるので注意が必要です。

① 外貌醜状や歯牙傷害
② 味覚・嗅覚障害
③ 脾臓摘出
④ 骨盤骨・鎖骨・脊柱変形 など

これらの場合は示談交渉や裁判で争点になることが多いので、一度、交通事故に強い弁護士に相談してみることをおすすめしています。

後遺障害があっても減収がない場合の逸失利益はどうなる?

被害者の方に減収がない場合、逸失利益が認められない場合があります。

その時、どうすればいいのか?

次の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

みらい総合法律事務所で実際に解決した増額事例


最後に、みらい総合法律事務所で実際に解決した増額事例をご紹介します。

逸失利益が認められると、どのくらい増額するのか参考になさってください。

解決事例①:50歳男性の慰謝料・逸失利益などが約2.8倍に増額

50歳男性(公務員)の方が自動車で走行中、交差点で加害車両と衝突した交通事故です。

第四胸椎破裂骨折などのため脊柱変形の後遺症が残り、被害者の方には後遺障害等級11級7号が認定されました。

加害者側の任意保険会社は、損害賠償金として約408万円を提示しましたが、この金額に疑問を感じた被害者の方が、みらい総合法律事務所の無料相談を利用。

弁護士の見解は「増額可能」というものだったため、示談交渉のすべてを依頼されました。

弁護士が交渉したところ、保険会社は「被害者は公務員であり、収入の減額はない」と主張してきましたが、最終的には譲歩し、1150万円で解決。

当初提示額から約2.8倍に増額した事例です。

解決事例②:23歳男性の逸失利益などが増額し損害賠償金が約4.2倍に

23歳男性(会社員)が交差点を歩行中、直進してきた加害車両に衝突された交通事故。

被害者男性は、視野狭窄で後遺障害等級13級3号、左眼視力低下で13級1号、併合12級相当が認定され、加害者側の任意保険会社は慰謝料などの損害賠償金として約217万円を提示してきました。

この金額が妥当かどうか、被害者の方がみらい総合法律事務所に相談し、そのまま示談交渉を依頼されました。

弁護士が交渉に入ったところ、保険会社は低い額の逸失利益に固執したため、提訴して裁判へ。

裁判では弁護士の主張が認められ、最終的に保険会社提示額の約4.2倍に増額し、930万円で解決した事例です。

解決事例③:49歳男性の逸失利益など損害賠償金が約2倍に増額

49歳男性(会社役員)が自動車を走行中、緊急車両が接近したため停止させたところ、後方から走行してきた自動車に追突された交通事故です。

被害者男性は右膝十字靭帯を損傷し、治療しましたが症状固定により神経症状の後遺症が残ってしまいました。

後遺障害等級申請をしたところ12級7号が認定され、加害者側の任意保険会社は被害者男性に対し、既払い金の他、慰謝料などの示談金として約637万円を提示してきました。

被害者男性は、みらい総合法律事務所の無料相談を利用し、そのまま示談交渉を依頼。

弁護士が保険会社と交渉したところ、被害者の方が会社役員であるため、休業損害と逸失利益が争点となりましたが、最終的には保険会社が弁護士の主張を受け入れ、1210万円で解決した事例です。

保険会社の当初提示額から約2倍に増額したことになります。

その他の解決事例はこちらから

ここまで交通事故被害による逸失利益について解説してきましたが、被害者の方が単独で加害者側の保険会社と示談交渉をして慰謝料や逸失利益の増額を勝ち取るのは、かなり難しいことがおわかりいただけたと思います。

逸失利益で加害者側と争いになった場合、交通事故に強い弁護士に依頼することは示談解決の近道です。

ぜひ一度、弁護士に相談してみることをおすすめします。

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