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通勤中の交通事故…労災保険と自賠責保険どちらを使うか?

最終更新日 2020年 05月10日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

この記事を読むとわかること

仕事中や通勤中に交通事故にあってケガを負ったり、死亡した場合は「労働災害(労災)」になります。

では、労災とはどのようなものなのでしょうか?

一体、誰が補償してくれるのでしょうか?

この記事では、知っているようで知らない交通事故における労災保険と自賠責保険の関係について、弁護士が解説します。

この記事を読むことで次のことがよくわかります。

  • 労働災害(労災)とは?
  • 業務災害と通勤労災について
  • 労災保険と自賠責保険の関係とは?
  • 交通事故の労災を弁護士に相談・依頼するメリット
  • 交通事故の労災に強い弁護士を探すコツ

ぜひ最後まで読んでください!

【交通事故の被害者は労災保険を使うことができるのか?】

労働災害(労災)とは?

労働中に、ケガや病気をして後遺障害が残ってしまったり、死亡してしまう場合を労働災害(労災)といいます。

労災には、大きく分けると「業務災害」と「通勤災害」の2種類があります。

「業務災害」とは、業務中にケガをしたり、病気にかかる場合、または死亡する場合です。

「通勤災害」とは、通勤中の交通事故などによるケガや死亡の場合です。

労災が認められる条件とは?

「業務災害」

業務災害は、業務と労働者の負傷(ケガ)、疾病(病気)、障害(後遺障害)、死亡との間に因果関係がある場合に労災と認定されます。

労災認定されるためには、次の2つの基準で判定します。

(1) 業務遂行性=労働者が使用者(会社)の支配下にある状態
(2) 業務起因性=業務に内在する危険性が現実化し、業務と死傷病の間に一定の因果関係があること。

業務中のケガや死亡といっても、すべてが労災認定されるわけではないことに注意が必要です。

「通勤災害」

通勤災害は通勤中のケガなどが対象になるため、仕事と関連していることが必要になります。

通勤とは、次のような移動を合理的な経路と方法で行なうことをいいます。

(1)住居と就業場所との往復
(2)就業場所から他の就業場所への移動
(3)単身赴任先住居と帰省先住居との移動

たとえば、通勤途中にお酒を飲むために飲食店に立ち寄るなど、通勤とは関係のない場所に行ったりすると、通勤ではないとみなされ、通勤労災は認定されないことになります。

ただし、日常生活を送るうえでの必要な行為として、たとえば日用品を買うためにスーパーやコンビニに立ち寄り、短時間で買い物を終えて合理的な通勤経路に戻れば、通勤途上となります。

しかし、買った物が日常生活に必要のない商品だったり、仕事とは関係のない場所飲食店に行ったりした場合は「逸脱中」ということになり、通勤災害とは認められないので注意が必要です。

通勤労災(交通事故)の解決の流れ

交通事故で通勤労災の被害にあった場合、通常は次のような流れで、手続きを進めていきながら解決を目指します。

被害者がケガの場合

(1) 事故発生時

まずは落ち着いて、次のことを確認し、手続きを行なっていきます。

・事故状況、自分と相手のケガ、物損の状況などを確認
・加害者の身元確認を確認して警察へ連絡(届け出)
・加害者の車検証、自賠責保険、任意保険の確認
・自分の任意保険などの確認

(2)入通院をして治療開始

初めは「大したことない」と思っても、交通事故後に時間が経過していくにつれ、痛みがひどくなることもあります。

必ず、すぐに病院で診察治療を受けることが大切です。

(3)症状固定の診断

治療のかいなく、ケガが完治せず、これ以上の治療効果が見込めない場合、主治医から「症状固定」の診断を受けることになります。

症状固定となると、後遺症が残ってしまうことになるので、保険会社から「自賠責後遺障害診断書」をもらい、主治医に書いてもらい、自賠責後遺障害等級の認定を受けることになります。

(4)自賠責後遺障害等級の認定と確定

認定される後遺障害等級は絶対に正しいわけではありません。

等級が1つでも違うと、被害者の方が受け取ることのできる損害賠償金(保険金とも示談金ともいいます)が数百万円、場合によっては数千万円も違ってきますから、後遺障害等級はとても重要なものです。

しかし、等級が本当に正しいのかどうか判断するのは、交通事故の素人である被害者の方には難しいでしょう。

ですから、ここでは交通事故に強い、実務経験が豊富な弁護士に相談することを検討するといいと思います。

(5)示談交渉

通常、後遺障害等級が確定すると、加害者側の任意保険会社から示談金の提示があります。

この金額で納得がいけば示談成立となりますが、不満がある場合は示談交渉に入ります。

しかし、この金額、本来であれば被害者の方が受け取ることができる金額よりも低いことがほとんどです。

やはり、ここでも交通事故に強い弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

(6)示談交渉が決裂したら裁判へ

示談交渉が不成立となった場合は訴訟を提起して、裁判に入ることになります。

裁判となると気が引ける、できればしたくないという人もいますが、じつは裁判で判決が出た場合は被害者の方が受け取る損害賠償金が増額する可能性が一段と高まります。

詳しいことは弁護士に問い合わせてみるといいでしょう。

最終的に和解が成立すれば、保険会社から示談金が支払われて解決となります。

被害者が死亡の場合

交通死亡事故の場合も基本的にはケガを被った場合と同じ流れで解決を目指しますが、若干異なる部分があります。

後遺障害等級認定などがないため、通常、四十九日が過ぎた頃、加害者側の保険会社から示談金の提示があり、示談交渉が始まります。

加害者の刑事事件に被害者の方やご家族が参加できる「被害者参加制度」というものがあります。

刑事裁判に参加して、ご遺族が意見を陳述することができるのですが、その参加の仕方、申請方法、どのような意見を述べたらよいのかなど、経験のない方にはわからないことが多いかもしれません。

その場合は、交通事故に強い弁護士に相談してみることをおすすめします。

なお、刑事事件が進行していて、まだ刑が確定する前に香典を受け取ったり、示談を成立させてしまうと、被害者の方とご遺族に対してある程度の償いがされたと判断されてしまい、最終的な刑が軽くなってしまう場合があるりますので注意が必要です。

労災保険と自賠責保険の違いについて

労災保険

業務中や通勤中に交通事故にあった場合には、労災保険を使うことができます。

労災保険とは、被害者の方が労災認定を受けた場合、本人や遺族に対して保険給付を行なう制度です。

これは、災害補償制度が「労働基準法」、「労働者災害補償保険法(労災保険法)」といった法律で定められているため、国から補償を受けることになります。

労災保険は、健康保険とは違い、労働者に自己負担額がないというメリットがあります。

自賠責保険

自賠責保険は、自動車を運行する場合は必ず加入しなければならない強制保険ですから、業務中や・通勤中の交通事故の場合でも、もちろん使うことができます。

ただし、労災保険と自賠責保険で、同じ損害項目について両方から二重に支払いを受けることはできません。

どちらか一方から支払いを受けたら、その分は控除されます。

労災保険と自賠責保険について、どちらを優先させるかについて法律の規定はありませんが、労災保険を管轄する厚生労働省から次のような通達が出ています。

「労災保険の給付と自賠責保険の損害賠償額の支払との先後の調整については、給付事務の円滑化をはかるため、原則として自賠責保険の支払を労災保険の給付に先行させるよう取り扱うこと」(昭和41年12月16日基発1305号)

ただ、通達というのは下級行政庁を拘束しますが、労働者に対する強制力はないので、労働者はどちらの保険を優先させるのかを自由に決定することができます。

労災保険と自賠責保険はどちらを優先するべきか?

ただし、次のような事情がある場合には、労災保険を優先させたほうが有利になる場合があります。

自分の過失が大きい場合

交通事故に関して自分の過失が大きい場合や、過失割合について相手方と争いになっていてどうなるかわからないような場合、自賠責保険では過失割合が7割以上の者に対しては5割~2割の範囲で保険金額が減額されてしまいます。

これを、重過失減額といいます。

それに対し、労災保険には過失割合による減額はありません。

交通事故の加害者が無保険(自賠責保険に加入していない)の場合または自賠責保険しか加入していない場合

交通事故の加害者が無保険の場合、自賠責保険は使えないので選択肢はありません。

また、自賠責保険には加入しているが任意保険に加入していないようなときは、労災保険を優先させたほうがいい場合があります。

しかし、労災保険には慰謝料がないので、自賠責保険を優先させて傷害部分の限度額120万円を治療費で使い切ってしまうと、慰謝料がもらえなくなってしまう場合があります。

このとき、労災保険を優先させて治療を行ない、労災保険から自賠責保険への求償が行われる前に自賠責保険に請求すれば、自賠責保険から慰謝料を回収することができる場合があります。

また、治療費の額についても、労災保険の診療報酬単価が1点12円なのに対し、自賠責保険の場合は自由診療扱いになるため診療報酬単価は1点20円~30円などと労災保険より高額になります。

すると、上限の120万円をすぐに使い切ってしまうことも考えられます。

したがって、相手方が任意保険に加入していない場合には、労災保険で治療を行なったほうがいいでしょう。

なお、被害者の方に後遺障害がある場合、後遺障害の審査については、労災保険と自賠責保険で別々に審査されることになります。

同じ基準で審査されているのですが、労災保険に比べて自賠責保険の後遺障害等級の方が低く認定されることが多い傾向にあるので注意が必要です。

このように、労災保険については難しい部分があるので、まずは一度、交通事故と労災に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

 

【通勤中の交通事故では労災保険と自賠責保険のどちらを使うべきか?】

みらい総合法律事務所の実際の増額解決事例

ここでは、みらい総合法律事務所で実際に増額解決した事例をご紹介します。

60歳女性が併合8級の後遺障害等級で慰謝料等が約3.35倍に増額!

60歳の女性が自転車で交差点を横断中、右折自動車に衝突された交通事故。

脳挫傷、右鎖骨遠位端骨折などのケガを負い、治療をしましたが後遺症が残ってしまいました。

後遺障害等級を申請したところ、高次脳機能障害で9級10号、鎖骨変形で12級5号の併合8級が認定されました。

そこで、加害者側の保険会社が示談金として提示してきたのは、慰謝料などの損害賠償金1426万0873円(既払い金を除く)でした。

被害者の方が、この金額が妥当かどうか確認するため、みらい総合法律事務所の無料相談を利用。

弁護士の見解は、「まだ増額できる」というものだったので、被害者の方は示談交渉を依頼することにしました。

示談交渉では、被害者の方の事故前の収入が低かったため、逸失利益をいくらにするかが争点となりましたが、最終的には弁護士の主張を保険会社が受け入れ、逸失利益が増額。

労災給付なども含め、2000万円で解決しました。

保険会社の当初提示額から約600万円増額した事例です。

77歳女性の死亡事故で慰謝料等の損害賠償金が約1700万円増額

77歳の女性の交通死亡事故の事例です。

被害者女性には2人の子供がおり、相続人となりました。

子供たちは加害者を許せない感情が強く、刑事事件にも被害者として参加したいという意向を持っていたため、みらい総合法律事務所の弁護士に刑事事件の被害者参加のサポートから依頼をしました。

刑事事件が終わり、保険会社から提示額がありましたが、その金額は、1914万6100円でした。

相続人たちは大変不満な金額であったことから弁護士が提訴。

被害者の方の過失と、逸失利益(家事労働)の有無が争点になりましたが、最終的には当方の主張が認められ、3600万円で解決しました。

訴訟をしたことにより、訴訟提起前の金額から約1700万円増額したことになります。

交通事故の労災は弁護士に相談・依頼するべき

解決事例からもおわかりいただけるように、示談交渉に弁護士が入ると慰謝料などの損害賠償金が大きく増額する可能性が高くなります。

また、弁護士に依頼することで、被害者の方とそのご家族は難しく、煩わしい示談交渉をしなくてもよくなるので、精神的にも労力的にも解放され、負担を軽減することができます。

では、それはなぜなのか?

詳しくは、こちらの記事をぜひ読んでみてください。

・保険会社が本来よりも低い示談金額を提示してくる理由とは?
・被害者の方やそのご家族が本当ならば受け取ることができる正しい金額の慰謝料を保険会社が提示してこないのはなぜなのか?
・示談交渉に弁護士が入ると慰謝料などの損害賠償金が増額するのはなぜなのか?

こうした重要なことがわかります。

 

【交通事故を弁護士に相談すべき7つの理由】

交通事故に詳しい弁護士の選び方のポイント

なお、相談・依頼する際、弁護士なら誰でもいいわけではないことを知っておいてください。

たとえば、風邪をひいたときに整形外科には行きませんよね。

それと同じように、専門分野が交通事故や労災ではない弁護士に相談・依頼してしまうと、期待する結果を得られないどころか、被害者の方とご家族が損をしてしまいかねません。

やはり、交通事故に強い弁護士、労災の実務経験が豊富な弁護士に依頼することをおすすめします。

 

以上、交通事故において、労災保険と自賠責保険の関係がどうなるか、について弁護士が解説しました。

労災においても自賠責においても後遺障害で争いになったとき時は、みらい総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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