無料相談|全国対応|死亡事故と後遺障害に強い弁護士が慰謝料を増額。
  • 電話で相談
  • メールで相談
みらい総合法律事務所
交通事故相談SOS | みらい総合法律事務所

人身事故を起こした際の罰則と加算される違反点数を解説

最終更新日 2024年 04月18日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

人身事故を起こした際の罰則と加算される違反点数を解説
自動車を運転中に追突事故などの人身事故を起こしてしまった場合、運転手に対して違反点数が付されます。

点数が一定基準を超えてしまうと、免許停止や免許取消処分の対象になるので注意しなければなりません。

また、交通事故は行政処分だけでなく、刑事・民事の対象にもなりますので、

今回は人身事故に関する罰則の種類と違反点数について解説します。

 

交通事故SOSでは
交通事故の知識を解説しています





人身事故の定義|物損事故との違い

交通事故の種類は「人身事故」と「物損事故」に分類され、事故がどちらに該当するかで処分内容は異なります。

人身事故

人身事故は被害者が人的損害を負った事故をいい、交通事故で被害者が怪我や死亡した場合、刑事・民事・行政のそれぞれで処罰を受けることになります。

刑事罰は犯罪行為をしたことに対するもので、重大な交通事故であれば懲役刑が科されるケースもあります。

民事では、被害者に損害を与えたことに対する補償を行わなければなりません。

被害状況によっては、多額の慰謝料や損害賠償金を支払うことになりますし、示談をする際は加害者と被害者が話し合いをすることになるため、弁護士を立てることも必要です。

行政においては、交通違反や交通事故に応じて違反点数が付されます。

点数が基準を超えれば自動車の運転ができなくなるだけでなく、免許が取り消しになることもあります

物損事故

物損事故は、被害者が人的被害を受けておらず、物的損害を受けた交通事故をいいます。

たとえば停車している無人の車に追突した場合、車の所有者は怪我をしていませんが、車が壊れたことによる損害を被っているので、加害者はその被害に対する賠償をしなければなりません。

物損事故でも警察への連絡は必要ですが、損害を補償すれば民事だけで問題は解決します。

交通事故の処理を適切に行えば違反点数が加算されずに済むため、ゴールド免許を維持することもできます。

人身事故の3つの責任|刑事・民事・行政上の付加点数と罰金処分の例

人身事故の3つの責任|刑事・民事・行政上の付加点数と罰金処分の例
人身事故が発生した際の違反点数は行政処分の一つであり、事故内容によって刑事・民事・行政上の処罰内容や、加算される違反点数も異なります。

刑事罰

交通事故が発生した際、問われる可能性がある主な罪は次の通りです。

<主な刑事罰の種類>

  • ・過失運転致死傷罪
  • ・過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪
  • ・危険運転致死傷罪
  • ・救護義務違反(ひき逃げ)
  • ・危険防止措置義務違反
  • ・報告義務違反
  • ・無免許運転

 

前方不注意やスピード違反で人身事故を起こし、過失運転致死傷罪に問われた場合、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金に処される可能性があります。

事故の内容によって量刑は変わり、被害者の損害が軽いときは情状により刑が免除されるケースも存在します。

民事の損害賠償

交通事故で被害者に損害を与えた場合、加害者は損害に応じた慰謝料や損害賠償金を支払うことになります。

損害賠償は民法第709条「不法行為に対する損害賠償」で定められており、加害者の不法行為によって生じた損害を補填しなければなりません。

また、自賠法第3による運行供与者としての損害賠償責任が発生する場合もあります。

損害賠償の範囲は怪我の治療費だけでなく、仕事ができなくなったことによる減収や事故で受けた精神的苦痛の慰謝料も含まれ、事故の際に物的損害を負わせているときは、車の修理費等も損害賠償の対象です。

行政処分

人身事故に対する行政上の処分は、交通反則通告制度により違反点数の加算と、反則金の支払いがあります。
自動車の点数制度は、運転者の交通違反や交通事故の種類に応じて点数を付け、過去3年間の累積点数等に応じて、免許の停止や取消処分を行う制度です。

人身事故の違反点数は重く、1度の事故で免許停止処分の基準を超えることもありますし、重大な事故であれば運転免許証が取り消しになるケースもあります。

いわゆる「ひき逃げ」に該当する救護義務違反の点数は35点と非常に高いため、事故で気が動転していたとしても、その場から立ち去ってはいけません

また、安全運転義務違反で事故を起こした際の反則金の額は、加害者が運転していた車両の種類によって異なります。

<安全運転義務違反に伴う反則金>

車両の種類 反則金の額
大型車 12,000円
普通自動車 9,000円
二輪車 7,000円
原付 6,000円

人身事故の違反点数と免停・免許取り消しの関係

「免停」と呼ばれる免許の停止は、運転を一定期間禁止する処分です。

免停期間は、点数や違反歴に応じて30日から180日までの間で定められます。

免停処分を受ければ、その期間中に車は運転できなくなりますが、期間が終了すれば再び車を運転できるようになります。

一方、免許の取消処分は運転免許証のはく奪を意味し、再び自動車を運転するためには、もう一度運転免許証を取得しなければなりません。

運転免許証を再取得可能になるまでの期間も規定されているため、免許が取り消されてしまった場合、必ず運転できない期間が生じます

再取得までの期間は処分内容によって異なり、最短でも免許取消後1年間は免許を取得できず、違反点数が大きい場合には最長10年間、免許の再取得は認められません。

人身事故で加算される違反点数の種類

人身事故で加算される違反点数には「基礎点数」と「付加点数」の2種類あり、事故内容によって付される点数は異なります。

点数計算の原則

点数計算は累積方式が採用されており、基礎点数と付加点数を合計して算出します。

交通違反の基礎点数は、交通違反ごとで付された点数を累積し、交通事故については事故の種別と責任の程度および負傷の程度に応じて点数が加算されます。

累積された点数を元に戻すためには、最終違反日の翌日から1年間無事故無違反の期間が必要です。

運転免許の停止や取り消しの判断は、運転者の最後の交通違反等の日を起算日として、過去3年間の累積点によって計算します。

累積点数が6点以上になると免許停止処分の対象となり、前歴がある人ほど免停になる条件が厳しくなるので注意してください。

停止処分の前歴を無くすためには停止期間が終わり、運転できるようになった日から1年間無事故無違反の期間を要します。

また、累積点数が15点以上になると免許取り消しの対象になりますので、交通違反を起こさないことが何よりも大切です。

基礎点数

基礎点数は、個々の違反に対して付される点数です。

人身事故で安全運転義務違反に該当した場合、基礎点数として2点が付されます。

2つ以上の違反行為が同時に発生したときは、それらの違反行為の中で最も高い点数が付されますが、重大な事故の場合には例外的な方法で点数を算出するケースもあります。

付加点数

付加点数は、違反行為が原因で交通事故を起こした場合などを理由に、その違反行為にかかる基礎点数に上乗せさせる点数をいいます。

安全運転義務違反が原因で交通事故を起こしたときは、基礎点数に加えて付加点数も加算されます。

<交通事故の付加点数表>

交通事故による被害の程度 不注意の程度
(※)
点数
死亡事故 専ら 20点
上記以外 13点
傷害事故
(治療期間が3か月以上または後遺障害があるもの)
専ら 13点
上記以外 9点
傷害事故
(治療期間が30日以上3か月未満であるもの)
専ら 9点
上記以外 6点
傷害事故
(治療期間が15日以上30日未満であるもの)
専ら 6点
上記以外 4点
傷害事故または、建造物損壊事故
(治療期間が15日未満であるもの)
専ら 3点
上記以外 2点

※「専ら」は、交通事故が専ら違反行為者の不注意で発生したものである場合

「一般違反行為」と「特定違反行為」の違い

交通違反による行政処分には、一般違反行為に対するものと、特定違反行為に対するものが存在します。

一般違反行為は信号無視や速度超過、安全運転義務違反など、交通違反の中でも比較的軽微とされる違反が対象です。

特定違反行為は、酒酔い運転やひき逃げをしたことによる救護義務違反など、交通違反の中でも悪質性の高い違反が該当します。

違反点数は特定違反行為の方が高く点数が設定されており、無事故無違反の方でも特定違反行為をしてしまうと、免許が取り消されますので気を付けてださい。

酒気帯び運転は基礎点数の加重対象

飲酒に関する交通違反は厳罰化が進んでいて、呼気中のアルコール濃度が0.15mg / l以上〜0.25 mg / l未満の「酒気帯び運転」の基礎点数は、13点と非常に高いです。

また、酒気帯び運転と他の交通違反行為が競合するときは、包括的に独自の違反類型として評価するため、酒気帯び運転と安全運転義務違反が同時に発生した場合の基礎点数は14点になります。

人身事故は厳罰化が進んでいる

人身事故は被害者への影響が極めて大きいことから、年々罰則が厳しくなっています。

平成26年5月の罰則強化

飲酒運転に対する罰則強化は知られていますが、「自動車運転死傷処罰法」が平成26年(2014年)5月から施行されたことで、人身事故に対する罰則は重くなっています。

従来、危険運転致死傷罪は刑法で定められていましたが、現在は規定が自動車運転死傷処罰法に移され、その後も危険運転致死傷罪の新たな類型は追加・新設されています。

煽り運転に対する罰則強化

令和2年(2020年)の法改正(令和2年6月30日施行)では、危険運転致死傷罪の新たな類型として、あおり運転に関する罰則が追加されました。

危険運転致死傷は15年以下の懲役、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処されます。

有期懲役の上限は原則20年ですが、有期懲役の罪を重複する場合には上限が最長30年になるなど極めて重い罪です。

煽り運転に該当するケース1

車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転して人を死傷させた場合

煽り運転に該当するケース2

高速自動車国道等において、自動車の通行を妨害する目的で走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止または徐行をさせて人を死傷させた場合

人身事故の被害者がやるべきこと

万が一、人身事故の被害にあってしまった場合、状況に応じて被害者も対処することが求められます。

<交通事故発生時にやるべきこと>

  • ・警察への連絡
  • ・事故現場の記録
  • ・加害者の情報確認
  • ・加入している保険会社への連絡
  • ・目撃者の確保
  • ・病院検査
  • ・交通事故証明書の交付

 

警察への連絡

交通事故が発生した場合、最初に行うのが警察への連絡です。

警察への連絡は人身事故だけでなく、物損事故においても必要になります。

加害者と被害者のどちらが警察に連絡しても問題ありませんが、連絡しない選択肢はないので、加害者が警察に連絡しないときは被害者が警察を呼んでください。

事故現場の記録

警察に連絡をしましたら事故現場の状況を確認し、証拠を記録してください。

被害状況は損害賠償請求をする際に必要となるため、メモやスマホのカメラなどを用いて、後から状況を把握できるようにするのがポイントです。

ドライブレコーダーが付いていたとしても、タイヤ痕などはドライブレコーダーで確認することはできませんので、現場の記録を残す行動が求められます。

加害者の情報確認

警察の事情聴取とは別で、被害者も加害者の情報を聞いてください。

相手が協力的だったとしても、情報を残していないと示談交渉等の際にトラブルになる可能性がありますので、メモやスマホのボイスレコーダー等を用いるなどして情報を収集してください。

<確認すべき加害者の情報>

  • ・住所
  • ・氏名
  • ・年齢
  • ・連絡先
  • ・車のナンバー
  • ・強制保険
  • ・任意保険の有無および保険会社名

 

加入している保険会社への連絡

交通事故は過失割合などが焦点になることもありますので、自身が加入している保険会社への連絡もしなければなりません。

保険会社に連絡すれば必要な情報や資料の説明をしてくれますので、その後に備えて連絡体制を整えてください。

目撃者の確保

当事者同士の話し合いがまとまらない場合、第三者の意見が重要になることもあるので、事故現場に居合わせた方など、事故の目撃者を探しておくことも大切です。

第三者が証言してくれれば主張が認められる可能性は高くなりますし、示談交渉も有利に進められます。

病院検査

人身事故と物損事故ではその後の対応が変わりますので、交通事故にあった際は必ず病院へ行くようにしてください

外見上は怪我を負っていなくても、むち打ち症など身体に大きな負荷がかかっていることもありますし、脳関係の損傷は検査しないと症状を正確に把握することは難しいです。

また、病院で検査を受けましたら、忘れずに医師から診断書を受け取ってください。

交通事故証明書の交付

交通事故発生後は警察への事故届出だけでなく、交通事故証明書を取得し、契約している保険会社に状況を伝えてください。

事故を受けたことで保険金を請求する際は、交通事故証明書の交付を受ける必要があります。

交通事故証明書は交通事故が発生したことを公的に証明する書類であり、自動車安全運転センターで取得することができます。

まとめ

交通事故が発生した場合、パニックになる気持ちを抑え、冷静に対処することが大切です。

加害者は被害者を救護しなければなりませんし、被害者は加害者の情報を収集しておかないと損害賠償金などに影響も出てきます。

加害者に非がある場合でも、非があった事実を証明できなければ過失割合が下がり、望んでいる慰謝料や賠償金が得られないことも想定されます。

交通事故の被害者は心身に負担がかかっている状態ですので、必要な処置を行いましたら、示談交渉などその後の手続きを弁護士に依頼することも検討してください。

※本記事は令和6年2月8日時点における法令に基づいて執筆しています。