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交通事故で裁判のやり方・費用・流れを解説

最終更新日 2022年 11月22日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

交通事故で裁判のやり方・費用・流れ【不安を解決!】

【10分で解説!】記事を読む前に動画で全体像を把握できます

交通事故の慰謝料など損害賠償金の示談交渉が決裂した場合、どうすればいいのでしょうか?

その場合、被害者の方やご家族は、提訴して裁判で決着をつける、という方法があります。

しかし、

  • 事を大きくして、裁判まではやりたくない。
  • 裁判では何を、どうすればいいのか、
    わからない。
  • 費用はどのくらいかかるのか不安だ。

 
といった方も多いかもしれません。

そこで本記事では、交通事故の被害者やご家族が加害者側と裁判をする際の、やり方や全体の流れと手続き、費用などについて解説していきます。

これから、交通事故で裁判を起こす時の方法や流れ、費用などについて解説していきますが、その前に交通事故解決までの全プロセスを説明した無料小冊子をダウンロードしておきましょう。

交通事故解決までの全体の流れを理解する

裁判の流れを知る前に、まずは交通事故発生から示談成立、あるいは判決までの全体の流れを把握しておきましょう。

交通事故が発生したら…

ケガの程度を見ながら動けるようであれば、加害者の身元確認、警察への連絡などを行ないます。

症状固定と後遺症の関係とは?

交通事故でケガを負ったなら、入通院をして治療をするでしょう。

ケガが完治すればいいのですが、残念ながらこれ以上の回復が見込めない、という段階がくる場合があります。
そうなると、主治医から「症状固定」の診断を受けることになります。

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慰謝料は1つではない!?

慰謝料は1つではない
ケガを負った場合、被害者の方は治療費や精神的苦痛に対する慰謝料、休業損害などの損害賠償項目を請求できます。
項目は様々あり、これらをまとめた合計を「損害賠償金」といいます。

なお、損害賠償金は状況や立場の違いによって保険金とも示談金と呼ばれますが、これらはすべて同じものです。

ところで、じつは慰謝料というのは1つではありません

ケガで入通院した場合は「入通院慰謝料」、後遺症が残ってしまった場合は「後遺障害慰謝料」、死亡の場合は「死亡慰謝料」を受け取ることができます。

詳しい解説はこちら


後遺症が残ったら後遺障害等級の認定を受ける

症状固定の前後では受け取ることができる損害賠償項目が変わってきます。

たとえば、前述したように慰謝料の場合、入通院期間については入通院慰謝料が支払われますが、症状固定となった時点でこの支払いは終了し、後遺障害慰謝料に移行します。

仕事の収入への補償では、休業損害から逸失利益に変わります。

これらを受け取るためには、被害者の方ご自身の後遺障害等級認定を受ける必要があるのです。

ちなみに、入通院慰謝料より後遺障害慰謝料が、休業損害より逸失利益のほうが金額は大きくなります。

こちらの「後遺障害等級表と等級認定手続で被害者がやってはいけない7つのこと」でも詳しく解説しています。

国土交通省:「自賠責後遺障害等級表」(国土交通省)

後遺障害認定されたら
計算してみましょう

後遺障害等級認定の申請方法は2つある

後遺障害等級は、全部で14等級が設定されています
1級が、もっとも重度の等級になり、各等級には後遺症が残った身体の部位によって、それぞれ号数が決められています。

たとえば、交通事故で背骨を圧迫骨折した場合、後遺症の程度の違いによって、変形障害や運動障害が発生し、次の等級が認定されます。

  • 6級5号:脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
  • 8級2号:脊柱に運動障害を残すもの
  • 11級7号:脊柱に変形を残すもの

 

これらの等級が認定されるためには、申請しなければいけないのですが、それには次の2つの申請方法があります。

1.被害者請求
■被害者の方が直接、加害者が加入している自賠責保険会社に請求をする方法。

■被害者の方が書類や資料を用意する(加害者側の任意保険会社を通さない)ので、主導権を握ることができ、正しい等級認定を受けることができるというメリットがある。

■等級認定後、すぐに自賠責保険金分を受け取ることができるので被害者の方は経済的に余裕が持てるのもメリット。

2.事前認定
■加害者が任意保険に加入している場合、その保険会社を通して申請手続きをしてもらう方法。
任意保険会社が、被害者側に対して自賠責保険金分も一括で支払うので、任意一括払い制度とも呼ばれる。

■必要書類の用意などを任意保険会社が行なってくれるので、被害者の方としては手間がかからないというメリットがある。

それぞれにメリットとデメリットがあるので、ご自身のおかれた状況から選択するといいでしょう。

こちらの記事「交通事故の後遺障害等級認定の手続と慰謝料」でも詳しく解説しています


認定された等級に不服があれば異議申立ができる

認定された等級に不服があれば異議申立ができる
後遺障害等級の認定は、最終的には「損害保険料率算出機構」(損保料率機構)という機関が行ないます。

損害保険料率算出機構:「当機構で行う損害調査」

ここで注意が必要なのは、必ずしも正しい等級が認定されるわけではない、ということです。

というのは、損保料率機構は提出された申請書や書類などからのみ等級認定を行なうため、そもそもの書類に不備や不足があると、低い等級が認定されたり、等級自体が認定されないということがあるのです。

そうした場合、被害者の方は「異議申立」をすることができます

詳しい内容は、こちらの記事や動画をご覧ください。

よくわかる動画解説はこちら

【交通事故】後遺障害等級が
間違っていたら【異議申立】

 

示談交渉の真実と注意するべきポイント

示談交渉の真実と注意するべきポイント

加害者側の任意保険会社から賠償金額の提示がある

交通事故では多くの場合、加害者が任意保険会社に加入していれば、その保険会社から損害賠償金の提示があります

そのタイミングは、被害者の方に後遺症が残った場合は、後遺障害等級が認定されてからになります

この金額に納得がいけば示談成立となるので、示談交渉は行ないません。

しかし通常、保険会社は被害者の方が受け取るべき正当な金額を提示してきません。
提示金額は明らかに低い、ということです。

そこで被害者の方は示談交渉を行なうことになるのですが、その相手は加害者側の任意保険会社になります。

なぜ保険会社は正しい賠償金額を提示しないのか?

加害者側の任意保険会社は利益を上げることを目的とした営利法人です。
ですから、収入を増やし、支出を減らそうとします。

被害者の方への慰謝料などの損害賠償金(状況によって保険金とも示談金ともいいます)は支出になるので、これを任意保険基準というもので算出して提示してきます。

しかし、被害者の方が受け取るべき金額は、弁護士(裁判)基準で算出したもので、これが正しい金額になります。

じつは、損害賠償金の算出では次の3つの基準が使われます。

  1. 自賠責基準
  2. 任意保険基準
  3. 弁護士(裁判)基準

 
この3つは、③>②>①の順で金額が低くなります。

つまり、弁護士(裁判)基準で算出した金額がもっとも高額であり、正当な金額になるのです。

そのため、被害者の方としては加害者側の任意保険会社が提示してきた金額に納得がいかず、示談交渉に突入することが多くなるのです。

保険会社は慰謝料などの増額には応じない!?

保険会社は慰謝料増額には応じない
前述したように、「この損害賠償金額では納得できない」という被害者やご家族の考えは間違いではありません

そこで、示談交渉が開始されるのですが、じつは加害者側の任意保険会社が慰謝料などの増額に応じることは、まずありません。

また、そのほかの理由もあって、示談交渉がなかなか進まず、合意に至らないということが起きてしまいます。

詳しくは「進まない、上手くいかない6つの理由と対処法」で解説しています。

被害者の方としては、ケガや後遺症を抱えて精神的、肉体的につらい思いをされているでしょう。
そうした状況で保険会社との難しく、煩わし交渉を続けていくのは容易なことではないと思います。

また、示談交渉が長引けば長引くほど、被害者の方は慰謝料や逸失利益などを合計した損害賠償金(保険金)を受け取るのが遅くなってしまいます。

つまり、加害者側の任意保険会社は被害者の方の味方ではない、ということは知っておいていただきたいと思います。

示談交渉が決裂した場合の手続きとは?

示談交渉が長引き、それでも賠償金額で双方が合意に至らない場合は、どうすればいいのでしょうか?

その場合は、

  1. 交通事故紛争処理センターで
    和解斡旋をしてもらう
  2. 調停
  3. 弁護士に依頼して訴訟

 
という3つの方法があります。

交通事故紛争処理センターで和解斡旋をしてもらう

①交通事故紛争処理センターとは?
交通事故紛争処理センターは、自賠責保険の運用益で運営されている財団法人で、東京本部の他、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、高松、福岡と全国に7つ支部と2つの相談室があります。

相談員(同センターの嘱託を受けた弁護士)が交通事故の被害者からの相談を受け、加害者側の保険会社からも話も聞いたうえで、示談斡旋を行なっていきます。

ここで知っておいていただきたいのは、相談員は被害者の弁護を行なうわけではないこと。
あくまでも示談斡旋を行う仲介役だということです。

そのため、被害者の方は損害の立証などを自分で行なわなければいけません。

また、同センターから斡旋案が提示されますが、この内容が正しいものなのか、被害者の方には判断が難しいと思います。

②和解が成立しなければ調停・訴訟に移行する
この段階で和解斡旋が成立しない場合は、審査に進むのですが、審査の過程の中で加害者側の保険会社が訴訟移行の要請をする場合があります。

結局、被害者側と加害者側の双方で和解が成立しなければ審査は終了し、調停や裁判を行わないと解決できない、ということになってしまいます。

調停では決着がつかないことが多い

簡易裁判所が被害者側と加害者側の間に入り、話し合いを行なっていくのが調停です。

調停はあくまでも話し合いなので、お互いに合意が得られなければ和解とはなりません。

実際、ここまでの過程で何度も話し合いがされても条件面で和解できていないのですから、
お互いに話し合いをしても合意に至らないことがほとんどです。

そのため、一般的には調停手続きはとらずに訴訟に移行することが多いといえます。

和解できなければ最後は裁判で決着をつける

前述したように、示談交渉では加害者側の任意保険会社は慰謝料などの増額に応じることは少ないのが現実です。

そのため、示談交渉の時点で弁護士に依頼される被害者の方やご家族は多くいらっしゃいます。

実際、交通事故に強い弁護士が被害者の方の代理人として示談交渉に入ることで、適切な金額に増額して示談が成立することは、たくさんあります。

しかし、弁護士が交渉をしても保険会社が応じない場合もあります。
そうした場合でも、最終的には弁護士は提訴して、裁判で決着をつけることになります。

よくわかる動画解説はこちら

なぜ、交通事故の示談金は弁護士が代理すると増額することが多いのか?
(不合理な真実)

 

民事裁判の流れと各手続について

一般的に、民事裁判は次のような流れで進んでいきます。

訴状の提出・訴状審査

訴訟を提起するには、訴状を裁判所に提出します。
裁判所は訴状を審査し、第1回口頭弁論期日を決定します。

被告に対する呼び出し

裁判所が、被告に訴状と呼出状を送ります。
被告は、訴状の内容を確認して、答弁書を提出します。

注意ポイント
訴訟では、誰を被告にするかが問題になります。

交通事故の場合、

  1. 加害者
  2. 加害者が運転していた車両の保有者
    (運行供用者)
  3. 加害者が所属する会社など

 

が被告になり得ます。

※②については、「自賠責保険法」により自動車の運行供用者も人身損害の賠償責任を負担しているため、また、ほとんどの場合で自動車の保有者が任意保険にも加入しているため。

※③については、業務時間中の交通事故の場合、加害者の使用者である会社などに使用者責任が発生するため。

ただし、被告が多ければいいというわけではありません。
裁判の期日の調整が難しくなったり、争点が増えるため期間が長引いてしまう場合があるからです。

弁護士は、被害者の方が有利になる裁判を進めていくので、提訴する場合は一度、交通事故に強い弁護士に相談してみるといいでしょう。

口頭弁論

裁判では、被害者側と加害者側の双方が、事実の主張や法律上の主張を闘わせていきます。

なお、第一回口頭弁論期日には、原告と被告の双方が出席することになっていますが、原告の弁護士だけが出廷することも多いのが実際のところです。
そのため、やり取りは主に書面で行われることになります。

なお、あとで裁判所が被害者の方の話が聞きたいということで証人尋問が行われる場合もありますが、多くはありません。

ですから、この後も被害者の方が出廷しなければいけないということは、ほとんどないということを知っておいていただきたいと思います。

証拠書類の提出

交通事故による損害額の立証は被害者側が行なわなければいけません。
そのため、裁判の進行と並行して、たとえば次のような証拠書類の提出も行ないます。

・実況見分調書
・病院の診断書
・診療報酬明細書
・被害者の収入の証明書
・後遺症が残った時は、自賠責後遺障害等級に関する認定書類
・自賠責後遺障害診断書

 

和解の勧告

和解の勧告
多くの場合、「証人尋問」に入る前に裁判所から和解勧告が入ります。

和解勧告とは、簡単にいうと、裁判所からのアドバイスです。
「このあたりで和解をしたらどうですか?」ということですね。

ここまでの過程で、裁判所はすでに最終的な判断に対する大体の心証を得ているため、判決は和解案と同程度の内容が出されることが多いのです。

そうであるなら、裁判に進む前に和解をしたほうがいいのではないですか? という意味が和解勧告にはあるわけです。

実際、被害者の方としては感情面では和解できなくても、「裁判上の和解」が成立することも多いといえます。

判決

証人尋問、当事者尋問などが行なわれ、判決が出されます。
控訴するかどうかは、弁護士と相談して進めていきます。

裁判の期間と費用について

判決が出るまでの期間は?

もちろん事案によって違いますが、判決が出るまでには、概ね半年間から1年間かかるのが通常です。

争点が医学的な観点になると、2~3年かかるケースもあります。

そのため、判決までいく前に双方が和解をする場合も多くあります。

裁判の費用

裁判では次の費用がかかります。

1.訴訟費用
相手に請求する金額(訴額)によって訴訟費用は次のように変わります。

<訴訟費用の概算>

  • 訴額が100万円の場合 ⇒ 訴訟費用は1万円
  • 訴額が500万円の場合 ⇒ 3万円
  • 訴額が1000万円の場合 ⇒ 5万円
  • 訴額が3000万円の場合 ⇒ 11万円
  • 訴額が5000万円の場合 ⇒ 17万円
  • 訴額が1億円の場合 ⇒ 32万円

 

訴訟費用は収入印紙を訴状に貼付して収めることになります。

裁判所:「手数料額早見表」

詳しい解説は「交通事故で裁判して得する人、損する人の違い」でも説明しています。

よくわかる動画解説はこちら

交通事故の裁判における被害者の負担(費用、期間、労力)

2.弁護士費用
ここでは、みらい総合法律事務所の場合で考えてみます。

「相談料」
みらい総合法律事務所では、交通事故に関する相談料は何度でも無料です。

「着手金」
0円です。

「弁護士報酬」
被害者の方の獲得金額(自賠責含む)の10%(消費税別途)です。

弁護士費用は高額なのか?


弁護士費用は高額なのか
裁判というと、「弁護士費用が高額だから、自分には払えない…」と考えている方もいらっしゃるでしょう。

確かに、映画やドラマ、小説などでは高額の弁護士費用の場面などが描かれることがあります。
でも、それって本当でしょうか?

たとえば、加害者側の任意保険会社からの提示額が800万円の場合で考えてみます。

  • 被害者の方が示談交渉を重ねたが決裂
  • 弁護士に依頼して、交渉を再開
  • 交渉が決裂し、裁判に
  • 判決では、2500万円で解決

 

実際、弁護士が交渉に入ることで、損害賠償金額が2倍、3倍に増額するのはよくあることで、
場合によっては10倍以上になることもあるのです。

最新の解決実績はこちらから

ここでは弁護士費用は獲得金額の10%+消費税ですから、
2500万円×0.1=250万円
(消費税が+25万円)

 
となり、

と被害者の方が受け取る金額は、

2500万円-275万円=2225万円

 
になります。
 
保険会社の提示額は800万円だったので、弁護士費用を支払っても、被害者の方が受け取る金額は、
単純に計算して、1425万円もアップすることになるのです。

さらに深い内容を知りたい方は「交通事故の弁護士費用」の記事でもわかりやすく説明しています。

よくわかる動画解説はこちら

交通事故の弁護士費用を説明します

 

裁判で判決までいった場合の大きなメリット

もう1つ、被害者の方に知っておいていただきたいことがあります。

それは、裁判を起こして判決までいった場合、被害者の方には「弁護士費用相当額」と「遅延損害金」が追加で支払われる、ということです。

・認定された損害賠償金額の10%程度が弁護士費用相当額として加算されます。
判決で2500万円の損害賠償金が認められたなら、約250万円が加算されるのです。

・遅延損害金は、民法改正により、2020年4月1日以降に発生した交通事故については、年3%の割合で計算されます。
交通事故発生から1年後に判決が出て解決した場合、2500万円ならその3%にあたる75万円がさらに加算される仕組みです。

<この記事の裁判についてのまとめ>

  • 裁判を起こす場合は弁護士に相談・依頼する
  • 被害者の方が法廷に出廷するのは、多くても1回のみ
  • 護士に依頼すると損害賠償金が増額する可能性が高い
  • 弁護士費用を支払っても、被害者の方の手元に残るお金は大幅に増額する
  • 裁判で判決までいくと弁護士費用を加害者側に負担させることができる

 


よくわかる動画解説はこちら

交通事故の弁護士費用を
加害者に負担させる方法

 

弁護士費用が保険金で出る。弁護士費用特約

 

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