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交通事故の靭帯損傷と後遺障害等級認定

最終更新日 2024年 02月17日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠


交通事故で靭帯(じんたい)損傷を負った場合の後遺障害等級と、認定のために必要な申請手続きなどについて解説します。

靭帯を損傷すると関節の安定性がなくなったり、可動域の制限が出るなどの後遺症が残ってしまい、今後の生活に支障が出てしまいます。

そうした場合、後遺障害等級は何級が認定されるのでしょうか?
等級認定の申請で注意するべきポイントはあるのでしょうか?

ここでは、膝の靭帯損傷のケースを中心にお話をしていきます。

靭帯損傷について

靭帯損傷について

靭帯とは?

靭帯(じんたい)は、コラーゲンと弾性繊維を含む結合組織で、繊維性の組織が束(たば)になって、丈夫な索(さく)になっています。

膝や肘、足首、肩、頸椎など、あらゆる関節で骨と骨をつないで関節を安定させ、正常に動かすために欠かせない身体の組織が靭帯です。

交通事故で多いのは、膝の靭帯損傷です。

たとえば、膝関節には主に太い靭帯が4本あります。
関節の外側に「外側側副靭帯(がいそくそくふくじんたい)」、内側に「内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)」があり、関節内部に前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)と後十字靭帯(こうじゅうじじんたい)が交差するようにあります。

靭帯損傷の場合の症状

靭帯が伸びて弾力性を失う、あるいは部分断裂や完全に断裂した場合を靭帯損傷といいます。

たとえば、膝の後十字靭帯を損傷した場合、太ももの大腿骨(だいたいこつ)と、すねの脛骨(けいこつ)の安定性が失われ、脛骨が後方にずれてしまいますし、前十字靭帯を損傷すると、脛骨が前方にずれてしまいます。

内側側副靭帯を損傷すると、膝の横方向の安定性が失われてしまいます。

また足首の場合、捻挫(ねんざ)をすると外側側副靭帯を損傷して、痛みと腫れが生じるなどします。

参考情報:「膝靭帯損傷」(日本整形外科学会)

靭帯損傷の治療から症状固定、後遺障害等級認定まで

後遺障害等級認定まで

靭帯損傷の治療方法

靭帯損傷の傷害(ケガ)を負った場合の治療法には、「保存療法」「手術療法」があります。

「保存療法」
たとえば、膝の靭帯損傷の場合、膝動揺性抑制装具(サポーター)を装着して、早期から痛みのない範囲で可動域訓練を行なっていきます。

「手術療法」
靭帯修復術と再建術の2つがあります。
たとえば、前十字靭帯を損傷した場合は、ハムストリング腱や膝蓋腱など他の腱を用いた再建術が一般的に行われます。

内側側副靭帯の損傷では、保存療法が用いられる場合が多いでしょう。
前十字靭帯の損傷では自然治癒はしにくいため、通常は手術を行ないます。
後十字靭帯の損傷では多少伸びて、ゆるむ程度では日常生活やスポーツで支障が出ることは少ないため、保存療法から始めることが一般的です。

症状固定後は後遺症が残ってしまう

靭帯損傷の治療を続けても、これ以上の治癒も見込めない、完治は難しいという段階がきてしまう場合があります。
その際は主治医から「症状固定」の診断を受けることになります。

症状固定後は後遺症が残ってしまうため、被害者の方はご自身の後遺障害等級認定の申請を行なう必要があります。

後遺障害等級認定が重要な理由

加害者が任意保険に加入している場合、通常はその保険会社から慰謝料や逸失利益、将来介護費などを合計した示談金(状況に応じて、損害賠償金とも保険金とも呼ばれますが同じものです)が提示されます。

そこで重要なのが後遺障害等級です。
というのは、被害者の方の後遺障害等級が認定されて初めて、金額の算定ができるようになるからです。

後遺障害等級は、全部で14等級あります。
もっとも後遺障害が重いものが1級となり、身体の部位の違いなどで各号数が設定されています。

参考情報:「自賠責後遺障害等級表」(国土交通省)

後遺障害等級認定の申請方法は?

後遺障害等級認定の申請方法は?
後遺障害等級の申請方法は2つあります。

「被害者請求」

被害者の方ご自身が、加害者が加入している自賠責保険会社に直接請求をする方法です。

<被害者請求のメリット>
・加害者側の任意保険会社を通さず、被害者自身で提出資料や書類を用意するため、等級認定で内容を把握できます。
・最終的に示談が成立する前に、まとまった金額を受け取ることができます。

<被害者請求のデメリット>
・被害者ご自身が提出書類・資料を集め、手続をする手間がかかってしまいます。

「事前認定」

加害者が加入している任意保険会社に申請手続きを行なってもらう方法です。

<事前認定のメリット>
保険会社が手続きをしてくれるので、被害者の方の手間がかかりません。

<事前認定のデメリット>
被害者の方は、提出された書類や資料を知ることができないため、低い等級が認定されたとしても、その理由を把握しにくいです。

それぞれにメリットとデメリットがあるので、ご自身の経済的な状態などを考えて選択するのがいいと思います。

等級に不満があれば異議申立ができる

等級に不満があれば異議申立ができる
じつは、認定された後遺障害等級は必ずしも正しいとはいえません。
後遺障害等級に関する実際の調査、判断、認定は保険会社ではなく、損害保険料率算出機構という機関が行ないます。

この機関は基本、提出された書類と資料から認定していくので、そもそもの書類と資料に不備・不足があると、そのまま判断されてしまのです。

そこで、等級に不満があれば「異議申立」をすることができます。

ただし、新たな等級が認定されるための書類や資料の作成・収集は、被害者の方が一人で行なうには荷が重すぎると言わざるを得ません。

ですから、後遺障害等級認定の申請から異議申立まで、ワンストップで弁護士に依頼してしまうことも選択肢として考えてみることをおすすめします。

靭帯損傷で認定される後遺障害等級

靭帯損傷で認定される後遺障害等級
靭帯損傷の後遺障害については、次の3つのポイントから判断していきます。

神経症状=痛み・しびれ

膝の場合、症状としては、「膝を動かした時の痛み」「膝の屈曲時の痛み」「重いものを持った時の痛み」などがあげられます。

神経症状で該当する後遺障害等級

「12級13号」

後遺障害の内容 局部に頑固な神経症状を残すもの
自賠責保険金額 224万円
労働能力喪失率 14%

☑認定される要件:他覚所見により神経系統の障害が証明されるもの

「14級9号」

後遺障害の内容 局部に神経症状を残すもの
自賠責保険金額 75万円
労働能力喪失率 5%

☑認定される要件:神経系統の障害が医学的に説明可能なもの

神経症状における注意ポイント

・神経症状の後遺障害の特徴は傷などとは違い、外から見てもわからない自覚症状だということです。
目に見えないため、わかりにくいわけです。

・「12級13号」と「14級9号」の違いをよく見てください。
「頑固な」が入っているかどうか、また「他覚所見により神経系統の障害が証明できるか」と「医学的に説明可能かどうか」の違いです。

・「他覚所見」というのは、レントゲンやCT、MRI等の画像検査などのことです。
これらによって症状の原因となる損傷が確認され、医学的に証明できる場合は12級13号が認定されます。

・一方、14級9号の場合は、画像検査などで症状の原因となる損傷が確認できなくても、交通事故の後遺症として神経症状が生じていると医学的に説明できる場合に認定されます。

・14級の神経症状の場合、保険会社は損害賠償金を自賠責保険金額の範囲内におさめようとしたり、「いずれ治る」と勝手に判断して逸失利益における労働能力喪失期間を、たとえば2年という短期間に制限してきたりします。
そのため、提示額がかなり低い場合が多いので注意が必要です。

わかりやすい動画解説はこちら

機能障害=可動域制限

靭帯を損傷したことで関節の可動域が制限されて狭くなり、以前のように動かすことができなくなった状態です。

機能障害で該当する後遺障害等級

「8級6号」

後遺障害の内容 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
自賠責保険金額 819万円
労働能力喪失率 45%

☑三大関節とは次のものをいいます。
上肢:肩関節、肘関節、手関節
下肢:股関節、膝関節、足関節

☑「関節の用を廃したもの」というのは、次のいずれかに該当した場合になります。

  • ・関節が強直
  • ・関節の完全弛緩性麻痺
  • ・自分で動かした時に、正常なほうの関節と比較して可動域角度が10%以下になった
  • ・人工関節、人工骨頭を挿入置換した場合、正常なほうの関節と比較して可動域が2分の1以下に制限されている

 

「8級7号」

後遺障害の内容 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
自賠責保険金額 819万円
労働能力喪失率 45%

「10級10号」

後遺障害の内容 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
自賠責保険金額 461万円
労働能力喪失率 27%

☑関節の機能に著しい障害を残すもの=正常なほうの関節と比較して可動域が2分の1(50%)以下になったもの。

「10級11号」

後遺障害の内容 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
自賠責保険金額 461万円
労働能力喪失率 27%

「12級6号」

後遺障害の内容 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
自賠責保険金額 224万円
労働能力喪失率 14%

☑関節の機能に障害を残すもの=正常なほうの関節と比較して可動域が4分の3以下になったもの。

「12級7号」

後遺障害の内容 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
自賠責保険金額 自賠責保険金額
労働能力喪失率 14%

動揺関節=関節の不安定さ

動揺関節とは、靭帯を損傷したために関節の安定性が失われ、グラグラと不安定でぐらつく状態になったり、本来の可動域以上に関節が曲がってしまった状態です。

<8級(8級8号・7号準用)>
「一関節の用を廃したもの」に該当し、膝の場合は安定性を維持するために、つねに硬性補装具が必要な場合です。

<10級(10級10号・11号準用)>
「一関節の機能に著しい障害を残すもの」に該当し、膝の場合は安定性を維持するために、時々硬性補装具を必要とする場合です。

<12級(12級6号・7号準用)>
重激な労働等の際以外には、硬性補装具を必要としない場合です。

みらい総合法律事務所の増額事例

みらい総合法律事務所の増額事例
ここでは、当法律事務所で実際に慰謝料などの損害賠償金を増額して解決した事例をご紹介します。

<増額解決事例:44歳女性の損害賠償金が約2.85倍に増額>
44歳の女性(公務員)が自転車で直進中、路外に出てきた自動車に衝突された交通事故。

右母指MP関節尺側靭帯損傷の傷害を負い、後遺障害等級は10級7号が認定。
加害者側の任意保険会社は、慰謝料などの損害賠償金として約699万円を提示しました。

被害者女性は、この金額が正しいものかどうか判断できなかったため、みらい総合法律事務所の無料相談を利用。
弁護士から「増額可能」との見解が示されたことで、示談交渉のすべてを依頼されました。

弁護士が保険会社と交渉しましたが、決裂したため提訴。
裁判では後遺障害逸失利益や付添看護費、物損部分などが争点となりましたが、最終的に弁護士の主張が認められ、大幅に増額。

約2.85倍に増額の2,000万円で解決した事例です。

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