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駐停車中の交通事故の損害賠償責任

最終更新日 2024年 04月22日

駐停車中の交通事故の損害賠償責任

駐車・停車中の車両が原因で起きた交通事故では、誰が被害者に対して損害賠償責任を負うのかについて解説します。

駐車・停車中の車両が関わる交通事故には、主に次のケースがあげられます。

  1. 進行してきた車両が駐停車車両に衝突した事故
  2. 駐停車車両のドアの開閉時の衝突事故
  3. 駐停車車両を避けたために発生した事故
  4. 駐車車両が見通しを悪くしていたために発生した事故
  5. 別の事故(第1事故)の被害者が駐車車両に衝突して死傷した事故(第2事故)

こうした事故では、

    ・駐車、停車したことと事故発生との間に因果関係があるかどうか
  • ・被害者に対する過失相殺

が争点となることが多いです。

損害賠償責任としては、「運行供用者責任」「不法行為責任」が問われることになります。

駐停車の状態が車両の運行になるかどうかについて、次の点などが判断材料となります。

    ・走行との時間的・場所的関連性
  • ・時間的場所的近接性
  • ・駐停車の目的

本記事では、駐車と停車の違い、駐停車してはいけない場所、駐停車で責任が問われた裁判例などから、駐車・停車が関わる交通事故と損害賠償責任、過失相殺などについて検討していきます。

駐車・停車と交通事故の問題点

駐車・停車の車両が関わる交通事故は、基本的に被害者側だけが移動中に発生するものです。

そのため、

  • ①駐停車行為と事故発生との相当因果関係の有無
  • ②被害者に対する過失相殺

が争点となることが多いといえます。

そこで、まずは駐停車車両に法律上の義務違反があったかどうかという点が重要な判断材料になります。

駐車・停車とはどういう状態か?

駐車も停車も、どちらも車を停める行為ですが、法律では定義が違ってきます。
まずは条文を見ていきます。

駐車とは?

「道路交通法」
第2条(定義)第1項第18号
駐車 車両等が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること(貨物の積卸しのための停止で五分を超えない時間内のもの及び人の乗降のための停止を除く。)、又は車両等が停止(特定自動運行中の停止を除く。)をし、かつ、当該車両等の運転をする者(以下「運転者」という。)がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態にあることをいう。

<ここがポイント>

  • ・道路交通法上、車両等を客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止させることを「非放置駐車」という。
  • ・運転者が車から離れていて、ただちに運転できない状態は「放置駐車」となる。
  • ただし、人の乗り降り、また5分以内の荷物の積み下ろしは除く。

停車とは?

「道路交通法」
第2条第1項第19号
停車 車両等が停止することで駐車以外のものをいう。

<ここがポイント>
運転者が、ただちに運転できる状態であり、具体的には次のことなどがあげられます。

  • ・人の乗り降りのための停止
  • ・5分を超えない荷物の積み下ろし
  • ・危険の回避、防止のための一時停止
  • ・赤信号や一時停止の道路標識、踏切の直前における停止
  • ・横断歩道や自転車横断帯、交差点、道路外との出入りや進路変更その他においての一時停止
  • ・身体障害者、視聴覚障害者、老人、児童、幼児などが通行、横断するための一時停止 など
    •  

      駐停車が禁止されている道路の部分とは?

      「駐停車禁止場所」

      道路交通法第44条では、駐停車を禁止する場所が次のように規定されています。

      • ・駐停車禁止の標識や標示のある場所
      • ・交差点と、その端から5メートル以内の場所
      • ・横断歩道、自転車横断帯と、その端から前後に5メートル以内の場所
      • ・安全地帯の左側と、その前後10メートル以内の場所
      • ・バス、路面電車の停留所の標示板(標示柱)から10メートル以内の場所(ただし運行時間中に限る)
      • ・踏切と、その端から前後10メートル以内の場所
      • ・軌道敷内(路面電車が走る場所)
      • ・坂の頂上付近や勾配の急な坂
      • ・トンネル
      • ・道路の曲がり角から5メートル以内の場所

      「駐車禁止場所」

      道路交通法第45条には、駐車を禁止する場所が次のように規定されています。

      • ・標識や標示によって駐車が禁止されている場所
      • ・人の乗り降り、貨物の積卸し、駐車または自動車の格納もしくは修理のため道路外に設けられた施設または場所の道路に接する自動車用の出入口から3メートル以内の場所
      • ・道路工事が行なわれている区域の端から5メートル以内の場所
      • ・消防用機械器具の置場、消防用防火水槽、これらの道路に接する出入口から5メートル以内の場所
      • ・消火栓、指定消防水利の標識が設けられている位置や消防用防火水槽の取り入れ口から5メートル以内の場所
      • ・火災報知機から1メートル以内の場所

      ※ただし、警察署長の許可を受けた場合は、駐車禁止場所であっても駐車が可能。

      駐停車の方法

      駐停車の方法について、法的には次のように規定されています。

      「道路交通法」
      第47条(停車又は駐車の方法)

      1. 車両は、人の乗降又は貨物の積卸しのため停車するときは、できる限り道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。
      2. 車両は、駐車するときは、道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。
      3. 車両は、車道の左側端に接して路側帯(当該路側帯における停車及び駐車を禁止することを表示する道路標示によって区画されたもの及び政令で定めるものを除く。)が設けられている場所において、停車し、又は駐車するときは、前2項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、当該路側帯に入り、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。

      駐車・停車中の自動車が関わる交通事故の類型について

      駐車・停車中の自動車が関わる交通事故は、次のような種類に分けることができます。

      (1)進行してきた車両が駐車・停車車両に衝突した交通事故

      見通しの悪い場所、あるいは夜間などに駐停車していた車両に、走行してきた被害車両が衝突する事故

      因果関係や過失相殺が争点になることが多く、駐停車禁止場所で発生した事故であっても追突したほうの車両の過失が認められる場合がある

      判例では、前方不注意等が大きいと判断された追突車両側の過失が100%認められたものもある。

      (2)駐車・停車車両のドアの開閉時の衝突事故

      駐車・停車車両のドアに被害車両が衝突、接触する交通事故。

      ドアの開閉については、自動車の固有装置として「運行」に該当するとされている

      また道路交通法では、運転者も同乗者も安全確認せずにドアを開いたり、降車してはいけないと定められている。

      「道路交通法」
      第71条(運転者の遵守事項)4号の3
      安全を確認しないで、ドアを開き、又は車両等から降りないようにし、及びその車両等に乗車している他の者がこれらの行為により交通の危険を生じさせないようにするため必要な措置を講ずること。

      安全を確認せずに開放されていた駐停車車両のドアに被害車両が衝突した事故では、通常は事故の主な原因は駐停車車両側にあるとされ、過失が認められる。

      (3)駐停車車両を避けたために発生した事故

      駐車・停車車両を避けるために他の車両と衝突したり、バイクが転倒する交通事故。

      被害車両が駐停車車両の手前で、いったん停止するなどすれば事故は発生しなかったとも考えられるため、双方の因果関係や過失相殺が争点になることが多い。

      (4)駐車車両が見通しを悪くしていたために発生した交通事故

      路上駐車車両の間から歩行者や自転車、バイク等が飛び出してきたり、転倒したため車道を走行していた車両が避けきれずに衝突してしまった交通事故。

      (5)別の事故(第1事故)の被害者が駐車車両に衝突して死傷した事故

      (第2事故)
      第1事故の被害者が第2事故にあった場合、駐停車車両の過失のほかに、駐停車車両がなくても同様の結果が発生した、という形の因果関係が争点になるケースが多い。

      それぞれの裁判例については、後ほど解説します。

      運行供用者責任と不法行為責任について

      駐車・停車車両が関わる交通事故では、「運行供用者責任」と「不法行為責任」が問われることになります。

      運行供用者責任

      運行供用者責任とは、自己のために自動車を運行の用に供する者が、その運行によって他人の生命又は身体を害した場合に負う損害賠償責任のことです。

      「自動車損害賠償保障法」
      第3条(自動車損害賠償責任)
      自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったことを証明したときは、この限りでない。


       

      ここでは、駐停車をしている状態が「運行」にあたるかどうか(運行起因性)が問題になります。

      運行を、判例の立場とされる固有装置説にしたがって検討すると、駐停車の状態は運行にはなりませんが、次のような条件において「前後の走行行為と一体」と評価される場合は「運行」にあたるとされるのが現在の裁判では一般的といえます。

      1. 走行との時間的・場所的関連性
      2. 近接性(駐停車から事故発生までの時間、移動途中の道路上で起きた事故か、駐車場等で起きた事故かなど)
      3. 駐車の目的(人の乗り降りや荷下ろしの途中だったのか、不法投棄目的で路上に放置されていたのかなど)

      なお、自賠責保険の実務でも上記と同様の判断をしています。

      動画で解説を聞きたい方はこちら

      <交通事故豆知識:固有装置とは?>
      原動機装置や走行装置、ドアなど自動車の構造上設備されている「運行」にあたる各装置、またクレーン車のクレーン装置などのこと。

      「運行」は、これらの装置の全部、または一部をその目的にしたがって使用するという見解を「固有装置説」といい、最高裁が採用しています。

      不法行為責任

      交通事故で他人を死傷させた場合、また他人の物を損壊させた場合、加害者は損害賠償責任を負うことになります。

      「民法」
      第709条(不法行為による損害賠償)
      故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

      この場合、駐車・停車した運転者に交通事故発生についての「過失」が認められるかどうかが問題となります。

      道路上に駐停車することは、道路での交通に危険を発生させる行為にもなるわけですが、駐停車したからといって損害賠償責任につながる過失が認められる、というわけではありません

      過失があったかどうかは、次のような要素を総合的に検討して判断されます。

      1. 道路交通法における違反の有無
      2. 駐停車車両と被害車などの具体的な事情

        ・道路の形状や広狭
        ・交通量
        ・時間帯
        ・天候や明るさ
        ・現場の見通し
        ・駐停車車両の大きさ・重要・色
        ・駐停車の目的
        ・駐停車から事故発生までの時間
        ・駐停車車両の位置・態様
        ・他の交通に与える支障や危険性の程度
        ・非常点滅表示灯(ハザード)の点灯などの有無
        ・被害車両の種類(自動車かバイクかなど)、速度、前方不注意の程度 など

      そのうえで、駐停車車両と被害車の過失相殺が検討されます。

      過失相殺とは?

      交通事故の過失(責任)の割合を「過失割合」といいます。

      加害者10対被害者0、加害者90%に対して被害者10%、というように表現します。

      「民法」
      第722条(損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺)
      2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

      この割合によって、慰謝料などの損害賠償金を減額するのが過失相殺です。

      たとえば、加害者が支払う損害賠償金が1,000万円で、加害者と被害者の過失割合が8対2であれば、200万円が減額されて、被害者は800万円を受け取ることになるわけです。

      動画で解説を聞きたい方はこちら

      駐停車が争点となった裁判例

      ここでは、裁判例から駐車・停車による交通事故における運行供用者責任や過失相殺などについて見ていきます。

      【裁判例①駐車車両への追突事故で運行供用者責任を認めた判決】

      片側5車線道路の中央から2車線めに、翌朝まで放置する目的で無灯火のまま駐車していた加害大型トレーラーに、制限速度50km/hを超える70km/hで走行してきた被害車がノーブレーキで追突した交通事故について、トレーラーを所有する会社(運転者の雇用主)に運行供用者責任および使用者責任を認め、過失相殺を30%とした

      (東京地裁平成8年9月19日判決 交民29巻5号1367頁)

      【裁判例②駐車車両への追突事故で過失相殺を認めなかった判決】

      中央部分に幅2.2メートルのゼブラゾーンがある片側1車線道路で、夜間、左端に沿ってハザードランプ、尾灯および側灯を点灯して駐車中の車両運搬車に、普通貨物車が追突した事故について、事故現場は見通しが良好で、ハザードランプ等をつけていた駐車車両を後方から認識することが困難とは認められないとして、駐車車両から追突車両に対する物損損害賠償請求について、駐車車両に過失相殺をしなかった

      (東京地裁平成22年4月13日判決 自保ジ1829号152頁)

      【裁判例③駐車車両を避けて起きた事故で運行供用者責任を認めた判決】

      片側1車線の駐車禁止場所で、夜間に無灯火で車道に0.8メートルはみ出した駐車車両を避けて、反対車線にはみ出して走行した被害車両が、対向車線を制限速度違反で走行してきた訴外車両と衝突した事故について、駐車車両の所有者に運行供用者責任および使用者責任を認め、過失割合を加害駐車車両1、被害車両4、対向車両1とした

      (最高裁平成15年7月11日判決 判タ1133号118頁)

      【裁判例④見通しを悪くした駐車車両に過失割合を認めた判決】

      小雨の片側2車線道路で、第2車線を走行中の二輪車が、駐車していた大型貨物車両の陰から現れたフォークリフトを認めてブレーキを踏んだところ転倒した事故で、大型貨物車両とフォークリフトの責任を認めて、過失割合を二輪車7、大型貨物車両とフォークリフトは連携して3とした

      (大阪地裁平成22年6月10日判決 自保ジ1841号145頁)

      【裁判例⑤見通しを悪くした駐車車両に過失割合を認めた判決】

      片側2車線の道路で夜間、第2車線から第1車線に車線変更したY車両が、第1車線を直進してきた被害X原付と衝突し、その後、被害原付が駐車禁止場所に駐車していたZ車両に追突した事故について、Z車両の責任を認めて、過失割合をY車両72%、X原付18%、Z車両10%とした

      (神戸地裁平成23年12月26日判決 自保ジ1870号55頁)

      交通事故は自動車やバイクなどが走行している時だけではなく、駐車・停車中の車両が原因で起きる場合もあることを、今一度しっかりと意識しておくことが大切です。

      監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠
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