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交通事故の遷延性意識障害における示談交渉のポイント

最終更新日 2024年 02月17日

交通事故の遷延性意識障害における示談交渉のポイント

交通事故による遷延性意識障害の示談交渉では、示談のタイミングや金額の交渉が難しく、被害者の方にとってはハードルが高く難しいものです。

実際には弁護士に任せたほうが好転するのですが、この記事では注意すべきポイントを解説します。

まずは遷延性意識障害とは一体どういうものなのか最初に解説いたします。

遷延性意識障害とは

遷延性意識障害とは、脳出血や脳挫傷といった重い傷害を負ったことで、自力で身体を動かすことはおろか、意思疎通すらほとんど出来なくなる状態です。

日本脳神経外科学会が1972年に発表した定義によれば、下記6項目を全て満たす状態が3か月以上続く場合に「植物状態」、つまり遷延性意識障害と判断されます。

  • ・自力移動不可能
  • ・自力摂食不可能
  • ・糞尿失禁状態
  • ・声は出せても、意味のある発語は不可能
  • ・眼球はかろうじて物を追うことはあるが、認識はできない
  • ・簡単な命令にはかろうじて応じることもあるが、それ以上の意思の疎通は不可能

 
障害の最大の特徴は、確立された治療法がなければ、加齢によって回復する見込みもほとんどない点です。

常時介護を生涯続ける覚悟が否応なしに要求され、家族としてはなかなか事態を受け止められません。

「脳死状態」との違い
いわゆる「脳死状態」は、脳幹部の機能が完全停止し、人工呼吸器等がなければ生命維持できない状態を言います。

一方の「遷延性意識障害」は、ダメージが大脳・小脳に留まっており、生命維持装置がなくとも介護があれば生存できる点で区別されています。

後遺障害等級が1級、2級となる

遷延性意識障害は後遺障害等級が1級、もしくは2級となります。

労働能力喪失率が100%となり、後遺障害の慰謝料や逸失利益はどちらも高額になります。

遷延性意識障害の後遺障害等級認定


それでは、交通事故に遭った家族が遷延性意識障害を負った場合、損害額として具体的にいくら請求できるのでしょうか。

この点、個別の状況から慰謝料等の各費目を計算することになりますが、前提として「後遺障害等級認定」による障害の客観的評価が欠かせません。

本記事で解説する遷延性意識障害は、等級認定において1級1号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」(自賠法施行令別表1)に該当します。

また、別表2に記載された1級~14級の障害とは区別され、自賠責保険による上限額の範囲内で「初期費用」等が認められます(詳細は後述)。

【参考情報】国土交通省「自賠責後遺障害等級表」

等級認定の進め方

等級認定の獲得にあたっては、被害者自ら申請する必要があります。

具体的には、治療を続けても症状はこれ以上改善しないと医師が判断した時(=症状固定)以降に、必要書類を揃えて保険会社に提出しなければなりません。

遷延性意識障害の認定にかかる必要書類としては、診療医に作成してもらった「後遺障害診断書」を中心に、画像所見(MRIやCT検査等による医学的資料)やその他事故発生状況報告書等が挙げられます。

なお、等級認定は保険会社が行うのではなく、第三者機関である損害保険料率算出機構が審査します。

ここで提出資料から「交通事故との因果関係」や「症状の重さ」について見定められた後、1か月程度で結果が下ります。

ここでようやく、損害額の計算に着手できるようになるのです。

【参考情報】損害保険料率算出機構「当機構で行う損害調査」

遷延性意識障害の後遺障害慰謝料


交通事故の後遺症にかかる損害額には複数の費目があり、うち実際に被害者の精神的苦痛に対応するものとして「後遺障害慰謝料」があります。

支払われるべき金額の目安は、表に記載した弁護士基準(裁判基準)です。

<遷延性意識障害(別表1第1級1号)の後遺障害慰謝料>

支払
基準
慰謝料の金額 補足
自賠責基準 被扶養者なし:
1,650万円
被扶養者あり:
1,850万円
初期費用として
500万円加算
弁護士基準 被害者本人:
2,800万円
+近親者の慰謝料
金額はあくまで
目安
※事案ごとに状況を考慮

表で紹介した自賠責基準の支払額は、国土交通省等が定める「支払基準」に則った最低限の補償に過ぎません。

ところが、少なくない数の加害者が「慰謝料は明確な金額が出せない」主張し、左記基準に近い低額を提示します。

示談の相手方はたいてい保険会社の担当者であり、経験・知識共に不利な立場にある被害者側は、提示額が妥当でないことすらなかなか気づけません。

近親者の慰謝料も請求できる
遷延性意識障害のような重い障害は、親しい家族にも「死亡に比肩するような」苦痛を及ぼすでしょう。

そこで、被害者本人の精神的苦痛にかかる分だけでなく、両親等の「近親者の慰謝料」の請求できると考えます(最高裁昭和33年8月5日判決、千葉地裁平成8年9月27日判決等)。

以上の点も踏まえ、加害者による提示額は妥当性を慎重に検討しなくてはなりません。

近親者慰謝料について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

遷延性意識障害で請求できる費目


後遺症にかかる交通事故の損害賠償請求では、被害者本人の収入にあたる「逸失利益」に加え、必要かつ相当な範囲で「将来の生活にかかる各種費用」を請求できます。

遷延性意識障害の損害額では、各費目の中でも後者、つまり「介護関連の費目」がずば抜けて高額化するのが一般的です。

先述した介護負担の重さに加え、後遺症全般の原則として、平均余命に相当する分を請求できることが理由です。

以降では、事故加害者との示談に臨む際の基礎知識として、各費目の考え方や算定方法を詳しく解説します。

逸失利益

はじめに挙げた「逸失利益」とは、労働能力と共に失われた将来の収入を指します。

遷延性意識障害を負った事案では、まず労働能力喪失率=100%とし、次に事故前の収入を「基礎収入」として、下記計算式で金額を判断します。

【逸失利益の計算方法】
=①基礎収入×②労働能力喪失率×③症状固定日から67歳に達するまでの期間-④中間利息

 

※中間利息とは
将来において支払われる金銭が先払いされる場合、「受け取った人には利息が発生する」と考えます。
これを「中間利息」と呼び、年3%(令和2年3月以前は5%)の法定利率で算出できます。また、率は、今後3年毎に見直されます。
逸失利益の算定においては、支払われる金額の価値が先々で変動することも想定に含め、将来における価値を現在価値に直すため「ライプニッツ係数」を用いて計算します。

補足すると、既に67歳を超えている被害者については、③を「最新の簡易生命表に記載された平均余命の2分の1」に置き換えて算出します。

また、未就労者にかかる①基礎収入は、厚生労働省が公表する最新の平均賃金を基準に個別の事情を鑑みます。

将来介護費用

遷延性意識障害の将来の生活にかかる費用としては、付添人・介護人の負担にかかる「将来介護費用」がまず挙げられます。

個別事案での請求額は、日額を見定め、平均余命から総額を導き出します。

なお、日額の考え方は、介護を負担する人の立場によって異なります(表参照)。

介護の担当者 請求額の目安 備考
近親者付添人 日額
8000円
付添人の年齢や職業に加え、実際の状況から介護負担の強度が考慮される
職業
付添人
実費
※相場は日額
1万円~3万円
介護の具体的状況に加え、近親者の高齢化に伴って職業付添人に頼らざるを得ない時期(原則67歳)を考慮し、必要性を判断する

将来介護費用は在宅介護を前提としていますが、施設介護でも例外があります。

病院または施設に24時間体制で受け入れてもらうとしても、お見舞いの頻度や面会内容によっては、近親者付添人の介護費用を請求できる可能性があるのです。

具体的な事例としては、面会時にマッサージや呼びかけを行い、これに対して被害者の様子にも変化が見られることから、「単なる見舞いを越えた」負担があるとして将来の付添看護費が認められているものがあります(横浜地裁平成30年3月19日判決)。

将来介護費用について、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

家屋や自動車の改造費

遷延性意識障害患者の在宅介護では、ベッドごと身体を移動させる等などの作業のため、リフォームや車両改造が必要になりがちです。

左記費用についても、将来かかる保守管理費や耐用年数毎の買い替え費用と共に、損害額として請求できます(下記具体例)。

  • ・各種リフォーム費用
  • 玄関・居室・廊下・トイレ・浴室等にかかる改修工事、段差解消工事、レイアウトを変更する工事、等

  • ・各種宅内設備の設置にかかる費用
  • ホームエレベーター、天井走行リフト、浴室リフト、等

  • ・車両改造費
  • 車椅子収納装置の取り付け、ベッド設置、家庭用医療機器を使用するためのコンセントの新設、等

 
注意したいのは、「被害者の家族が利便性を享受できる部分」は減額対象になる点です(千葉地裁平成8年9月27日判決)。

請求額を算定する際は、費用のうち純粋に被害者の生活のためになる部分を見極めなくてはなりません。

居宅の新築が必要になる場合
遷延性意識障害の介護で要求される環境を考えると、単なるリフォームでは済まない可能性も考えられます。

典型的なのは、敷地が狭い、老朽化が進んでいる、リフォームだとかえって費用がかさむ等の理由がある事案です。

以上のようなやむを得ない事情があるなら、既存の家屋にかかる改造費に代えて、新築関連費用を請求しても構いません(神戸地裁平成29年3月30日判決等)。

将来の雑費

その他、在宅介護においては、継続的に様々な物品が入り用になります(下記具体例)。

これらの購入費についても、将来の介護雑費として請求可能です。

うち生活雑貨の類でないものに関しては、先述の家屋や自動車の改造費と同じように、「保守管理費」や「耐用年数ごとの買い替え費用」を将来分として請求額に含められます。

  • ・介護の基本となる用品
  • 介護ベッド、入浴用の担架、シャワーキャリー、等

  • ・体調管理に必要な医療機器
  • パルスオキシメーター、血圧計、痰吸引機、空気清浄機、等

  • ・必要な消耗品
  • 紙おむつ、尿取りパッド、ガーゼ、清浄剤、ゴム手袋、等

その他の必要な費用

自力で出来ることが一切なくなった被害者の生活では、これまで挙げた費用以外にも様々な形で経済的負担を強いられます。

これらに関しても、必要かつ相当である限り請求可能です(下記具体例)。

  • ・後見開始にかかる費用
  • 申立手数料、各種申立書類の交付手数料、鑑定費用、等※成年後見制度の必要性は後述します。

  • ・介護関係費
  • 介護のための資格取得費、施設利用料、訪問リハビリ料、等

  • ・転居費用、仮住居費および家賃差額等
  • リフォーム中の仮住まいにかかる費用、居宅が介護に適さないことを理由に転居する時の費用、その転居前後の家賃差額、介護によって生じる水道光熱費の増額分、等

遷延性意識障害の示談のポイント


交通事故の加害者は、遷延性意識障害を負わせたことによる支払いの高額化を嫌い、何かと自己に有利になる主張を繰り返しがちです。

言うまでもなく、被害者として到底許せることではありません。

以降では、よくある加害者の対応と共に、示談のポイントとして判例に沿った考え方を紹介します。

在宅介護を認めない

第1によく見られるのは、被害者の事情を無視して「施設介護を行う状況にある」(もしくは近い将来移行することになる)等と主張されるケースです。

一般的な在宅介護の費用は、施設介護のそれと比較すると著しく高額になるためです。

とはいえ、被害者が暮らす場所は診療医と家族で判断することであり、加害者の思い込みで決められる事項ではありません。

過去の判例でも、被害者側による下記のような主張・立証により、在宅介護を継続する前提での支払いが認められています。

【一例】損害賠償請求で在宅介護が認められるケース

  • ・医師が在宅介護可能だと判断している
  • ・長期的に受け入れてもらえる病院その他施設が見つからない
  • ・家族が在宅介護を強く望んでいる

生活費控除を主張する

また、逸失利益について「生活費控除」を主張してくる場合もよく見られます。

後遺症で身体が不自由になれば、健康だった時に必要としていた「生活費」の支出の一部は当然免れられるだろうと指摘してくるのです。

結論として、遷延性意識障害のみならず、後遺症では原則として生活費控除を認めません。

加害者の主張をそのまま受け入れず、生存する限り生活費は恒常的に支出すると考える原則を理解した上で、毅然と訴えるべきです。

居住費・食費・入所一時金の考え方
逸失利益で控除が認められない以上、介護雑費の一部は請求できないとするのが原則です。

対象になるのは、施設介護においてその利用料に含まれる「居住費」や「食費」、さらに家賃としての性格を持つ「入所一時金」です。

これらの請求まで認められると、生活費の二重払いを容認することになり、かえって不公平になると考えるのです。

ただ、個別事案での請求可否は、その事情を鑑みて判断します。

例えば、胃ろうによる栄養摂取は「将来における治療という性格が強い」ものであることから、食費の請求を認める判例があります(京都地裁平成30年1月11日判決)。

参考:『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(通称“赤い本”)2021年版
本誌下巻に収録された齊藤恒久裁判官の講演録より、居住費・食費・入所一時金の考え方について紹介しています。

平均余命を少なく見積もる

第3に多いのは、遷延性意識障害を負った事故被害者の余命につき、より軽度の後遺症や健常人に比べて短く見積もるべきとの主張です。

これには、逸失利益や将来介護費用にかかる請求年数を短くすることで「大幅な減額に繋げたい」との狙いがあります。

確かに、平成6年11月24日の最高裁判決では、33歳男性の推定余命を口頭弁論終結時から10年とする結論が出されています。

支持された原判決では「遷延性意識障害者の約88%が10年と経たないうちに亡くなり、15年以上生存する人はわずか約3%に過ぎない」といった要旨の自動車事故対策センターの統計が引用されました。

とはいえ、以上のような結論が支持されていたのは、すでに過去のことです。最近では、被害者の活動レベルが著しく低下する障害であることを受け止めた上で、なお余命を短く見る主張は退けられるのが一般的です。

この点も、知識がないと被害者が不利になってしまうポイントです。

公的給付の部分を損害と認めない

さらに、介護サービスにかかる公的給付について「損害賠償額から控除すべき」との主張が飛び出してくる場合も見られます。

具体例として挙げられるのは、40歳以上なら介護保険、40歳未満なら「障害者総合支援法」(旧障害者自立支援法)による自立支援給付です。

ただ、給付が予定されているからと言って控除を要求するのは、いささか無理があります。

過去の判例によれば、「既に給付されている」あるいは「将来において給付が確定している部分」しか控除できないからです。

給付内容や水準が将来において維持される見込みがなければ、その旨の立証を交えつつ主張することで、加害者の言い分は退けられます。

公的給付の控除の考え方
介護保険法第21条1項によれば、第三者行為(=交通事故等)によって給付事由が生じた場合、給付分の損害賠償請求権は被保険者(=被害者)から保険者へと移ります。

その上で、請求権が移るタイミングは「現実に保険金を給付して損害を填補した場合」との結論が長く支持されています(最高裁昭和52年5月27日判決)。

これは、健康保険や労災保険の他、遺族年金にも広く当てはまることです。

つまり、たとえ介護保険を使って1割負担で療養施設等に入所できる見込みが立っているとしても、実際に給付が下りるまでは、残りの9割も加害者から被害者へと支払われるべきです。

この考え方が、紹介した公的給付を控除できる条件(大阪地裁平成24年5月16日判決等)に繋がっています。

定期金賠償を主張される

平均余命に関連する問題として、加害者側から「定期金賠償」を主張される場合があります。

かみ砕いて言えば、一時金として将来の損害額までまとめて支払うのではなく、月毎あるいは年毎に支払いたいと申し出られるのです。

加害者が想定しているのは、被害者が周囲の見立てより早く亡くなってしまう可能性です。

確かに、当初想定した余命を全うできないと、支払った一時金のうち残りの年数分に相当する額は、加害者の一方的な負担になると考えられます。

この点を踏まえ、下記のようなケースは「余命の認定が難しい」として定期金賠償を提案されがちです。

  • ・被害者が若年である場合
  • ・被害者の状態が安定していない場合
  • ・手厚い介護が生存の前提となる状態である場合
  • ・在宅かつ近親者による介護の継続が困難で、施設介護の必要性がある場合

 
示談の基準となる判例は、「当事者が申し立てなかった事項について判決することはできない」(処分権主義/民法第246条)を理由に、加害者の主張を受け入れないのが主流でした。

しかし最近では、保険会社の規模等から「破産リスクが低く支払いを継続できる」と判断できる限り、公平性を鑑みて定期金賠償を認める方針への転換が見られます。

そうは言っても、事故が招いた結果と向き合う被害者の心情として、「早く解決金を受け取って加害者と縁を切りたい」と考えるのは無理のないことです。

ただ、定期金賠償によって必ずしも被害者が不利になるとは言い切れません。

幸いにも被害者が想定より長く生存すれば、むしろ一時金賠償に比べて有利です。

どうしても一時金賠償としたい事情がある場合は、被害者の状態や今後の介護計画に関する立証をしっかり行い、必要性を説明しなければなりません。

遷延性意識障害の損害賠償請求で準備しておきたいこと


交通事故の加害者から適正な解決金を引き出すにあたっては、単に被害者として主張を繰り返すだけでは足りません。

示談のポイントで繰り返し触れたように、遷延性意識障害による請求額の根拠は、立証を交えて説明する必要があります。

加えて言えば、手続きの面でも重度障害を負ったケースならではの留意点があります。

最後に、被害者を支援する家族として最低限意識したい事故対応の準備について解説します。

成年後見制度の必要性

遷延性意識障害とは、正常に意思疎通する力のみならず、自己の権利や財産にかかる判断能力も奪う障害です。

交通事故トラブルの解決では、近親者等による代理が欠かせません。
ただ、親権者が法定代理人となる未成年者ならともかく、成人にかかる代理権が単に障害を理由として生じることはありません。

そこで、事故対応の前に「後見人」の選任を要します。

成年後見制度とは
障害により判断能力が不十分な人のため、財産管理と身上監護を行う「後見人」を選任する制度です。

民法で定められた手続き(=法定後見)の場合、配偶者や四親等以内の親族等が「後見開始の審判」を申し立てることで、管轄家庭裁判所の審理を経て後見人が選ばれます。

被害者の状況と介護計画を整理する

次に意識したいのが、将来介護費用の請求の根拠をしっかり整理しておくことです。

被害者の状況に合わせた緻密な介護計画があることで、加害者からどのような減額主張が飛び出しても、正当性のないものは否定できます。

<立てておきたい介護の計画>

整理したい事項
(一例)
概要
今後
予定する
介護環境
在宅介護か、それとも施設介護か(診療医に意見してもらう)
施設介護できない理由
(※在宅介護とする
場合)
「最寄りに施設がない」「満床で待機を要する」等、具体化する
施設介護の費用 入院先(入所先)のサービス内容に加え、初期費用と継続的にかかる費用を整理する
誰が
主に介護
するのか
近親者と職業介護人の各対応時間帯
被害者本人
の状態
食事の内容(普通食or粥食or胃ろう)、経管栄養摂取の有無、喀痰機能障害の有無と程度、呼びかけに対する反応の状況、等
具体的な
介護の内容
痰吸引の回数、褥瘡防止目的の体位変換の回数、口内ケアの内容と回数、マッサージの内容と回数、等
家屋等の
改造要否
施工業者から見積りを取得し、金額も明らかにする
公的給付の
利用計画
介護保険、障害者総合支援法、その他自治体の制度等、利用する公的給付と内容を明らかにする

将来介護費用等にかかる立証資料を揃える

介護計画と合わせて、加害者と交渉を進めるための立証資料も一通り揃えましょう。

下記はその一例ですが、個別事案での検討は必須です。

また、請求額が高額化する以上、交渉が決裂して訴訟に発展する可能性は十分考えられます。

介護の様子を撮影する等の地道な対応も含め、裁判手続を意識しつつ資料の収集にあたるべきです。

  • ・診断書等の医療記録
  • ・要介護認定を得る際のケアプラン(介護サービス計画書)
  • ・その他、行政等による評価資料
  • ・入院、介護、リハビリ等の費用が分かる領収書等
  • ・被害者の近親者による陳述書

交通事故による遷延性意識障害の解決事例


重い障害に見合う解決金を得るための交渉方法は、被害者ごとに異なります。

交通事故の加害者から確実に適正額を引き出すには、知識と経験に優れた弁護士の力が欠かせません。

下記で紹介するのは、交通事故で遷延性意識障害と診断された被害者について、相談をきっかけにみらい総合法律事務所が支援した例です。

個別に最良の対応を尽くした結果、いずれも大幅な増額に成功できています。

【事例1】3500万円の増額に成功した例

被害者(74歳女性)が事故により脳挫傷等の重傷を負い、遷延性意識障害と診断された例です。

加害者側の保険会社は、相談当初5563万円2490円の支払いを提示しています。

今後の進め方について被害者の家族から相談された弁護士は、交渉で増額可能である旨を案内しています。

正式な依頼を受け、交渉決裂後も訴訟まで弁護士が根気よく対応を続けた結果、9000万円(約3500万円増額)の支払いで和解しました。

本件では、逸失利益の計算ベースとなる基礎収入、将来介護費用、後遺障害慰謝料の3点が主な争点となっています。

弁護士への相談に踏み切る判断があったことで、結果的に多額の損失を免れた例です。

【事例2】1450万円の増額に成功した例

横断歩道を歩行中、自動車にはねられた事故です。

被害者(70歳男性)は頭部に重傷を負い、治療のかいなく遷延性意識障害と診断されました。

本件について保険会社が当初支払いに応じられるとしたのは、慰謝料等を含めて4505万円3820円です。

相談のきっかけは、提示額の妥当性を確認したいとの要望でした。

状況を確認の上で「増額可能」と判断した弁護士が交渉を開始した結果、将来介護費用を巡って主張が真っ向から対立しました。

しかし、その後も訴訟対応を行い、最終的には6950万円の支払い(約1450万円増額)で解決できています。

被害者の状況を家族目線で掴み、丁寧に立証を重ねたことが功を奏した例です。

【参考記事】
みらい総合法律事務所の解決実績はこちら

まとめ

等級認定でも最も重度と評価される遷延性意識障害は、高額請求となるのが一般的です。

介護負担が極めて重く、在宅介護ではリフォーム代その他雑費も必要になるからです。

加害者からは、望ましい介護環境や一般的な遷延性意識障害者の余命を主張し、強く減額を求められるでしょう。

適正額を得て被害者の将来を支えていくためには、事前に整理した介護計画と最近の判例を元に粘り強く交渉を続ける必要があります。

全体として、交通事故で遷延性意識障害を負ったケースでは、示談にかかる準備に多大な労力を要します。

被害者の容態に気を配りつつ資料収集や後見にかかる手続きをするのは、あまりに負担が大きいと言わざるを得ません。

その後の示談でも経験と知識に基づく対応が求められる点も踏まえ、出来るだけ早い段階で弁護士に対応を委ねるのがベストです。

【動画解説】遷延性意識障害の論点と解決事例
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠
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