実例でわかる!交通事故の慰謝料の計算方法
交通事故の被害者の方は、被った精神的な苦痛や損害への補償として慰謝料を受けとることができます。
しかし、この慰謝料、じつは単純なものではありません。
慰謝料には3つの計算基準があり、どの基準で算定したかによって受け取る金額が大きく変わってくるのを知っていましたか?
慰謝料に関する知識を身につけておかないと、被害者の方は損害賠償金でも大きな損害を被りかねないのです。
そこで本記事では、交通事故の慰謝料の計算について、実例を紹介しながらわかりやすく解説していきたいと思います。
入通院慰謝料(傷害慰謝料)の計算方法と金額
自賠責基準による入通院慰謝料の計算
1.自賠責基準による入通院慰謝料の算定式
自賠責基準による入通院慰謝料は、1日あたりの金額が4,300円と定められており、次の計算式で求めます。
2.自賠責基準による入通院慰謝料の注意ポイント
入通院日数=治療の対象日数は、次のどちらか短いほうが採用されることに注意が必要です。
B)「実際に治療した日数×2」
ここでは次の場合で考えてみます。
・治療期間:6か月(1か月の入院+5か月の通院)=180日間
・実際に治療した日数:入院1か月=30日間
通院5か月(平均で週に2回の通院)=23週×2日=46日間
30日間 + 46日間 = 76日間
B)4,300円 ×(76日 ×2)= 653,600円
この場合、B)のほうが日数が少ないので、653,600円が入通院慰謝料として認められます。
※入通院慰謝料は、1日のみの入院・通院から受け取ることができます。
3.自賠責保険には上限の金額が設定されている
自賠責保険から支払われる保険金(損害賠償金)には限度額があります。
・傷害部分/120万円
※120万円を超える金額については、加害者側の任意保険会社に請求していくことになります。
・後遺障害部分/・介護が必要な場合(自賠責法別表第1)は4,000万~3,000万円
・その他の後遺障害の場合(自賠責法別表第2)は、1級から14級の後遺障害等級に応じて3,000万円~75万円です。
自賠責法別表第1
| 等級 | 保険金額 |
|---|---|
| 第1級 | 4000万円 |
| 第2級 | 3000万円 |
自賠責法別表第2
| 等級 | 保険金額 |
|---|---|
| 第1級 | 3000万円 |
| 第2級 | 2590万円 |
| 第3級 | 2219万円 |
| 第4級 | 1889万円 |
| 第5級 | 1574万円 |
| 第6級 | 1296万円 |
| 第7級 | 1051万円 |
| 第8級 | 819万円 |
| 第9級 | 616万円 |
| 第10級 | 461万円 |
| 第11級 | 331万円 |
| 第12級 | 224万円 |
| 第13級 | 139万円 |
| 第14級 | 75万円 |
参考情報:国土交通省「自賠責保険(共済)の限度額と保障内容」
弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料の計算
弁護士(裁判)基準の場合は計算式ではなく、日弁連交通事故相談センター東京支部が発行している『損害賠償額算定基準』に記載されている「入通院慰謝料の算定表」から金額を割り出します。
※算定表は、ケガの程度によって「軽傷用」と「重傷用」があります。
<弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料の算定表(むち打ちなどの軽傷用)>
| 入院 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 通院 | 0 | 35 | 66 | 92 | 116 | 135 | 152 |
| 1月 | 19 | 52 | 83 | 106 | 128 | 145 | 160 |
| 2月 | 36 | 69 | 97 | 118 | 138 | 153 | 166 |
| 3月 | 53 | 83 | 109 | 128 | 146 | 159 | 172 |
| 4月 | 67 | 95 | 119 | 136 | 152 | 165 | 176 |
| 5月 | 79 | 105 | 127 | 142 | 158 | 169 | 180 |
| 6月 | 89 | 113 | 133 | 148 | 162 | 173 | 182 |
| 7月 | 97 | 119 | 139 | 152 | 166 | 175 | 183 |
| 8月 | 103 | 125 | 143 | 156 | 168 | 176 | 184 |
| 9月 | 109 | 129 | 147 | 158 | 169 | 177 | 185 |
| 10月 | 113 | 133 | 149 | 159 | 170 | 178 | 186 |
| 11月 | 117 | 135 | 150 | 160 | 171 | 179 | 187 |
| 12月 | 119 | 136 | 151 | 161 | 172 | 180 | 188 |
<弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料の算定表(重傷用)>
| 入院 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 通院 | 0 | 53 | 101 | 145 | 184 | 217 | 244 |
| 1月 | 28 | 77 | 122 | 162 | 199 | 228 | 252 |
| 2月 | 52 | 98 | 139 | 177 | 210 | 236 | 260 |
| 3月 | 73 | 115 | 154 | 188 | 218 | 244 | 267 |
| 4月 | 90 | 130 | 165 | 196 | 226 | 251 | 273 |
| 5月 | 105 | 141 | 173 | 204 | 233 | 257 | 278 |
| 6月 | 116 | 149 | 181 | 211 | 239 | 262 | 282 |
| 7月 | 124 | 157 | 188 | 217 | 244 | 266 | 286 |
| 8月 | 132 | 164 | 194 | 222 | 248 | 270 | 290 |
| 9月 | 139 | 170 | 199 | 226 | 252 | 274 | 292 |
| 10月 | 145 | 175 | 203 | 230 | 256 | 276 | 294 |
| 11月 | 150 | 179 | 207 | 234 | 258 | 278 | 296 |
| 12月 | 154 | 183 | 211 | 236 | 260 | 280 | 298 |
ここでも、1か月の入院+5か月の通院の場合で考えてみます。
上記の「重傷用」の表で、「入院1か月」と「通院5か月」が交わった部分を見てください。
「141」となっているので、弁護士(裁判)基準での入通院慰謝料は141万円になります。
この条件では、自賠責基準と弁護士(裁判)基準では、4倍以上も慰謝料が変わってきます。
こうした事実を被害者の方には、ぜひ知っていただきたいと思います。
やはり、慰謝料は、弁護士(裁判)基準で解決するべきなのです。
後遺障害慰謝料の計算方法と金額
自賠責基準と弁護士(裁判)基準による後遺障害慰謝料の計算
後遺障害慰謝料は、被害者の方が認定された後遺障害等級に応じて、あらかじめ相場金額が定められています。
ただし、これは後ほど詳しくお話しますが、あくまでも相場金額であって絶対ではありません。
実際の損害賠償実務では、慰謝料額が増額することはよくあるので注意が必要です。
ここでは、自賠責基準と弁護士(裁判)基準それぞれによる、後遺障害等級1級から14級までの「後遺障害慰謝料早見表」を参考にしてください。
<自賠責基準・弁護士(裁判)基準による後遺障害慰謝料の金額表>
| 後遺障害 等級 |
自賠責基準 | 自賠責基準 (※2020/3/31 以前) |
弁護士基準 |
|---|---|---|---|
| 要介護1級 | 1,650 | 1,600 | 2,800 |
| 要介護2級 | 1,203 | 1,163 | 2,370 |
| 1級 | 1,150 | 1,100 | 2,800 |
| 2級 | 998 | 958 | 2,370 |
| 3級 | 861 | 829 | 1,990 |
| 4級 | 737 | 712 | 1,670 |
| 5級 | 618 | 599 | 1,400 |
| 6級 | 512 | 498 | 1,180 |
| 7級 | 419 | 409 | 1,000 |
| 8級 | 331 | 324 | 830 |
| 9級 | 249 | 245 | 690 |
| 10級 | 190 | 187 | 550 |
| 11級 | 136 | 135 | 420 |
| 12級 | 94 | 93 | 290 |
| 13級 | 57 | 57 | 180 |
| 14級 | 32 | 32 | 110 |
※慰謝料の単位(万円)
ここでも注目していただきたいのは、基準の違いによる金額の差です。
たとえば、12級で比較してみると、弁護士(裁判)基準と自賠責基準では3倍以上も金額に差があるのです。
慰謝料増額事由がある場合は弁護士に相談を!
交通事故の状況によっては、被害者の方やご遺族の精神的苦痛、損害がより大きいと判断され、後遺障害慰謝料と死亡慰謝料が増額するケースがあります。
次のような事情がある場合は、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
1.加害者の悪質運転(故意や重過失がある場合)
- ・著しいスピード違反
- ・飲酒運転
- ・ながら運転
- ・薬物使用
- ・無免許運転
- ・信号無視
- ・センターラインオーバー
- ・ひき逃げ(救護義務違反) など
2.被害者の方に特別な事情がある場合
過去の裁判例では、次のような事例があります。
- ・交通事故による傷害(ケガ)が胎児にも影響し、人工中絶を余儀なくされた。
- ・腕や脚、指などの運動機能に麻痺の後遺症が残り、将来の夢が絶たれた。
- ・後遺障害を負ったことで、肢体障害を持つ家族の介護などができなくなった。
- ・交通事故で負った後遺障害が原因となり、婚約破棄や離婚に至った。
- ・被害者がまだ幼い
- ・ご遺族の精神的ショックが大きく、精神疾患を患ってしまった。 など
3.加害者の態度が悪質な場合
- ・被害者や遺族への謝罪がない。
- ・被害者や遺族に対して悪態をつく。
- ・警察に虚偽の供述をした。 など
交通事故の慰謝料増額ケースを実例で解説
ここでは、みらい総合法律事務所で実際に解決した慰謝料増額の実例をご紹介します。
示談交渉はどのように進むのか。また弁護士が交渉に入ると、どのくらい増額するのか、参考にしていただければと思います。
【交通事故の概要】
・バスの交通事故により、乗車中だった54歳の女性が頸椎捻挫(むち打ち症)の後遺症を負った交通事故。
・後遺障害等級14級9号が認定され、加害者側の任意保険会社から約138万円の示談金(損害賠償金)が提示。
・この金額が妥当なものかどうか確認するため、被害者の方がみらい総合法律事務所の無料相談を利用し、示談交渉を依頼。
【示談交渉の結果】
・加害者側の任意保険会社は、自賠責基準による慰謝料と逸失利益を主張。
・そこで弁護士が交渉した結果、最終的に弁護士(裁判)基準による金額を保険会社が受け入れ、約318万円で解決。
・保険会社の当初提示額から約2.4倍に増額。
【交通事故の概要】
・道路を歩いて横断していた55歳の男性が、直進車に衝突された交通事故。
・被害者男性は前額部瘢痕(はんこん)などを残し、後遺障害等級12級14号が認定。
・示談交渉を行なった結果、被加害者側の任意保険会社は約48万円を提示。
・保険会社の担当者から、「弁護士ではないので、弁護士(裁判)基準による金額は提示できない」と言われたため、みらい総合法律事務所の無料相談を利用し、示談交渉を依頼。
【示談交渉の結果】
・弁護士が保険会社と交渉して、計算基準を弁護士(裁判)基準に引き上げたうえで、過失割合を15%から10%に譲歩させることに成功。
・当初提示額から約7倍増額の340万円で解決となった。
【交通事故の概要】
・自動車を運転していた65歳の男性(会社役員)が、対向車線を逆走してきた自動車に衝突された交通事故。
・加害者は無免許で、かつ危険ドラッグ使用して運転操作が困難な状態だった。
・被害者男性は、右肘関節機能障害、左手関節機能障害、右下肢感覚障害などの後遺症が残り、後遺障害等級は併合8級が認定された。
・被害者男性は、示談交渉は弁護士に任せたほうがいいと判断し、みらい総合法律事務所に依頼した。
【示談交渉の結果】
・弁護士は、加害者が危険運転致傷罪に問われるほど悪質な危険運転であることを主張し、通常、示談交渉では認められにくい慰謝料増額を加害者側の任意保険会社に認めさせることに成功。
・相場より2割増額の慰謝料などを含め、最終的に約1,856万円で解決となった。
【交通事故の概要】
・横断歩道を歩行中の50歳の男性(会社役員)が、右折してきた自動車に衝突された交通事故。
・被害者男性は、右足指欠損、右足指機能障害、右足底部知覚鈍麻などの後遺症が残り、後遺障害等級は併合9級が認定された。
・被害者男性が加害者側の任意保険会社と交渉した結果、示談金は約609万円になったが、金額が妥当なものかどうか確認するため、みらい総合法律事務所の無料相談を利用。
・弁護士の見解は、「後遺障害等級が間違っており、低い可能性がある」というものだったため、異議申立を弁護士に依頼。
・異議申立の結果、後遺障害等級が併合8級に上り、弁護士が提訴して裁判に突入した。
【示談交渉の結果】
・裁判では弁護士の主張が認められ、最終的に約4.3倍に増額し、慰謝料を含めた示談金は2,600万円で解決した。
死亡慰謝料の計算方法と金額
自賠責基準による死亡慰謝料
自賠責基準による死亡慰謝料は、次の表のように相場金額が決められています。
「自賠責基準による死亡慰謝料の金額早見表」
| 家族構成 | 金額 |
|---|---|
| 本人 | 400万円(一律) |
| 遺族が1人の場合 | 550万円 |
| 遺族が2人の場合 | 650万円 |
| 遺族が3人以上の場合 | 750万円 |
| 扶養家族がいる場合 | 200万円が加算 |
※遺族には被害者の方の両親、配偶者、子が含まれます。
※自賠責基準による死亡慰謝料は、「被害者本人の死亡慰謝料」と、「ご家族などの近親者慰謝料」を合計した金額で支払われることに注意が必要です。
たとえば、死亡した被害者の方に妻と子供2人がいて、一家の大黒柱として家族の生計を支えていた場合の死亡慰謝料の相場金額は次のようになります。
弁護士(裁判)基準による死亡慰謝料
弁護士(裁判)基準による死亡慰謝料の相場金額は、次の表のように大体の相場金額が決められています。
<弁護士(裁判)基準による死亡慰謝料の相場金額早見表>
| 被害者の状況 | 死亡慰謝料の目安 (近親者への支払い分を含む) |
|---|---|
| 一家の支柱 | 2800万円 |
| 母親、配偶者 | 2500万円 |
| 独身の男女、子供、幼児等 | 2000万円~2500万円 |
死亡慰謝料の増額ケースを実例で解説
最後に、みらい総合法律事務所で実際に解決した、死亡慰謝料の増額実例をご紹介します。
死亡慰謝料の増額理由を弁護士が丹念に主張していくことで、増額が実現することが多くあるので、弁護士に相談・依頼することを検討していただきたいと思います。
【交通事故の概要】
・道路を横断していた83歳の女性が、直進してきた自動車に衝突された交通死亡事故。
・ご遺族が、みらい総合法律事務の無料相談を利用し、弁護士の説明に納得がいったため、示談交渉のすべてを依頼。
【示談交渉の結果】
・交渉の結果、死亡慰謝料の相場金額が上限の2,500万円で解決し、葬儀費用は上限以上に増額。
・最終的に、約2,909万円で解決した。
【交通事故の概要】
・道路上にいた21歳の男性が、直進してきた自動車に衝突された交通死亡事故。
・加害者側の任意保険会社は、ご遺族に示談金として約6,171万円を提示。
・ご遺族は、示談金の妥当性を確認するため、みらい総合法律事務の無料相談を利用し、そのまま示談交渉のすべてを依頼。
【示談交渉の結果】
・弁護士と保険会社の交渉は、保険会社が被害者男性が路上にいたことの過失割合を主張し、紛糾したため決裂。
・弁護士が提訴して、裁判では加害者の速度超過を主張。
・最終的には弁護士の主張が認められ、当初提示額から約3,300万円増額の9,500万円で解決に至った。
【交通事故の概要】
・78歳の無職男性の交通死亡事故。
・ご遺族の希望は、加害者の刑事裁判への被害者参加と、できる限り高額の示談金での解決とのことで当初から、みらい総合法律事務所に示談交渉を依頼。
【示談交渉の結果】
・刑事裁判への被害者参加後、弁護士が示談交渉に入り、加害者の飲酒・ひき逃げ運転による慰謝料等の増額を主張。
・最終的には弁護士の主張が認められ、相場金額より高額の2,800万円の慰謝料が認めた。
・また、損害賠償金も弁護士(裁判)基準での金額が認められ、最終的に3,200万円で解決した。
代表社員 弁護士 谷原誠











