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後遺症が残り、収入が減っていない場合の逸失利益は請求できるか?

最終更新日 2021年 06月04日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠


後遺症が残り、収入が減っていない場合の逸失利益は請求できるか?

逸失利益とは

交通事故で怪我をした場合には、被害者に損害が発生します。

怪我をした場合には、怪我を治すために、治療を行うことになります。

そうすると、治療費や入通院交通費などの損害が発生します。また、入院したり、治療のために病院に通ったりする人と、仕事を休まなければなりません。

仕事を休むと、有給休暇を使用しない限り、通常は給料が支払われません。

そうすると、交通事故がなかったならば得られたはずの収入を得られなくなったと言うことになりますので、その分が損害となります。これが休業損害です。

治療を継続して、怪我が治れば、その時点で損害額が確定します。そして、示談交渉に入っていくことになります。

しかし、治療しても、治療効果が上がらなくなる場合もあります。その時点で、障害が完治していなければ、後遺症が残ったと言うことになります。

後遺症が残ると、その後もずっと精神的苦痛が続くことになりますし、仕事上も支障が生じて収入が減少することになります。

そこで、後遺症が残ることによる損害も、賠償請求する必要があります。

このうち、後遺症による精神的苦痛に対応するのが、後遺症慰謝料です。

そして、後遺症による収入減少に対応するのが、逸失利益です。

後遺症逸失利益とは、交通事故により後遺障害を負ったため、事故前の労働ができなくなって収入が減少するために失われる利益のことです。

逸失利益の計算

後遺症逸失利益の算定式は下記の通りです。

基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

基礎収入は、原則として事故前の現実収入を基礎としますが、将来現実収入以上の収入を得られる立証があれば、その金額を生生収入とします。

また、現実収入額が賃金センサスの平均賃金を下回っている場合であっても、将来、平均賃金程度の収入を得られる蓋然性を立証した場合には、平均賃金を基礎収入として計算します。

労働能力喪失率は、原則として認定された後遺障害等級に基づいて決められていますが、後遺障害等級が認定されたとしても、労働にまったく影響がない場合には、収入の減少もないため、原則として逸失利益は認められないと考えます。

しかし、今、減収がないからといって、将来もずっと減収がないことにはなりません。

そもそも後遺症が残ること自体が、労働に影響を与えることを推定させる事態です。

今減収がなかったとしても、本人の特別の努力や周囲の援助によって収入の減少が免れていると認められる場合や、将来的に減収や昇給・昇格の遅れや制限が予想されるような場合もありますし、転職が制限される場合もありますので、ただちに逸失利益を否定してよいものではありません。

減収がないにもかかわらず逸失利益を認めた裁判例

減収がなくても逸失利益が認められた裁判例としては、下記のものがあります。

以上、判例を含め、解説しましたが、具体的な事案については、弁護士にご相談ください。