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交通事故で人工肛門(ストーマ)設置により慰謝料増額した裁判例

最終更新日 2024年 02月18日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

交通事故は、どのように解決されるか

人工肛門(ストーマ)とは、腸の一部をお腹の壁を通して外に出して、肛門に代わって便の出口としたものです。。ストーマとは、ギリシャ語で「口」を意味する言葉です。ストーマには、人工肛門や人工膀胱の種類があります。

人工肛門設置等で後遺症が残った事案について、慰謝料が相場より増額された裁判例をご紹介しますが、その前に、前提となる知識を確認しておきたいと思います。

交通事故で怪我をした場合には、まず病院に通院することが必要になります。

治療が完了するまでは、示談交渉が始まりません。

なぜなら、治療が終わらないと、後遺症が残るかどうかもわからないし、損害額自体が確定しないためです。

そうだとすると、治療の継続中には、示談交渉の事は考えず、治療に専念することになります。

ただし、事故直後に作成する実況見分調書は、後の示談交渉に重要な意味を持っていきます。

実況見分調書の内容によって、原則として過失割合が検討されることになるためです。

したがって、実況見分調書の作成の際には、警察官の誘導があろうとも、必ず自分の記憶通りに証言しておくことが必要になります。

治療が終了すると、完全に治ればその時点から示談交渉を開始しますが、後遺症が残ってしまった場合には、自賠責後遺障害等級認定を受けることになります。

やはり、自賠責後遺障害等級認定を受けるまでは、示談交渉は行わないことになります。

自賠責後遺障害等級認定を受ける

自賠責後遺障害等級認定は、交通事故の結果、残った後遺症がどの程度重いのかを判定するための基準のようなものです。

自分で手続きを行う被害者請求という手続きで行ってもいいし、任意保険会社に代わって行ってもらう事前認定という手続きで行っても結構です。

ただし、この自賠責後遺障害等級認定には注意が必要で、必ずしも正しい認定をしてくれるとは限らないという点です。

中には等級認定が間違っている場合があり、その場合には、損害額の計算に大きく影響を与えてしまうので、異議申し立てという手続きによって正しい後遺障害等級を認定してもらう必要があります。

しかし、ただ異議申立をすれば良いというわけではなく、正しい後遺障害等級が認定されるための資料を改めて提出しなければならないことに注意が必要です。

その意味で、被害者にはそのような知識は無いでしょうから、交通事故に精通した弁護士に依頼することをおすすめしたいと思います。

【参考記事】
交通事故の後遺障害等級が間違っていたら?

保険会社が適正額を提示してくれないことを理解する

後遺障害等級認定が確定したら、いよいよ示談交渉が始まります。

示談交渉において注意しなければならない事は、保険会社は、必ずしも適正額を提示してくれるわけではないということです。

むしろ、適正額を提示してくることが少ないことを認識しておいた方が良いでしょう。

これは保険会社も営利を目的とする会社であるという点に理由があります。

営利を目的とするという事は、利益を出さなければなりません。

利益を出すためには売り上げを上げるか支出を減らすかということになります。

被害者に対する示談金も支出ということになりますので、被害者に対する示談金を減らせば、利益が増えることになります。

そのために、保険会社は、被害者に支払う示談金をなるべく低く抑えようとするということです。

そのことを知っておく必要があります。

そこで、保険会社は、最低限の計算基準である自賠責基準よりも高いけれども、適正額である裁判基準よりも低い任意保険基準という基準により支払い額を提示してくることが多いです。

中には、最低限の支払い額である自賠責保険基準で提示してくる場合もたまにあります。

そのような場合には、決して示談に応じてはいけません。

【動画解説】   残念ながら、交通事故被害者が交渉しても慰謝料が増額しない理由

交渉しても増額できない時は弁護士に依頼する

そこで、被害者が保険会社と交渉するわけですが、実際には増額させて適正額に近づける事はなかなか難しいと言えるでしょう。

何故かというと保険会社としては「これが限度です」などと言って、交渉を成立させなければその分支払いをしなくて済むためです。

ところが、弁護士が代理人として出てきた場合はどうでしょうか。

弁護士との示談交渉が決裂すると、弁護士は裁判を起こしてきます。

裁判を起こされるとどうなるかというと、適正額である裁判基準での支払いを余儀なくされます。

そして示談を成立させなければ、最後の判決まで行って、裁判基準での判決が下ります。

そして、支払いをしなければ、強制執行されて強制的にとられてしまいます。

そのため、弁護士が代理人として登場すると、保険会社は譲歩して裁判基準に近づける提案をしてくるということになります。

したがって、被害者が頑張って交渉しても、なかなか増額しないときは、早めに弁護士に相談依頼をすることも検討した方が良いでしょう。

【参考記事】
交通事故を弁護士に相談すべき理由と注意点

慰謝料を相場より増額した裁判例

交通事故の概要

大阪地裁平成17年1月31日判決(交通事故民事裁判例集38巻・1号・187頁)

【後遺障害等級】
後遺障害等級併合8級

【損害額合計】
58,230,728円

【慰謝料額】
12,000,000円

【交通事故の概要】
平成9年9月30日午前7時20分ころ、大阪市長田区内で被害者が自転車で走行中、被害者の横を走行していた加害者の大型バスと接触し、被害者が転倒しました。

被害者は、骨盤骨折、多発性肋骨骨折、右足関節外顆骨折、肛門周囲裂創、肺挫傷等の傷害を負い、平成12年9月11日に症状固定しました。

被害者の後遺障害は、肛門周囲裂創に伴う人工肛門設置について9級11号、骨盤骨変形について12級5号、これらを併合して後遺障害等級併合8級に認定されました。

被害者は、交通事故当時19歳の女性で、アルバイトをしていました。
被害者が弁護士に依頼し、弁護士が代理人として提訴。

判決のポイント

(相場の慰謝料額 8,300,000円)

本件交通事故では、以下の事情から、12,000,000円の後遺症慰謝料を認めました。

①被害者が、女性でありながら生涯にわたり人工肛門を装着しなければならないこと。

②骨盤骨の変形によって、産道が狭窄し、通常分娩が困難な状況にあるといえること。

③腹部や大腿部などに複数の醜状痕を残していること。

以上、交通事故で人工肛門設置等により、後遺障害等級併合8級が認定された事案について、慰謝料を増額した判例を弁護士が解説しました。

交通事故で後遺障害等級併合8級で争いになった時は、弁護士にご相談ください。

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